「ベースボール型スポーツ」としてくくられる、野球と同じダイヤモンドスポーツながら、似て非なる部分も多いソフトボール。野球に比べ競技人口も少なく、一方で野球同様、少子化も影響しての少年・少女チーム減といった問題も抱える。しかし、プレーヤーの熱は野球にも劣らない。フィールドフォースはそうしたプレーヤーたちの声に応えるべく、以前に増して、ソフトボール向けの商品ラインアップを充実させつつある。
ソフトボール用の穴あきボールを
フィールドフォース社長の吉村尚記が自身のインスタグラムに、ソフトボール向け商品開発について意見を募ったのは5月終わりのこと。即座に、あふれんばかりの意見やメッセージが寄せられた。
「そのときに発信したのが、要望があればウチの野球用穴あきボールの素材そのまま、ソフトボール用の大きさにした、ソフトボール用の穴あきボールを作りたいと思う、という内容だったんです」

吉村が振り返る。
「これまでも、ソフトボール用の穴あきボールって、あるにはあったんですよね。主にアメリカ製のものです。ただ、ポリエチレン製で硬いやつなんです」
フィールドフォースの穴あきボールは、そこに発泡素材のEVAを配合することで、高い柔軟性を実現しているのが特長になる。
「ある日、河川敷のグラウンドで、硬い穴あきボールを使って練習しているソフトボールチームを見かけたんです。その練習を見ていると、カチン、カチンと音を響かせながら打っている。やはりウチの野球用と同じ、柔らかな穴あきボールを使ってほしい、これは作るべきだなと思ったんです。軽いとはいっても、場合によっては硬いボールだと、危険を感じる瞬間だってありますからね」
マーケットの大小よりも思いに応える商品を
この数年で、ソフトボール関連のフィールドフォース商品はかなり充実してきたといえる。
バッティングネット類の多くを野球の硬式球対応としたことで、ソフトボールにも対応できるように。そのほかにも、ソフトボール用トスマシン(FTM-350S)や同マシン用オートリターンネット、ソフトボール用竹バット(FSBB-8477)、さらにフィンガーパワーボール・ソフト(FFPB-12S)など、新規商品もコンスタントに登場している。


冒頭のソフトボール用穴あきボールは予想以上に多くのリクエストを受け、7月発売予定で目下、生産中だ。
「遠からず、『スウィングパートナー』のダミーボールも、ソフトボール用のものを作りたいと思っているんです」
と吉村が語る。
とはいえ、個々の商品の開発においては、たとえ野球向けに同種の商品があったとしても、流用できる部分はそれほど多いわけではなく、マイナーチェンジというよりはフルモデルチェンジに近い、というのが実情で、一朝一夕にできるものでもない。
「それでも、そこは経験とアイデア、そして新たな着想によって商品を生み出してきたのがフィールドフォースですから」
吉村はそう言ってうなずくのだった。

「競技人口を考えると、野球よりは当然、需要は少ないわけですが、そこはマーケットの大小ではないんだ、と。そこに需要があるのなら、それに応える商品を作るのがフィールドフォースなんです。常にそうでありたい」
この2月には、千葉県柏市のフィールドフォース本社で、早稲田大の男子ソフトボール部幹部の訪問を受けた。名門大学の体育会でありながら、決して恵まれているとはいえない練習環境での活動に、吉村は大いに感じ入った様子だった。
「思いがある人には、応えたいじゃないですか」
そう力説するのだった。

「Baseball Samurais」では注目度◎
そんな取り組みの背中を押してくれる、売り上げベースの朗報もある。
昨年から始め、堅調に売り上げを伸ばしている、アメリカとカナダ向けのECサイト、「Baseball Samurais」だ。
「アメリカでのソフトボール人口の多さは耳にしていましたが、サイトの反応は思った以上です」
そう話すのはEC事業を統括している、営業企画部部長の鎌田侑樹だ。
「ラインアップ自体が野球中心のサイトではありますが、商品ひとつひとつを見れば、野球向けの商品もソフトボール向けの商品も、同程度の反響といっていいほど、ソフトボール向け商品に対する関心も高いようです」
そんな背景もあり、今では新規の商品開発においても、ソフトボールユーザーの存在は無視できないものになってきているようだ。
これまで、いわば地道に続けてきたソフトボール向け商品の開発・販売が、ここでは報われつつある。

願わくば競技普及のために
国内に目を移せば、競技人口の減少という面では、野球以上の厳しさもあるソフトボール。それでも、生涯スポーツとしての認知度は現在も高く、そのすそ野を広げるための活動が持つ意義は大きい。
「フィールドフォースとしても、今後もソフトボール向け商品のラインアップを充実させていゆくことで、そうした動きを下支えすることができるのであれば、そこには大きな意味があると思っています」
と吉村。
2028年のロサンゼルス・オリンピックでは女子の正式種目として復活することも決まっているソフトボール。その盛り上がりを底辺拡大、生涯スポーツとしての充実につなげていきたい。
