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【準々決勝❹】好守光る! 船橋が北名古屋との接戦制し4強入り

2026.09.25 |更新日:2026.09.25 2026リポート
【準々決勝❹】好守光る! 船橋が北名古屋との接戦制し4強入り

 今治市営球場で行われた準々決勝第2試合は、今大会でも注目の戦力を誇る船橋フェニックス(東京第1)と、初優勝を目指す実力派・北名古屋ドリームス(愛知)の一戦。1点を争う緊迫の展開となり、船橋がこれを制してチーム初のベスト4進出を果した。

(写真=福地和男、鈴木秀樹/文=鈴木秀樹)


■準々決勝

◇8月11日◇今治市営球場
▽第2試合

緊迫の一戦は船橋に軍配

[東京第1]2年ぶり3回目
船橋フェニックス
 020010=3
 010001=2
北名古屋ドリームス
[愛知]4年連続8回目

【船】森下、大野-石黒
【北】坪井、青山、坪井、中津-吉村
本塁打/佐々木、森下(船)
二塁打/坪井(北)

【評】2回表、船橋フェニックスは七番・佐々木翔瑛が2回戦に続く本塁打を中サク越えに放って2点を先制。北名古屋ドリームスもその裏、敵失と加藤航大の安打で好機を得ると、敵失で出塁した青山隼磨が内野ゴロの間にかえり1点を返した。5回表には船橋の一番・森下貴斗が大会4本目となるサク越えの本塁打を中越えに放ち3点目。最終6回、北名古屋は坪井心汰主将の左越え二塁打と中津拓真の中前打で好機をつくると、盗塁での二塁送球がそれる間に坪井主将がかえって1点を返したが、反撃も届かず、船橋が逃げ切って勝利を収めた。

 

―On-the-ground report―

大舞台で進化続ける船橋

「これまでとはちょっと世界が違う戦いでした」
 戦いを終えた北名古屋ドリームス・岡秀信監督が静かに振り返る。
「おそらく、船橋さんもそうじゃないかな」

 圧倒的なパワーとスピードで東京都大会を制し、全国大会でも快進撃を続ける、今年の船橋フェニックス。しかし、この日の試合は少し、勝手が違ったようだ。
 終わってみれば、坪井心汰主将から青山隼磨、再び坪井主将、そして中津拓真へとつないだ北名古屋の投手陣を相手に、この日の船橋が記録した総安打数は4。もっとも、このうちの2本である、佐々木翔瑛と森下貴斗のサク越え本塁打で勝負が決したのだから、船橋らしいともいえるが、全体的に打線は苦戦を強いられた。

2回表二死一塁、船橋の佐々木が中越えに先制2ラン㊤。5回表二死からは森下が中越えにソロ本塁打㊦で3対1に


「佐々木は2回戦でも点が欲しいところでホームランを打っていて、ここまでヒットにならないまでも、良い当たりが多かった。この大会ではキーマンのひとりだと感じていたんです。今日も勝負強さを見せてくれました」
 とは岡本隼人監督。それでも、この日、試合を決めたのは守備だった。
 3対1で迎えた最終6回裏。北名古屋は坪井主将の二塁打と中津の安打で無死一、三塁とし、中津が二盗を狙った。船橋の捕手・石黒信匡主将から二塁への送球がそれ、三走の坪井主将はホームに滑り込む。しかし、ここでカバリングに入り、こぼれたボールを手にした中堅・森下は迷うことなく、矢のような送球を三塁へ。次の塁を狙った中津が間一髪でタッチアウトとなった。
 これで3対2と1点差にはなったが、一死走者なしに。相手に傾きかけた流れを、見事に食い止めたのだ。
 ところが、まだ終わらない。北名古屋の四番・今井大稀が四球を選び、再び同点の走者が一塁に。北名古屋は俊足の5年生・荒川柊一郎を代走に送った。岡監督がタイムをとり、荒川に耳打ちする。
 これとほぼ同時に、船橋も岡本監督がマウンドへ。「絶対にこの子は足が速い。注意しようと」
 マウンドの大野凌駕はテンポよく2球を投げると、同じテンポで一塁に牽制。すでにスタートを切っていた荒川は迷わず二塁を目指しており、二塁への送球も際どいタイミングとなったが、これを落ち着いてアウトに。二死走者なしとなり、これが勝負を決定づけるプレーとなった。

6回裏一死一塁、攻める北名古屋・岡監督は5年生の荒川を代走に㊤。同じタイミングで、船橋は岡本監督がマウンドに向かい、野手陣に指示

「あの場面は勝負。『足を上げたらゴー』のギャンブル(スタート)でした。荒川の走塁はサイン通りです」
 そう解説するのは北名古屋・岡監督だ。
「慌ててしまったなぁ。あれはボクの失敗です。それにしても、その前のセンターからサードへの送球だって、あんなストライク送球はなかなかできないですよ。たいていは慌てて、(送球が)上ずってしまうものです」
 敵将はさらに続ける。
「4回のサード(岡本悠人)の送球も速かったなあ。彼には際どい当たりを、ことごとくアウトにされた。さすがというか…。申し訳ないけど、想像よりも、ずっとちゃんとしていた。強いわ」
 船橋はひとつもミスできない場面で完璧な守備をみせ、相手を焦らせ、勝利を手にしたのだった。

4回裏無死一塁。守る船橋は小フライとなったバントをサード・岡本が素早くさばいて一塁に転送、併殺に㊤。直後、左中間にフラフラと上がった飛球をレフト・倉持怜央(左)が好捕し、遊撃手の若月柊哉とグラブタッチ㊦


