5年生以下の新チームの最高位となる、ノーブルホームカップ第27回関東学童軟式野球秋季大会は、1都7県の新人戦王者8チームによるトーナメント戦。当メディアでは全7試合を順次、リポートしていく。1回戦の第1試合は、初出場同士の激突。開始式からの緊張感もありつつ、双方ともノーエラーを貫いた。結果として、初回に先制した清水ヶ丘ジャイアンツ(神奈川)が、以降もリードを守って逃げ切り。終始、ビハインドの竹園ヴィクトリーズ(茨城)は、得意の細やかな野球を展開できなかった。
※学年未表記は5年生
(写真=鈴木秀樹、大久保克哉/文=鈴木秀樹)

■1回戦
11月22日◇ノーブルホームスタジアム水戸

▽第1試合
清水ヶ丘ジャイアンツ(神奈川)
310000=4
010000=1
竹園ヴィクトリーズ(茨城)
【清】松﨑、長養-長養、松﨑
【竹】小泉、吉田-吉田、齋藤
【評】先攻の清水ヶ丘は初回、一死後に川崎晃輔、松﨑星太朗主将の連打で好機を得ると、二死後に四球で満塁に。ここで六番・小川逸生が左翼線に走者一掃の二塁打を放って3点を先取。2回にも四球の走者を川崎の適時二塁打でかえして1点を加えた。一方の竹園は2回に四番・吉田結乃助と五番・齋藤陽太の連打で無死二、三塁とし、続く中川和真の中前打で1点を返す。二死後に四球で満塁としたが、あと1本が出ず、追加点を挙げることができなかった。以降はともに走者を出しながらも三塁を踏むことができず、先発の松﨑主将から長養陽輝へとマウンドをつないだ清水ヶ丘が逃げ切って初戦をものにした。

清水ヶ丘は1回表に六番・小川が満塁走者一掃の先制二塁打(上)。先発の松崎主将(下)は3者凡退で立ち上がる


2回表、清水ヶ丘の川崎が2打席連続となる安打をレフトへ(上)。二走の田中健杜が生還(下)して4対0に


2回裏、竹園は吉田、齋藤(上)、中川(下)の3連続長短打で1点


2回途中から救援した竹園・吉田(上)は、6回まで自責点0の力投。6回表には一塁手の松林晃徳主将が邪飛を好捕(下)


清水ヶ丘の二番手・長養(上)は整ったフォームが、竹園の先発・小泉裕紀(下)は100㎞手前の速球が目を引いた

■From After The Match
地元でほろ苦い1敗
清水ヶ丘ジャイアンツの益留順一監督が勝利後につぶやいた。
「シートノックを見て、こりゃ勝てないと思いました。思った通り、竹園さんの守備は試合でも素晴らしかった」

そういう清水ヶ丘もよく守り、終わってみれば、ともに無失策という締まった試合内容。それだけに、竹園ヴィクトリーズにとっては初回の3失点が重かった。
2回表に1点を追加され、4点を追う2回裏、3連打で1点を返す。その後は守備妨害などで2アウトとなるも、満塁まで好機を広げた。しかし、あと1本が出ない。最終6回裏には吉田結乃助と佐藤拓人のヒットなどで二死満塁としたが、本塁は遠い。守る清水ヶ丘は、このイニングのアウトをすべて封殺で奪って逃げ切った。
「結果的に、序盤の差がそのまま、最終の得点差になってしまいましたね」
竹園・小泉隆監督は悔いはないといった表情でそう振り返り、対戦相手をたたえた。
「相手が上だったと思います」

竹園は6回裏、七番・佐藤拓人が右へクリーンヒット(上)。小泉監督(下)は試合中に限らず、落ち着いていた

会場は地元の茨城だが、関東大会はチーム初。加えて、開始式直後のオープニングゲーム。緊張するなというのが無理な状況でもあったが…。
「選手たちは思っていたほど、緊張していないように見えました。守備はしっかりできていたんじゃないかと思いますしね。結果は残念ですが、これもいい経験。これからにつながれば」
言い訳はなし。その目はすでに、これから先を見ている。

小泉監督は「今年の5年生チームは、野球をよく知っている子が多いんです」と、チーム史を塗り替えたナインを評し、さらに続けた。「ただ、ウチは平日練習がなく、練習は土日だけというチーム。課題は打撃と、投手陣がいかに四球を出さずに投げられるか、というところではあるんですが、選手それぞれの個人練習にかかっているところも大きいので…」
野球好きの選手がそろったというチームが、これからどう進化してゆくのか。期待とともに見守りたい。

―Good Loser―
大ピンチも見せ場!? 茨城屈指のショートストップ
(写真&文=大久保克哉)

ふじい・そうた
藤井想太
[竹園5年/遊撃手]
1回表、一死二、三塁の大ピンチ。ここで相手の四番が放った打球は、前進守備の遊撃手・藤井想太の正面へ。カメラのファインダー越しには追えない速さのゴロ打球だった。また距離からしても、強襲ヒットになっても不思議はなかった。
だが、その四番打者の打球をグラブに収めた藤井は、三走を睨みつけてベースにクギ付けとしてから、一塁へ矢のような送球でアウトを増やしてみせた。そして「ツーアウト!」と仲間たちへ2本指を立てながら、遊撃の定位置へ。


「守備は小さいころから、ずっと練習していて、父に厳しく教わってきました」
一連の守備動作にリズムがある。また藤井自身の、ゴムまりが低く跳ねるような身のこなしは茨城大会から際立っていた。身長は120㎝台の半ばと、5年生の中でも目立って小さいことでも目を引く。成長期が訪れる前にこれだけの動きができるのだから、行く末が楽しみでしかない。
「身体が小さいことで、まぁ、バッティング(飛距離)は劣るかもしれないですけど、守備は関係ないので、これからも強化していきたいと思っています」

初回の好守の直後、二死から3点を奪われるなど追う立場となったチームは、持ち味である細やかな攻撃を展開し切れず。
二番に入る藤井はそれでも、打席内をちょこまかとして端から打撃を捨てる(四球狙い)こともなく、1球1球しっかりとタイミングをとっていた。そして3回裏、先頭で回ってきた第2打席では結果として四球を選び、二死から二盗を決めてみせた。
2点ビハインドの走者一塁から、打線はクリーンナップに。この状況で二死まで走らない、という判断は一走の藤井とベンチとで暗黙のうちに共通していたという。掲げる野球とその共通理解のほどもうかがえるワンシーンだった。


「(初戦敗退で)少し悔しいです。チームの課題は、あと一打のところでのバッティング。来年は全国大会に行きたいです」
選手の意思もそっちのけで、指導陣から「優勝!」「全国出場!」など一方的に言い放つようなチームではない。でも来年の夏の愛媛(全日本学童マクドナルド・トーナメント)で、フィールドを飛び跳ねている竹園ヴィクトリーズの背番号6の絵は、リアルに想像できる。