2024注目戦士
度肝を抜いた捕手デビュー。質も幅も増すばか...
【2024注目の逸材】 あいす・しょうた 愛須翔太 [兵庫/6年] 東播ナインストリーム ※プレー動画➡こちら 【ポジション】捕手、投手 【主な打順】一番 【投打】右投右打 【身長体重】149㎝43㎏ 【好きなプロ野球選手】森下翔太(阪神) ※2024年4月15日現在 見て驚き、聞いて驚いた。昨年11月、近畿圏中心のローカル大会に出場していた、東播(とうばん)ナインストリームの背番号2の捕手、愛須翔太だ。 キャッチングはピンポイントで、球の握り変えも二塁送球動作もスピーディーで動きにムダがない。落ち着き払ったリードに声掛けといい、のっけから惚れ惚れ。1学年下のチームが相手だったとはいえ、日本一3回の多賀少年野球クラブ(滋賀)の手練れの走者たちの二盗も次々と阻んでみせた。 捕球も送球も、動作から一切のムダを省いたかのようにスムーズで速い いったいどれだけの経験と、どのような努力を重ねてきたのか。試合後に本人を直撃すると、このような答えだった。 「キャッチャーはきょうが初めてやから、とりあえず思い切りプレーして笑顔でやりたいと思いました。2週間くらい前から、キャッチングとストッピングの練習はしてきました」 それまではエース格の投手で、最速は100㎞(当時)。彼ら新チームの最上級生たちは、4年時の秋に兵庫県大会で優勝している。それなのに、総仕上げともいえるラストイヤーの入り口でなぜ、捕手にコンバートされたのか。 大垣幸信監督の答えは明快だった。 「今は勝ち負けやなしにいろいろね、可能性を広げとるんです。ホンマは吉本(瑛翔と)いう子がずっとキャッチャーをしとって、愛須とのバッテリーやと相手は盗塁もそうできん。でも、あの吉本は足がむちゃくちゃ速くて、中・高とそれ以上の先も考えたら、もっと足を使えるようにしたらなアカンなと思って、あえてセンターをさせたんです」 球速は計っていないが、昨年の最速100㎞より明らかに速くなっているという 足も肩も長打力もある愛須も同じく。活躍の場をより広げてやらん、という指揮官の親心からマスクを被ることを命じられたのだった。 「愛須は野球の通知表で言うたら、オール4.5以上。過去にはもっとすごい打者も投手もおったんやけど、すべてが高いレベルでできるという意味では、私が教えてきた中で一番ですね」 選手を知り抜く大垣監督は、2018年に全日本学童初出場まであと一歩、県大会準優勝までチームを導いた。2021年にはポップアスリートカップ全国ファイナルに初出場。その6年生たちが卒団後、愛須ら当時4年生たちの監督となった。 チームの勝利と、選手各々の未来。大垣監督のタクトはどちらにも向いている...
度肝を抜いた捕手デビュー。質も幅も増すばか...
純度100%の原石。関東王者も脅かした剛球...
