2026注目戦士
虎Jr.左腕からも二塁打&三盗。身体能力お...
【2026注目の逸材】 あとやま・はる 後山 晴 [千葉/6年] とよがみ 豊上ジュニアーズ ※プレー動画➡こちら 【ポジション】遊撃手、投手【主な打順】一番【投打】右投右打【身長体重】150㎝39㎏【好きなプロ野球選手】坂本勇人(巨人)※2026年5月16日現在 ※背番号の登録は「6」。22番㊦はチーム保有のセカンドユニフォームの番号 ハンパない足腰 ふと、素に戻れる空間がある。悩んでも、立ち戻れる原点がある。言うなれば、確たる“拠り所”。それが彼をスーパーの域へと誘い、この先も支えていくことになるのだろう。 千葉県の名門、豊上ジュニアーズのリードオフマン。遊撃を守れば俊敏かつダイナミックで、マウンドに立てば105㎞超のスピードボールを投じる。後山晴は文句なしに、世代屈指の三刀流だ。 昨年11月の関東新人戦は2試合に救援登板。球速は3ケタに達することもあり、最速102㎞だった 意外にも、第一志望は「投手」と語る彼にあえて、セールスポイントを問うと――。「足の速さとか、肩の強さ。あとは心。負けない気持ちです」 身長は150cmにようやく達したばかりで、体重は40㎏に満たない。それでいて、50mを7秒04で駆けるのだから、末恐ろしい。 1学年上の代でも輝きだしたのは、2025年3月の東日本交流大会あたりから チームの1学年上の代は「日本一」の呼び声も高かったタレント軍団だった。後山は4年秋(新5年生)から、そこに割け入って正遊撃手となり、秋の新人戦(関東大会出場)から、翌夏の全国大会(全日本学童マクドナルド・トーナメント)までフル出場している。 全国準々決勝では、後に阪神ジュニア入りする出色左腕の藤本理暉(関連記事➡こちら)からタイムリー二塁打。さらに三盗も決めてみせた。 2025年夏の全国大会は関東勢で最高となる8強入り。㊤写真の右から2人目が後山 「全国大会は一人ひとり、選手が頑張っている姿が輝いているなと感じました。(レベル的に)自分も通用するとは思ってたけど、やっぱり、その中にもすごい選手はいました」(後山) 髙野範哉監督は7回目の全国さい配だった。後のNPBジュニアや甲子園球児など、有能な選手を複数輩出している名将は、後山をこう評価している。「まだ子どもの身体なのに、あれだけ足が速いのは大きな魅力ですよね。ショートの守備は5年生から抜けてましたし、あのスピードを生む瞬発力があるから、打球も飛ぶんでしょうね」 2025年の全国準々決勝(対京都・伊勢田ファイターズ)。1回裏、六番・後山は左越えの適時二塁打㊤に続いて、三盗にも成功㊦ 右打席から広角に打ち返せる後山だが、突出しているのは左方向への打球の伸び。インパクトの直後は、左翼手の正面と思われたフライやライナーが、その頭上や70mの特設フェンスを越えていくこともある。 この1年間で、筆者もそういうシーンを何度も目にしてきた。そしてその打撃を写真で見返すと、必ず共通しているのが軸足(右足)のえげつない踏ん張り。強じんな足腰によって大地の反力を存分に得て、それをまたスイング力へと転化している。 写真㊤から2025年6月の千葉県大会決勝、同11月の関東新人戦準決勝、2026年2月のフィールドフォースカップ準決勝 フォロースルーでは右ヒザが深く折れ、足首はそれ以上、ありえないくらいの鋭角に。それでも、つま先でがっちりと地面を噛んでおり、体勢は微動だにせぬほど安定している(=㊦写真)。それゆえ、手にするバットの先端が猛烈に走り、シャープに振り抜けるのだろう。 2026年3月29日、東日本交流大会2回戦(対神奈川・清水ヶ丘ジャイアンツ) 奇しくも、同様のフォロースルーは1年前の主将で、学童野球メディアの『2025MVP』でもある神林駿采(➡こちら※現中1)にも見て取れた(=㊦写真)。“稲妻スイング”で逆方向へもサク越え本塁打する神林は、50mを6秒台で走るのではないか(未計測)と言われてきた韋駄天でもあった。「1年前の神林先輩が目の前に現れたとして、走って勝負したら、どうなるかな?」 訊かれた後山はニコリとしながら即答した。「勝てる!」 ヤクルトジュニアでも主将を務めた1年前の神林もまた、図抜けた脚力の持ち主だった 後山はこの1年だけでも、構えやテイクバックが時々の調子や指導に応じて変化をしてきた。でも変わらないのは、右足の踏ん張り。それこそは常人には遠く及ばぬ域(長所)であり、バットマンとして立ち戻る原点なのだろう。きっと、これから先も。...
