女子野球選手の引退後はどんな人生が待っているのか。
指導者・仕事・結婚・子育て・現役復帰など…さまざまな元女子野球選手のセカンドキャリアに迫ります。
現役選手として野球に打ち込む女子選手や保護者の方々へ、なにか少しでも選択肢のヒントになれば幸いです。
セカンドキャリア紹介 第二弾
女子野球日本代表・女子プロ野球・埼玉西武ライオンズレディースを経て、ライオンズベースボールアカデミー初の専属女性コーチとなった山崎まりさんをご紹介します。
2025年4月24日更新
目次 |
プロフィール |
指導で大切にしていること |
まずはファーストキャリアを全力で |
子ども達に伝えたいこと |
編集後記 |
プロフィール
山崎 まり
球歴:球歴:札幌ホーネッツレディース・筑波大学硬式野球部・アサヒトラスト(クラブチーム)・女子プロ野球(2013-2019)・埼玉西武ライオンズレディース(2020-2024)
女子野球日本代表選手として2010年の第4回IBAF女子ワールドカップ出場
指導で大切にしていること
小学生から中学生までがクラス分けされたアカデミースクールで指導する上で、技術アップの手助けをすることは "当たり前" のこととして取り組んでいます。
年間を通した指導計画をつくり、スクール全体の運営にプラスして各選手に合わせた指導ができるもの【専属コーチ】となったからこそです。
その中で技術指導よりも大切にしていることがあります。
\それは/
● 野球の楽しさを伝えること
●コツコツでも続けること
●礼儀を大切にすること
山崎さん自身も長い現役生活の中で、多くの怪我との戦いもありました。
筋量の劣る女子選手だからこそ多いのではないかという【肩の脱臼や膝の靱帯損傷、捻挫】などです。
スライディングや走塁の切り替えし・踏み出しなど、かかる負荷に女子選手の筋量が追いつかずに関節の怪我に繋がる事例は多いのではないかといわれています。
長く続けるうえで自身の体や怪我に向き合ってきたからこそ、現役時代から後輩選手へできる限り自身の経験を伝えてきたそうです。
現役引退後にはアカデミーコーチとして、この自身の経験を伝えながら子どもたちへ指導していきます。
机上の論文ではなく、自らの経験と言葉で伝えることができるのも山崎さんの強みとなっています。
まずはファーストキャリアを全力で
山崎さん自身は、学生の頃からすでに引退後のこともある程度想像をして進路選択をしていたといいます。
女子野球界の発展は目まぐるしく、20年前には想像もしていなかった選択肢が増えていますので、もちろん学生の頃に想像していたものとは違っている部分も多くあります。
しかしながら、高校を決めるとき、大学を決めるとき、女子プロ野球に挑戦するとき…それぞれの節目で"目先のこと"だけではなく、そこから続く選手生命と引退後のセカンドキャリアを見据えていたそうです。
まずは自分自身が考えながら取り組むこと、そして先述したようにそれを周りの選手や後輩に伝えること・・・
それが現役引退後に指導をするときに役に立つことを想定していたからこそ、NPB球団である埼玉西武ライオンズのベースボールアカデミーとして初の専属女性コーチというご縁にも繋がったのです。
この女子野球選手のセカンドキャリア紹介シリーズもそうですし、女子野球に限らず世の中でも『スポーツ選手のセカンドキャリア』について話題になることが増えてきています。
\それでも/
山崎さんの言葉で非常に印象的だったのは、『まず大事にしてほしいことは選手としてのファーストキャリア』だということです。
ファーストキャリアがあるからこそ、セカンドキャリアに繋がります。
それはトップ選手になることや経歴を積み重ねることだけではなく、野球に向き合った経験値、コツコツと重ねた継続力、礼儀や絆から生まれる人との繋がりなど・・・
子どもたちへの指導で大切にしていることがすべてファーストキャリアをつくり、セカンドキャリアにも繋がるのです。
子ども達に伝えたいこと
今、大好きな野球を一生懸命やることの中で、野球を通じて出来ることもとても大切にしてほしいと思います。
試合では勝敗が必ずつくけれど、野球は勝敗以上に素敵な力をくれるスポーツです。
野球を通じて出会った仲間。
目標に対して努力する力。
支えてくれる人への感謝の気持ち。
まだまだ沢山ありますが、その毎日を楽しんでほしいです!
私も皆さんと同じ、野球が大好きな女子の1人です✌️
これからも女子野球界が発展していくよう、共に頑張りましょう⚾️
~編集後記~
今回はベルーナドーム(西武ドーム)に併設された球団事務所内にて、お話を聞かせていただきました。
山崎まりさんと私は同学年で、約20年前から敵として戦ったり、日本代表合宿で一緒に練習したりしてきた、いわゆる女子野球仲間です。
常に2人の進路選択のパターンが正反対(男子野球部所属と女子野球部、女子プロ野球とクラブチーム)だったので、いつも頻繁に会っていたというわけではありません。
それでも、女子野球という世界が生み出す繋がりがあったからこそ、お互いに現役を引退した今でも "セカンドキャリアで" これから新たに一緒に取り組んでいく楽しみがあります。
フィールドフォース 小林