【2024注目の逸材】 そのべ・しゅん 園部 駿 [東京/6年] 鶴巻ジャガーズ ※プレー動画➡こちら 【ポジション】投手、一塁手 【主な打順】七番 【投打】右投右打 【身長体重】158㎝46㎏ 【好きなプロ野球選手】バリー・ボンズ(元パイレーツ、SFジャイアンツ) ※2024年4月8日現在 良い意味で、気負いがなくて自然体な歩み。令和の時代、こういう父子鷹も増えてくるのかもしれない。 父親監督は、プレーヤーの息子についてこう評している。 「中の上くらいの身長と体重を持っているので、中の上くらいのスピードと球は投げられているのかな。野手だったらぜんぜん、先があるような選手だとは思っていないので。このまま投手をやるんだったら、やれるところまでやってみれば、というふうには思っています」 息子のハイパフォーマンスや華々しい活躍でザワつく周囲や取材者をよそに、一向に目がくらんでいない様子。逆に目を閉じたくなるような一人相撲でマウンドの息子がイラついていても、決して声を荒げることもない。 「単純にマネジメントとして『ちゃんと投げろよ!』とか、大きい声を出してプラスに働くならやりますけど、何もプラスにならないと私は思っているので、やらないだけです」 こういう指揮官を父親に持つことも、園部駿の可能性を無限に感じる理由のひとつである。 最速は110㎞超。捕手の背後に立つと、右手の2本指を離れたボールの鋭いバックスピンが見て取れる。どうりで伸びがいい。小学生ながら、「剛球」という表現がマッチするスピードボールだ。 それを主武器として、2月の京葉首都圏江戸川大会(都内59チーム参加)の3位決定戦では3回コールド参考ながら、ノーヒットノーランを達成。右打席からサク越えの先制2ランを放つ活躍もあって優秀選手賞に輝くと、素直に喜ぶ姿もまた印象的だった。 「今まで、こういう個人賞とか取ったことなかったし、自分のピッチングができてもらえたのでホントにうれしい。野球をやってて良かったなと思います」 京葉首都圏江戸川大会の3位決定戦は無安打無得点投球(3回参考)に先制2ランで勝利の立役者に 前日の準決勝は関東王者・船橋フェニックス(東京)に惜敗したものの、並居る強打者たちの多くを「剛球」でねじ伏せた。 「ずっと0点に抑えてきて、最後はワイルドピッチとかで失点しちゃったんですけど結構、自信が持てました。ボクはバッティングはホントに微妙というか、ランニングホームランもぜんぜん打ってないし。投げるのに全部を懸けているんです。100あるとしたら、90はピッチャーというくらい」 己が何者なのか、きっとまだよくわかっていない。人との対比にも興味がないようだ。未来や将来を問うても「甲子園」や「プロ野球選手」という、秀逸なタレントにありがちな単語はついに聞かれなかった。 「メジャーリーグとバリー・ボンズ(通算762本塁打のMLB記録保持者)が好きで、ああいうバチコーン! というバッティングがボクもできて、ピッチャーもできたらいいなとずっと思っています」...
純度100%の原石。関東王者も脅かした剛球...
関東王者から日本一へ!不敗軍団の三刀流ハイ...
【2024注目の逸材】 まつもと・はじめ 松本 一 [東京/6年] 船橋フェニックス ※プレー動画➡こちら 【ポジション】投手、遊撃手 【主な打順】二番、三番 【投打】右投左打 【身長体重】153㎝56㎏ 【好きなプロ野球選手】松井稼頭央(元メッツほか/西武監督) ※2024年3月25日現在 関東最強のタレント軍 2024年に入って2冠目となるナガセケンコー杯を制して、松本一は毅然とこのように語った。 「うれしいです。ただ、チームは夏の日本一(全日本学童マクドナルド・トーナメント優勝)しか目指してないし、そこはぜんぜん変わらないです」 ナガセケンコー杯には、大田区のほか都内から58代表がトーナメントに参加。カバラホークス(足立区)との決勝は3月24日にあり、松本は先発して4回途中を無失点、打っては3回に右越えの先制2ランで7対2の勝利に大きく貢献した。 「通算本塁打数? ランニングはホームランと思っていないし、数えてないです。サク越えは去年7月から10本くらいだと思います」 2023年10月22日、新人戦の東京大会を制覇(板橋・城北野球場) 3月2日、京葉首都圏江戸川大会(都内59チーム参加)で優勝した際には、チームの強さについてこう話している。 「自分たちは同学年にはまだ負けたことがないのが強み。先に点を取られたりしても、必ずやり返せます」 そう、船橋フェニックスの新チームは目下のところ、不敗ロードを進んでいる。昨秋の新人戦は世田谷区大会に始まり、東京都大会、そして最上位の関東大会まですべて優勝した(2連覇)。 昨秋の新人戦都大会決勝では先発して5回1安打1失点。打っても三塁打など2安打1打点で逆転勝利に貢献 ※関連記事➡こちら 新6年生17人のサイズ感とハイパフォーマンスは、「関東」の枠を超えても随一かもしれない。数枚いる投手陣はいずれも本格派。木村剛監督は「誰がエースでもなく、どんぐりの背比べという状態は去年の秋から変わりません」と謙遜する中でも、明らかに勝負眼と度胸に長けているのが右腕の松本だ。 「経験を重ねてきて、今はいつでも緊張とかもせず、投げられてます」 自身の調子に状況や打者も鑑みて、先発なら確実にゲームメイク。救援でも快調にアウトを重ねて、試合の流れを引き寄せていく。...