虎Jr.左腕からも二塁打&三盗。身体能力お...
2025西武Jr.の仲間入り。3兄弟“最終...
【2026注目の逸材】 たての・かなた 舘野奏空 [栃木/6年] もおか 真岡クラブ ※プレー動画➡こちら 【ポジション】遊撃手、投手【主な打順】三番【投打】右投右打【身長体重】150㎝44㎏【好きなプロ野球選手】坂本勇人(巨人)、源田壮亮(西武)、今井達也(アストロズ)※2026年5月15日現在 5年生でレオJr.に 「今」だけでなく、その先の未来を見据えたアプローチで、野球界と社会をリードする人材を育む――。 これは2025年の埼玉西武ライオンズジュニア(以下、西武Jr.)が打ち出した『育成ビジョン』。筆記試験や面接を含む3次の選考を経て、16人の選手とともに5年生のサポートメンバー5人を選出したのも、理想を具現化する施策のひとつであったと思われる。 サポート組も年末のNPBジュニアトーナメントまでの4カ月間は、練習試合を含むすべての活動に参加。本大会のベンチには入れなかったが、西武Jr.としての経験は代えがたい財産となったに違いない。 背番号0の舘野は2025西武Jr.のサポートメンバー。遊撃手兼投手として練習試合ではプレー㊦㊧、自ら決勝打を放った試合もあるという(撮影/鈴木秀樹) 「最初はみんな知らない人たちだったのが、いろいろ話し合ったりして、心がひとつに。あとは毎回の練習前に、自分がどういう目標をもっているのかを話して、終わったらノートで振り返る。そういうところを学びました」 西武Jr.のサポートメンバーだった舘野奏空は、所属する栃木・真岡クラブに戻ってからも野球ノートを続けているという。ジュニアトーナメントは予選敗退(1勝2敗)ながら、球団の『未来も見据えたアプローチ』は着実に実を結んでいるようだ。 もちろん、前年のサポートメンバーが、西武Jr.に再選される保証はどこにもない。舘野もゼロからの再挑戦を誓っている。 「バッティングでは100発100中を目指して。投手ではコントロールが良くなるように際々を狙って練習しています。一番自信があるのはショートの守備で、守備範囲の広さです」 己を磨くのは、所属するチームのためでもある。真岡クラブは2009年と2015年に全国大会(全日本学童マクドナルド・トーナメント)に出場。今年は5・6年生18人で11年ぶり3回目の夢舞台を期している。「マクドナルド・トーナメントの全国大会に出場することと、ライオンズジュニアに入って日本一になることが今年の目標です」 舘野は地元の真岡市界隈では名の知れた“舘野3兄弟”の末っ子。2021年には長男が6年生、次男が4年生、三男が1年生と、そろって同じユニフォームでプレーしていた。「1番目(蒼空=茂木高2年)のスピードに、パワーも兼ね備えたのが2番目(琉空=下野シニア3年)。その2人を足して割ったのが、3番目(奏空)という感じですかね」 息子たちをこう評するのは、真岡でかつてキャプテンを務めていた舘野瞬監督(=㊦写真)。真岡中(軟式野球部)、茂木高でも主将を務めた捕手兼外野手で、長男の入団を機に古巣でコーチとなり、2024年から指揮官に。 まだ夏の全国大会にはチームを導けていないが、昨年はGasOneカップの県大会を制し(2連覇)、12月のミズノドリームカップ全国ファイナルでは4強入りして同時優勝(雨天で準決勝以降中止)。そしてこの2026年が、息子と同じユニフォームを着られるラストイヤーとなる。