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【関東新人戦決勝★神奈川vs.山梨】負けない強さ!!清水ヶ丘が初出場初優勝

2025.12.302025リポート
【関東新人戦決勝★神奈川vs.山梨】負けない強さ!!清水ヶ丘が初出場初優勝

 5年生以下の頂点を決する関東新人戦の最終日は、準決勝と決勝のダブルヘッダー。清水ヶ丘ジャイアンツ(神奈川)とラウンダース(山梨)による決勝は、5投手が登板する総力戦に。一進一退の展開から4対4で迎えた5回裏、清水ヶ丘が無安打で1点を勝ち越したところでタイムアップとなった。「勝利のポイント」とヒーローに続いて、初出場初優勝を遂げた清水ヶ丘のストーリーもお伝えしよう。

※学年未表記は5年生
※※準優勝チームのリポートは追って公開します

(写真=鈴木秀樹、大久保克哉/文=鈴木秀樹)

■決勝

11月23日◇ノーブルホームスタジアム水戸

▽第3試合

ラウンダース(山梨)

 01102=4

 01301x=5

清水ヶ丘ジャイアンツ(神奈川)

【ラ】伊藤、深沢琉、雨宮朝-中村

【清】松﨑、川崎-長養

三塁打/塩田(清)

二塁打/伊藤(ラ)

【評】ラウンダースは2回、二死から雨宮城玖(4年)の安打と敵失、深沢匡の適時打で先制。しかし、その裏に清水ヶ丘は安打の小川逸生を内野ゴロと暴投で三塁に進め、田中健杜の適時打で同点とした。続く3回にラウンダースが伊藤誉の中越え二塁打、佐野大翔の適時打で勝ち越しも、その裏に清水ヶ丘が連続四球の走者を四番・塩田晃誠が適時三塁打でかえして逆転。ラウンダースも粘り強く追い上げ、5回には同点に追いついたが、その裏、清水ヶ丘が四球と盗塁、暴投で勝ち越しの1点。攻撃中に規定時間の90分に達し、清水ヶ丘が初出場での優勝を決めた。

2回表、ラウンダースは雨宮城(4年)が左前打(上)と敵失で三進し、深沢匡が右へ先制タイムリー(下)

清水ヶ丘は2回裏に田中が同点タイムリー(上)、3回表の守りでは相馬氷雨がライトゴロを決めた(下)

3回表、ラウンダースは伊藤(上※写真は5回)が二塁打、続く雨宮朝陽のライトゴロ(下)で一死三塁となり、佐野の中前打で2対1に

3回裏、清水ヶ丘は四番・塩田が右中間へ2点三塁打(上)で3対2と逆転、続く小川の右前適時打(下)で4対2に

5回表、ラウンダースは佐野が2打席連続タイムリー(上)。さらに奥山葵登主将の中前タイムリー(下)で試合をまた振り出しに

5回裏、一死から四球を選んで二盗を決めた清水ヶ丘の川崎が、次打者の四球時にバッテリーミスが出て生還(上)。次打者の三振(二死)で規定の90分を過ぎ、試合終了(下)

 

―Point of Victory―

相手の武器を削いだ、遊撃手兼務の投手

(取材&文=大久保克哉)

  

 新人戦の最高峰の舞台でも“異彩”と言えるほど、細やかな野球とその完成度で群を抜いていたのは、山梨王者のラウンダースだった(※チームリポートは後日公開予定)。

 個々がハイレベル。そして多彩な攻め手の中でも、アドバンテージとなっていたのが、精度の高いバントだった。どの打者も計ったように三塁線へ転がす。またその大半が、自らも生きようというセーフティバントで、「構えて待って確実に当てて転がす」という段階をとうに卒業していた。

 5年生のこの時期、それを捌いて一塁でアウトにできる三塁手はそう多くない。実際、ラウンダースは1回戦も準決勝も、バントヒットで広げた好機からの得点があった。

「ウチはサードに取らせる(バントの)練習も、一生懸命にやっています」と語る日原宏幸監督(=上写真)は過去に2回、全国大会(全日本学童マクドナルド・トーナメント)へチームを導いている。1点をいかに奪うかも心得た指揮官だが、この決勝は思い通りにはさせてもらえなかった。