関東王者から日本一へ!不敗軍団の三刀流ハイ...
最速110㎞超、岡山の未来モンスター。本気...
【2024注目の逸材】 すが・まひろ 菅 真紘 ※プレー動画➡こちら 【所属】津山ヤングマスターズ/岡山 【学年】6年 【ポジション】投手、中堅手 【主な打順】三番、四番 【投打】右投右打 【身長体重】166㎝63㎏ 【好きなプロ野球選手】山本由伸(ドジャース)、吉田正尚(レッドソックス) ※2024年3月10日現在 2023年の秋。関東方面の新人戦を中心に取材して回った中で、断トツに速いボールを投げていた5年生(新6年生)が中国地方にいた。岡山県第三の都市・津山市で活動する、津山ヤングマスターズの右腕・菅真紘だ。 「最速は110㎞ちょい。来年、6年生になったら卒業するまでに125㎞くらいを投げたいと思っています」 「投げ方は監督やコーチにも教えてもらいました。あとは小さいころから、お父さんとボールを投げてきました」 当時161㎝(現166㎝)の背丈も群を抜いていたが、単なるサイズとパワー頼みのタイプとは明らかに異なる。粗削りでいて危うい動きは見当たらず、身のこなしも軽い。全身を使った投球フォームには躍動感があり、中堅守備では捕殺も決めてみせた。 「ピッチャーも好きですけど、センターの守備も大好きです。外野同士で位置を教えたり、バックホームでアウトを取ると、うれしいのもあります」 中堅を守っているときには、ピンチも逆に見せ場なのだろう。揚々とスタンバイする様子も垣間見られた。小学生にありがちな“お山の大将”でもなく、登板時にはバックにエラーが出たりしても、いちいち制球に影響しない。 「ミスがあっても気持ちを切り替えて、次にアウトを取ればいい。そこは意識をしています」 試合では真剣勝負をしつつ、ベンチや仲間の声掛けに笑顔で応じることも 打席ではコースや状況に応じたスイングで、快音を連発。塁に出れば、果敢に走って次塁を陥れる。昨年に学校で計った50m走は8秒フラットだったという。 「将来はプロ野球選手になって、一流のピッチャーになりたいです」 チームの新6年生は11人。自他ともに認める仲の良さで、試合中は先を読んでのアドバイスや注意がよく飛び交う。戦況を問わず、どの顔も真剣そのもので、見守る保護者たちからもネガティブな声はまるで聞かれない。たとえ凡打でも一塁へ全力で駆ける菅の姿は、シンボリックでもあった。 家庭もチームも強制なし 「最近になって、中学で硬式のチームに入るというのを自分で宣言しました。のんびりしている性格なんですけど、チームでも小さい子のお世話をしたりとか、楽しそうに見えてきました。野球がより好きになってきたのかなと思います」 球春の到来を前に、菅の変化を敏に感じているのは母・貴子さんだ。165㎝の高身長で、中高とソフトテニス部で活躍。父・剛志さんは元球児で、津山ヤングマスターズでは背番号29でコーチを務めている。...
最速110㎞超、岡山の未来モンスター。本気...
打・走・捕・遊…万能ワンダーボーイ。秋の新...
