高円宮賜杯第45回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント千葉県予選会は6月8日、市川市の国府台スタジアムで開幕した。この日は開会式に続き、同スタジアムなど3会場で1回戦8試合が行われ、昨年優勝の豊上ジュニアーズ(柏)などが勝利。習志野フェニックス(習志野)は北条スターズ(安房)との大接戦を逆転サヨナラ勝ちでものにした。14日に準々決勝、15日に準決勝が行われ、決勝は21日、同スタジアムで予定されている。
※記録は編集部。全試合の結果速報ではありません。
(写真&文=鈴木秀樹)
最後まで分からない接戦
習志野Pがサヨナラ勝利
■1回戦
◇国府台スタジアム第2試合
北条スターズ(安房)
10015=7
23102x=8
習志野フェニックス(習志野)
※5回時間切れ
【北】臼井航、貴家-山田、臼井航
【習】森田、鈴木、仲山-仲山、森田
本塁打/木越(習)鈴木(北)
三塁打/臼井航(北)
二塁打/仲山(習)山田(北)
終盤に大きく動いた大接戦を制し、習志野フェニックスが8強入りを決めた。
1回表、北条スターズに先制を許したがその裏、先頭の木越陸斗が四球を選ぶと、黒澤駿介の中前打に続き、仲山大樹主将が右中間に逆転の2点適時打(=冒頭写真)。2回には無死二、三塁から木越が右中間に3点ランニング本塁打を放ち、流れを一気に引き寄せた。
投げては先発の森田琉太から2番手の鈴木宏弥へとつなぎ、走者を出しながらも、バックの好守備にも助けられ、4回まで北条打線を2点に抑える粘りの投球。6対2と4点をリードし、既定の1時間30分まで残り時間の少ない5回に入った。
しかし、この5回表に、北条の猛追により失点を重ね、ついには6対7と逆転を許してしまう。「ミスからの失点もあり、終盤に流れを持っていかれちゃいましたね」と習志野・河野浩明監督。それでも、「とにかく1点。なんとか追いつこう」と指揮官にハッパをかけられた習志野ナインは、その裏、一死から連続の敵失で二、三塁とし、代打・尾古佑斗のスクイズで7対7に(=上写真)。そして最後は、相手のバッテリーエラーで三走の倉田莉玖がサヨナラのホームに滑り込み、激戦に終止符を打った(=タイトル写真)。勝利に沸く習志野ナイン。河野監督は「いろいろあっても、トーナメントは勝つことが第一。結果をほめてあげたいですね」と胸をなでおろした。
打のヒーローは、2回に3ランを放った木越。「(一番打者だが)走者がいるときのほうが、気合が入るから好き。(本塁打の打席は)ホームランを狙ったわけではないけど、狙い通りのライナーが打てました」とニッコリ。ベンチは5、6年生だけで20人。大所帯を引っ張る仲山主将は「まとめるのは大変だけど、チャンスの時はみんなの大声援が心強い。力になります」と言い、「次はフェニックスらしく、守り勝ちたいと思います」と気を引き締めていた。
奮闘11人!大逆転劇はならず
敗れた北条スターズ・安西昌徳監督は「いい試合でした。選手たちがよく頑張った」とすがすがしい表情を見せたものの、「しかし、悔しいなあ。悔し涙が出ちゃいましたよ。いつぶりだろう。初めてかな。負けたのは監督の責任です」と天を仰いだ。
序盤から、流れは完全に習志野と思われたが、臼井航汰主将は「(北条は)逆転勝ちもたくさんあるチーム。誰もあきらめてなくて、勝てると信じてました」と振り返った。「負けていても、チャンスが来れば、みんな続く打線なんです」。その思いが、5回の大量得点につながった。「次はもっと、いまの倍強くなって、また県大会で習志野フェニックスと戦いたいです」と成長を誓った。
5回に4対6から、逆転の右越え3ランを放った鈴木陽翔(=上写真⑤)はまだ4年生。安西監督も「最近、調子が良くて、これまで九番だった打順を、七番まで上げてきてたんです。きょうも最初から、タイミングはバッチリ合っていました」と期待を寄せる大器だ。実はこの一本が公式戦初本塁打。「村上宗隆選手(ヤクルト)みたいになりたい」という鈴木は「ホームでアウトかと思ったけど、ホームランになって、すごくうれしかった」と喜んだ。
1年生までベンチ入りし、総勢11人の北条。敗れはしたが、それぞれに手応えをつかんだ県大会の一戦を経験し、ナインは間違いなく、ひと回り成長したはずだ。
エースライオンズが大勝
元気いっぱい堅実野球で8強
■1回戦
◇国府台スタジアム第1試合
北方中央野球部(市川)
1002=3
1511X=17
エースライオンズ(八千代)
※4回時間切れ
【北】鈴木、齋藤、岩澤-岩本
【エ】菊池、江見、情野-池田航
本塁打/秋葉(エ)
三塁打/飯島(北)池田結(エ)
気づけば大差勝ち。エースライオンズ(八千代)が最高の試合運びで初戦を突破した。
1回表には、北方中央野球部(市川)打線に2安打で先制を許す立ち上がり。その裏に連続四球を足がかりに、無安打で同点に追いついたが、「あの時点では、先が読めなかったですね」とライオンズ・村石純一監督が振り返る。
流れを決定づけたのは、2回の攻撃だった。菊池凌央の安打から好機を広げ、粕谷尚史のバント安打で菊池が二塁からかえって勝ち越すと、その後もバントに敵失が加わるなど、着実に得点を重ね、気づけばこの回5得点。高い走塁意識と思い切りの良さで、試合の流れをグイっと引き寄せた。3回には、池田結星の適時三塁打、秋葉竣太の3点本塁打も飛び出すなど(=上写真)、打者14人の猛攻で11点を加えて大差勝利を収めた。
「いいぞ、〇〇、最高です!」
「〇〇、ありがとう!」
「〇〇、いいスイング。100点!」
ベンチからは常に、村石監督はじめコーチ陣から、選手たちをのせる、前向きな言葉が飛んだ。「見ての通り、ウチは小粒で、スターはいないチーム。とにかく全員が全力でプレーし、試合を楽しんでくれればいいんです」と指揮官。走者を確実に進める攻撃で、回を追って勢いを増していった。「午後からは地元に帰って、別の大会の決勝があるんです。いい流れがつくれたかな」
3回裏に中越えの本塁打を放った秋葉は「1打席目、見逃し三振をしてしまって。これじゃダメだって。スローボールを、しっかりためて打ち返せました。いい具合のライナーが打てて、ホームランになりました」とニコニコ。好投の先発・菊池は「初回、球が抜けてまずい、と思ったけど、立て直すことができてよかったです。楽しんで、笑顔でプレーできました」。元気なチームが、ますます勢いに乗る一勝を挙げたようだ。