 4回と5回の攻撃で、塁上に走者を置いた状況で3つのセーフティバントを試みて、すべて一塁でアウトに。走者を先に進めることはできたが、おそらく「犠打」は次善の策。最善の策は「バントヒット」での好機拡大だったはず。

 セーフティバント封じ。これを100%の確率でやってのけたのが、マウンドにいた神奈川王者・清水ヶ丘ジャイアンツの二番手、川崎晃輔だった。この右腕は、最初からそれだけを狙って動いていたと打ち明ける。

「(バントを)サードに捕らせたら、全部間に合わないと思ってたので、最初から一つ(一塁)に投げるつもりでやってました」

 バント処理は、転がるボールの方向と速さによって、処理者や送球先を決めるのが基本。しかし、それをやっていたら、オールセーフになってしまう。前日までのラウンダースの戦いから、そう判断していたという川崎はある意味、ギャンブルに出ていた。打者がバントの構えをしたら、投げ終わりから三塁線へスタートを切っていたのだ。

 結果、走者の進塁と引き換えに、アウトカウントを確実に増やしてムダな失点(走者)を回避。これにはラウンダースの指揮官も舌を巻いていた。

「バントが全部、ピッチャーに捕られちゃったのでね。アレをサードに取らせることができていたら…」

 川崎の本職は遊撃手。だからどんなバントでも、一塁でアウトにするだけなら難しくはない。そういう質問を投げると、彼は頷きながら「そうですね」とニンマリ。

 クレバーな洞察力と機転に、実行する勇気と身体能力。「はい」と「いいえ」しか言えないような環境では、そこまで育たぬだろう。群を抜くプレーヤーが、間違いなくここにもいた。

 

―Pickup HERO―

四番の仕事!!ミスを帳消しにした好漢

(取材&文=大久保克哉)

しおだ・こうせい

塩田晃誠

[清水ヶ丘5年/三塁手]

  三塁を守る塩田晃誠は言い訳を探すことなく、ミスを素直に振り返った。

「ちょっと(打球に)回転が掛かっていて、(グラブの)土手に当たっちゃった」

 関東大会のレベルでは、ほぼ見ないような落球。イージーな小フライを落としてしまったのは、決勝の2回表だった。これで相手の一走は三塁へ進み、次打者の右前打で悠々と先制のホームを踏んでいる。

落球はしたが、すぐに拾い直して一塁へ偽投し、走者を刺そうと試みた(上)。仲間へ詫びたのは、プレーが完全に停止した後だった(下)

 どんなに悔いても、結果は覆らない。四番を打つ塩田は、自らのバットで挽回してみせた。チームが1対1に追いつき、また1対2と勝ち越された直後の3回裏だ。

「ミスがすごく悔しかったので、ここで打って点を入れて取り返してやろうと思いました」

 一死二、三塁の好機で右中間を破る二塁打。これで3対2と、一時逆転に成功した。また逆転サヨナラで制した準決勝では、1点目の引き金となる左前打を放っていた。今大会3試合で、塩田のヒットはこの2本。

「この大会はみんなで一緒に、一緒の心でできたと思います。来年は全国大会に向かっていきます」

 四番の肩書きで勘違いしない。オレがオレが!!の性分でもない。余して持つバットでシャープに振り切る打撃には、人となりも表れていたような気もする。1回戦から目についていた強肩に触れても「そんなことないです…」とやんわり遮ってから、個人の抱負を口にした。

「来年はもっと大きい当たりを打てるように頑張ります」

 関東王者の四番バッターは、ひと冬を経て飛距離も活躍の場も増していくことだろう。取り組む姿勢はきっとそのままで、みんなに愛されながら。

  

―Team Inside Story―

綱渡りの連続。ついには秋の最高峰

(取材&文=鈴木秀樹)

優勝

しみずがおか

清水ヶ丘ジャイアンツ

[神奈川県]

一瞬遅れた歓喜

 時間切れにより、イニング途中で決まった初優勝。いささか虚を突かれた感はあったものの、ほんの少しの間をおいて、一塁側の清水ヶ丘ジャイアンツの応援席は歓喜に包まれた。