【2024注目の逸材】 ひぐち・よしてる 樋口芳輝 ※プレー動画➡こちら 【所属】山野ガッツ/埼玉 【学年】6年 【ポジション】捕手、遊撃手 【主な打順】一番、二番 【投打】右投右打 【身長体重】150㎝43㎏ 【好きなプロ野球選手】大谷翔平(ドジャース) ※2024年3月7日現在 2022年末のポップアスリートカップ全国ファイナルトーナメントに初出場。学年20人規模の山野(さんや)ガッツでは例年、専任の指導者たちの下から有能な選手が巣立っている。昨年秋の新人戦で埼玉大会準優勝を遂げた新チームはとりわけ、個々のポテンシャルも際立つ。 なかでもピカイチなのが、樋口芳輝だ。指導者歴15年の瀬端哲也監督も賛辞を惜しまない。 「打つほうも守るほうも野球の頭も、小学生のレベルを超えている。今までみてきた中でも間違いなく、3本の指に入りますね」 昨年9月の埼玉新人戦の最終日。二番に入って準決勝と決勝で4打数3安打、二塁打2本と打棒が目を引いた 満振りのファウルだけでも、いかほどのバッターなのか察しがつく。新人戦の準決勝では、右越えの二塁打と左前打に特大の中飛。決勝では右翼線へタイムリー二塁打と、広角に打ちまくった。 「甘いボールはミスショットをしない。ほとんどが1球で仕留めますよ」と瀬端監督。本人も一番のセールスポイントは打撃で、「特に逆方向に強く打ち返せること」だと語る。「ボールをできるだけ長く見て、ボールの内側を叩くことを、平日の打撃練習から意識しています」 マスクを被れば、打球への鋭い反応や機敏で強い二塁送球が目に留まる。ショートバウンドの捕球やバウンドストップも、新人戦から安定していた。だが試合後、「キャッチャーは経験も浅いし、まだぜんぜん。ずっとショートをやってきたので」と平然と打ち明けた。 新人戦では急造捕手とは思えないスキルを披露した。右は瀬端監督 その後も主に扇の要を守りながらスキルアップに励み、この2024年から背番号2に。遊撃守備でも確かな基本動作やハンドリングが光るが、指揮官が「正捕手です」と断言するまでに成長してきた。 「オーバーユースにならないように、球数の関係でショートも守らせますけど、相手の盗塁の抑止力にもなる樋口のキャッチャーと肩は外せない」(瀬端監督) 名立たる強豪チームとも対戦しているが、序盤に二盗を阻んで以降は盗塁企図もされないケースが多いという。逆に自分が一塁走者となれば、警戒されてもスチールを決めてみせる。 遊撃を守れば、基本動作と軽快な身のこなしも光る 50m走のタイムは7秒台の半ば。「そこまで爆発的な足の速さではないけど、投手の癖とかも自分で見抜いてスタートできる」(瀬端監督)。1月の大交流大会(東京)では、過去3回の日本一と高い盗塁阻止率を誇る、多賀少年野球クラブ(滋賀)からも二盗を決めてみせた(動画参照)。 2年越しの夢と...
打・走・捕・遊…万能ワンダーボーイ。秋の新...
昨夏の全国準VチームのHR王。今年は二刀流...
【2024注目の逸材】 なんば・いち 難波 壱 ※プレー動画➡こちら 【所属】不動パイレーツ/東京 【学年】6年 【ポジション】投手、三塁手、中堅手 【主な打順】三番 【投打】右投左打 【身長体重】149㎝45㎏ 【好きなプロ野球選手】大谷翔平(ドジャース) ※2024年2月25日現在 120㎞を投げる小学生もそうそういないが、鮮やかにそれを打ち返せる小学生はもっと珍しいかもしれない。 昨年7月、5年生にして東京都大会の決勝(都知事杯)という大一番の最終回に、それをやってのけた難波壱は、激しくレアな秀逸の打者に違いない。1ストライクからの2球目を、左打席から右中間へ運んで三塁打としてみせた。 2023年都知事杯決勝、4回の第2打席には中越え2ランを放っていた 「気持ちで打ちました」 その打席はまた、この少年のパーソナリティを物語ってもいた。直前の5回裏、左翼を守っていた難波はピンチで打球を後逸し、4対5と試合をひっくり返される痛恨のタイムリーエラーをしてしまっていた。 ところが、それで消沈するどころか、直後の6回表に回ってきた第3打席で、初球からフルスイング(空振り)。そして前述のように、2球目を引っ張って三塁打に。 マウンドにいた1学年上の左腕・藤森一生(レッドサンズ)は、最速が当時120㎞。対する難波は約1カ月前の全日本学童都大会の決勝でも、この怪物級サウスポーから左前打を放っていた。 世代随一の左腕とも言えた1学年上の藤森(下写真左)から、右中間三塁打を放つ(2023年7月17日、上柚木公園野球場) 「とにかく、速いボールに合わせておけば、緩いボールも打てると思っています。外角の球だったらレフト、真ん中だったらセンター、内角だったら腰の回転で打つ感じです。芯でとらえれば、あとは(打球の角度が」上がればホームラン、低かったらライナーになる」 昨年は17本塁打を放ち、夏の全日本学童大会マクドナルド・トーナメントで準優勝したチームの年間本塁打王に。正確にカウントはしていないが、就学前から不動パイレーツで野球を始めて以来、通算で70本以上はホームランを打っているという。 これだけのバッターだから、地元の東京界隈ではマークも厳しい。体幹もひと回り大きくなって迎えた2024年は、四球で歩くケースが増えている。 昨夏の全国大会は全6試合、左翼でスタメン出場。打率.231、準々決勝ではあわやサク越えの中越え二塁打(写真下) 「もっと勝負してほしい? それはありますけど、ストライクを打つだけです」 そんな難波の支えは、学年チームの背番号29で、ヘッドコーチとして一緒に繰り上がってきた父・良剛さんの存在だろう。最近はこのように説かれているという。...
