商品開発室
![[vol.13] フィールドフォース流「かゆいところに手が届く」キャッチャー用具、好評です!](http://www.fieldforce-ec.jp/cdn/shop/articles/SSJ_2855_91651a00-de23-4ef2-8e9e-c22de36778f1.jpg?v=1755778408&width=533)
[vol.13] フィールドフォース流「か...
学童野球選手向けに特化し、開発されたフィールドフォースのキャッチャープロテクター&レガース、FCP-380 &FRG-310が堅調な売り上げを記録している。JSBB(全日本軟式野球連盟)公認用具。公式戦で使える、一見、オーソドックスなキャッチャー防具だが、これもフィールドフォース製らしく、「かゆいところに手が届く」商品となっている。 定番商品にも不満あり!? キャッチャーの防具といえば、どのチームも複数持っている、定番中の定番といっていい野球用具。おそらく、多くのプレーヤーは細かなところを気にすることなく、「こういうもの」という認識で、疑問に持つこともないまま使っているはずだ。 しかし、こと学童野球、少年野球のための道具として、あらためて見直してみると、改善の余地は少なくない、ということになる。定番商品も、新規開発商品と同じように足りない部分が見えてくるのだ。 学童野球選手に適したキャッチャー防具とは 控え捕手なのか、低学年の小さな選手がチームの備品であろう、体に合っていない、大きめのプロテクターとレガースを身に着けてグラウンド内を走る姿はほほえましいもの。が、実際の試合でのプレーとなると話は別だ。「もう10年ほども前になるでしょうか。多賀少年野球クラブさんが主催されている、小学3年生以下の『多賀グリーンカップ』を見たときだったか、地元の低学年大会を見たときだったか……」 フィールドフォース社長の吉村尚記が振り返る。「それまで、低学年以下の、小さな選手たちの試合をしっかり見たことがなかったんです。ですが、あらためて、じっくりその年代の試合を見ていると、選手みんなが体に合わない、重くて動きにくそうな防具をつけてプレーしている。走る力なんて、大きすぎるプロテクターやレガースのせいで、完全に阻害されてしまっている。「これじゃあ、子どもたちに『キャッチャーはやりたくない』なんて言われるわけだよなあ……と思いながら見ていたのを覚えています」 このときの思いがきっかけとなり、学童野球選手専用のキャッチャー防具の開発が始まったのだった。 一般的に世に出回っている、少年用のプロテクターやレガースは、大人サイズの一般用をサイズダウンしたものがほとんど。が、当然、部品数や接続部の仕様などは変わらないために、重く、動きを妨げる結果となっていることが多いのだ。「学童野球選手の体にフィットし、動きを妨げることなく、軽量なプロテクターやレガースを作る。キャッチャーが走るのを阻害しないものがいい。『ダッシュできるキャッチャーギア』。ウチの出番じゃないですか」 吉村はそう言い、笑った。 軽量化+動きやすさ イメージを形に! 思い立った吉村は、すぐに商品イメージをイラストにした。「まずは樹脂の部分を減らそうと思ったんです。削れる部分は部品も減らして、面積も減らそうと」 レガースは膝上にあるガードを省き、通常、くるぶしまであるスネ当て部分を短くすることにした。「あれ(スネ当て)が長すぎるので、足首の動きを邪魔してしまい、走ったりすることができないんですよね」 足首部分を覆うフットガードは、一般用のレガースでは使われない、面ファスナーで取り付ける構造とし、その面積を縦方向に広げることで、面ファスナーの取り付け位置により、ヒザ下の長さに合わせて調節できる設計とした。また、スネ当てを装着するためのゴムベルトも、通常の4本から3本に減らし、装着もシンプルな形に。その一方で、フィット感を増すために、ふくらはぎガードを追加した。 プロテクターも脇部分のクッション材を省き、首まわりをすっきりさせたデザインとし、密着度を高めるために、背面はゴムバンドを一般的な「T字」の形ではなく、クロスで留める設計に。すべて装着しやすさと動きやすさにこだわった。 イラスト化したそれらのアイデアを形にするべく、吉村は国内の工場に持ち込んで製作を依頼した。 「もともと面識があった程度の会社なのですが、突然電話をして、ほとんど飛び込みのような形でお願いしたんです。それでも、ありがたいことに、ウチの会社のことを知っていていただいて、子どもたちのために、という思いを理解していただき、快く製作を引き受けていただいたんです」 それほど時間をおかずに、出来上がってきたサンプルは、ほぼイメージ通りだったという。「もうそのまま、売り出せるんじゃないかというくらいでした。思いがそのまま。、形になっていた。その後にお願いしたのは、カラーとサイズの微調整、それくらいだったんじゃないでしょうか」 こうしてサンプルが完成し、JSBBの公認を取得するべく、全日本軟式野球連盟に持ち込んだのだった。 発売後の評判は上々、この先の展開は… JSBBの公認を取得するためのやり取りや手続きは、思いのほか長い時間を要した。商品の発想から実に5年半、やっとのことでJSBBの公認を取り、今季、シーズン前に発売を開始した。 最終的に、FCP-380/FRG-310は、従来品と比べ、プロテクターとレガースを合わせ、約400グラム軽量になった姿で、市場に送り出された。その評判は……。「発売前から、SNSなどで告知をしていたんですよね。ありがたいことに、多賀少年野球クラブさんが、自分のところで試した様子を『つけたままでダッシュできる!』なんて発信してくれて、それに対する反応もあったりして……」 まだ発売から数カ月ながら、すでに追加発注をかけるほど、好調な滑り出しを見せている。ありがたいことに、開発の動機がそのまま商品の評価につながっており、多く寄せられているのは「軽くて使いやすい」「動きやすく、プレーの妨げにならない」といった、既存品と比べての好評価だ。先日、高円宮賜杯第45回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントで前人未到の8度目制覇を果たした長曽根ストロングスも、当初からのユーザーだ。 試合でも使える公認用具なので当然だが、フィールドフォース製品にしては珍しく、真正面から開発に取り組んだ商品である。とはいえ、これだけ多くのメーカーが同じ用途で作っている用具でも、やはりフィールドフォースが手がけるものは、「かゆいところに手が届く」仕様になるのだ。 こうして誕生した新定番商品。しかし、吉村の構想は、これでは終わっていない。「現在、ネイビーとブラックの2色展開なのですが、よく『レッドはないの?』『ブルーは?』といった、問い合わせをよく受けます。ありがたい反応ですね。ゆくゆくは、オーダーグラブのように、多色展開ができたらいいですよね」 これもまた、フィールドフォースらしい展開。もちろん、どんな商品も、野球少年たちに寄り添う姿勢にブレはない。
[vol.13] フィールドフォース流「か...
![[vol.11] 発売以来、続く大ヒット! フォースマシンの魅力とは!?](http://www.fieldforce-ec.jp/cdn/shop/articles/imgrc0101341420_51bf9694-f5be-4daf-849a-eb4e722cb941.jpg?v=1754558788&width=533)
[vol.11] 発売以来、続く大ヒット!...