 益留順一監督自身、「シートノックを見て、こりゃ勝てないと思った」と振り返った竹園ヴィクトリー(茨城)との1回戦に始まり、今夏には6年生とともに全国大会に出場した選手も多い西埼玉少年野球(埼玉)と戦い、敵失による逆転サヨナラで勝利を手にした準決勝。そして決勝は、どちらに流れが転んでもおかしくないシーソーゲームを制した。

益留監督は名門・横浜高の出身。ユニフォームが酷似しているのは、初代監督も横浜高OBだったからではないかという

 快進撃というよりは、綱渡りの勝利を重ね、手にした金メダルに「私も、これだけやってくれるとは…」と益留監督は驚きを隠さなかったが、「選手たちがよく戦い抜いてくれました。それに尽きます」と、治ったばかりという風邪の影響によるガラガラの声で、奮闘のナインをたたえた。

 県大会で初優勝。もちろん、関東大会出場も初めてだ。それでも、関東の強豪たちを相手に、普段の力を出して堂々と戦い切った。神奈川の中でも、超激戦区の横浜市でしのぎを削る普段の戦いが、大舞台で助けになっていたのではないか。

写真は神奈川大会の初優勝時(リポートこちら)

「大会前日も、平戸イーグルスさん(昨年の全日本学童ベスト8)と練習試合をしたんです」と益留監督。全国レベルの強敵を倒さねば、県大会にも出場はかなわないという厳しい環境ではある。が、だからこそ成しえた、今回の優勝劇なのかもしれない。

11球粘って同点打

 決勝の相手、ラウンダースのエース右腕・伊藤誉が2回途中で投球数制限に達するなど、ダブルヘッダーの2試合目ならでは、という展開が味方した面もあったが、条件は双方とも同じ。

 清水ヶ丘も「決勝で登板した川崎(晃輔=上写真)は、この前公式戦で投げたのはいつだったか…というレベル。厳しい条件の中、よく投げてくれました」と益留監督。

 その川崎は「公式戦で投げたのは、(新人戦の)横浜市大会以来でした」と言い、「最初は緊張したけど、だんだん落ち着いて投げられるようになりました。」と振り返った。

 2回には、二死三塁から「とにかく三振したくなかった」という八番・田中健杜が11球粘った末に、中前にはじき返して同点に追いついた(=下写真)。序盤に先制を許し、厳しい流れの中、下位打線から飛び出した一打にベンチからも、スタンドからも大歓声。「ヒーローになれたかな?」(田中)という一打がチームに流れをもたらした。

 チーム全体の安打数は4と、ラウンダースの7に及ばなかったが、5得点のうち3点は四球の走者がかえっての得点と効率良く攻め、守ってはピンチも最少失点で切り抜けた。

「我慢強く戦ってくれたのが一番の勝因と思います。エラーもありましたが、ミスの後にしっかり守り、自分たちで悪い流れを断ち切ってくれた。相手打線は迫力ありましたが、臆することなく戦ってくれました」

 指揮官はさらにこう続けた。

「加えて言えば、ウチは準決勝が第1試合で、決勝まで時間があった。向こうは準備の時間が足りなかったと思います。幸運もありましたね」

全員が輝けるチーム

 投打に活躍した松﨑星太朗主将(=上写真)は「うれしいよりも、ホッとしました」。準決勝でサヨナラのホームにヘッドスライディングした姿が印象的。「あのときは泣いちゃいました」と振り返るが、大会全体で一番、心に残ったのは「決勝の塩田(晃誠)クンのヒット(3回の一時逆転打)です。このチームは、誰か一人じゃなく、みんなが活躍できるチームなんです」と胸を張る。

「今回はエラーも多かったので、もっと練習して、エラーを少なくすることと、どんなピッチャーでも対応できる打線になることが目標です」と、全国を目指す来年の戦いに目を向けた。

 準決勝では先発し好投、決勝ではキャッチャーとして好リードと、好守備でチームを引っ張った長養陽輝(=上写真)は、リードオフマンとして攻撃での奮闘も光った。「攻撃だと、自分の持ち味は足なので、とにかく塁に出られるよう、準備します。ピッチャーは好きです。ただ、コントロールが定まらないときがあるので、そこはしっかり練習して直したい」と反省も忘れていない。

 厳しすぎる3試合を勝ち切って手にした金メダルが、清水ヶ丘ナインにもたらした経験値と自信は大きいはず。来季の躍進が、今から楽しみだ。

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