昨夏の全国準VチームのHR王。今年は二刀流...
スピード&堅守。躍動する三重のリトルスター
【2024注目の逸材】 ふかざわ・とうご 深澤橙吾 ※プレー動画➡こちら 【所属】度会BEAST/三重 【学年】6年 【ポジション】遊撃手 【主な打順】二番 【投打】右投右打 【身長体重】138㎝30㎏ 【好きなプロ野球選手】今宮健太(ソフトバンク) ※2024年2月20日現在 138㎝に30kgの小粒がむしろ、果てしのない可能性を訴えてくる。どれもこれもが絵になる“リトルスター”が、三重で躍動している。 5年生の秋の時点で、50m走は7秒79。ダイヤモンドを我がもの顔で疾走し、次塁を難なく陥れる。遊撃守備ではカバーする範囲も視野も広く、右打席からは左翼手の頭上へライナーを飛ばすし、選んで出ることも小技もできる。 インタビューを始めると、チームの仲間たちが寄ってきて口々に発した。 「むちゃくちゃ足が速い盗塁王です!」「4年生のときから、6年生の肩でも容赦なく盗塁してた!」「三盗も余裕っす!」「スピードスターやな!」…。 自ずとできた輪の中央で、白い歯がこぼれた深澤橙吾。2人兄妹の長男で、1年生から野球を始めた。 俊足に加えて、走塁スキルも際立つ。一塁に出ると何度けん制されようが、最終的には好スタートから二盗を決めてみせる 「お父さんは昔はサッカー選手で、ジイジ(祖父)が野球が好き。ボクも小さいころから野球が好きだったので、チームに入りました」 毎週水曜日は、祖父と打撃練習をしている。自宅敷地の大きな倉庫内で、現在は祖父が16mの距離から投じる球を1時間ほど打ち込んでいるという。 「月曜日はオフで、火曜日と木曜日はチームの練習、金曜日は一人で素振りとか。勉強も? はい、していますけど、好きではないです」 やはり、持って生まれた天性だけではない。俊敏な身のこなしもシャープな打撃も、磨かれてこその輝きなのだ。 サク越えはないが、ランニングホームランは10本程度。小さな体にパンチ力も秘める 「将来はプロ野球で活躍できる選手になりたいです。好きな選手は、ソフトバンクの今宮(健太)選手です」 球界屈指の名手、今宮は大分県の私学・明豊出身で、中・高と全国大会に出場。170㎝強の痩身に6番を背負い、3年夏の甲子園では154㎞を投じて話題をさらった。その今宮少年にも通じる閃光が、フィールド上の深澤にはある。 5年生でキャプテンに...
スピード&堅守。躍動する三重のリトルスター
全国デビュー済の双璧”投打二刀流”。向かう...
