【2023注目の逸材】
中橋開地
なかはし・かいじ
【所属】福井・越前ニューヒーローズ
【学年】6年
【ポジション】三塁手、投手
【主な打順】四番
【投打】右投左打
【身長体重】148㎝56㎏
【好きなプロ野球選手】大谷翔平(エンゼルス)
※2023年1月19日現在
中橋開地と米澤翔夢(よねざわ・とむ)。福井のTKコンビが、ことしの学童球界を席捲することになるかもしれない。
ふたりがプレーする越前ニューヒーローズは昨夏、全国初陣(全日本学童)でベスト8まで進出。2人の6年生(当時)を含めて選手は計15人、3年生もスタメンに入る若い布陣ながら、冷静にタクトを操る田中智行監督の下、好球必打の打撃と粘り強い守備で快進撃を演じた。
昨夏の全国大会でプレーした新6年生5人。中央が中橋、左が米澤
迎えた準々決勝の朝に、チーム内で新型コロナウイルス感染が判明して涙の棄権(不戦敗)となったが、「僕たちは全国でまだ負けていない」と胸を張るのは新6年生の中橋だ。
「卒団した6年生2人の分まで、今年も神宮(全国大会)に行って優勝する、とみんなで話しています。個人的には神宮でホームランを10本ぐらい打ちたいです」
新チームで四番を張る左の大砲・中橋は、昨夏の全国で衝撃的な一発を放っている。3回戦の5回裏、ライトの特設フェンスの向こうへ逆転の決勝3ラン。「内に入ってくるボールを自然に払う感じで打てました。今までのホームランの中でも一番、気持ちがいい、完璧な1本でした」。
ライバルと家族の存在
打順は当時、三番。全国2試合目のトータル7打席目にして、ようやく出た長打だったが「それまでもバッティングの内容は良かったので、焦らなくてもいつか出ると思っていました」。終わってみれば、計6打数3安打3打点1本塁打の打率5割をマークしていた。
昨夏の全国大会では打率5割。逆転決勝3ランも放っている
新チームで中橋の前後を打つ米澤は、昨夏の全国の2回戦でサク越えの満塁アーチを放った右の大砲。指揮官によると、ふたりの打力は甲乙つけがたく、より遠くに飛ばすのは米澤、より広角に打てるのが中橋という評価だ。このTKコンビは互いを認め合うライバル。練習中はともに「負けたくない」と目をぎらつかせ、今日も切磋琢磨している。
火・水・金はチームで平日練習がある。中橋は月曜日は野球塾「スマイ輪INGスポーツクラブ」で投打の動作チェック。木曜日は母が投じるシャトルを30分から1時間、たっぷりと打ち込む。まさしく野球漬けの365日は自ら望んでのことで、「上を狙うため、全国大会に行くためにやっています」。
たまの息抜きは、コーチでもある父・大地さんとの海釣り。魚介系も好んで食べるが、やはり肉が大好物。多いときには、1㎏の白米もたいらげるという。
よく食べて、よく練習して、よく打つ。全国区の左大砲だ
福井県の新人戦は各地区大会までで、新チームは順当に優勝。夏にかけて相手のマークはより厳しくなるだろうが「プレッシャーみたいのはありません。自分のことを信じれば、打てる気がします。みんなで徹底的に打ち勝っていきたいです」。
年末年始も無休で、父と白球に触れた。この努力が最大の自信の源だ。
(大久保克哉)