フィールドフォース社長・吉村尚記が打ち出した「ものづくり大国日本再生計画」の第1弾となる商品「バントガード」の開発背景と、商品に込めた思いを探る最終回。フィールドフォースならではの取り組みでもあり、まったく新しい一歩ともいえる、今回のコラボレート商品誕生ストーリー。もちろん、続編もありそうで…。
スタートは「飛び込み営業」
今回の商品「バントガード」の製作ストーリーは、フィールドフォース社長・吉村尚記による一通のメールからスタートした。結果的に、先方の田中工業・田中営業課長がフィールドフォースのことを知っていたために、急展開で話が進むことになったのだが、最初の一歩は、気になった製品の表示を頼りにたどり着いた、会社のホームページにある「問い合わせメール」だった。「飛び込み営業」もいいところである。

吉村が言う。
「なんというか、初心に帰って取り組んだ仕事ではあったかもしれませんね。まさに1からのスタートですもんね」
ただ、そこから先、話が一気に商品化まで進んでゆく過程の速度たるや…。メールを送った直後に、先方から折り返しの電話。そこから商品化まで、わずか4か月。フィールドフォース社内における開発商品でも、あまりないスピード感である。
「初対面でしたが、先方がウチを知っていてくれたことももちろんですし、(営業課長の)田中さんが自分と同い年であること、共通の知り合いが多いことなど、偶然の一致が多かったこともあります。ただ、それにしたって、すべてが早い。最初の電話から間を置かずに、わざわざこちらまで来ていただいて」
初対面でバントガードの話題が出たかと思えば、翌日にはサンプル作成に関するやり取りがスタート。1週間たたないうちに、金属部品のプロトタイプが届いて…といった具合のやり取りで、あれよあれよと開発が進んだ。
二つの会社の二つの思いが、一つの製品に
フィールドフォースでバントガード開発の実務を担当したのは企画開発課長の小林夏希。過去にフィールドフォースの独自商品としてバントガードを提案、開発に当たったのが彼女だったのだ。
「女子学童野球チーム、日野ドリームズ(→こちら)の児玉コーチからリクエストがあったんです。『選手たちがビビっちゃって、バントの練習がはかどらない。どんなものでもいいんだけど、指をガードして、怖がらずにバント練習できるような製品は作れないかな?』って」
小林が振り返る。
「径の太い塩ビパイプを縦に切って、スポンジで衝撃を吸収して…なんていうのを作ってみたり、試作を重ねたんですが、ガード部分と指の間に空間をつくるという発想がなくて、スポンジ越しであっても、どうしても衝撃は手に伝わってしまう。スチール製も考えたんですが、重量を考えると、薄く軽いものを使うイメージしかなくて、強度や安全性といった部分で不安が残ってしまったんですよね」

小林が最初に相談を受けたのは、コロナ禍の2021年というから、実に4年ほど前の話になる。そのときは製品化に至らず、長らく一時停止していた開発が、田中工業TUF CAGEとのコラボにより、再び動き出したのだった。
企画開発課長として、普段から中国の提携工場とのやり取りも多い小林だが、田中工業との開発で感じていたのは、「スピードももちろんですが、サンプルを送っていただくときに、3、4種類のパターンを送っていただいて。先回りして提案いただいている感じもあって、やりとりはスムーズでしたね」。

ガード部と同時並行で、中国の工場とゴム製パーツやベルト部分の開発を進め、TUF CAGEによる金属製のガード部分と、フィールドフォースによるゴム製部品とベルト部分の組み合わせにより、製品が完成したのだった。
「田中工業さんとやり取りをする中で感じたのは、田中課長や田村さんがすごく謙虚で、楽しそうに商品開発に取り組んでくれているなぁ…ということでした」
小林はそう言って、田中営業課長と田村さんに感謝する。
同じバントガードでも、TUF CAGEは高校の野球部からの依頼により商品を開発、フィールドフォースは女子学童野球チームからの要望に応えるべく、商品を創り出した。前者は「ケガ防止」、後者は「恐怖心排除」と、完全に同一目的ではないものの(完全に別物とも言いきれないが)、結果として、どちらにとっても有用な製品が出来上がったのは面白い。

取り組みは続く。次の一歩はどこへ──
こうして、「ものづくり大国日本再生計画」の第1弾製品であるバントガードFBGD-100TNK(「上」で例に挙げたキャッチャーギアや「エアフライ」も同じ考えの商品だが、ここでは「6月の吉村による宣言以降の商品」と定義づけておく)は誕生し、12月初旬に発売された。SNSによる、事前の商品告知に対しても「こんな商品を待っていた」といった声は多く、滑り出しは好調だ。
バントガードを皮切りに、「ものづくり大国日本再生計画」による国内企業とのコラボレート商品は今後も順次、登場予定だ。現在、開発進行中の製品もいくつかあり、また、田中工業TUF CAGEとの次なる共同開発商品が発売される日も遠くはないと思われる。

「やっぱりね、『思い』なんですよ」
吉村がそう言ってうなずく。
「同じ思いを持った人や会社とつながり、新たな試みをし、これまでにないものを創り出す。これって、すごくやりがいがあると思いませんか。こんなつながりこそ、大切にしたいと思うんですよね」
同じ思いを持つ人とつながりたい、そしてそのつながりを形にしたい。こんな時代だからこそ、そんな取り組みがあっていいはずなのだ──。
「ものづくり大国日本再生計画」、今後はどんな展開が待っているのか。乞うご期待、なのである。