【2024注目の逸材❺】 まつなが・まお 松永眞生 ※プレー動画➡こちら 【所属】多賀少年野球クラブ/滋賀 【学年】6年 【ポジション】投手兼遊撃手兼中堅手 【主な打順】二番、三番 【投打】右投右打 【身長体重】145㎝47㎏ 【好きなプロ野球選手】柳田悠岐(ソフトバンク) ※2024年2月4日現在 【2024注目の逸材❻】 なかい・こうし 中居昂士 ※プレー動画➡こちら 【所属】多賀少年野球クラブ/滋賀 【学年】6年 【ポジション】投手兼三塁手 【主な打順】三番、四番 【投打】右投左打 【身長体重】150㎝49㎏ 【好きなプロ野球選手】則本昂大(楽天) ※2024年2月4日現在 まずは夏の全国大会、年末はNPB12球団ジュニアトーナメントで活躍する。そして数年から10年先には、国内最高峰の舞台、プロ野球へ。...
全国デビュー済の双璧”投打二刀流”。向かう...
愛知の強豪をけん引。努力とハイポテンシャル...
【2024注目の逸材】 たかだ・しょうま 高田翔真 ※プレー動画➡こちら 【所属】愛知・木津ブライト(こっつ) 【学年】新6年(現5年) 【ポジション】投手兼捕手 【主な打順】三番 【投打】右投右打 【身長体重】147㎝45㎏ 【好きなプロ野球選手】村上頌樹(阪神) ※2024年1月28日現在 東京、神奈川に次ぐ日本3番目の大激戦区。510チーム(JSBB登録)が活動する愛知を勝ち抜くのは、並大抵のことではない。木津(こっつ)ブライトは2009年、全日本学童マクドナルド・トーナメントに初出場して2回戦まで進出。2013年と16年は全国スポーツ少年団交流大会に出場し、16年は8強入りしている。 「今年は十分に上を狙えるチーム。良い状態、良い位置にいると思います」と玉置幸哉監督。昨秋の新人戦は愛知ベスト8で、8年ぶり4回目の夏の全国出場へと選手たちの士気も高まっているという。 その指揮官から「投げても打ってもポテンシャルが高い。エース候補です」と高く評価されているのが、右腕の高田翔真だ。 全国舞台を知る玉置監督から下半身主導と体重移動のアドバイスも受け、安定したフォームと球威を手に入れている 「全国制覇が目標です。そのためには、みんなでエラーやミスを減らして声を出していくことだと思います」 快活に語る高田は体はまだ並のサイズでも、動きに柔軟性とバネが感じられる。力みなくきれいに一本足で立ってから、グラブハンドを本塁方向へ突き出しながら踏み出していく投球フォームは、「憧れ」と語る村上頌樹(阪神)を思わせる。同投手は昨季のプロ野球セ・リーグの新人王&MVPだ。 スローボールも巧みに使って、アウトを重ねる投球が身上。しっかりと指に掛かって投じられた速球は、輝かしい未来を指すかのように真っすぐに伸びていく。 「ピッチャーではフォアボールをなくして、無失点で次につなぐのが自分の役目だと思っています」(高田) サッカーから転じて毎日練習 制球力も決して低くないのだが、本人も指揮官もさらなる精度を課題として挙げている。「気持ちが強過ぎて、空回りするところがあるのかな。抑えてやろう! として逆にコントロールを乱すとか。本人もわかっていると思いますけど」(玉置監督) 胸を張って右腕が真上から振り下ろされる。身長とともに球速もぐんぐん上がりそうだ 気負いは打席でも生じることがあるのかもしれない。取材日(動画も撮影)の試合では、なかなか快音が聞かれず。タイミングが合わず、早い段階から力みも見て取れたが、前日の大殊勲打が影響していたのかもしれない。 地元の交流大会で、右打席から逆転サヨナラ3ラン。それもライトオーバーだった。「逆転サヨナラ打は初です。ホームランはレフト方向が多いんですけど、あのときは(走者)二、三塁のチャンスだったので、確実に逆方向を狙ったのが良かった。野球はそういういろんなドラマがあったり、盛り上がるのが好きです」 「打席では次につなぐことを考えています」。本塁打は通算で10本前後。5割近い打率はチームトップだ...
愛知の強豪をけん引。努力とハイポテンシャル...
