年末の夢の祭典「NPBジュニアトーナメントKONAMI CUP2025」のチーム情報第2弾。2005年の第1回大会の王者、東京ヤクルトスワローズジュニアをお届けしよう。現役では最長8年目となる度会博文監督は、2019年から2連覇を達成。球界の底力もあって開催された、あのコロナ禍以来の5年ぶり4回目のV奪還を期している。
(写真&文=鈴木秀樹)
実戦重ね、チームひとつに
近年は選手の大型化が顕著となっている大会だが、今年のヤクルトJr.も大柄な選手が複数いる。「昨年と比べると、確かに平均身長は高いかもしれません」と度会監督は語るが、身体のサイズありきの選考ではもちろんなかった。
大会は昨年同様、16チームの参加による4日間の戦い。どのチームも、3日間の予選リーグで3試合をこなす。そしてグループ1位で4日目の決勝トーナメントに進み、準決勝と決勝まで行くと5試合に。そこまで戦い抜くことも視野に入れた上で決まったのが、メンバー16人(※ページ最下部参照)だという。

「今年は去年までに比べて、ピッチャーのポジションで応募してきた選手の割合を増やしたんです」(度会監督)。
すでに関東圏のNPBジュニアチームとはひと通り練習試合をしたが、投手陣の編成も柱も模索中のようだ。「投手の起用については、まだ試し試しですね。今のところ、短いイニングを何人かでつないで、という戦い方をしています」(同監督)。
キャプテンを務めるのは、今夏の全日本学童マクドナルド・トーナメントの千葉代表、豊上ジュニアーズでも背番号10の神林駿采。強肩強打で全国8強入りに貢献した正捕手だ。

「結団式の後、16人全員に1日キャプテンをさせ、選手にもアンケートもとって誰にするか決める、これまでと同じ方法で選んで、任せています」と度会監督。日はまだ浅いが、主将の評価はなかなかだ。「比較的、おとなしい選手が多い中、よく声を出して引っ張ってくれてますよ」。また、楽しそうに見える神林本人はこう語る。
「レベルの高い選手ばかりで、キャプテンをしていてもいい勉強になります。ミスした人に積極的に声を掛けたりして、良い雰囲気でプレーできるように心がけています」
家族的なチームづくりも健在

「ウチは練習や試合でも、スタッフの数が少なくて」と度会監督が嘆く。取材日も正式な指導陣は、同監督に新スタッフの佐藤貴規コーチ、石附彩マネジャーの3人のみ。だが、さほど困っている様子もなかった。
練習試合を終えた後は、チーム練習に。そしてそこからは、選手の父親たちが大ハッスル。打撃練習では投手役としてシャトルや穴あきボールを投げたり、実戦形式の守備練習では走者役を務めたり。そうした取り組みの影響もあり、毎年、まるで大きな家族のようなチームになるのも、ヤクルトジュニアの特徴だ。
お父さん投手が投げたシャトルや穴あきボールを打ち込む選手たちの間を縫うように、佐藤コーチが選手一人ひとりを順番に見て回りながら、アドバイスを送っていた。現役中の佐藤コーチは左打ちの外野手で、実兄の由規氏(現二軍コーチ)とともにヤクルトでもプレーしていた。

練習を重ね、「チームの一体感は、徐々に出てきていると思います」と度会監督。コロナ禍の中で行われた2020年以来となる、5年ぶりの日本一奪還に向け、チームづくりは着実に進んでいるようだ。
■2025東京ヤクルトスワローズジュニア
スタッフ&メンバー
監督 4 度会博文
コーチ 8 佐藤貴規
コーチ 15 村中恭兵
コーチ 67 平井 諒
0 長谷部蒼海(深谷ボーイズ)
1 福井 陽大(豊上ジュニアーズ)
2 中尾 栄道(豊上ジュニアーズ)
5 東海林想也(生浜ヤンキース)
6 岡林 壮有(日立ベースボールクラブ)
7 寺田 大智(船橋リトルリーグ)
9 田代航志郎(レッドサンズ)
13 神林 駿采(豊上ジュニアーズ)
16 栁澤 勇莉(旗の台クラブ)
17 太田 暁希(習志野台スターズ)
18 新井 一翔(西埼玉少年野球)
20 五十嵐悠人(足利ウェストクラブ)
23 安達 昊太(清瀬ツインズ)
24 多田 葵(大宮ツインズ)
42 知久 幸介(清原中央ジャイアンツ)
55 小林 昊聖(扇ターキーズ)