「歴代の先輩たちや支えてくれている保護者のためにも、夏の全国を決めたいですね。息子を含め、下級生から多くの経験を積んできた世代なのでチャンスはあると思っています」(舘野監督) 3年秋に遊撃手で県Vも… 3兄弟の“最終傑作”ともいえる三男坊の舘野は、真岡での実績も抜けている。2年生で正二塁手となり、3年生から正遊撃手に。4年生からは打線の三番に入って投手も兼務し、この最終学年でキャプテンも務めている。 3年秋㊤、4年秋㊦と2年連続で新人戦の県決勝でもプレー。体格とパワーは上級生に及ばないが、巧みなグラブさばきや正確な送球は際立っていた 3年時の2023年秋には、同級生の高山剣輔との二遊間コンビで県新人戦初優勝(リポート➡こちら)に貢献。翌24年の県新人戦は同級生の栁和希が中堅守備で大活躍して準V(リポート➡こちら)、リリーフエースとなっていた舘野は決勝でも登板している。 当メディアも取り上げてきたように、常に目に留まる下級生だった舘野のこと。5年生での西武Jr.入りにも、大きな驚きはない。だが実は、4年生の冬から5年生に上がるころにかけては大不振に喘いだそうだ。 3年時は二塁手、4年時は三塁で遊撃手・舘野とコンビを組んできた高山は現在は正捕手㊤。同じく下級生時代から活躍してきた韋駄天・柳はスーパーな中堅手㊦ 「練習試合でもぜんぜん打てなくなって、ピッチャーでも打たれたり、ショートの守備でも思うように守れなくて…」(舘野) 3兄弟は父から指示される以前に、自宅でも白球を追う日常が当たり前。また火曜、水曜、金曜はチーム練習がある。それでも、なかなかトンネルを抜け出せなかった末っ子にとっての光明は、野球塾だったという。 その道の専門家からの、技術やフィジカル面の体系的なサポートに加えて、環境の変化が心のリフレッシュにもつながった。「塾でいろいろ教えてもらったことを、家での自主練にも取り入れたり。それで5年生になってから、また打ったり守れたりするようになりました」(舘野) 父親監督は、悩める息子をシゴキ倒すようなスパルタ式の指導者ではない。それでも、週イチで野球塾へ通いながら立ち直っていく三男を目の当たりにして、悟ったことも少なくなかったという。「小学生は特に、身体だけではなく、心をしっかりと休ませることも大切なんですね。自分らのころは『質より量!』の時代でしたけど。なので最近は、息子と立ち寄り湯に行くことも増えました。栃木なので温泉もありますし」(舘野監督) 長男が1年生だった2016年からの舘野父子の学童野球生活も、11年目の今年でピリオドが打たれる 身体の成長期に入りつつある舘野は、パフォーマンスもさらに上がってきている。2026年に入って、投球の最速は104㎞から108㎞(4月・野球塾で計測)に。打率は5割超をキープしており、学童通算の本塁打は36本を数える。 場面や投手などに応じて、すり足で中前打を放つなど打席での引き出しも多い 3兄弟の中でも最もストイックで、中学硬式で主将も務める次男からは、日々の生活や野球への取り組みなども認められ、自身の学童時代の応援歌を「使ってもいい」との許可が春先に下りたという。「将来はプロ野球選手になって三冠王になるのが夢です。三冠王になれたら? 2年連続を目指したい!」 間髪入れずに答えるあたりも、末っ子ならではか。西武Jr.というハイレベルな集団で揉まれてきたおかげか。...
