夏の到来を告げる伝統の大会、東京都知事杯第48回東京都学童軟式野球大会フィールドフォース・トーナメントは7月29日、八王子市の滝ガ原運動場野球場で2回戦16試合が行われた。全日本学童東京大会王者の不動パイレーツ(目黒)、大会常連の高島エイトA(板橋)などがベスト16入り。昨年王者の船橋フェニックス(世田谷)と国立ヤングスワローズA(国立)の注目の一戦は、中盤に逆転、リードした国立が船橋の猛追を振り切って勝利を挙げた。
(写真&文=鈴木秀樹)
※記録は編集部。全試合の結果速報ではありません。
■2回戦
◇滝ガ原運動場1面
▽第1試合
国立ヤングスワローズA(国立)
00421=7
10104=6
船橋フェニックス(世田谷)
【国】山崎、宮下、山崎、宮下、谷津、山崎、谷津-岩本
【船】前西、佐藤-佐藤、高橋
本塁打/山崎(国)
三塁打/吉川(国)
二塁打/吉川(国)
全国予選の教訓!? 国立が逃げ切り
全日本学童東京大会ベスト8の国立ヤングスワローズA(国立)が、昨年王者で全日本学童東京大会3位の船橋フェニックス(世田谷区)を撃破した。
初回に連続四球からピンチを背負い、犠飛で船橋に先制点を献上した国立。それでも、3回表に宮下瞬と岩本虎太朗の安打で一死一、三塁とし、長嶋健介のスクイズで同点とすると、山崎央月が左越えの2ランを放って勝ち越し。さらに吉川陽壱主将と清水升爲の連打で1点を加え、4対1と突き放した。
その後は双方が得点し、制限時間により最終回となった5回裏。5点リードしていた国立は、被安打は2本ながら四死球と失策も重なり、1点差に迫られる。しかし、最後は二死一、三塁から、リリーフの谷津綾和が「(走者が)一番、油断する場面だと思った」と、逆転の走者を見事なけん制で刺し、激戦に終止符を打った。
全日本学童東京大会の準々決勝で、不動パイレーツ(目黒区)を相手に、最終回までリードを奪いながら逆転負けで涙をのんでいた国立。杉本敬司監督は「あのときと同じような展開。前回の教訓が生きたんでしょうか。選手たちが落ち着いてプレーしてくれました」と胸をなでおろし、「結果的に、初回に1点で済んだのが大きかったですね」と振り返った。
先発したエース右腕の山崎は、初回は先制点につながる連続四球を出したものの、2回の再登板後は安定した投球をみせて勝利に貢献。「良いコースに投げても打たれるし、際どいコースは見送られるし、嫌な打線だったけど、うまく修正して投げることができました」と、こちらもホッとした様子で、力投が報われた勝利を喜んでいた。
◇ ◇
◇滝ガ原運動場1面
▽第2試合
レッドサンズB(文京)
00000=0
12211x=7
山野レッドイーグルスA(世田谷)
※5回コールド
【レ】野村雄、竹内、齊藤-大塚
【山】伊藤-鈴木
三塁打/齊藤(レ)
二塁打/杉山、皆見(山)
山野が貫録、5年生軍団に完勝
レッドサンズB(文京区)は選手全員が5年生ながら、1回戦では2ケタ得点で大勝(11対0)していた。対する山野レッドイーグルスAは初回、3四球と5年生・波多豪の適時打で先制すると、2回以降も毎回得点で5回コールド勝ち。ここでは負けられないとばかり、5回コールド勝ちでベスト16入りを決めた。
「初戦は全力で投げるあまり、力みにより自分でピンチをつくっていた伊藤晴が、きょうは落ち着いて投げてくれたのが大きかったですね」と米谷昭良監督。指揮官の「打たれてもいいから、楽しんで投げろ」の指示を胸に、この日は無四球投球でチームの勝利に貢献した伊藤は「自主練で遠投してフォームを見直したりして、うまく調整できたのもよかったと思います」と、胸を張った。
◇ ◇
◇滝ガ原運動場1面
▽第4試合
昭島クラブ(昭島)
2000=2
3351x=12
不動パイレーツ(目黒)
※4回コールド
【昭】峰岸、宇田川-矢田、峰岸
【不】木戸-山田
本塁打/田中(不)
二塁打/宇田川(昭)
東京2冠へ死角なし!? 不動が圧勝
全日本学童東京大会王者の不動パイレーツ(目黒区)が万全の試合運びで、同大会ベスト8の昭島クラブ(昭島市)を退けた。
1回表、昭島が峰岸優伍、市川春馬、宇田川椋平の連打などで2点を先取。しかし、不動はその裏、先頭の田中璃空主将が中越えのランニング本塁打。続けて二番・寺田悠人、三番・竹中崇の連打と四球で塁を埋めると、五番の茂庭大地と六番の山田理聖が連続でスクイズを決め、あっさりと逆転する。2回以降も安打はすべてシングルながら、昭島守備陣のミスを誘発するほど、積極的でスピード感抜群の走塁を武器に、毎回得点の4回コールドで快勝した。
失点後も慌てず、計算ずくの逆転シーン。安定感抜群の守備。昭島・林一行監督の「きょうのウチのチームでは、10回戦っても勝てる気がしません……」という言葉が、そのスキのなさをよく表している。
「選手たちが自信をもってプレーしてくれています」と不動・田中和彦監督。チーム状態は止まることなく、上昇を続けているようだ。
「きょうのウチだと…」と林監督が話した昭島にとっても、この敗戦は貴重な経験となるはずだ。流れを引き寄せ、決して渡すことのない不動の試合運びに、2回以降は翻弄されたが、初回の攻撃では力を発揮できていた。この日の悔しさが、さらなるチーム成長のきっかけになることを期待したい。