【2024注目の逸材】
たかだ・しょうま高田翔真
※プレー動画➡こちら
【所属】愛知・木津ブライト(こっつ)
【学年】新6年(現5年)
【ポジション】投手兼捕手
【主な打順】三番
【投打】右投右打
【身長体重】147㎝45㎏
【好きなプロ野球選手】村上頌樹(阪神)
※2024年1月28日現在
東京、神奈川に次ぐ日本3番目の大激戦区。510チーム(JSBB登録)が活動する愛知を勝ち抜くのは、並大抵のことではない。木津(こっつ)ブライトは2009年、全日本学童マクドナルド・トーナメントに初出場して2回戦まで進出。2013年と16年は全国スポーツ少年団交流大会に出場し、16年は8強入りしている。
「今年は十分に上を狙えるチーム。良い状態、良い位置にいると思います」と玉置幸哉監督。昨秋の新人戦は愛知ベスト8で、8年ぶり4回目の夏の全国出場へと選手たちの士気も高まっているという。
その指揮官から「投げても打ってもポテンシャルが高い。エース候補です」と高く評価されているのが、右腕の高田翔真だ。
全国舞台を知る玉置監督から下半身主導と体重移動のアドバイスも受け、安定したフォームと球威を手に入れている
「全国制覇が目標です。そのためには、みんなでエラーやミスを減らして声を出していくことだと思います」
快活に語る高田は体はまだ並のサイズでも、動きに柔軟性とバネが感じられる。力みなくきれいに一本足で立ってから、グラブハンドを本塁方向へ突き出しながら踏み出していく投球フォームは、「憧れ」と語る村上頌樹(阪神)を思わせる。同投手は昨季のプロ野球セ・リーグの新人王&MVPだ。
スローボールも巧みに使って、アウトを重ねる投球が身上。しっかりと指に掛かって投じられた速球は、輝かしい未来を指すかのように真っすぐに伸びていく。
「ピッチャーではフォアボールをなくして、無失点で次につなぐのが自分の役目だと思っています」(高田)
サッカーから転じて毎日練習
制球力も決して低くないのだが、本人も指揮官もさらなる精度を課題として挙げている。「気持ちが強過ぎて、空回りするところがあるのかな。抑えてやろう! として逆にコントロールを乱すとか。本人もわかっていると思いますけど」(玉置監督)
胸を張って右腕が真上から振り下ろされる。身長とともに球速もぐんぐん上がりそうだ
気負いは打席でも生じることがあるのかもしれない。取材日(動画も撮影)の試合では、なかなか快音が聞かれず。タイミングが合わず、早い段階から力みも見て取れたが、前日の大殊勲打が影響していたのかもしれない。
地元の交流大会で、右打席から逆転サヨナラ3ラン。それもライトオーバーだった。「逆転サヨナラ打は初です。ホームランはレフト方向が多いんですけど、あのときは(走者)二、三塁のチャンスだったので、確実に逆方向を狙ったのが良かった。野球はそういういろんなドラマがあったり、盛り上がるのが好きです」
「打席では次につなぐことを考えています」。本塁打は通算で10本前後。5割近い打率はチームトップだ
男3兄弟の長男坊。投手以外に捕手と三遊間もこなす器用さと身体能力は、3年生まで興じていたというサッカーで土台が築かれたのかもしれない。しかし、高田は3年生の冬になると父親にこう訴えて野球へと転じた。
「走るのがえらい!(しんどい)」
父・将宏さんは元高校球児で、その後も草野球を楽しんできた。ただし、息子たちに野球や自主練習を強制したことはなく、次男坊は今でもサッカーに夢中だという。
平日は自主練習を欠かさない。試合ではネクストでも懸命にタイミングを計るなど準備にも余念がない
野球少年となった長男のほうは、父との平日ナイター練習が日課に。自宅敷地内には、父が手掛けた練習スペースがあり、防球ネットや照明の下でティー打撃や16mの投球練習を繰り返しているという。
こうした自主性と日々の努力もあるからこそ、週末にヒーローとなれるのだ。目下のところ、打率もチーム1位。「ミート力とパンチ力が高いので、クリーンアップのどこでも任せられる」と、玉置監督は打撃でも信頼を寄せる。本人が一番好きなのは「打つこと」だが、投打の二刀流で上を目指していくという。
「将来はプロ野球選手になりたい。ドラゴンズジュニア? はい、もちろん入りたいと思っています」
経験を重ねていく中で、自らのパフォーマンスにちょうどいい塩梅の精神状態もつかんでいくことだろう。
(動画&写真&文=大久保克哉)