女子学童の東京No.1を決める、東京都知事杯第14回東京都女子学童軟式野球大会エリエール・トーナメントは7月6日、足立区の舎人公園野球場で準決勝が行われ、オール葛飾アイリスとオール江東女子が決勝進出を決めた。足立フェアリーと品川レディースが3位。葛飾と江東は8月14日から岡山県で行われるNPBガールズトーナメント2025へ、足立と品川は9月6、7日に埼玉県で行われる第13回EneOneカップへの出場を決めた。13日には葛飾区の奥戸総合スポーツセンター野球場(奥戸野球場)で決勝が行われる。
(写真&文=鈴木秀樹)
■準決勝
◇舎人公園野球場▽第1試合
オール葛飾アイリス(葛飾)
13115=11
00011=2
足立フェアリー(足立)
※5回コールド
【オ】橋本、米山-嵯峨
【足】志村、神谷、矢島-古舘
本塁打/秋山、嵯峨(オ)
三塁打/幡山(足
オール葛飾、 大勝で2年ぶり全国決める!
オール葛飾アイリスが大勝で全国大会出場を決めた。
初回に四番・嵯峨結菜の適時打で先制すると、2回には一番・秋山莉花、栗原あかり主将、橋本珠莉の3連打などで3点を追加。3回にも1点、4回にも1点、5回には鈴木紗由、朝田佳歩、佐藤ゆうかの連打、嵯峨の2点ランニング本塁打なども飛び出し、一気に差を広げた。
投げては先発の橋本(=下写真)が力強いストレートで足立フェアリー打線を抑え、4イニングを3安打1失点に抑える好投。コールドでの完勝となった。
「きょうは調子良く、行けるんじゃないかという予感はありました。みんな落ち着いていた。自チームでしっかりと調整してくれたんだと思いますよ」と葛飾・西村光輝監督。
全国大会出場は2年ぶり。4~6年生で構成されていた一昨年と違い、ことしのメンバーには、2年生まで名前を連ねる。「学年の幅は広いですね。でも、低学年の選手までよくまとまっていて、一体感がある。きょうもみんなで、リストバンドやリボンをチームカラーの紫でそろえたりしてね」(同監督)
好投の先発・橋本は「お父さんとお母さんが動画を撮って、見せてくれたりして、フォームを修正したんです。きょうは調子良く投げられました」とニコニコ。攻守でエースの力投を援護した嵯峨捕手も「お父さんがいろいろ教えてくれるんです。バッティングも守備も、お父さんです!」と両親に感謝した。
「みんな所属チームで鍛えられているし、父母もコーチも協力的。ここでは、気持ちよく、持っている力を出してもらうことに専念するだけですよ」と西村監督。上位進出を狙う全国大会も、自然体で臨む。
足立フェアリー、成長の銅メダル
敗れた足立・西岡一弘監督は「いやあ、残念ですが、あのピッチャーにあれだけ投げられたら、仕方ないでしょう」と葛飾・橋本の投球を絶賛。それでも、二番・久米理子は2安打、四番・幡山天音は三塁打を放った。内野陣の好守備も多く、「自分たちの力は出してくれた。ここまで、よく戦ってくれましたよ」と、指揮官は銅メダル獲得のナインを称えた。
▽第2試合
品川レディース(品川)
010000=1
01220x=5
オール江東女子(江東)
【品】古澤、玉利-林
【オ】小林、力石-高澤
本塁打/清水、高澤(オ)
三塁打/林(品)小林(オ)
オール江東、悲願のファイナル&全国!
ともに打線の評判が高く、打撃戦が予想された一戦だが、ふたを開けてみれば両軍の好守備が光る展開となった。
2回表、品川レディースが林絵真主将の左翼への三塁打から先制点を奪うも、その裏、オール江東女子は清水せいらの中越えランニング本塁打で同点に。江東は3回二死二塁から、小林咲葵の右中間適時三塁打と清水の適時内野安打で2点を加えると、4回にも高澤はるか主将が右越えの本塁打など2点を追加。守っては、正捕手の高澤主将が3つの盗塁を刺すなど流れを渡さず、先発の小林から力石果穂へとマウンドをつないで品川打線を2安打1点に抑えた。
初の全国出場を決めたオール江東女子・長江彰孝監督は目に涙をため、天を仰いだ。
2014年から指揮を執り、12年目の大会で初の決勝進出と全国切符。「これまで、準決勝までは3回来て、すべて負けていましたからね。やっとです」。
とはいえ、勝つために厳しい練習をしてきたわけではない。「野球人口のすそ野を広げる」ことを第一に考え、「選抜チーム」の形をとりながらも、他チームに先駆けて、区内のどのチームにも所属しない選手も積極的にチームに受け入れ「野球を楽しむ」ことを最優先に、チームづくりに取り組んできた。
攻守でチームを引っ張る、捕手の高澤主将は「みんな明るいチームで、雰囲気は最高。きょうは勝ててうれしいです」と笑顔。試合についても「品川とは合同練習をしたりして、みんな仲良し。楽しめました」と話していた。
品川レディース、涙の準Vで関東大会へ
品川レディースにとっては、厳しい流れが続いた試合だった。攻撃では、良い当たりの打球がことごとく相手野手の正面に飛ぶなど、ツキもなかった。原田真吾監督は「ウチは守りを武器にしてきたチーム。守備に乱れがあっては、やっぱり勝てませんね」と無念の表情。「敗戦の責任は僕ですよ」と言い、3位入賞で出場を決めたEneOneカップ(関東大会)での健闘を誓っていた。