「フォースマシン」FFMC-100Mが大ヒットしている。5月の発売以降、入荷待ちの予約状態が続いていたほど。手軽さと本格的性能を両立させたこのマシンは、フィールドフォースのラインアップの中でも、これまでにない路線の商品なのだ。マシンやギアを通して、効果的な練習法を提案してきたフィールドフォースの商品群の中でも、際立った存在感を放っている。 既存ラインアップの『中間』 フィールドフォースの代表的マシンといえば、穴あきボールや、径の小さなミートポイントボール、専用シャトルを使うトスマシンやバッティングマシン──。これら個人練習向けのマシンに加え、路線としては対極にある、チーム練習向けの本格アーム式ピッチングマシンも好評を博している。 前者、個人練習向けのマシンは、室内やガレージなど、省スペースで本格的練習を実現することを目指して開発されており、アーム式マシンは日常のチーム練習、つまりグラウンドで使用することが前提となっている。 フォースマシンは、いってみれば、その2系統の中間といったところだろうか。トスマシン系よりも広いスペースを必要とし、パートナーも不要とはいかないが、より本格的な練習が可能で、個人練習でも、チーム練習でも力を発揮してくれる。より手軽に、より実践的な練習ができるマシン、ということになろう。 守備練習でも使えるマシンにしよう 2つのウィール(ホイール)を使ってボールを発射する機構は、本格的なピッチングマシンでは一般的。バッティングセンターで多いのは、この方式のマシンだ。それとは違い、フォースマシンは、ひとつのウィールでボールを飛ばす1ウィール方式。この構造のマシンも、フォースマシン以前から、すでに存在している。大きくて重く、常設して使用されることが多い2ウィール式に比べ、比較的軽く、持ち運べるサイズのものが多いのが特徴だ。 フィールドフォースが、フォースマシンを製作するにあたってこだわったのは、1ウィールマシンの手軽さを生かしながら、その機動力をさらに追及して、もっとバリエーションに富んだ使い方ができないものか、という点だ。「当初から考えていたのは、『このマシンの仕組みなら、守備練習にも使えるんじゃないか』ということなんです」 社長の吉村尚記がフォースマシンの着想に至った経緯を説明する。「フィールドフォースは、どこかと同じものを作る会社ではありません。常に新しいものを作って、それを世の中に提示していきたい。フォースマシンを作るにあたっても、単なるピッチングマシンではなく、守備練習にも使えるのだという部分を形にしたい、と思ったんです」 アカデミーコーチ陣が絶賛 ピッチングマシンとしての1ウィール式は、バックスピンがかかったボールが発射される。ボールに対して上向きの回転で、いわゆる「伸びる」軌道のボールだ。 フォースマシンを守備練習に使うことを考えると、マシンを上向きにセットして発射したボールは、ボールの下側をたたいたり、こすりあげた、バックスピン回転のフライと同じ球筋になる。「実はこれ、NPB球団のアカデミーで試してもらったときに、絶賛されたんです」 吉村が説明する。「マシンを傾けて、一塁側、三塁側に向けてフライを発射すると、実際の打球と同じように、ファウル側に向かって曲がっていく軌道のボールを飛ばせるんです。この曲がり方、ほとんど回転のかかっていないボールを打つノックでは、再現が難しいそうなんです。このマシンを使えば、より実戦に近い形のフライを捕球する練習ができる。『これは使えますね』となったんですよ」 マシンを反転させてトランスフォーム! 加えて特筆すべきは、マシンを取り外したり、組み直したりすることなく、ゴロ捕球の練習にも応用できる仕組みを形にしたことだろう。 実戦で飛んでくるゴロは、ボールの上側をたたき、トップスピンの回転がかかった打球がほとんど。ボールの下向きにスピンがかかるので、フラットな打球よりは、バウンド後に高く弾み、勢いを増す挙動を見せることになる。「これを再現するには、マシンを逆さにすればいい」 吉村はそう説明する。とはいえ、それもなかなかの難問だとは思うが……。「関節的な構造を入れることで、実現できないかなと考えたんです」 マシンをくるりと下向きに反転させるべく、マシンの取り付け部分を反転可能な関節にし、支柱にクランプのような「コの字」部分を作ることで、そのためのスペースを作り出す。これでマシンを取り外すことなく下向きにし、ゴロ練習用にトランスフォームできる仕組みを作り上げたのだった。「このマシンで使えるのは、ウレタン製の専用ボール。なので、捕った後のスローイングまでは難しいのですが、少なくとも、捕球までの動きは、かなり実戦的な練習ができるようになりました」 こうして、特徴的な形の「脚」を持つ、高機能マシンが完成したのだった。 絶妙な大きさ+バーゲンプライス もちろん、ピッチングマシンの性能を満たしていることは大前提だ。フォースマシンは重さの違う、2種類のボールを用意することで、スピードや変化球の球筋にもバリエーションを持たすことに成功している。 ただ、使用者の側にも、多少の注文が付く。発射後、ウィールを動かすモーターの回転数が安定するまでの一定の時間、7~10秒の投球間隔が必要なのだ。そのため、ユーザーには「投球ごとの間隔は約10秒以上必要です」といった注意点を各所で提示し、アナウンスしている。また、ボールを投入するときに落とし入れるか、勢いをつけて投げ入れるかでも、発射されるボールの挙動は変わってしまう。「もちろん、モーターとウィール自体を大きく、パワフルなものにすれば、その誤差は気にならないほど小さくできるし、間隔を空けずに、続けて使えるようにもできます。ただ、その分、マシン自体が大きく重くなり、何より、価格が大きく変わってしまう。サイズ感と価格面を考えると、これがベストなんですよね」 専用レール発売で、より便利に とはいえ、実際に使い始めると、ユーザーとしては無意識のうちに、ついついペースを早くしてしまうもの。それに対するベストな解が、最近、発売された「専用自動“供球”レール」FMC-100RAILを使用することだ。あらかじめ、専用レールにボールをセットしておくことで、自動的に8秒間隔でボールを供給口に落としてくれる、というものだ。6球までセットできるレール2つが同梱されており、連結して使うことで、12球までを自動的に発射してくれる。これなら、間隔を気にしなくても、機械に任せてボールを待てばよい。専用レールは今後、単品での発売予定もあり、4つまで連結可能、つまり24球まで自動供給が可能となっている。 実はまだ、最終形ではない……!? この専用供給レールは電動だが、レールについたACアダプタの差し込み口は、あらかじめフォースマシンについている。レールが発売されるまでは、使い道がなかった差し込み口だ。つまり、マシンが完成した段階で、すでにレールを追加で発売することを想定していた、ということになる。「そうですね。同時には出せませんでしたが、専用レールも開発は進んでいたんですよ」と吉村が明かす。とすれば、今後も、何かしらバージョンアップのための追加パーツなどが出てくる可能性はあるのだろうか。「もちろん、より便利に使っていただけるような追加商品を出していければ、とは思っています」 大人気のフォースマシン、最終形は一体、どんなものになるのだろうか──?
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![[vol.8] 唯一無二の商品を! フィールドフォースの商品開発(下)](http://www.fieldforce-ec.jp/cdn/shop/articles/SSG_3071_3d83a7bf-01b8-4938-a8e1-1c2b6f3811d8.jpg?v=1752138594&width=533)
[vol.8] 唯一無二の商品を! フィー...
毎月、次々と新規アイテムの発売を続けるフィールドフォース。そこまで頑張らなくても……と思わなくもないのだが、そこにこそ、この会社の信念と哲学がある。熱量のあるプレゼンテーションと忌憚のない議論により、無から有を生み出し、それを形づくる。新商品を生み出す過程の中にも、フィールドフォースらしさが詰まっている。 ボールパークの「離れ」では…… 東京都足立区にあるボールパーク足立1、2の敷地に、事務所用の「離れ」がある。現在は「プリント工房」としてオーダーTシャツの制作などのために稼働しているが、ボールパーク開業当時は、フィールドフォースのアンテナショップ兼ボールパークのレジカウンターだった。 その「離れ」の2階は、現在は事務所兼スタッフ控室になっているが、かつて学習塾だったことがある。「個別指導学院Hero's(ヒーローズ)竹ノ塚校」は外部学習塾への場所貸しではなく、フィールドフォースが直接、運営にあたっていた。講師は全員、フィールドフォースの社員。現在も社員が講師を務める野球教室「エースフォー」はあるが、かつては野球だけでなく、勉強も教えていたのだ。 かなり特殊な状況ではあるが、フィールドフォースらしいといえば、らしい。とにかくNGはなく「やってみなはれ」の世界である。 フィールドフォースは建設屋!? 現在は千葉県柏市にあるフィールドフォース本社。エントランスで目を引くのは、社長・吉村尚記の名前の建築業許可証だ(練習場の施工時に必要)。「初めて入ってきたお客さんが、『フィールドフォースって、建設屋さんなんですか?』って。なんの会社かと思われますよね」 ボールパーク事業部長の成田雄馬が笑う。彼は北海道で札幌と旭川のボールパークを立ち上げたときの初代店長だ。 「北海道のボールパークのオープン当時は、会社の名前もほとんど知られていませんでしたし、多くのお客さんにとって、フィールドフォースは、練習場の運営会社という認識しかなかったみたいですね」 もちろん、間違いではない。むしろ、考えれば考えるほど、正解である。「『いえ、野球用品や、野球のトレーニングギアなんかを作ってるメーカーなんですよ』とは答えてましたけど、考えてみれば、普通のメーカーでは、あまりないことでしょうね。