【2023注目の逸材】
小原快斗
おばら・かいと
※全国第3号HRほか、打撃動画→→こちら
【所属】東京・不動パイレーツ
【学年】6年
【ポジション】遊撃手、捕手、投手
【主な打順】三番
【投打】右投右打
【身長体重】154㎝42㎏
【好きなプロ野球選手】大谷翔平(エンゼルス)
※2023年8月11日現在
今夏の日本で最も輝いた、小6の右スラッガーだろう。東京第2代表で出場した全日本学童大会では、大会最多タイとなる3本のサク越え本塁打をマークするなど投手陣を強力援護。6連戦5連勝での銀メダル獲得に大きく貢献した。
いずれもレフト方向への一発は、価値のあるものだった。1回戦と2回戦は、第1打席で先制アーチ。2回戦は優勝候補にも挙げられていた常磐軟式野球スポーツ少年団(福島)が相手で、好右腕の珍しい失投を逃さなかった。「打ったのはほぼ真ん中です」。終わってみれば、その1点が両軍通じて唯一の得点だった。
小刻みな2ステップから瞬間的に一本足に。その勢いと着地の地面反力も利してバットが振り出されていく
「大会中にあと1、2本は打ちたいです」
その野望を叶えたのが準決勝の3回だった。160㎝超の本格派右腕が投じた85㎞の遅球をドンピシャのタイミングでバット一閃。舞い上がった白球は70mの特設フェンスを軽く越えていった。
リードを2点に広げる中押し弾に続く第3打席は、外角球を中前にはじき返してダメ押しの2点タイムリー。一人3打点の活躍で、東京勢初となる決勝進出の立役者となった。
全日本学童準決勝で大会3号アーチ。球の緩急を苦にしないのは体幹の強さと日々の自主練の成果だろう
「一昨日(3打席凡退)と昨日(先制二塁打1本)はちょっと力み過ぎていたので、今日はリラックスして打席に入りました」
天性におぼれぬ努力家
「身長も伸びてきたし、本能型なので球の速さも関係なく打てる」
永井丈史監督からそう評される小原快斗は、確かに遊撃守備もダイナミックで、持って生まれた野性味のようなものも感じさせる。男3兄弟の末っ子で、3歳上と6歳上の兄たちも不動パイレーツの卒団生。幼いころから、その兄たちの背中を追いかけてきたとあって、小1でチームに入る以前から、ボールを投げることや打つことは当たり前にできたという。
捕手と投手は急造ながら強肩を活かし、全国舞台でも無難にこなした。「打撃を磨いて将来はプロ選手になりたいです」
強肩を買われ、6年生になって捕手や投手を急に任されても無難にこなせているのは「兄たちがやっていたのも見ていたので」。幼少期から脳裏に刻まれたイメージもあるというが、やはり、それだけではなかった。
チーム練習は週末と祝祭日のみ。月曜を除く平日4日は、父親でもある背番号28の裕之コーチと自主練習に励む。「朝の7時過ぎから、素振りとバッティングをしています」
守備の本職は遊撃。2回戦ではゴロ捕球から一走にタッグしての一塁送球で併殺も
「大谷翔平選手が好きです」
好みは日本のプロ野球よりメジャーリーグ。将来の夢はプロ野球選手だ。
天性や幼少期からの貯金におぼれず、積み重ねてきた努力を実らせて一気に飛躍した2023年夏。「上には上がいる」ことを最後に痛感させられたことも含めて、小原の野球人生にはエポックメーキングとなることだろう。
(取材&文/大久保克哉)