父子鷹で夏の全国へ。秋の東京準V、躍動する三刀流
【2024注目の逸材】 てらむら・りく 寺村 陸 ※プレー動画は➡こちら 【所属】東京・旗の台クラブ 【学年】新6年(現5年) 【ポジション】中堅手兼投手 【主な打順】三番 【投打】左投左打 【身長体重】147㎝45㎏ 【好きなプロ野球選手】吉田正尚(レッドソックス) ※2024年1月10日現在 父親が背番号30、息子は背番号10で目指すは「小学生の甲子園」こと全日本学童大会初出場――。まさしく“学童野球あるある”の父子鷹だ。 47都道府県で唯一の登録3ケタ、1000チームを超える東京にあって、昨秋の新人戦は準優勝。寺村俊監督は秋田県の横手高で主将を務め、早大時代に故・応武篤良監督の薫陶を受けている。 そしてキャプテンの寺村陸は、2人兄弟の長男坊。「三番・中堅」でスタメン出場し、リリーフ登板から勝ちゲームを締めるまでが主な役目だ。 「チームではマックで全国大会(全日本学童)に出るのが目標。個人ではDeNAジュニアに入りたい(NPB12球団ジュニアトーナメント出場)」 新年の抱負をそう語る寺村は、フィールドでは闘志満々の頼もしいリーダーだ。150㎝にまだ届かない体を存分に使い、打っても守っても投げても躍動感に満ちている。 とりわけ目を引くのが、ダイナミックな投球フォームだ。一本足で立つまでに、予備動作とその反動も利して片ヒザを胸近くまで引き上げてくる。これは2023年度の巨人ジュニアでもプレーした、東京・高島エイトの鈴木真夏選手(現6年)の投法を手本にしているという。 「その投手(鈴木)が大会で6連続三振を取ったのを見ていて、お父さんにも『マネしてみたら』と言われて。やってみたら球もいくし、タイミングを外せたりもできるので続けています」 5年秋の時点で最速100㎞超。「ピンチの場面のほうが球が速くなる」 一本足の体勢でグラつくこともなく、リリースのポジションも理想的だからボールに勢いがある。昨年10月の新人戦準々決勝、駒沢公園野球場でマークした101㎞が最速で、「6年のうちに115㎞を投げたい!」と鼻息が荒い。 通算の本塁打数は、昨秋の新人戦終了時点で35本前後だった。打つフォームには力みやムダな動きがなく、素直に鋭くバットが振り出されていく。 「引っ張るのはいつでもできる。良いときは逆方向の外野オーバーが出ます。チャンスで気持ちが高ぶりすぎないようにして、打てるようになることを今は目指しています」 一番のこだわりは打撃で、打者として大成する未来像を描いているという。 通算35本塁打超。「チャンスでホームランが打てるようになりたい」...
父子鷹で夏の全国へ。秋の東京準V、躍動する三刀流
あの金に輝くのはキミか!? 全国V2への急先鋒
【2024注目の逸材】 やまだ・たくと 山田拓澄 ※プレー動画➡こちら 【所属】大阪・新家スターズ 【学年】新6年(現5年) 【ポジション】中堅手兼投手 【主な打順】一番 【投打】左投左打 【身長体重】153㎝47㎏ 【好きなプロ野球選手】吉田正尚(レッドソックス)、山本由伸(ドジャース) ※2024年1月8日現在 2024年度の「主役候補の筆頭」と言っていいだろう。山田拓澄が、新年を迎えて早くもその株をまた上げている。 3月に卒団する現6年生たちと挑んだ堺市長杯の決勝(1月7日)で、オリックスジュニアでもプレーした1学年上の本格派右腕からランニングホームラン。試合も4対0で制し、参加105チームの頂点に輝いている。 「打撃・足・肩の3つがそろっているし、どこまで伸びるか、楽しみですよね。ウチからオリックスジュニアに入った『宮本(一希=現6年)より上やないか!?』とも言われ始めてます」(千代松剛史監督) 2023年8月6日、全日本学童1回戦(対石川・館野学童野球クラブ)。5年生の山田は全国初打席で右へエンタイトル二塁打を放った 新6年生の世代で、山田ほど全国舞台を知る者はほかにいない。「小学生の甲子園」こと夏の全日本学童大会は、一昨年の4年時も背番号27でベンチ入り。