かつては僕もヒーローズの講師をやってましたし、とにかくフィールドフォースは会社の間口が広いというか、いろんなことをやっている」 そして、続けた。「いろいろやってるから、ユーザーとの距離も近くて、現場の声もたくさん届く。横のつながりも幅広くて、それらがすべてつながっているというか。とにかくボールパークでは、いろんなアイデアをもらいます。そして、自分が動くことで反応があり、何かが生まれる。『自分たちが動いていこう』っていうのはもう、社風なんでしょうね」 成田はそう言って、うなずくのだった。 NGなき商品企画開発 次々と世に送り出される、フィールドフォースの商品は、こんな土壌だからこそ生み出されているのだろう。 企画開発会議の初期からのメンバーである、今泉翔太が回想する。「バランスハット(FBHT-8M)という商品があります。自分がプレーヤーとして、練習するときに意識していたことなんですけど、バッティングでも守備でも、頭の位置を動かさないっていうのがあって。それを形にしてみようと思ったんです。頭の上に、水を入れたたらいを乗せていろんなことをする、お笑いの動画を見せてプレゼンしたんですよね。そしたら、『それ行こう』ってなって。即決でした。われながら衝撃でした」 企画開発会議の中心メンバーである、企画開発課課長の小林夏希の元には、彼女の親しみやすい性格が引き寄せるのか、多くのアイデアが集まるようだ。「スイングの時に『トップハンド』と『ボトムハンド』で別のグリップを持って振る、トップハンドグリップ(FTHG-2212)が生まれたのは、私の高校、大学時代の恩師で、いまは履正社高校女子野球部の監督をされている、橘田(恵)さんのアイデアからです。スローイングパートナー(FSLP-18)や、くるくる巻いて持ち運べる、どこでもホームベース(FDH-43N)もそうかな。彼女のアイデアは、いろんな商品になってるんです」 それだけではない。「ノックラケット(FKR-5325)は、ボールパークに子どもと一緒に来ていた、お母さんとの会話から誕生しました。いろんな方から、新商品のヒントがもらえるんですよね」 あらゆる方面にアンテナを張って、それが有用となれば、商品化の方向で話が進む。「よし、それで行こう」。そうして、フィールドフォースの新商品は次々と製品化されてゆく。 成田はこんな考えを口にする。「新商品も、まったく新しいものを作り出すパターンと、これまであるものを改良したり、変化をつけて形にする方向性がありますよね。僕は縦軸、横軸って考えてます。そして、中には、そのどちらかだけとも限らなくて、アイデアを掛け合わせることによって、また新たなものが生まれることもあるんだなあって、実感するときがあるんです」 成田の試打がきっかけで生まれたという、モンスターウォール(FKMP-2116BLK)と同じ素材を使ったオートリターン・投打ネット(FTM-280ARTAN)をはじめ、ネットやマシン類には、そうして生まれた商品も多そうだ。 人とのつながりが、さらに人を呼んで…… 人と人とのつながりが、さらなるつながりを呼ぶのだろう、フィールドフォースの名はなかなかのスピードで広まっているようで、企画開発会議がスタートした当時と比べても、高校や大学などの野球部、さらに社会人チームやプロ野球球団まで、幅広い分野のチーム、選手からの声が掛かることが増えた。さらにいえば、野球ではない他分野のスポーツ関係者からも……。「商品の購入だけでなく、『こんなものないでしょうか』というリクエストや、新商品のご提案までいただきます。ありがたい限りです」 吉村はそう感謝する。 また、フィールドフォースとパートナーシップを結んでいる井端弘和さんは、侍ジャパンの監督となった現在も、忙しい時間を縫ってボールパークを訪れ、開発中の商品に対して感想や、アドバイスを送り続けてくれている。ほかにも、井端さんの盟友でもある、元NTT東日本監督の飯塚智広さんをはじめ、前沢力さん、相澤一幸さん、緑川大陸さんなど、いまでは多くの外部の方々の提案から、新たな商品が生まれている。「創業当時には、想像もしてなかった状況です。振り返ればやはり、多くの人たちとの出会いと、その思いに必死に応えてきた結果なのかなと思います」 吉村はそう言い、続けた。「これも創業当時、われわれの思いに応え、フィールドフォースの商品を大々的に展開してくれたスポーツ量販店さんの決断が最初にあったから。そして商品開発にしろ、販売にしろ、われわれの軸足は常に、学童・少年野球にあるということ。そうした恩だったり、基本だったりを忘れることなく、続けていくことが大切なんだと思います」 エアフライの場合 すでに定番化しているジュニア用のスポーツサングラス・エアフライのラインアップに、つい最近、新たに2種類のミラータイプが加わった(FAF-101JBK-GMとFAF-101JBK-BL)。 数あるフィールドフォースの商品ラインアップの中でも、エアフライの取り扱いは特殊だ。そもそも、自社製造商品ではなく、フィールドフォースは商品販売に徹しているのだ。 この関係性は、すでに商品化されていた大人用の実物を見た吉村が、製造元であるジゴスペック社に連絡を取ったことから始まった。「とある売り場で、大人用のエアフライを見たんです。一目ぼれでした。このサングラスの特長は、ノーズパッドがなく、頬骨の上のサイドパッドで固定する仕組み。これは画期的だと。ボールが顔面を直撃する可能性もある野球には、これ以上ない構造だと思えたんです」 当時、エアフライがメインに打ち出していたのは、大人のランニング用だった。「そのときはまだ、学童野球でも試合中のサングラス着用は認められていませんでしたが、子どもたちの目の健康を考えたら、有効なのは間違いない。これはエアフライの特許を持つジゴスペックさんにお願いして、野球、それもジュニアのカテゴリーについては、ウチの独占販売にしてもらえないでしょうか、と」 思いは通じ、野球用、ジュニアカテゴリーの商品はフィールドフォースの独占販売となり、前述通り、現在は定番商品となっている。 壮大な名の計画の行方は…… 吉村の発言が起点となったという点では、さらに新しい動きの兆しもある。 フォロワー1万3000人超えのインスタグラム上で、吉村が「ものつくり大国日本再生計画」なる呼びかけを行ったのだ。随分、壮大である。「フィールドフォースはこれまで、日本で企画・開発した商品を、主に中国の工場で作って、販売してきました。それが当たり前になってしまって、知らないうちに、何かバリアみたいなものが出来上がってしまっていたのかもしれない。外部からも、そんな風に思われているんじゃないかと」 しかし、これは本意ではない。これまで見てきたように、フィールドフォースの活動にNGはなく、むしろ、他者(他社)との関わりの中で生まれたり、発展、改良されてきた商品やサービスも多いのだ。 吉村が続ける。「いろんな方と知り合う中で、あらためて日本の『ものづくり』のすごさを実感しているんです。この国には、ものすごいポテンシャルを持つ会社や工場、町工場も多い。そういうところとつながることができれば、いま以上のものを作り出すことが可能なんじゃないかと思うんです。だから、バリアはすべて取り払って、そうした“思い”のある方たちとつながっていけないものかと思ったんです」 すると、それを見たという数社から、早々にメッセージが届いたのだという。「びっくりしました。まずは僕がいろんな会社に連絡して、足を運んで……なんてイメージしていたんですが、逆にこちらに、熱い思いを送ってくれた方がいたんです」 もちろん、一も二もなく、吉村からはこれに返信。助走期間もなく、計画が動き出してしまったのだった。 もちろん、受け身だけではない。「当初の計画どおりに、こちらからもいろんなアイデアを持って、様々な方とのつながりを求めていきたいですね。こんな会社があってもいいですよね?」 また新しい「何か」が生まれようとしている。
[vol.8] 唯一無二の商品を! フィー...
![[vol.7] 唯一無二の商品を! フィールドフォースの商品開発(上)](http://www.fieldforce-ec.jp/cdn/shop/articles/ac3e0e6a5adf8911ac46a471cc270adc_ec9e826b-ff22-44cf-8246-087b1e91ce23.jpg?v=1751534926&width=533)
[vol.7] 唯一無二の商品を! フィー...
毎月、次々と新規アイテムの発売を続けるフィールドフォース。そこまで頑張らなくても……と思わなくもないのだが、そこにこそ、この会社の信念と哲学がある。熱量のあるプレゼンテーションと忌憚のない議論により、無から有を生み出し、それを形づくる。新商品を生み出す過程の中にも、フィールドフォースらしさが詰まっている。 新規商品、毎月3アイテム! 毎月、新商品を最低、3アイテムは発売すること。 これはフィールドフォースの決まりごとだ。社長の吉村尚記はことあるごとに、これを公言しているので、企業秘密でも何でもない。このホームページ内のどこかでも言っていた気がする。「これも私のコラムで書いていますが、自分の心の中にある考えを言葉にすることで、自分に嘘がつけなくなるじゃないですか。そういう思いも込めて、公言するようにしてるんです。最初に言ったのは、自社のECサイト中心で販売を行っていくことを決めた、2020年過ぎですね。一昨年くらいからは、外に向けても会社の姿勢として、積極的に発信するようにしているんです」 もっとも、実際にはそれ以前から、ほとんどこのノルマをクリアするペースで商品をリリースしてきたので、この言葉は、自分に向けてというよりは、主に社員の奮起を促すための“所信表明”だったのかもしれない。 白熱の開発会議 新商品は、毎週行われる定例の商品企画会議でアイデア出しや議論が重ねられ、発案から試作、修正などを経て、商品化される。 この会議には、本社からだけでなく、各ボールパークで働くメンバーも参加する。