2025西武Jr.の仲間入り。3兄弟“最終...
日本と野球に今秋で別れを決断。最後の夏も全...
【2026注目の逸材】 まかべ・ゆうと 間壁悠翔 [東京/6年] ふどう 不動パイレーツ ※プレー動画➡こちら 【ポジション】一塁手、投手 【主な打順】四番 【投打】右投右打 【身長体重】157㎝58㎏ 【好きなプロ野球選手】周東佑京(ソフトバンク) ※2026年4月10日現在 とんでも飛距離 バットがどうのとか、関係ない。NPBジュニアに入るような好投手も苦にしない。そしてここまで打球を遠くに飛ばせる6年生は、そうはいないだろう。昨年の5月から、不動パイレーツで四番を張っている間壁悠翔だ。 「好きなのはバッティング。飛距離は誰にも負けてない」 昨夏の全日本学童大会マクドナルド・トーナメントでも、豪快な一発を放っている。北海道・湧別マリナーズとの2回戦で、3回表にカウント2ボールから2ラン。メイン会場・HARD OFF ECOスタジアム新潟のセンター方向に舞い上がった白球は、両翼70mの特設フェンスの向こうへ落ちてから大きく弾んだ。 “小学生の甲子園”と呼ばれる全国大会で昨年、サク越えアーチを放った5年生は、他に1人のみ。間壁は1回戦で中越え二塁打、3回戦では左中間に二塁打と、4割越えのアベレージに上級生も顔負けのパンチ力で存在感を示したのだった。 不動は学年単位の活動がベースで、2023年から連続で全国出場中。6年生チームに下級生が食い込むのは容易ではないが、間壁は5年春の東日本交流大会(準優勝)で、代打から結果を出し始めてスタメンに定着した。 2025年4月5日、東日本交流大会の準々決勝。代打で登場した間壁は3安打2打点で大逆転勝利に貢献。3安打目がサヨナラ打だった “房総の盟主”豊上ジュニアーズ(千葉)との準々決勝では、後にヤクルトJr.となる出色左腕から、ライトオーバーのサヨナラ打(※リポート➡こちら)。その座を確実なものとした5年坊は、こう話していた。 「意識していること? もう1個上の代だから、自分が一番ヘタくそだと思って、のびのびやること」 目黒区立不動小に通う間壁は、両親に「野球がやりたい」と打ち明けて、同校の校庭を活動拠点とするチームに入団。上田博雄監督(=㊤写真)によると、当初から突出した選手だったという。 「小学生ではケタ外れのパワーがある。身体の力が、ぜんぜんみんなと違うと思うんですよね。低学年のころはピッチャーでも抜けていて、ジュニアマック(4年生以下の都大会)でも駒沢球場で102㎞とか投げてましたから」...
日本と野球に今秋で別れを決断。最後の夏も全...
5ツールを磨く“球童”。冬の神宮の涙を、今...
