夏の到来を告げる伝統の大会、「東京都知事杯第48回東京都学童軟式野球大会フィールドフォース・トーナメント」は6月21日、八王子市のスリーボンドスタジアム八王子で開会式を行い、翌22日には同市の滝ガ原運動場野球場で1回戦31試合が行われた。
(写真&文=鈴木秀樹)
※記録は編集部。全試合の結果速報ではありません。
東京都内の各地区代表63チームが都知事杯を懸けて戦うトーナメント戦。22日の午後4時から行われた開会式では、参加全チームが入場行進を行い、スリーボンドスタジアム八王子のダイヤモンドが埋め尽くされた。
大会の特別協賛社であるフィールドフォース・吉村尚記社長は「野球はミスの多い、難しいスポーツ。ですが、自分で決めた練習を途中であきらめることなく、最後までやり続けることで必ず結果が目の前に現れます。ぜひ、自分の可能性を信じて頑張ってください」と選手らを激励。立二堤若草ドルフィンズA(墨田)の新垣琉希主将が「われわれ選手一同は、各地区の代表チームとして、この栄誉ある大会に出場できることを誇りに思い、信頼する仲間たちと一丸となり、一球一球を大切にプレーします。監督やコーチ、お父さん、お母さんに感謝する気持ちを忘れずに、一戦一戦を戦い抜くことを誓います」と力強く選手宣誓し、熱戦の火ぶたが落とされた。
■1回戦
▽滝ガ原運動場1面第4試合
昭島クラブ(昭島)
304000=7
220020=6
元加賀(江東)
【昭】宇田川、峰岸-峰岸、矢田
【元】深見、大竹-河西
本塁打/峰岸(昭)
三塁打/矢田、市川(昭)斎藤、深見(元)
二塁打/桐本(元)峰岸(昭)
昭島クラブが激戦制す!
全日本学童東京大会ベスト8の昭島クラブ(昭島)が、古豪・元加賀(江東)を接戦の末に退け、ここでも白星発進した。
初回、杉浦心優が四球を選ぶと、矢田大地主将の中越え適時二塁打で先制、さらに峰岸優伍が中越えに2点ランニング本塁打を放って3点を奪った昭島だったが、1、2回に2点ずつを奪われ逆転を許す、厳しい展開。それでも、3回には二死三塁から峰岸が同点の右前打。さらに宇田川椋平の四球に続いて市川春馬が適時三塁打を放ち、市川も暴投でかえって3点差をつけた。
一方の元加賀も、これでは終わらない。5回に二死から斎藤大主将が2点適時打を放ち6対7まで詰め寄るも、自身もホームを突いた斎藤主将が本塁でアウトに。最終6回裏にも、二死走者なしから一番・深見勇大が右中間を破る長打を放ったが、本塁を狙って走塁死となり、激戦に終止符が打たれた(=下写真)。
「苦しかった。元加賀さん、よく打ちますねぇ!」
昭島クラブ・林一行監督は嘆息してから続けた。
「先発した宇田川は、午前中の練習では良かったんですが、試合ではうまくリズムに乗れなかったようです。ただ、逆に、練習ではあまり良くなかった峰岸がロングリリーフで、粘り強く投げてくれました(=下写真)」
その峰岸は「調子良かったわけではないんだけど、コントロールに気をつけて、みんなが守りやすいように、ということだけを考えて投げました」と投球を振り返った。
「試合を見てもらえば分かると思うのですが、打撃のチームなんです。マック(全日本学童都大会)で打ち勝って、ベスト8まで行けたのが、全員の自信になってますよ」と林監督。「結局、マックは準々決勝でレッドサンズ(文京)さんに負けたのですが、4年生のときには、0対10で、手も出せずに負けていたチーム。負けても成長を感じさせてくれたんですよね」
ここでも初戦をものにし、良い波に乗ったか。次戦はその全日本学童都大会を制し、今大会も優勝候補の筆頭とも言えそうな強豪・不動パイレーツ(目黒)が相手になるが、「決勝までいかずとも、こんな良い相手と、ここで対戦できる。むしろ、クジ運良かったですよ」(林監督)と、あくまで前向き。チームの調子も今なお、上向きだ。
▽4面第3試合
グレートベアー(武蔵村山)
000601=7
000100=1
豊島ブレイズ(豊島)
【グ】笹川、稲塚-鈴木
【豊】中邨、小林-山㟁
本塁打/山㟁(豊)
三塁打/稲塚2(グ)
二塁打/佐々木、三宅、笹川(グ)
グレートベアーが好発進
グレートベアー(武蔵村山)が快勝発進だ。
ことしは6年生だけで16人と人数もそろい、期待大のグレートベアー。それだけに、全日本学童東京大会での初戦負けが悔やまれる。日没による特別継続試合の末のことだったが、「全体的な調子が今ひとつだったんです。力を出し切れずに大会を終えてしまった感じです」と戸田真人監督は振り返る。
ただ、それと対照的に、「今大会は、全体的に調子が上向きなんですよ」。この日は全日本学童予選の都ベスト16の豊島ブレイズ(豊島)が相手。序盤はどちらもホームが遠く、3回までスコアレスで試合が進んだが、4回、グレートベアーは一気に目覚めたかのように打線がつながり、打者10人の猛攻を見せ6得点。勝負どころで主導権を奪うと、この日は「抑え気味に、コントロール重視で、球数も意識しながら投げられました」というエース・笹川隼人主将が抜群の投球(=下写真)。
4回裏にブレイズの強打者・山㟁陽に痛烈な一発を浴びた笹川だが、きっちりと立て直して流れを断ち切る。結果、5イニングを2安打1失点の好投でリリーフの稲塚來己につなぎ、6点差快勝で初戦を終えた。
本来の調子を取り戻しての勝利。この波に乗り、上位進出を狙いたい。
▽3面第2試合
扇ターキーズ 19-2 伊豆大島カメリアンズ
伊豆大島カメリアンズ・敗戦を経験に
大島から参加の伊豆大島カメリアンズは、快速左腕・小林昊聖主将を擁する扇ターキーズ(足立)と対戦。力強いスピードボールへの対応に苦労する一方で失点を重ね、気づけば10点を超えるビハインドを背負っていた。
制限時間が近づく中での攻撃となった3回表には、菊池柊里の二塁打と土井龍人の適時三塁打により、意地の2点を挙げたが、反撃もここまで。無常のゲームセットとなった。
現在、大島には小学校が3校、学童野球チームは2チーム。今回はその2チームから集めた4、5、6年生の選手で参加した。カメリアンズ発足の4年前からコーチを務め、ことしは背番号30をつけ指揮を執った下村航監督は「なによりも選手集めが大変。今は親も野球未経験、という家庭が多いですからね。そんな中でも、選手たちの家族は全力で協力してくれて、すごく助かります」と感謝する。
毎年、都内から合宿を兼ね、遠征で訪れる友好チームも。島外のチームと戦う機会は多くないというが、この日の試合も含め、「彼らにとっていい経験になってくれれば」と下村監督。日野義周主将は「最初は速球にタイミングが合わなかったけど、後からだんだんと合うようになってきました。みんな仲が良いチームなので、これからも楽しく野球を続けたいです」と話していた。