3位に輝いたチームで出番はなかったものの、5年時の昨夏は六番・中堅で6試合フル出場。1回戦で3打数3安打の二塁打2本と、初優勝することになるチームを持ち前の打棒で波に乗せた(個人成績詳細は表参照)。 「夢に思っていた全国制覇だったので、達成できてうれしかったです」 東京・レッドサンズとの準決勝では、2回にライトへサク越えソロ。2年前の準々決勝では2つ上の兄・航大(和歌山打田タイガース)が先制ソロを放っており、山田兄弟は至難の夏の全国舞台で一発を放ったことになる。 2022年夏の全日本学童では2つ上の兄・航大が準々決勝で先制本塁打を放っている(写真は3回戦) 「(兄とは)今は一緒に練習していないけど、ケンカはよくします」 2人兄弟の弟はそう語る一方で、「新チームでは背番号0で、センターを守って一番を打ちたい」と意欲を燃やす。新家スターズには、主将とは別に攻守の大黒柱が「0」を背負って一番を打つという伝統があり、実は2年前にその大役を全うした中堅手が、山田の兄だった。 「ライナーの速い打球を打てるのが自分の良いところで、全国のホームランで自信を持ちました。でも、どんなピッチャーも打てたわけではないので、もっと練習が必要だと思っています」 去る12月のポップアスリートカップ全国ファイナルも六番・中堅で初優勝に貢献 全国大会でも勝ち進むにつれて、対峙する投手のレベルも高くなる。それも肌身で感じた山田に慢心はない。最上級生となる今年は、内外からのプレッシャーが増すことも覚悟しているという。 「ちゃんとできるかな、という不安も少しありますけど、外の目はあまり気にしない。自分たち(新6年)もまた全国優勝して、最高の夏にしたいです」...
あの金に輝くのはキミか!? 全国V2への急先鋒
二刀流で関東準V。夏の全国の扉を開けるか!?
【2024注目の逸材】 かねこ・るい 金子 塁 ※プレー動画➡こちら 【所属】埼玉・西埼玉少年野球 【学年】新6年(現5年) 【ポジション】投手兼一塁手 【主な打順】三番 【投打】左投左打 【身長体重】155㎝55㎏ 【好きなプロ野球選手】岡本和真(巨人)、藤川球児(元阪神ほか) ※2024年1月5日現在 年末恒例のNPB12球団ジュニアトーナメントは、学童球児の夢の祭典。この舞台の経験者が毎年のようにドラフト指名されており、今では1球団16人のメンバー入りがひとつのステイタスにもなっている。 西埼玉少年野球は先日の2023年大会まで、4年連続でNPBジュニア選手を輩出中。さらにこの2024年で「5年連続」に更新される可能性も高い。 三番の金子塁と、四番の白垣大耀(下写真)。世代でも抜けた存在の、左打者ふたりがいるからだ。チームは昨秋の新人戦で埼玉大会を制覇(4年ぶり2回目)。続く関東大会は、銀メダルに輝いている。 金子と並んで埼玉屈指の左スラッガー・白垣大耀 ふたりが大車輪の活躍を遂げたことは言うまでもない。ところが、その年末になって、綿貫康監督に対して金子がこう直訴してきたという。 「ボクはNPBジュニアのセレクションを受けるつもりはないので、来年もキャプテンをやらせてください」 背番号10の自負と覚悟が、金子を突き動かしたのだろうと指揮官は語る。 「驚きましたよね。チームを引っ張って夏の全国大会に行くんだという並々ならぬ決意であり、試合に出られないメンバーの思いも汲んでの責任感もあるんだ思います。新6年生だけでも13人いますからね」(綿貫監督) 金子は左投左打の二刀流。際立つのは体幹の安定とバランスだ。左腕もバットもよく振れている上に、投じる球もスイングも精度が高い。 「岡本和真選手(巨人)が好きです」 打ってはサク越えアーチが20本以上、ランニングホームランも加えると通算30本塁打は超えているという。昨秋の県大会では、逆方向の左中間深くへのエンタイトル二塁打もあった。 投げるほうの憧れは“火の玉ストレート”を武器に、阪神やMLBで活躍した藤川球児氏だ。...