現地の商品ユーザーやボールパーク利用者から寄せられたり、依頼を受けた案件などの情報も貴重だ。 この会議では、ほとんどの新商品のアイデア提起に対する、頭から否定的な意見を聞くことがない。基本的には、すべてのアイデアを形にしようという、前向きな意見ばかり。これはフィールドフォースの持つ企業文化といってもいいのではないだろうか。 闊達な意見交換により、驚くスピード感で、次々と商品化が進む。6月にはタイヤ付きネット(FBNH-2021WTなど4商品)、動的ストレッチャー・股関節FDS-77KKS、ボール回収トンボFBK-115Tなどが発売された。7月はすでに動的ストレッチャー・肩甲骨FDS-8080KKK、冷感パーカータオルFCHT-100BLをリリースしており、8月以降のラインアップも決まりつつある。「大まかに言って、商品の“賞味期限”って、だいたい1年くらいだって話しているんです。どんなに良い商品も、それくらいの時間が経つと、飽きられてしまうことが多いんです」 これが吉村の、これまでの経験からくる実感だという。 例えば、「ダミーくん」 長期にわたり売れている、フィールドフォースの定番商品に「ダミーくん」がある。投手が投球練習の際に、ただキャッチャーミットをめがけて投げるのではなく、打者がいた方が練習になる、ということに発想を得た、打者に見立てた、メッシュ素材の人型の置物である。 見た目も機能もシンプルだが、学童野球や中学野球はもちろん、プロ野球投手の練習風景の中にも「あら、こんなところにもダミーくん」というほど、多くの場所で見かける、つつましくも頼りがいのある、ベストセラーである。「現行のダミーくんは4代目ですね」 デッドボールを受け流せる仕組みにしたり、身長を調整できるようにしたりと、何度も改良を重ねながら、現在も「ダミーくん・スラッガー」として活躍中である。ダミーくんもまた、「100点満点の商品はない」という吉村の信念を体現している商品のひとつといっていいだろう。 タイプで分けると…… これまで、フィールドフォースが作ってきた商品をあらためて見渡すと、フィールドフォースが新規で上市してきた商品には、いくつかのパターンがある。 過去にリリースした商品の弱点を補ったり、新たな機能を加えることでブラッシュアップした「リニューアル型」、まったく無の状態、あるいは他分野の製品から得たアイデアを形にする「新規型」、前記ふたつの形で生まれた商品からヒントを得て、バリエーションとして誕生する「派生型」の商品である。 ダミーくんは、この中でいうなら「新規型」として誕生し、「リニューアル型」としてロングセラーになった商品ということができるだろう。 モンスターウォールから派生 西武ライオンズからの依頼を受け、「壁当て」のために作った「壁」(→製作の経緯はこちら)の構造原理から着想を得て、それを形にすることで、シンプルな構造ながら、メディシンボールをぶつける衝撃をも吸収してしまうという「モンスターウォール」(→開発秘話はこちら)。 これに使われているポリエチレン製のネットは、これまでの格子状ネットと比べ、衝撃吸収力と耐久性に優れた素材だが、これは農業や漁業でよく使われていた、遮光や養生用のネットにヒントを得ているという。「この素材との出会いは大きかったですね」 と吉村。野球向けに流用するにあたっては、その厚みや繊維の密度を見直してはいるものの、これまで野球に縁のなかった素材にスポットライトを当てたのは、フィールドフォースらしい選択といっていいだろう。 そして、既存のオートリターンネットなどバッティングネットは現在、こちらのネットへの置き換えが進んでいる。 このきっかけになったのは、ボールパーク事業部長・成田雄馬のひと言だった。「ある日、成田がモンスターウォールに向かって、黙々とバッティングで打ち込んでたんですよ。『これ、バッティング用にも行けますよ』って。そこから、オートリターン用のネットにも使い始めたんです。成田のおかげです」 ◇ ◇ もうひとつ、モンスターウォールにも使われているが、軟式ボール用やトスマシン用ネットの支柱に多く使われているのが、グラスファイバー製のポール。「これはグラスファイバー製ポールを使った、キャンプ用テントを見たのがきっかけでした。しなることで、風などにも強く、耐久性もある。これは使えるんじゃないかと」 ボールの衝撃を受け止めるために、柱を重く、硬いものにするのではなく、柱自体が衝撃吸収性を持った素材にすることで、これまでのバッティングネットに比べ、格段に軽量でコンパクト、持ち運びにも適したものができるようになった。グラスファイバーポールになったことで「モバイル」化したり、リニューアルしたりと、派生的に生まれた商品も少なくない。これも発想の転換から生まれたヒット素材だ。 鹿威しから連続ティー 思ってもみないところから、アイデアが生まれた商品もあった。「鹿威しって、すごくないですか」 以前、吉村が不意に、こんなことを言い出した。 日本庭園にある、流水で竹筒を徐々に満たすことによりシーソーの原理で上下し、カコーンと音を響かせる、あれだ。「電気も使っていないのに、一定の間隔で音が出る。あの動き、何かに取り入れられないかと思うんです」 そんな会話からしばらくすると、「連続ティー・テニスボール専用」FBT-500RTの試作品が出来上がっていた。バットでストッパーをチョン、と下げると、ゆっくりとボールが「雨どい」状のレールをつたって落ち、下に設置した小型トランポリンで跳ね、ちょうどいい高さに来る。2球目以降はボールの重さとシーソーの原理で、セットしたボールが自動的に連続で落ちてくるのだ。自分の「間」で待って、うまく「タメ」を作ってそのボールを打つという、風流ながらも理にかなった練習ができる佳作商品だ。「電気を全く使わず、こんなことができる。昔の人の知恵ってすごいなあ、と思いながら作りました」 吉村は楽しそうに、そう話すのだった。 唯一無二の存在に こうして次々と作られるフィールドフォースの商品の多くは、唯一無二の存在だ。 もちろん、それぞれの商品自体が革新的であり、「痒いところに手が届く」ものであることから、多くのヒット商品が生まれてきた。 が、ヒット商品に対し、後発の類似商品が生まれるのも世の常。徐々にではあるが、ネット上で、フィールドフォースの売れ筋商品の類似品を見かけることが多くなってきた。 これまでも、類似品の多い「穴あきボール」をフィールドフォースのトスマシンで使い、思うような使用感が得られないといった相談を受け、フィールドフォースオリジナルのボールを使うよう注意喚起したり、可能なものについては知的財産権を申請・取得するなどしてきてはいるが、それ以上の防衛はできないのが現実である。 強味は、常に新規アイテムを世に送り出してきた、フィールドフォースならではのアイデアと人材、それを形にする「ものづくり力」であり、これまでの生産と販売を通じて培ってきた、人とのつながりといったところか。「これまでやってきたことを誠実に続けて、ブランド力を上げること。できる限りのことを、こちらからも発信してゆくこと。これまでやってきたことも、いまやっていることも、すべて正解だと思ってますから」──。
[vol.7] 唯一無二の商品を! フィー...
![[vol.5] 一般用も少年用も女子用も こだわり満載!フィールドフォースのグラブ(下)](http://www.fieldforce-ec.jp/cdn/shop/articles/SSG_1460_53740bc4-3497-4e30-aaf2-95728b5713a3.jpg?v=1750313368&width=533)
[vol.5] 一般用も少年用も女子用も ...
現在、フィールドフォースは主に学童・少年選手向けの「FIELDFORCE」、一般向けの「Glom」と、ふたつのブランドでグラブの製作・販売を行っている。さらに、Glomでは「G-Lioness」として、女子選手向けのラインアップも展開中。既存商品のマイナーチェンジ版ではなく、素材や構造まで踏み込み、1から女性向けに企画・製作された力作ぞろい。ユーザーのこだわりを形にし続ける、フィールドフォースがグラブ作りで目指すのは……。 作るぞ、女子選手用グラブ 女子野球元日本代表の肩書きも持つフィールドフォース社員、小林夏希。驚くほどのバイタリティで、数多くの女子チームや、女子野球大会の現場に足を運び、指導者からベテラン選手、野球を始めたばかりの学童選手まで、多くの女性野球人との交流を広げている。フィールドフォースが女子野球を応援し、女子選手向けの商品を展開するプロジェクト「WOMEN'S FORCE(ウーマンズフォース)」の一員としても奔走する毎日だ。 その小林が言う。「実は私、中学生の頃、グラブ職人になりたかったんです」 初耳である。「もともと、小学生のころから、使わなくなったグラブを分解して、『なるほど、ここはこんな風になってるのか』なんてやってる子どもでした」 フィールドフォースの求人に応募したときも「野球」「グラブ」のキーワードで検索して、見つけたのだとか。「入社後も、『グラブ工房に配属希望です』なんて言って。(工房に)入り浸ってたこともあります。いろいろ教えてもらって。紐通しまではできるようになったんですが、縫うのは無理でした。ちゃんとグラブの形にならない。職人さんになるっていう、そこまでの覚悟はなかったってことですかね」 あきらめも早い。 が、そこはフィールドフォース。小林の思いを形にしてくれる、グラブ工房長・篠原智明がいる。こうして、小林があたためていた企画、「女子選手向けグラブ」の開発・製作がスタートしたのだった。「結局、職人になる覚悟はなかったけど、グラブ作りに関わりたいという甘い考えは、うまい具合に形になって……。最高です」 と小林。 すでに野手用とトレーニンググラブは製品化されている。そのこだわりや特徴は、以下のエントリーに詳しい。 