【2026注目の逸材】 なや・ゆうせい 納谷悠聖 [福井/新6年] えちぜん 越前ニューヒーローズ ※プレー動画➡こちら 【ポジション】遊撃手、投手 【主な打順】四番 【投打】右投右打 【身長体重】157㎝57㎏ 【好きなプロ野球選手】フェルナンド・タティスJr.(パドレス) ※2026年3月5日現在 ぞっこんのスター 投手用のグラブに縫い留めている「23」。ひと昔前ならヤクルトの青木宣親、今ならソフトバンクの周東佑京(※侍ジャパンでは20番)に代表される背番号だ。 しかし、納谷悠聖が心酔する23番は、海の向こうにいた。「ケガして(2022年)からライトだけど、もともとはショートで守備も巧いし、肩も強いし、打てるし、おしゃれ…」 熱い推しのプレーヤーとは、フェルナンド・タティス・ジュニア。27歳にしてMLBパドレスの“顔”であり、打撃・走塁・守備の5つのスキルを兼備する「5ツールプレーヤー」との定評も得ている。 父子鷹のドミニカンとしても知られ、目下のWBCにも父・タティスSr.コーチとともに参戦中だ。1次ラウンドの第3戦で満塁アーチを放つと、4連勝とグループ1位通過をかけたベネズエラとの最終戦で決勝3ランと、派手に暴れて.467の高打率もマークしている。 ドミニカ共和国は、2013年の第3回WBCで全勝V。今回は年俸総額“4000億円超”とも言われる破格のスター軍団で、侍ジャパンが対決するとなると3月18日の決勝になる。最初の脅威は不動のトップバッター、タティスJr.だろう。 ニッポンの父子鷹 「夢は? メジャーリーガーになること。一番自信があるのは? ショートの守備です。世代No.1のショート? はい、負けないです。見せ場は? 投手寄りの打球をシングルで捕ってランスロ―することです」 迷わずに答える納谷の魅力は、タティスJr.にも共通する万能プレーヤーであることだ。遊撃守備、投球、打撃のハイスキルは動画に収めている通り。 特筆したいのは、いくぶん太めでも動きにキレがあり、しなやかでダイナミックであること。試合前のウォーミングアップでは、ラン系のメニューも精力的にこなす姿があった。 「去年から陸上(走り方)の個人レッスンに通うようになって、足もちょっと速くなりました」 べらぼうな俊足ではない。だが、昨年の12月時点で8秒1だった50m走のタイムが、現在は7秒台と着実にスピードもアップ。では、レッスンでどんなことを学んでいるのか。 「最初は、(身体全体で)前傾して走りながら起こしていくのをやりました。あとはヒザを上げたときの角度とか、盗塁のスタートとか…」...
5ツールを磨く“球童”。冬の神宮の涙を、今...
5年夏の全国準決勝で先発、同秋に106㎞。...
【2026注目の逸材】 きしもと・らいと 岸本來橙 [滋賀/新6年] たが 多賀少年野球クラブ ※プレー動画➡こちら 【ポジション】投手、捕手、三塁手 【主な打順】四番、九番 【投打】右投右打 【身長体重】154㎝46㎏ 【好きなプロ野球選手】山本由伸(ドジャース)、大谷翔平(同) ※2026年3月1日現在 5年初夏から台頭 伝統の夏の全国大会。全日本学童マクドナルド・トーナメントは、47都道府県の代表によるチャンピオンシップ大会で、2023年からはベンチ入りの枠が25人(従来20人)に拡大されている。 ところが、その枠を満たすチームは少なく、第45回大会の昨年はわずか7チーム(約13%)にとどまった。もはや、勝つだけで選手が集まる時代ではない。そうしたなかで、異彩を放っているのが滋賀・多賀少年野球クラブだ。 保持する全国大会連続出場記録を「8大会連続(18回目)」に更新した昨夏は、銅メダル(=㊤写真)。ベンチ入りの枠が埋まるのは毎年のことで、昨年は23人までが6年生だった。また特筆するべきは、2人の5年生を含む22人までがフィールドでプレーしたこと。