「小学生の甲子園」こと高円宮賜杯第46回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントは8月13日、愛媛県松山市の坊っちゃんスタジアムで決勝が行われ、前年優勝の長曽根ストロングス(大阪)が多賀少年野球クラブ(滋賀)を下して2年連続9回目の優勝を果たした。
(写真=福地和男、大久保克哉)
(取材&文=鈴木秀樹)
※開会式から決勝までのリポートや大会総括などを順次、お届けしていきます
■決勝
◇8月13日◇坊っちゃんスタジアム
[滋賀]9大会連続19回目
多賀少年野球クラブ
200000=2
00210x=3
長曽根ストロングス
[大阪]2年連続19回目
【多】岸本-生川
【長】山瀬、高見、山瀬-岡林
三塁打/生川(多)
二塁打/安達(多)、山田蒼、岡林(長)
【評】多賀は初回、村井大翔、生川友翔の連打で好機を得ると、二死から安達琉斗が右中間に適時二塁打を放ち2点を先制。対する長曽根は序盤、多賀先発の岸本來橙を攻めあぐねたが、3回に茂友悠人の左前打を足掛かりに敵失も加わり一死一、三塁とし、吉見憲眞主将の犠飛で1点、さらに山田蒼の中越え適時二塁打で同点とした。長曽根は4回にも岡林優志(5年)の左中間二塁打と髙見銀志郎(5年)、茂友の連打で3対2と勝ち越すと、多賀の反撃をしのいで、前人未到の最多V記録を大会連覇で「9」へと更新した。

大目標V10に王手
「しんどい試合やった。ウチと多賀さんとは似たところのあるチームやからね」
偉業を達成した長曽根ストロングスの熊田耐樹監督はそうつぶやき、真っ赤にした目をぬぐった。
日本の学童野球界をリードする2チームの対戦となった決勝。すでに戦いを終えた、他の出場チーム関係者の多くもスタンドに駆け付け、試合の行方を見守った。
多賀が初回に先制も、以降は互いの投手陣の好投と、堅守が目を引く展開。「1アウト三塁。他のチームが相手やったら確実に1点は入る場面や。どっちもそんな場面があったけど、お互いに敵の守りを知ってるだけに、その場面で動けなかったね」。V監督の言葉が、厳しい試合展開を物語る。
3回、この試合唯一の失策に乗じる形で長曽根が追いついた。「やっとのことで追いついて、次の1点をどちらが取るか。そこだったと思う」。結果的に、4回に連打で勝ち越した長曽根が勝利を手にした。
「3回戦の昭和ブルーホークス(北海道北)さん、準々決勝のIBCレイカーズ(熊本)さん、準決勝の船橋フェニックス(東京第1)さん…。そして多賀さんも、対戦相手すべてが強かった。今年の大会はレベルが相当、高かったんとちゃいますか」
長曽根はこれで来年大会の出場権を得て、大目標である10度目の優勝に王手をかけた。
「確かに、これで1万分の1が、50分の1にはなったけど…。それはこれからゆっくり考えますわ」。指揮官はそう言い、持ち込んだディレクターズチェアに深く腰を落として、大きく息をついた。

新旧主将が流れ創出
最後の難しい遊ゴロをきっちりさばき、決勝を美技で締めくくったのは長曽根のキャプテン、吉見憲眞だった。
「いつも通りのプレーができました。『やった、これで優勝や!』と思いました。めっちゃうれしかったです!」
5年生で出場した昨年も攻守で活躍し、優勝に貢献した名手。それでも、背番号「10」を背負いプレーした今大会は、少し違ったという。
「チームをまとめるのがボクの役割。自分だけではなく、責任を感じながらプレーしました。少し、プレッシャーも」
遊撃の守備は、昨年以上に安定。打撃も力強さを増していたが、主将としての重圧もあったという。

一方、5年生チームのころから、今春まで主将を務めていたのが山田雄大。ここのところの不調で主将を吉見に譲り、スタメンから外れることもあったが、チーム初戦だった2回戦(対弓ヶ浜)で代打出場し、サク越えの本塁打を放つ活躍。準々決勝以降は九番・中堅で先発出場した。
「(初戦に代打で指名されたとき)絶対に活躍してやろう、と思ったんです」
九番の山田雄が機能し始めたことで、一番を打つ吉見にチャンスで回る場面も増え、長曽根打線は爆発力を増した。「(吉見)憲眞に良い形でつなぐのが自分の役割、と思って打席に入っていました。良い仕事ができたと思います」
新旧キャプテンの活躍で打線が迫力を増した、今年の長曽根。「来年の後輩たちにも頑張ってもらって、ぜひ10回目の優勝を3連覇で果たしてほしいです」。山田雄大は後輩たちを見ながら、そう言って締めくくった。