https://www.fieldforce-ec.jp/blogs/womensforce/glove-choice 少年用グラブの経験が助けに 一方、篠原の当時の回想は──。「もともと、この仕事をしていながら、女子野球とのかかわりはそれほどありませんでした」 と篠原。「YouTubeなどで動画を見たり、ボールパークに女子選手がいたら、使ってるグラブについて話を聞かせてもらったり、それくらいで。実際にプレーを見たこともほとんどなかったんですが、その最前線でプレーされていた小林さんが会社に入って、いろいろ話をする中で、だんだんと女子野球が身近に感じられるようになって。で、彼女から、女子野球選手用を作りたいんだっていう話が出て……」 それがスタートだった。 どんなものを作るか? どう進めるか? 完成形のイメージについては、小林から積極的な提案があった。「一般用よりは小さめで、硬すぎず、でも柔らかすぎず、デザインも女性らしくしたい、とか、いろいろとポイントが挙がりました。その中で意見が一致したのは、グラブに手を入れたときのフィット感を大切にしたい、ということでした」 これまで、女性用グラブと銘打ったグラブには、全体的な大きさを小さく調整したものや、部分的に調整できるようにしたスタイルのものが多かったが、素材や構造など、根本的に見直すべき点も多く感じたという。 すでに販売されている一般用グラブのバリエーションとしてではなく、あくまでオリジナル商品として、1から作りたい。ではどうするか? これまで試行錯誤を繰り返し、形にしてきた学童・少年用グラブ作りの経験に、そのヒントがあった。「ベースになる形を作っていくんですが、指袋が少し手前にあって、操作性重視の形にする。そして、全体のフィット感を出すために、ベルトの幅を短くして、手の甲の部分を少し下げて隙間をなくす。構造部分でいうと、硬くしたい部分は残しつつ、握力は一般よりも弱いので、柔らかく動かしたい部分は、柔軟性のある素材にしたい。このあたりは、少年用グラブ作りの応用なんです。貼る革の配列、芯材の種類、革を薄くすく幅……。手入れ感、動かし方、このあたりは少年用と共通です」 とはいえ、当然、すべて少年用と同じというわけにもいかない。女子選手用で独特な部分はどうか。「できるだけ、指先に重さを感じないような作りにしました。指先の方を薄くして、手前に革を当てて厚くすることで、できるだけ重心を手前(手首側)にしたんです。指先が重く感じると、それだけでグラブの使い方が変わってしまい、一歩目のスタートが遅れたりもするんです」 一般用、少年用、女性用。専用のタイプを作り上げるのに必要なのは、それぞれに適したフィット感の要所を突き詰め、形にすることだった。 こだわりの新作、その秘密は…… すでに開発の最終段階に入っており、近々、発売される予定のG-Lionessの新作、ピッチャー用グラブとキャッチャーミットは、これまで以上にこだわりポイントが多い、自信作でもある。 これまでと大きく違うのは、実際に使う現役女子選手から篠原が直接、使用感などを詳細に聞き取り、その意見を落とし込んでいる点だ。「ちょうど(今後、オープン予定の)ボールパーク仙台の鈴木崇良君が仙台大学の女子硬式野球部を訪問するタイミングで、僕も仙台に行っていたので、時間を合わせて帯同することができたんです」 篠原が振り返る。「そのときに、選手たちの練習も見ることができたんですが、それにより、以前とは少し、イメージが変わりましたね。これまでも小林さんと一緒に女子選手用のグラブを作ってきたんですが、女子選手は一般的に手が小さいので、一般用に比べ小さめにしよう、というのを前提に考えてしまっていた。でも、実際に彼女たちの練習を見てみると、思っていたよりはみんな、大きなグラブを使っているんです。内野手は小型のものより中型、外野手も一般の外野用とか……」 篠原はその後も、彼女たちの練習の様子、選手のグラブ使いについて、じっくりと観察を続けた。どうやら彼女たちのグラブ選択は、女子野球独自のプレースタイルから来ているのではないか、と感じたのだという。「小技が多くて、スピードが重視される。守備範囲ギリギリのプレーも多いから、大きめのグラブを使っているんだろうな、と。自分の身体にプラスして、グラブの大きさまで守備範囲に加えることで、勝負するというか……。現場を見て、そんなことを思ったんですよね」 その後、持参したサンプルも実際に使ってもらい、彼女らに意見を求めた。「自分のプレーに合ってるという選手もいれば、もう少し大きい方が、という人もいたり、いろいろでしたね。指部分がもっと長い方がいいという人、もう少し横幅があった方がいい、という人……。そんな中で、どの選手にも共通していたのは、手入れ部分ですね。ここは少し狭くした方がいいと」 そう言って、篠原はうなずいた。グラブ全体としての大小の好みはあっても、手入れ部分から手の甲の部分のフィット感に対するリクエストは共通していたのだ。「これまでも、小林さんに意見をもらいながら試行錯誤をしてきたんですが、実際の練習で選手のプレーを見て、話を聞いて、使ってるグラブを見せてもらって、これまでぼんやりと抱いていた、ギャップみたいなものが埋まった感じがしたんです」 その後も試作を重ね、新作はいよいよリリース間近、というところまで来ている。 グラブ作りにゴールはない 「100点満点の製品はない」 これは社長の吉村尚記が「ものづくり」に関してよく口にする言葉だ。数多くの練習ギアやマシンを世に送り出しているフィールドフォースだが、どの製品にも改良の余地があり、現状で満足せず、常により良い製品を作り続けなければならない、という意味合いである。 篠原も一見、似たようなセリフを口にする。「グラブ作りに、ゴールはないんです」 これは、吉村の言葉とは少し意味が違う。 グラブは、手にしたプレーヤーが100点をつけるのなら、それは満点の商品だ。「でも、正解は使う人によって違うんです」 100人のユーザーがいれば、正解は100通りある。常にその人にぴったり合う、オンリーワンのグラブを目指して作り続けるしかないのだ。「どれだけ経験を積んでも、グラブが出来上がって、お客さんに手渡すときは、いつも不安です」 完成品を手渡し、それをはめたときの反応と、腕の様子で分かるのだという。「その人にピッタリと合ったグラブは、前腕に余計な力が入りません。グラブをした状態で脱力できていれば、そのグラブは合っています。逆に、グラブをはめた前腕に筋が出ているときは、合っていないということになりますね」 そのときのユーザーの反応はどうか。「自分の手にピッタリと合ったグラブをはめて“いいですね”と言ってくれる人もいれば、思わず“すげぇ”ってつぶやく人、何も言わず、ただ笑ってしまう人もいます。そんな反応を見ると“よし”となりますね。ただ、“いいですね”と言いながら、無意識に、グラブと逆の手で、自分の型をつけるように、グラブの先をギュッと揉むしぐさをする人がいます。これは、完全には合っていないサイン。『ちょっと貸してください』といって、気になっていそうなところを、あらためて型付けしてあげると、“あぁ、これです”となることが多いですね」 手にしたグラブを見つめながら、篠原は柔らかな表情を見せるのだった。 ◇ ◇ 現在、ボールパーク足立をメインに活躍する原汰希は、フィールドフォースの会社名も、その存在も知らなかった大学1年生のときに、先輩から借りて使ったキャッチャーミットの使いやすさに驚いたという。「軽さといい、操作性といい、完璧で。思わず先輩に『これ、なんていうメーカーのミットですか』って聞いちゃいました」。その後、縁あって、その会社に就職。「最近、4つ目のミットを作っちゃいました……」。現在も、フィールドフォースのグラブの熱烈ファンだ。 本社で商品企画に、営業にと多忙な日々を送る今泉翔太は、大学まで他社のグラブを使っていたが、入社後、篠原にグラブを作ってもらった。「一般的には、オーダーグラブといっても、カスタマイズできる部分ってそんなに多くないんです。でも、篠原さんは細かな部分まで好みを聞いてくれて、形にしてくれる。ひいき目なしに、ウチのグラブは良いですよ」と言い、こだわりのグラブをポン、と叩いた。
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![[vol.4] “かゆいところに手が届く”! フィールドフォースのグラブ(上)](http://www.fieldforce-ec.jp/cdn/shop/articles/top_2f45126a-e3bb-4a8c-9763-72b46125a881.jpg?v=1749705104&width=533)
[vol.4] “かゆいところに手が届く”...