まさしく“全員野球”である。 そして競技5日目の準決勝。先発のマウンドに立ったのが、当時5年生の岸本來橙だった。前日の準々決勝までベンチを温めてきた右腕は、京都・伊勢田ファイターズに先頭打者ヒットを許すも、後続3人をフライアウトに。続く2回はポンポンと2アウトを奪ってから、四球と右前打で一、二塁のピンチを迎えて、6年生の救援を仰いだ。 「今日はワンバンするボールとかもなく、ちょっと粘られたりはしたけど、初回をゼロ点で抑えられて、役割は果たせたから、あとは6年生に任せようと思いました」 降板直後にチームは4点を失い、3対5で敗れるも、岸本はマウンド同様に落ち着いて話す姿も印象的だった。ノーマークの5年生を大舞台の重要な一戦で先発させた辻正人監督は、その意図と意外なことを口にしている。 「来年(2026年)は核になってもらおうというのもあって、岸本を先発させましたけど、ものすごく内気な子。全国大会(選手登録)の寸前まで、まったく評価のないような選手やったんです」 一人っ子の岸本は、ぐいぐいと前に出るタイプではない。ともすれば、100人を超える大所帯で埋もれがちだったようだが、昨年の夏前から一気に台頭してきたという。以下、辻監督の回想。 「投手に限らず、スピードガンで球速を定期的に計っているんですけど、夏にかけて急激に15km以上伸びてきてるヤツがおって。それが岸本やって」 気付けば野球に夢中 岸本の進化はその後も止まらない。昨年11月の多賀新人交流大会では、最終回のピンチで救援し、1球で胴上げ投手に(※プレー動画参照)。西日本方面の強豪8チームによる、翌日の新人強化大会は雨天中止となったものの、代替イベントのスピードガンコンテストで単独1位の105㎞を叩きだしている(リポート➡こちら)。 同コンテストの直前練習では、自己最速を106㎞に更新。球速王に輝いた岸本は、拍手や歓声を浴びながら両手を掲げて喜びを露に(=㊤写真)。スピードボールを投げる秘訣や理由については、こう話している。...
5年夏の全国準決勝で先発、同秋に106㎞。...
元ドライチ左腕の三男坊。4年夏に全国デビュ...
【2026注目の逸材】 いとう・ほまれ 伊藤 誉 [山梨/新6年] ラウンダース ※プレー動画➡こちら 【ポジション】投手、遊撃手 【主な打順】一番 【投打】右投右打 【身長体重】154㎝52㎏ 【好きなプロ野球選手】モイネロ(ソフトバンク)、ボー・ビシェット(ブルージェイズ)、オジー・スミス(元カージナルスほか) ※2026年2月15日現在 力強いオーバースロー 新6年生(現5年生)で最速110㎞。国内全土に目を広げれば、さらに上をいく投手もボチボチいることだろう。しかし、新チームの最高峰となる舞台にまで勝ち進み、またそこでの球場表示で「110㎞」超えとなると、この右腕しかいないのかもしれない。 昨秋の新人戦で山梨王者に輝き、続く関東大会で準優勝を遂げたラウンダースの背番号1、伊藤誉だ。身長は150㎝強と取り立てて大きくはない身体で、投打にわたってピカイチのパフォーマンスを披露した。 新人戦の関東大会は1都7県の王者による、最高位のトーナメント戦。古くは全日本学童大会マクドナルド・トーナメントのメイン会場で、県高校野球のメッカである茨城・ノーブルホームスタジアム水戸が舞台 まずは初日の1回戦のラストゲーム。群馬・玉村ジュニアベースボールクラブとの第4試合に先発すると、プレイボール直後に109㎞を投じた。さらに2球目で110㎞をマークし(=上写真)、場内をざわつかせた。1年前は3ケタの「100㎞」に達した投手は1人のみ。今大会もわずか3人で、「110㎞」超えは伊藤だけだった。 「打ち取るにはスピードも大事。まだ自分にはノビシロがあると思っています。6年生のうちに、125㎞まではいきたい」 100㎞台の速球で押しまくって勝利した伊藤はそう話したが、マウンドでは電光掲示板の数値を振り返らなかった。