船橋先発の森下㊤は5回2安打1失点。最終回は大野㊦が締めくくった

「先発の森下は、この大会では初登板。10日ぶりくらいの登板になるのかな? 最近では一番、良かったですね」と岡本監督。
 森下は5イニング66球を投げ、四死球は初回に与えた死球のみ。本人も「今日はコントロールが良かったです」と振り返る。
 加えて、「『行けるかも』って言って、この試合で突然、投げ始めた」(岡本監督)という、120kmに迫る速球と90kmを割るスローボールに加えて投げた、100kmをやや上回る“準速球”とでもいえる球で北名古屋打線を翻弄した。
「悪ければ、早いうちに大野への継投も考えていましたが、今日はその心配は無用でした」と岡本監督も納得の表情で振り返った。
「昨日投げた小池(拓海)、岡本も調子いいですし、キャプテン(石黒主将)も好投した。大野もそれほど球数を投げずに済んでいます。投手陣はここまで良い感じで来ています。これが守備のリズムにもつながっているのかもしれません」

 4安打ながら、打つべき人が打ち、ギリギリの場面を好調の投手陣と守備力でしのぎ、勝ち取った一戦。
「『世界が違う一戦』? 確かにそうかもしれませんね」と岡本監督が振り返る。
 全国の強敵との戦いを繰り返し、この大舞台で確実に進化をみせる船橋。一戦ごとにたくましさを増し、ついにベスト4進出を決めたのだった。


―Good Loser―

また1点差…それでも前を向き、先へ

 きたなごや
北名古屋ドリームス
[愛知]

「また1点差かぁ」
 北名古屋・岡監督が天を仰いだ。
「この全国大会では、負けるときは1点差。続いてるんですよ…」

2回裏一死二塁、加藤航大の中前打㊤で一死一、三塁となり、内野ゴロで三走・青山隼磨がホームイン㊦


6回裏には坪井主将㊤と中津㊦の連打で好機をつくり、1点を返した

 2017年の初出場以来、コロナ禍で中止になった2020年大会と4年前の2022年大会を除いて、この10年で8回の全国大会出場を果たしている北名古屋。激戦の愛知県で、目を見張る好成績を挙げ続けている。
 さかのぼってみると、初出場の2017年は初戦に1対5で敗れているが、その後は2018年に長曽根ストロングス(大阪)に4対5(3回戦)、2019年は東16丁目フリッパーズ(北海道南)に0対1(3回戦)、2021年は長曽根に3対4(決勝)、2023年は甲斐JBC(山梨)に4対5(2回戦)、2024年は不動パイレーツ(東京)に5対6(3回戦)、2025年は伊勢田ファイターズ(京都)に0対1(3回戦)と、いずれも名だたる相手に、ことごとく1点差の惜敗を喫して大会を終えている。
 常に優勝候補の一角と好試合を繰り返して敗れていることを考えれば、むしろその強さが際立つ、ともいえるが…。
 そして、今年も優勝候補の一角・船橋と対戦し1点差の惜敗に終わった。
「1点差の負けがこれだけ続くっていうのは…。何かが足りないのかなあ。やっぱり、足りないんだろうなあ…」
 これまでも、そして今回も、時の運としか言いようがない敗戦ではあるが、岡監督は深く自省している。
 全国大会ベスト8。十分に誇れる結果ではあるが、浮かれることなく反省し、次に生かす。これが北名古屋の強さの秘密でもあるのだろう。

坪井主将㊤は3回まででいったん降板し、5回途中に再登板で力投。2番手の青山㊦は1回2/3を1安打無失点に抑えた

最終6回に登板した中津㊦は3人でピシャリと締めた

 この日も、船橋対策は完璧と思われた。先発の坪井主将は、船橋でもっとも警戒すべき森下、大野の一、二番コンビをほぼ抑えて、ガッツポーズを繰り返した。5回に森下の一発を許したが、「あれくらいは仕方ない」と岡監督も想定内の様子だ。
「ホームランはまあ、打たれたら仕方がないんです。むしろ、その前に走者を出さないこと。その意味では、2回、(船橋・佐々木に打たれた)一発の前のフォアボールが悔やまれます」と冷静に振り返る。
「とはいえ、2本だからなあ。坪井が1試合で2本打たれるって、そうそうないですよ。あの打線は反則だわ…」。岡監督は苦笑いを浮かべるのだった。
 前日には、やはり大会常連で優勝候補の一角ともいえる、豊上ジュニアーズ(千葉)とのタイブレークに及ぶ激戦を制している(→こちら)。その疲れもあったのではないか?
「まあ、坪井は少し疲れも見えていたし、相手打者のタイミングが合ってる感じがした。最初の交代はそのためではあるんですが…。ただ、それも大会全体の戦い方を考えた上での、想定内ではあります。むしろ、あそこまでよく投げてくれた」
 そう話した指揮官は、涙の止まらない選手たちに声を掛けた。
「もう泣き止め。野球なんだから負けるときもあるわ」
 さらに言葉を続ける。
「やるべきことは全部やったよな。悔しいけど、仕方ない」

 この日も投打で活躍の坪井主将は、試合後こそ涙を流したが、球場の外に出たときには笑顔が戻っていた。
「(香川・丸亀城東少年野球クラブとの)1回戦は点をたくさん取って勝てたけど、2日目(福島・棚倉キッズスポーツ少年団戦)も昨日(豊上ジュニアーズ戦)もずっと接戦。今日も負けたけど、いい試合でした。スローボールも決まったし、ピッチングは良かった。大会を楽しめたし、いい経験ができたと思います」

 敗戦を糧に、再び前に。今回もダイナミックでありながら緻密な野球を披露、底知れぬスケール感の余韻を残し、北名古屋はベスト8で戦いを終えた。


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