数多くの練習ギアの開発や、各地で展開するボールパーク事業はもちろん、グラブ作りも、フィールドフォースの大きな柱となる事業だ。東京・足立区に構えるグラブ工房で、小学生から大人まで、多くのプレーヤーのリクエストに応えて製作されるオーダーグラブもまた、「かゆいところに手が届く」フィールドフォースの看板商品。学童低学年選手向けのスターターグラブもまた、唯一無二の存在感を放っている。 小さい子こそ良いグラブを フィールドフォースの現会長・大貫高志が社長だった頃に聞いた、こんな言葉が忘れられない。「野球を始めたばかりの子どもたちにこそ、本物のグラブを使ってほしい。自分の手に合った、しっかり捕れるグラブです」 淡々と、しかし熱のこもった口調だった。「自分に合ったグラブで“パチーン”と音を出して捕る、その快感を知ってほしいんです。おもちゃのグラブを使ってうまく捕れず、野球が楽しくなくなる、そんなことはどうあったって、避けなきゃいけない」 バットで打つ楽しさとともに、グラブでボールを捕る楽しさは、野球の基本。それを知ってもらうために、子どもたちにこそ、いいグラブ(もちろん、高価なグラブという意味ではない)を使ってほしい──。 創業当時からの思い。グラブづくりは、学童・少年野球の選手たちを応援する、フィールドフォースの根幹のひとつなのだ。 こだわり素材で捕りやすく! 現在、フィールドフォースの商品ラインアップにある学童低~中学年選手用のグラブは、主に低学年用のStage1「グリーングラブ」と、中学年向けのStage2「上手くなるグラブ」のふたつ(幼児向けにはStage0「グリーンマメグラブ」もラインアップ)。いずれも素材の柔らかさとフィット感を重要視し、低年齢層の選手特有のグラブ使い──親指を使わず、残りの4本の指で握り込む使い方が多い──を前提にしたデザインを採用しているのが特長だ。 Stage1、2どちらも、企画と型作りはフィールドフォースが東京都足立区に構えるグラブ工房で行い、海外の工場で生産している。「一番最初に使うグラブは大切だと思います。ちゃんとしたグラブを使い、ボールを捕るのは楽しい、と感じてほしい。ボールが思うように捕れないというのは、バッティングで打てないのと同じで、野球が面白くなくなっちゃうと思うんです」 グラブ工房立ち上げの2017年から工房長を務める、グラブ職人の篠原智明が商品開発の経緯を説明する。「まずは握る力の小さな子どもでも使えるようにと、Stage1では、柔らかさに注力しました」 歴史をさかのぼると、Stage1は、現行商品が3世代目となる。初代のStage1は、素材に牛の床革(皮の表層をすいた内側の革)を使用し、作られた。「これは柔らかさはよかったのですが、耐久性という点で、やや難があったんです」 と篠原。柔らかさや操作性の面で画期的なグラブだったが、バックスキンに似た表面の床革は、ボールの擦れによる劣化が早かったのだ。 次に登場した、「Stage1evolution」と名付けられた2代目は、初代の捕球面に、ドット状のシリコンを接着した。シリコンが革の表面をカバーしつつ、グリップを増すという利点はあったものの、「それでもやはり、まだ弱かったですね」 そうしてたどり着いた3代目Stage1、すなわち現行のグリーングラブでは、牛ではなく、豚革を素材に採用した。 これには経緯がある。「柔らかさと、商品としてリーズナブルなものを作ろうと考えたときに、豚革は以前から素材の候補には上がっていたんです。ただ、最初(初代Stage1)の頃はまだ、水分に弱いという欠点があった。一度水に濡れると、変に硬くなってしまい、最初のようには戻らない。だから見送っていたんです。しかし、加工技術が進歩したこともあって、水分にも強くなった。もともと柔らかさは理想的な素材で、軟式ボールとの相性も良い。これなら湯もみや型付けをしなくても、最初から使えると」 こうして、柔らかさも耐久性も、ほぼ満足できる、スターターのためのグラブが出来上がったのだった。 子ども用は「小型の大人用」にあらず Stage2・上手くなるグラブは、Stage1とは違い、牛革を素材にしている。ただし、タンブリング加工(叩き込み加工)により、通常の少年用よりもはるかに柔らかさと、しなやかさを持ったものだ。 素材は違えど、Stage1、2では共通するデザインがいくつかある。 手首のベルトを一般的な親指側からではなく、小指側から一体成型し、親指側でレースで結びつける形としていることがひとつ。小指の下方に切れ目(スリット)を入れ、柔軟性を持たせるデザイン、ウェブの上部、通常はレースで巻いている部分を、レースを省略し、切れ込みを入れることで、弱い力でもグラブを閉じやすくする加工も、このシリーズならではだ。 「子どもは手が小さいので、通常のベルト形式だと、小指の下に隙間ができ、そのせいで手がするっと抜けそうになることがあるんですよね。小指側からベルトを巻く形にすることで、手のフィット感が増すんです。そして、スリットがあることで、小指もスムーズに動かすことができ、グラブの操作性がアップします」 ほかにも、大人用のグラブとでは、構造的に大きく変えている部分があるという。「手首の部分もそうですが、指が入る部分、指袋といいますが、この部分は、指がより深く入るように設計しています。子どもは手が小さいだけではなく、手のひら、手の甲の厚みも少ない。しっかりフィットする設計でないと、グラブの中で手が不必要に動いてしまったり、指先の“遊び”が大きすぎたりします。それだけで、グラブがうまく握れなくなっちゃうんですね」 つまり、大人用に比べ、より深めに手が入るような形にするのだ。これはStage1も2も、変わらないのだという。大人用をそのまま小さくしても、子ども用のグラブが出来上がるわけではない。「小学1年だった子が4年生になっても、手の大きさや厚さは、そこまでは変わらないですね。あとは、その次、高学年になってどうするか、というところです」 実はStage2の次のクラスのグラブとして、Stage3として、少年用ポジション別グラブもラインアップには存在するが、「実際には、ほとんど出ていないんです」 と篠原が言う。「ウチの学童用を使っていた子は、ありがたいことに、次にはほとんど、オーダーグラブを作ってくれるからなんです」 少年用だからこその奥深さ フィールドフォースには、ボールパークがある。そこで行われるスクールや野球塾で学ぶ選手も多く、小学生の利用者は多い。当然、ボールパークの利用時や、その空き時間に、グラブに関する相談に訪れ、アドバイスを求める選手や、その親は多い。「グラブ工房は2017年にスタートしていますが、最初の1、2年は土台作りというか、基盤づくりというか、準備的なことに費やしていたので、本格的にオーダーグラブにとりかかったのは2019年くらいなんですね」 それから6年。コロナ禍もありつつ、それでも直接、あるいは各ボールパークのスタッフを通して、グラブに関するアドバイスを求めてくる選手は徐々に増えていった。 札幌、旭川と、ふたつのボールパークを展開する北海道には毎年、協賛大会である「東川グリーンカップ」が開催される秋に出張し、臨時のグラブ相談会も開いている。「年に一度の開催ですが、継続的に相談に訪れてくれる選手もいます。小学生の頃からグラブを作ってくれて、ことし高校に入って、新しいのを作ろうか、みたいな子も」 フィールドフォースほど低年齢層に特化したグラブのラインアップを持つメーカーも珍しいが、ユーザーとの距離がこれほど近いメーカーも、それほどないのではないか。「毎年、平均すると7、80人……100人はいかないと思うんですけど、それくらいの学童選手の話は聞いてますね」 当然、それにより、篠原自身の経験や知識も増えてくる。「対面でやっぱりこう、いろいろ話しながらできるっていうのは、ウチの強みだと思いますね。僕はフィールドフォースに入社する前、ベースボールショップで働いていて、グラブのメンテナンスなどには携わってましたが、その頃は、子どもが使うグラブって、なんでペッタンコなのに捕球面が浮いちゃうんだろうとか、疑問に感じてたんです。でも、それはずっと、疑問のまま終わってしまっていて」 やがてフィールドフォースのグラブ職人になり、子ども用グラブの設計や、素材探しに奔走し、現場で多くの選手と接する中で、その疑問が氷解したのだという。「いろんな選手と話をして、それを形にしてゆく作業の中で、それまで感じていた違和感というか、疑問が突然、『こういうことだったのか』と、かっちり当てはまるケースが多かったんです」 ただ、相談に答えるための知識の引き出しは増えても、選手が違えば、その答えもまったく違う、そんなことも往々にしてある。「学童の選手でも、高学年になれば、革は大人用と変わらないものを使うことも多いんです。打球が強くなったりすれば、柔らかいグラブでは、ボールの勢いに負ける、つまり、ボールを受けたグラブが後ろに持っていかれるようになってしまうこともあるんです。ただ、“このグラブが自分に合ってるんで……”という子もいる。そのときは、グラブを替えずに内部を補強したり、Stage2の形で、一般用と同じ革を使って作ってあげる、なんてこともありますね」 篠原は続ける。「その一方で、高学年になると、その後の成長も考えておかないといけない。ちょっと大きめに作っておいて、中学まで使うようにしよう、とか。ポジションもあります。学童のころはピッチャーだったけど、中学で野手になったり、学童のときとは違うレギュラーポジションが決まる子だっている。あるいはその先、高校まで考えているとすれば、また違った選択肢も考えられます」 選手が100人いれば、答えは100通りある。いまや篠原は『学童野球グラブ職人』の第一人者といっていいのではないか。 こうしたグラブ製作はもちろん、工房長の篠原ひとりでやっているわけではない。現在、グラブ工房では篠原をはじめ、菅家海翔、大平徳子、越智希美子、町田正美の5人のスタッフが日々、オーダーグラブの製作やメンテナンスにフル稼働している。工房の立ち上げから8年。フィールドフォース製グラブを手に、活躍する選手を見る機会も、これからますます、増えるのではないだろうか──。
[vol.4] “かゆいところに手が届く”...

vol.3 “変態的”商品が定番に ピッチ...
