社長あいさつ
現代野球の
練習環境を変革する。
野球をする場(field)の力(force)になる!2人の仲間と誓い、フィールドフォースを立ち上げて17年目。国内5つ目となる屋内練習場「ボールパーク柏の葉」を併設する千葉県の新社屋で、初めての正月を迎えました。2023年(令和5年)に入っても、円高や物価上昇など経営者として気掛かりな世の動きはいくつもありますが、“野球人”として考えさせられたニュースもふたつほどありました。
まずは、スポーツ庁が実施している小学5年生の「体力テスト」の結果です。報じた朝日新聞によると、2022年度の平均値(8項目)は、2008年の調査開始以来最低。著しいこの体力低下の要因は、新型コロナウイルスの流行で、屋外での活動制限やマスク着用による運動控えにある、と同庁は分析しており、1日1時間以上の運動をしている割合は過去2番目に少なかった、とのことです。もうひとつのニュースは、日本の生活様式も「ウイズ・コロナ」から「アフター・コロナ」に向かう、というもの。簡単に言うと、新型コロナウイルスがこの春からは季節性のインフルエンザなどと同じ扱い(5類)となり、行動制限なども自動的に解除される、という政府の方針が明らかになりました。
コロナ禍以前の日常。これは世界中が待ち望んでいるに違いありません。では、私たちの日本も、晴れてそれを取り戻したとしましょう。果たして、子供の体力低下にブレーキは掛かるのでしょうか。1日1時間以上の運動をする子が増えるのでしょうか。「Yes!」と即答できない人が大半、それが現実だと思います。スポーツ界が果たすべき役割は、ますます大きくなるのだと私は考えています。
体を動かして遊びたい、スポーツを楽しみたい、もっと懸命に励んで上達したい。子供たちがそうなったときに、速やかにスムーズに受け入れる環境が全国各地にあるのか。ハードとソフトの両面で、そういう子を夢中にさせたり、継続させられるだけの受け皿は整っているのか。保護者の理解や協力も得られるような、魅力を伴えているのか…。
スポーツは、かけがえのないものです。たとえば、1年遅れで開催された東京2020オリンピック・パラリンピック夏季大会や、記憶に新しいサッカー2022FIFAワールドカップ。コロナ禍の世にはびこる喪失感や閉塞感、鬱屈とした人々の心をどれだけ埋めてくれたことでしょう。またこの3月には野球界のビッグイベント、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)が控えています。「やっぱり、野球だね!」。巷もそういう声にあふれ、野球は我が国の国民的スポーツであることを再認識する機会となることでしょう。
スポーツは、プレーヤーがいないことには成り立ちません。WBCに臨む侍ジャパンの精鋭30選手もそうであるように、トップアスリートの歩みは少年少女の時代から始まっています。また一般の野球ファンの多くも、もともとは野球少年・野球少女であったはずです。しかし、町から「空き地」が消え、ボール遊びに興じる子供たちの姿が公園から消えて、久しくなりました。平成の時代に誕生した日本プロサッカーリーグは30年を数え、人々の関心や暮らしぶりが多様化するなかで、野球をする子供の数は少子化の波を超えるスピードで減り続けています。これを「危機的な状況」と、叫ぶだけでは未来は変わりません。
たとえ限られた場所でも、指導者やパートナーがいなくても、子供が練習できる野球の用具や用品。より実戦的で、より効果的な自主練習を可能にする道具。私どもフィールドフォースは、それを創りだし、広く届け続けることを最大の使命としています。昭和の子供たちにとっての“町の空き地”を目指した「ボールパーク」の事業展開についても、野球の練習環境を変えていきたい――という一念からに、ほかなりません。
振り返ってみれば、私どもが生んだ商品のなかには「看板」とも言えるバッティングマシンなどヒット作もあれば、さっぱり売れなかったものもあります。それでも、すべての商品に私どものメッセージが込められており、「失敗作」はなかったと断言できます。今後も「プレーヤーのため」という信念を胸に刻みつつ、前例にとらわれずに『かゆいところに手が届くマニアックで変態的(独創的)な商品』を企画開発、リリースしていきたいと考えています。
この17年間には多くの出会いもありました。長らく拠点としてきた足立区をはじめとする東京の学童野球、中学野球、ソフトボール関係者の皆さま。さらには、大阪の長曽根ストロングス、滋賀の多賀少年野球クラブをはじめ、全国の名だたる学童野球チームの指導者の皆さまとの交流を通じ、いまも多くの刺激をいただいています。我が社に転換期をもたらすようなアドバイスや、商品開発のヒントをいただいた例も、枚挙にいとまがありません。また、都知事杯東京都学童軟式野球大会や神奈川県学童軟式野球選手権大会をはじめ、後援や協賛をさせていただく大会も東京や関東の枠を飛び越えて、数えきれないほどになっています。
私どもにとっての「プレーヤー」とは、選手と指導者に加え、それを支える家族や友人・知人の皆さままで、どんな形であれ、野球と接点を持つ、すべての方たちであると考えています。そうした“野球人”の皆さまとの有機的なつながりにより、我が社は常に変化してきました。現状維持は衰退の始まり――これも数多の出会いのなかで共鳴した言葉のひとつですが、この2023年、フィールドフォースはまた新たな第一歩を踏み出します。「学童野球」に真っ向から焦点をあてたメディアの創設です。
デジタル化も成熟したいま、情報は世に溢れています。インターネット上で「野球」「練習方法」などと検索すれば、数多の情報にありつけます。ただし、その多くはプロ選手の高度な理論や技術であったり、一定の技能と筋力を有した中高生向けであったり。体も頭も心も未成熟で個人差も激しい学童野球の選手にとって、本当に有益で身近な情報となると心許ないのが実情ではないでしょうか。
集団のマナーも野球の醍醐味もルールも知らず、ボールを捕るのも投げるのもほぼ未体験という、「無」の子供が非常に増えてきています。そういう野球初心者やその保護者へのアプローチがぜい弱なばかりに、野球以外に流れてしまう親子も多いと聞き及びます。また同じく、「無」の子供たちを前に頭を抱える指導者も増えているようです。そこで私どもは、これまでとこれからの出会いや学びも有効に活用させていただきながら、学童野球に特化したハウツーやノウハウを含む有益な情報を発信していきます。連綿と野球界を下支えする、この巨大なカテゴリーを盛り上げることに注力します。一時の「熱」で終わらないメディアとすることを、ここでお約束したいと思います。
わが社は、これからも変化を恐れることなく、常に前進を続けていく所存です。“野球人”皆さまには、これまで以上の叱咤とご鞭撻をお願いする次第です。アドバイスや商品やメディアに対するリクエスト、そしてご批判も、どんどんお寄せください。
今後とも、フィールドフォースを何とぞよろしくお願い申し上げます。
令和5年2月