抜き球もゼロではなかったが、9割以上は右腕を力強く振り下ろしてのストレート。試合中にそういう助言もしていたという日原宏幸監督は、“速球一本槍”についてこう語る。 「ピッチャーはそのほうが投げやすいし、相手さんのバッターを見ながら押せているときはそれでいけばいいと思います」 指揮官は球数も踏まえつつ、「予定通り」の継投で初戦をものにした(リポート➡こちら)。 無安打1四球と、ほぼパーフェクト投球の伊藤は4回50球で一度マウンドを譲り、遊撃守備へ。そして最終6回に再登板すると、被安打ゼロのまま、最後の打者を104㎞で空振り三振に斬ってみせた。 日原監督は山梨日本電気(NEC山梨)の軟式野球部で1992年国体の優勝投手に。「投手1人で野球をやっているんじゃないよ、というのは常に言っていますので伊藤も分かっていると思います」 計5回を63球で被安打0、与四球1の7奪三振。際立ったのは球のスピードだけではない。コントロールも著しく安定していた。日原監督は、「経験値」をその要因に挙げている。 「1つ上の代が2人しかいなくて、伊藤は4年生の秋からエースとしてやってきたんですけど、上級生に結構打たれたんですよ。それで打たれないためには、と本人も考えたでしょうし、私も指導しました。投球フォームもそうですし、配球を含めたバッターの打ち取り方とか…」...
元ドライチ左腕の三男坊。4年夏に全国デビュ...
HR&毎試合安打で全国8強入り。“ばり”勝...
【2026注目の逸材】 ながしま・りひと 永嶋璃陽斗 [福岡/新6年] こやのせ 木屋瀬バンブーズ ※プレー動画➡こちら 【ポジション】投手、三塁手 【主な打順】三番 【投打】右投左打 【身長体重】158㎝44㎏ 【好きなプロ野球選手】門脇誠(巨人) ※2026年2月10日現在 夢舞台でメモリアル 新潟県で開催された昨夏の全国大会(全日本学童マクドナルド・トーナメント)で、最も輝いた5年生と言えるだろう。初出場でベスト8入りした木屋瀬バンブーズ(福岡)の一番・三塁、永嶋璃陽斗だ。 エコスタ新潟での1回戦、永嶋は第3打席にライトへサク越え2ランを放った。これでダメを押したチームは、7対2で全国1勝を挙げている。 「インコースに来たので思い切り引っ張りました。気持ち良かったです」 一般用の複合型バットの使用が禁止となり、本塁打数が半減した大会にあって、両翼70mの特設フェンスの向こうへアーチをかけた5年生は2人のみ。その希少性にも増して、永嶋にはメモリアルな1本でもあった。 「憧れの巨人の門脇(誠)選手も、あそこ(エコスタ新潟)でプロ1号を打っているんですよ。自分も初めてのサク越えで、めっちゃうれしかったです」 夢舞台での活躍は、その一発に留まらなかった。「自分は長打力はそんなになくて、アベレージのタイプ。一番バッターで出塁することが大切なので、明日からも出塁してみんなと勝ち上がっていきたいです」。 1回戦を終えての談話どおり、打率は5割超をマーク(成績表参照)。しかも右前打、中前打、中前打、右前打と、1回戦から準々決勝まで全試合で先頭打者ヒットで出塁した。勝ち進むにつれて、相手投手のレベルも上がるなかで、これだけコンスタントに確実に打ち続けた5年生はほかにいない。 全国初打席は、痛烈な右前打だった(下) また、ノーエラーを貫いたチームの堅守を象徴していたのが、三塁を守る永嶋でもあった。 絶対的な安心感のようなオーラを常に漂わせている。打たせて取る右腕の森下結心(現6年)が、大会唯一の完封勝利を挙げた3回戦では、4者連続の三塁ゴロを捌くなど、6回18アウトのうち7アウトに絡んでいた。 突出したDNA 「全国大会でいろいろやれたことは自分の力になれたと思うので、その経験と自信を生かして今、がんばっています」...