フィールドフォースの“顔”たるトスマシン・オートリターン以外にも、そのピッチングマシン/トスマシンのラインアップには、「ひとり練習」にピッタリな個性派商品がずらり。いずれも“らしさ”満載、唯一無二の存在感で、発売以来、ヒットを続けている。数ある中で、あなたのひとり練習にぴったりなのは、どのマシン? 実球を打てるトスマシンを! 穴あきボール、ウレタンハードボールを使うトスマシン・オートリターンは、少年野球に新たな練習方法を提示した、画期的でありながら手軽、気軽なフィールドフォースの看板商品。それでも続けて練習に使ううちに、こんな風に感じる人は多いだろう。「実際に軟式や硬式のボールを打てたらいいのに」──。 そんな素朴な欲求に応え、開発が始まったのが硬式・軟式トスマシン。その初号機であるFTM-230の開発の歴史は古く、穴あきボール用の最初の(オートリターンではない)トスマシンFTM-251の商品化から間もない時期に始まっている。 やがて開発と試作、トライ&エラーの時期を経て、「待望のマシン」として登場したFTM-230は、ボール発射部に板バネを使うことで安定性と耐久性を両立させることに成功したもので、2016年の発売と同時にヒット商品となった。発射角度の高低を調整することで、硬式ボールにも、軟式ボールにも対応。マシンの発売から1カ月後には、FTM-261用のオートリターンネットをベースに、フレームの強度やネット自体の素材などを見直して開発された、専用のオートリターン用ネットも登場し、こちらもヒット商品となった。 しかし、FTM-230はその特徴である、板バネの使用がウィークポイントにもなっていた。ボール発射時に、かなり大きな甲高い金属音が響くという、克服すべき課題があったのだ。 改良が重ねられ、1年後には(FTM-230は変わらずヒット商品であったが)、板バネからFTM-261同様のコイルスプリングに変更し、静音化と省電力化に成功したFTM-240が登場する。バネの張力を4段階で調整できるようにし、硬式球と軟式球の両方に対応。専用のオートリターン用ネットも発売された。 現在はさらにバージョンアップされた、FTM-242が販売されている。オートリターンネット・軟式/硬式FTM-242ARとともに使うことで、オートリターン化が可能。少しずつ進化しながら、定番商品となっている。 小さなボールが大ヒット! ミートポイントボールFMB-50(50個入りパッケージの商品型番)は、直径40ミリの小さなボール。大ヒット商品となった、穴あきボールFBB-20の派生商品として誕生した。 FMB-50では、バットの芯で捉えるために高い集中力が必要となる、小さなボールを打つことで、動体視力を養い、バットコントロールの精度を上げよう、という練習法を提示した。発泡素材・EVAで作られたボールは表面がソフトで、家の中で使っても壁などを傷つける恐れがない。加えて、その軽さゆえ、力いっぱい打っても飛距離が出ない。風の影響を受けやすいため、屋外での使用は難しかったが、逆に、屋内での使用に特化したことで、あっという間に人気商品となった。 FMB-50には青、黄色、ピンクなど、色分けされたボールが入っている。これは「ピンクが来たら引っ張り、青が来たら逆方向へ」などという具合に、色によって打ち分けるといった使用法を提案するため。ミートポイントボールは屋内での新たな練習を可能にするギアとして、少年野球の「自宅練習」に新たな光を当てることとなった。 社長の吉村尚記が振り返る。「このボールは練習用として発売当初からヒットし、いまもよく売れているんですが、これを自動で飛ばすマシンが欲しい、という要望も多かったんですよね」 例によって、短い時間の中で膨大な量のテストと試行錯誤を繰り返した上で、世に送り出されたのが、FPM-103とFTM-401という、ふたつのマシンであった。 推察どおり、F「P」M-103はピッチングマシン、F「T」M-401はトスマシンである。 前回のFIELD VOICEで取り上げた、すべてのピッチング/トスマシンの祖となったFPM-151(穴あきボールを使うピッチングマシン)は、使用にそれなりの広いスペースを必要とすることもあって、使い勝手の点で課題が残り、残念ながらヒット商品にはならなかった。 しかし、新たに登場したFPM-103は、トスマシンよりは広さを必要とするものの、ミートポイントボールの特性ゆえ、専用のネットなどなくとも、「カーテンに向かって打て!」でOK。家の中でも比較的自由に使えるとあって、発売と同時に人気商品となった。「もうひとつ、売れた理由があるんです」 吉村が解説する。「ミートポイントボールは、軽いために、手投げでコントロールをつけることがわりと難しい。マシンのほうが圧倒的に、ボールの挙動が安定するんです」 FPM-103はボールの発射角度を調整できるほか、カメラなどで使う三脚に乗せて使うことも可能となっている。左右のウィールからはじき出されるように、約5秒ごとに発射されるミートポイントボールはかなりの速度。4~7メートルという短い距離もあり、ちょっと驚くほどだ。 家の中で、安全な練習でありながら、このスピード感。バットを振るまでのスペースはなくても、スイングの要領でボールをキャッチしたり、バントの練習をしたりと、工夫次第で有効なトレーニングをすることができる。FPM-103は平日練習を有意義にする相棒として、売り上げを伸ばしていった。 最小スペースでの打撃練習 一方、FTM-401はミートポイントボールを使ったオーソドックスなトスマシンで、専用のオートリターン用ネットと組み合わせた、FTM-401ARも用意されている。このネットは、脚の部分が観音開きになっており、使わないときは折りたたんで、ネット1枚分のスペースで収容可能なコンパクトモデル。ネットの素材も40ミリ径のボールサイズに合わせて、より目の細かなメッシュ状のものが使われている。 このオートリターンセットで提唱しているのは、最小スペースでの打撃練習。もちろん、普段使っているバットでも問題ないが、片手トレーニングバットFTM-401ARあたりと組み合わせれば、他のオートリターンマシンを使った練習とも違う、新たな学びが得られるかもしれない──。 こうして人気となった、ミートポイントボール使用の2機種。特徴的なのは、FPM-103、FTM-401のどちらも、大きくモデルチェンジすることなくヒットを続けていることだろう。これはフィールドフォースの商品、とくにトス/ピッチングマシンとしては珍しい。 なお、40ミリ径のボールとしては、FBB-4020という、FBB-20をサイズダウンした蛍光イエローの小さな穴あきボールもラインアップされており、こちらも打撃練習用の小型ボールとしてヒット商品になっている。このFBB-4020はトスマシンFTM-401では使用できるものの、ピッチングマシンFPM-103では、発射部分の構造上、使用することができない。 シャトルマシン、登場! ミートポイントボールを使うFPM-103、FTM-401と並び、長くヒットを続けているマシンがある。スピードシャトルマシン、FSSM-221。スピードシャトルFSS-6(6個入り)、FSS-405MK(40個入り)などを使用するマシンだ。ミートポイントボール同様、スピードシャトルが先行商品としてあり、それを自動的に発射できるマシンを──という要望に応えて誕生した。 野球練習のための専用小型シャトル バドミントンのシャトルを使った「シャトル打ち」の練習は、少年野球選手が自宅でできる練習として、以前から比較的浸透していた。狭い場所でもでき、親に投げてもらうなど、手軽にできるのが理由だ。 フィールドフォースがまず取り組んだのは、野球練習用に特化したシャトルの製作。水鳥の羽根とコルクでできたバドミントン用シャトルに比べ、小さく軽く、耐久性に優れ、なおかつ安定した飛行性能を持つ──という目標を持って開発に当たった。そして、羽根部分をナイロン、コルク部分をミートポイントボールと同じEVAで成形することで、打撃練習にちょうどよいサイズ感と重量、耐久性、飛行性能を持ったものを完成させた。 具体的にいえば、羽根部分を小型化し、空気抵抗を減らしたことで、投げるときにはバドミントン用よりもよく飛び、コルクをEVAに置き換えて反発性を低く抑えたため、打球はバドミントン用よりも飛ばない、という特性を持たせることに成功したのだ。 この打撃練習用シャトルが、発売と同時に、爆発的なヒットを記録した。そして、このヒットを契機に、ユーザーからの待望論に応える形で、シャトルを自動的に発射してくれるマシンの開発・製造に取り組んだのだった。 当然ながら、シャトルは球体ではないため、これまでのピッチングマシンに比べても難易度ははるかに高い。それでも、EVA部分を左右ふたつのウィールで挟み、はじき出すことで、まっすぐに飛ばすことができる機構が完成。さらにいえば、手で投げるより安定した軌道で飛ばすことに成功した。 こうして誕生したのが最初のスピードシャトルマシン、FSSM-220。これも大ヒットを記録したが、2024年、発射間隔を2段階(約6秒間隔と約8秒間隔)で選べるようにし、後発商品であるLEDスピードシャトルFSSLED-5(シャトルの内部にLEDを内蔵し、夜間でも見えるようにしたヒット商品)に対応するなどしたFSSM-221にバージョンアップし、現在もヒットを続けている。 これからも「変態的」商品を! フィールドフォース本社の商品開発室には、小さな横断幕が掲げられている。 いわく、「パートナー不要 省スペースで最大限の練習効果を! 痒い所に手が届く マニアックで独創的な商品開発」 フィールドフォースの商品開発における姿勢を端的に表すテーマである。 が、記憶とは少し違っている。 当ホームページにある「社長あいさつ」の中に、その答えがあった。「前例にとらわれずに『かゆいところに手が届くマニアックで変態的(独創的)な商品』を企画開発、リリースしていきたい」 そう。そして、かつては「(独創的)」もなく、単に「マニアックで変態的な商品」と言っていたはずである。 今回、取り上げたマシンたち、とりわけミートポイントボールとスピードシャトルを投げてくれるマシンは、「ピッチングマシン」というカテゴリーで考えるなら、かなり「変態的」な商品といっていいのではないだろうか。スピードシャトルなど、そもそも球体ですらないものを、コントロール良く投げてしまうのだから……。 そんなマシンたちだが、いずれ劣らぬ、フィールドフォースの看板商品に育ち、いまでは定番商品である。 今後も増えてゆくであろう、フィールドフォースの変態的な定番商品。ぜひ楽しみにしてほしい。
vol.3 “変態的”商品が定番に ピッチ...
![[vol.2]いまも進化を続けるフィールドフォースの代名詞](http://www.fieldforce-ec.jp/cdn/shop/articles/AR_d2339a44-1b4f-4646-9559-e26a31311c6d.jpg?v=1748511466&width=533)
[vol.2]いまも進化を続けるフィールド...
