【バッティング】右投げ左打ちを極める

メリットが多い?
メジャーリーグやプロ野球で活躍する選手、高校野球の注目選手にも "右投げ左打ち" が多いこともあり、学童野球でも多く見受けられるようになりました。
野球に興味を持ち始めた幼少期の段階や、チームに入る前や入り始めの段階で、右利きの子でも左打ちで打つ習慣をつけているという話も耳にします。
また「足が速いから」という理由で、1塁ベースに近い左打ちに転向する選手も多いでしょう。
それ以外にも、体のバランスという面でも、右投げ右打ちのように同じ方向に体を使うのではなく、筋力の偏りや負担の分散に繋がる "右投げ左打ち" を推奨する意見も多いようです。
バッティングにおける
"利き手" について考える
今回は2000年シドニー五輪選手であり、社会人野球の強豪NTT東日本硬式野球部前監督の飯塚智広氏に大事なポイントをお聞きしました。
飯塚氏自身は "左投げ左打ち" ではありますが、長年多くの社会人野球選手の指導をし、バッティング能力の見極めや技術の向上において卓越した知識と引き出しを持ち合わせています。
その中で、利き手(右投げであれば右手)がピッチャー側の引き手となり、利き手ではない左手がキャッチャー側の押し手となる "右投げ左打ち" の選手へ、打力向上のための重要なポイントを解説いただきました。
利き手の方が力が強く、また感覚的な操作性にも長けていることは間違いありません。
バッティングにおいて、ピッチャー側の引き手は非常に重要な役割を担います。
右投げ左打ちは、その引き手が利き手(右利きなら右手)となり、良い働きをするというメリットがあります。
・構えたトップの位置から、ミートポイントまでを主導する
・高さやコースなどに合わせてバットをコントロールをする
・打球の打ち分けの起点となる
引き手をより意識できる練習用バットはこちら
逆に、キャッチャー側の押し手はどうでしょうか?
右投げ左打ちの場合は、利き手ではない方の手になります。
(左利きで右投げという選手もいますが、今回は右利きという前提で進めます)
先述したように、利き手の方が力も強く操作性にも優れています。
この押し手はバッティング動作の中で下記のような役割を担います。
・安定したスウィングをする支えとなる
・インパクトから押し込んでボールを飛ばす
\押し手の練習/
このようにボールを捉えてから遠くに飛ばすという動作では、押し手の力が非常に重要です。
右投げ左打ちの選手にとって、利き手ではない押し手のパンチ力が必要ということです。
通常試合で使用するバットにはレギュラーグリップ、もしくはタイカップとも呼ばれるフレアグリップの2種があります。
力が入ると感じるタイプを好む選手、操作性を好む選手などで好みは分かれますが、今回は試合用のバットではなく、あえて練習専用として開発された『押し手のパンチ力を向上させるためのバット』を使用していただきました。
このように引き手の握る部分がすべて太くなっています。
グリップの上部のみフレア形状になっているタイカップバットとも異なり、片手分すべてが太くなっているのです。
この形状によって太くなっている引き手は力が入りづらく、≪添えているだけ≫のような状態になり、通常のグリップとなる押し手に自然と力が入ります。
さらに実際にティーバッティングをする際には、ボールを捉えるインパクト時にしっかりと押し手でパンチするように打ちます。
そうすることで、右投げ左打ちの選手にとって"利き手ではない押し手のパンチ力"が向上し、意識的にボールを押し込めるようになるのです。
わかりやすいように押し手のパンチの形を片手で再現してもらいました。
野球以外の場面でも日常的に多く使用する利き手ではなく、逆の手をしっかりと使い込む練習が大切です。
右投げ左打ちを極めるポイントは
利き手ではない押し手のパンチ力です。
※このパンチ力を身に付ける練習用の木製バットは学童選手用もあります。
学童野球の段階から押し手のパンチ力がつくことで、先の野球人生でも長く強打者として活躍できる可能性が広がります。