メダル圏内のベスト4をかけた準々決勝は、新潟市の2会場で行われた。メイン球場のHARD OFF ECOスタジアム新潟での第1試合では、史上最多の優勝7回を誇る長曽根ストロングス(大阪)と、1986年に初優勝を遂げている牛島野球スポーツ少年団(秋田)が対決。試合は投手戦で始まり、終盤は一進一退の攻防が展開された。
(写真=福地和男/文=鈴木秀樹)
■準々決勝/エコスタ新潟
◇8月16日▽第1試合
[大阪]3年ぶり18回目
長曽根ストロングス
000022=4
000020=2
牛島野球スポーツ少年団
[秋田]28年ぶり5回目
【長】谷脇、森川-岩﨑
【牛】東海林、渡辺-齊藤
三塁打/五十嵐(牛)
二塁打/齊藤(牛)、岩﨑、苧原2、月田(長)
【評】1回表、長曽根は二番・岩﨑海斗が中越え二塁打も、三盗を狙いアウトに。以降は長曽根先発の谷脇蒼が緩急巧みに相手打線に的を絞らせない投球を見せると、牛島のエース・東海林大志もテンポ良く長曽根打線を抑え、4回まで互いに無得点。5回、長曽根は苧原祐次郎の中越え二塁打と、続く山田蒼のバント安打で無死一、三塁の好機を得ると、内野ゴロの間に1点、内野ゴロ野選でもう1点と、2点を先取。しかし、牛島はその裏、二死二塁から五十嵐陽翔の適時三塁打、さらに5年生・佐藤岳恒の適時内野安打で同点に。それでも、長曽根は6回にも月田拓斗の右前打と四球を足掛かりに、機動力も加えた攻撃で敵失を誘うなど、2点を加えて勝負を決めた。(了)
牛島の先発・東海林(上)は5回を5安打2失点の粘投。長曽根の先発・谷脇(下)は4回を1安打無失点の快投
2回裏、牛島は一死から齊藤成流が中越え二塁打(上)も無得点。二死からは長曽根の遊撃手・月田が後ろ向きで飛球を好捕(下)
5回表、長曽根は先頭の苧原が二塁打(上)、続く山田がバントヒット(下)で無死一、三塁に
長曽根は無死一、三塁から畑中零生(上)と岡林優志(4年=下)の内野ゴロで、5回表に2点を先取
5回裏、牛島は齊藤の中前打から二死二塁として、八番・五十嵐が適時三塁打(上)。続く5年生の佐藤岳も内野安打(下)で2対2に
同点とされた長曽根は6回表、月田の右前打(上)に四球、敵失で無死二、三塁とする。そして投ゴロで三走がスタートも、タッチアウトに(下)
6回表、本塁憤死で一死となった長曽根は二、三塁から七番・苧原の3安打目となる内野安打(上)で、三走・吉見が生還(下)して勝ち越し
畑中のスクイズバントが決まり(上)、6回表に4対2とした長曽根は、二番手の森川壱誠がリードを守り切って終了(下)
―Good Loser―
28年ぶりの夢舞台で8強進出
うしじま
牛島野球スポーツ少年団
[秋田]
優勝した第6回大会(1986年)以来となる、39年ぶりの4強入りは果たせなかった。
初回には、先制のピンチで見事な盗塁阻止。前日の長崎・戸尾ファイターズとの3回戦と同じ展開で、守備からリズムをつかんだかにみえた牛島野球スポーツ少年団だったが、「昨日と同じようにはいかなかったですね。守備も攻撃も、すべて向こうのほうが上でしたよ」と吉田敏雄監督が振り返る。
初回に三盗を阻んだ正捕手・齊藤は、打っても2安打と気を吐いた
先発・東海林大志(=下写真)を中心にガッチリと守り、相手に主導権を渡すことなく、4回までゼロ行進の緊迫した展開。「それでも…」と東海林が振り返る。
「厳しいコースに決まったボールにも、向こうのバッターはしっかり合わせてきた。三振が取れなかった。これまでの相手以上に、レベルが高いと思いました。自分たちよりも上のチームというのは、こういうものかって」
対戦してみて実感する、最多優勝記録(7回)保持者の迫力。
「さすが、何度も優勝しているチーム。ウチの選手たちも、ここまでよく頑張りましたが、かなわなかった。長曽根さんと試合できたのは、いい経験になったと思う」と振り返る吉田監督の表情は、むしろ明るかった。
「(先制されて)あそこでよく、2点取って追いついた。戦いに、粘り強さが出てきたというか。負けて満足感があるわけではないが、ここまで勝ち上がれたんだから。胸を張って帰ることができます」
全試合で好投し、チームをベスト8に導いた東海林は「すごく勉強になった大会でした。球速もコントロールも、今よりもレベルアップして、1人もランナーを出さないようなピッチャーになります」と、今後の目標を見つけた様子。
5年生ながら、二番・三塁でフル出場し、攻守に活躍した利部里仁(=上写真)は「全国大会は緊張もしたけど、いい守備ができてよかったです。来年も全国大会に来たいです」と話していた。