前回取り上げた、バッティングネット、穴あきボールに始まり、これまで数多くの少年野球選手向け練習ギアを開発、販売してきたフィールドフォース。その中で、ブランドを象徴する商品を選ぶとしたら、やはりこれだろう。 トスマシン・オートリターン。 野球少年たちの「ひとり練習」シーンに革命を起こしたといってもいい、この商品。ユーザーの声、新たなアイデアを取り込んで進化を続けているという点においても、フィールドフォースらしさがつまっている。初登場から15年以上を経た現在も、押しも押されもせぬ大人気アイテムだ。 「これ、使ってるよ!」 2023年から、フィールドフォースとパートナーシップ契約を結んでいる、現・野球日本代表「侍ジャパン」監督の井端弘和さんと、フィールドフォース社長・吉村尚記の出会いは、トスマシン・オートリターンがつないだ偶然だった。「イベントか何かで、ここ(ボールパーク足立)に来たんですよね。で、商品を見せてもらっているときに、『あ、これ。ここで作ってたんだ』って思ったのが最初で」 井端さんは、個人的にオートリターンのユーザーだったのだ。「インターネットで見つけたんですよね。息子が1年生の頃か、もっと前か……。まだボールを投げるとか、打つとか、まともに野球ができるようになる前でした。打ったボールを自動的に回収してくれて、結構、思いきり打っても大丈夫で。ボールを拾う面倒がないから、子どもはただ打っていればいい。飽きることなく、ずうっと楽しそうにやってましたよ」 懐かしそうに振り返るのだった。 ただそれだけの会話に終わらず、その後もフィールドフォースとの付き合いは続く。現在も代表監督などで忙しい時間の合間を縫ってボールパークを訪れ、商品開発へのアドバイスを惜しまない。こんなところにも、井端さんの人柄がよく表れているのではないか……。 オートリターンが誕生するまで フィールドフォースが初めて作ったトスマシンは、FTM-251という商品だった。これは、穴あきボールFBB-20を使い、自動的にトスを上げてくれる機械を──という意図で作られたものだった。「F」はフィールドフォース、「TM」は「トス・マシン」。分かりやすい。ただ、「251」という数字はについては、説明が必要だ。 移動型ネットや穴あきボールから、オリジナルブランド商品の販売をスタートさせたフィールドフォースが、初めて手がけた「マシン」、つまり機械仕掛けの練習ギアは、FPM-151という型番の商品だった。「PM」はピッチング・マシンを表し、「151」の数字は、ボールを15mの距離まで飛ばすことができる、という意味であった(末尾の「1」は1号機の意味)。 しかし、このマシン、FPM-151は人気が出なかった。吉村が振り返る。「今となって振り返ってみれば、中途半端だったのかなと思いますね。個人向けの商品でありながら、自宅で使えるスペックではないですからね」 こうして、ヒット商品にはならなかったFPM-151だったが、商品開発の面でいえば、その持つ意味は大きかった。FPM-151の(商売的な)失敗を教訓として、フィールドフォースの打撃練習用マシンは、主に個人練習を前提にしたトスマシンと、チーム練習での使用を想定した本格的なピッチングマシンという方向に二極化し、現在のラインアップが形成されてゆくのだった。 話を戻すと、FTM-251の「251」は、「FPM-151」の進化形という意味で、世代をひとつ増やす意図で付けられたものなのだった。 ヒットせずとも、独創性は次世代へ こうして誕生したFTM-251だったが、こちらも売り上げの伸びは今ひとつだった。 まだこの段階では、トスマシンとネットは、独立した製品。ユーザーの側でFTM-251とバッティングネットFBN-2016Nを買い揃え、ふたつを一緒に使うことにより、省スペースでの打撃練習を可能にしていたに過ぎない。もちろん、これだけでも画期的ではあったのだが……。 やがて、バッティングネットはFBN-2016Nを進化させた形で、ボールがネット下部を転がり、一カ所から落ちることで、ボール拾いを省力化し、少数のボールによる繰り返し練習を可能にする「オートリターン」機能を付けたFBN-2016ARが登場する(型番末尾の「AR」はオート・リターンの意味)。間もなく、その仕組みを応用、転がり落ちたボールがトスマシンのレールへと導かれ、マシンへのセットと発射を自動的に繰り返すことで、少ないボールで打ち続けることができる「トスマシン・オートリターン」FTM-261ARが登場することになる。「これなら狭い場所でも、理にかなった練習ができる。これまで目指してきたものが、ようやく形になった。この商品は自分なりに、画期的なものができたんじゃないかという手応えがありました」 このFTM-261ARについては、吉村は発売に先駆け、知的財産登録を行った。それだけ自信があり、この商品にかける思いが強かったのだ。 実のところ、FTM-251までは、フィールドフォースの商品として販売すると同時に、スポーツ量販店のプライベートブランド商品としても卸していた。「でも、オートリターンはフィールドフォースブランドだけで行こうと決断したんです。これは自分の中でも、ターニングポイントでした」 こうしてリリースされたFTM-261ARは、ネット通販普及の時流にもうまく乗った。使用風景の動画を付け、ネット上で商品アピールをしたことで、大ヒットを記録するまでに。そして、トスマシン・オートリターンは、フィールドフォースの代名詞といえるまでの存在になっていったのだった。 マイナス評価を進化につなげる ただ、そのFTM-261ARも、手放しでユーザーから高評価を得たわけではない。「ネット通販には、商品を評価する、レビューのシステムがありますよね。やはり、中には、マイナス評価も寄せられるんです」 吉村が当時を振り返る。 中には、追加説明によりユーザーを納得させたものもあった。「例えば、部屋の中だからと力を加減し、弱いボールを打ち返すと、うまくボールが転がらず、マシンのレールまでボールが転がらないことがあるんです。そんな場合は、しっかり振り抜いてください、と。うまくボールが戻ってこないという場合は、力強くボールを打ち返してくれるだけで解決することが多いんです」 電源周りに対する意見も多かった。 現在、乾電池は100円ショップなどで安く買うことができるが、快適に使うためには、少し値の張るアルカリ乾電池が必要だったのだ。「FTM-251は、オプションのACアダプタがなく、乾電池専用でした。だから、電池関係の意見は多かったですね。安価に揃えられるマンガン電池では、わりと早い段階でパワー不足になってしまう。すぐに、『アルカリ電池推奨』の説明文を加えることにしました」 その教訓も生かし、FTM-261ARでは、オプションでACアダプタを商品化した。「ですが、ACアダプタで使うとなると、今度はコンセントのない屋外では使いづらくなる。痛しかゆしというところです。そんなこともあって、電源問題は長く課題ではありましたが、現在はスマホなどを充電する、モバイルバッテリーにつなぐアダプタを製品化したことで、安定した電源も含めて、持ち運べるようになった。これでおおよその電源周りの不満には対応できたんじゃないかと思っているんです」 必要は発明の母──。「マイナス評価は、我々にとって、大きな財産でもあります。指摘された問題点を改良することで、商品をより良いものにすることができるわけですから」 その後、トスマシン・オートリターンはFTM-261ARの次世代機として、ネットのフレームをスチールからグラスファイバー製に変更、フレーム全体のしなりにより衝撃吸収性を高めると同時に、組み立て・分解、持ち運びも容易にしたFTM-263ARが登場。さらに、ネットの高さを調節できるようにしたFTM-264AR(これには「オートリターン・エボリューション」の名がつけられた)、ネットのサイド部分をブラックに統一し、ここまでの進化の集大成として、モバイルバッテリーアダプターと同時発売されたFTM-270ARを経て、現在は、ネットをこれまで使用されていた、ポリエステル素材の格子状のものから、さらに衝撃吸収性に優れたポリエチレン製のシート素材に変更し、軟式球でのピッチング練習も可能にしたFTM-280ARへと、止まることなく進化を続けている。 面白いのは、どのバージョンも、先行製品が十分に売れている最中に、リリースされていることだ。 100点満点の製品はない。たとえ今、ヒットしている製品であっても、常に改良すべき点はあるはずなのだ──。 一番、うれしい瞬間 不意に、吉村がこんな質問を投げかけた。「いろいろな練習器具やマシンを作ってきて、一番、うれしい瞬間って、どんなときだとと思いますか?」 最近では、高校や社会人、プロ野球球団とのつながりも増えているフィールドフォースだが、吉村にとって、最もうれしく感じる瞬間というのは、今も昔も、変わらないのだという。「お客さんにね、言われることがあるんです。『自分が子どものころに、こんなのがあったらなあ』って。中にはね、『これあったら、僕、プロになれてましたよ』なんていうのも。そんな言葉を掛けていただく瞬間なんです」 これこそが商品開発にかける吉村の思いの原点であり、フィールドフォースの存在理由を端的に示す言葉でもある。「自分よりも前に、誰もやっていない。新しいものを生み出している、ということですからね。もう、心の中でガッツポーズです」 今後もユーザーの、この一言のために、フィールドフォースの「ものづくり」は続いてゆくのだ。
[vol.2]いまも進化を続けるフィールド...
![[vol.1] 少年野球の練習風景を変えた2つの商品](http://www.fieldforce-ec.jp/cdn/shop/articles/1_ccb3ff47-13a3-475e-9150-89b5f75d8e7f.jpg?v=1747903799&width=533)
[vol.1] 少年野球の練習風景を変えた...
2006年10月末──。いまから19年前、「プレーヤーの真の力になる」という経営理念そのものを社名としたフィールドフォースは、東京都足立区で産声を上げた。 創業当初は、主にスポーツ量販店のプライベートブランド商品OEM(他社製品の委託製造)を行っていたフィールドフォースだが、ほどなく、自社ブランドでの用品製造をスタートする。 ほぼ同時に発売された、記念すべき、ふたつの自社オリジナル商品第1弾は、フィールドフォースというブランドを象徴するにふさわしい、レジェンド商品となった。 気軽に持ち運びできるネットを! 「フィールドフォース」ブランドで世に送り出された第1弾製品のひとつは、FBN-2016Nと型番がつけられた、打撃練習用防球ネットだった。 それまで、バッティング練習に使う防球ネットといえば、2m×2mといった大きさの、ガッチリ溶接されたスチール製の頑丈なフレームにネットが張られ、そのネットの真ん中を円形にくり抜き、その丸い部分に、吹き流し状の集球袋(ネット)を付けた形が一般的だった。 しかし、この防球ネットを使えるのは、現実的には、専用のグラウンドを持つクラブなどに限られる。硬式ボールでの使用を前提に設計されているため、強度は申し分ないが、とにかく大きく、重いのだ。中にはキャスター付きで、「移動型」と名がついたものもあるが、それもせいぜい、グラウンド内で数mから十数mの距離を動かして使うことしか想定されていない。 当時、専務だった吉村尚記は常々、防球ネットについて、こんなことを考えていた。「溶接された完成形のネットは、とにかく大きく、重い。もっと気軽に持ち運べる形にできないだろうか。それに、中心部だけが集球面になっているネットでは、その真ん中に打ち返す練習しかできない。ネット全面に打ち返すことができるものは作れないか」 コスト面についても、思うところがあった。「この重さと大きさでは、宅配便で送ることもできない。運ぶにはおそらく、トラックをチャーターする必要があるだろう。そのための人員も。これでは、運搬費だけで商品代より高くついてしまう……」 こうした問題点を、吉村は「軟式ボール専用」と割り切ることでクリアした。フレームは溶接ではなく、パイプに凹凸を付けた組み立て式とし、フレーム用の金属パイプとネットに使う縄を、ともに硬式ボール用よりも細いものに。結果的に、この変更によって、分解した状態ならば、宅配便で届けられる段ボール箱に収まるサイズとなり、より軽量に仕上げることができたのだった。 集球面については、平面のネットに足をつけた形の、旧来のデザインではなく、フレーム全体を後ろから支える支柱をつけ、横から見ると縦長の三角形のような形にすることで自立させ、ネット全体に奥行きを持たせることで浅い袋状とし、全面でボールを受け止めることができる設計とした。 発案から試作を経て、完成まで、わずか1カ月。「中国の工場とのやり取りだったんですが、とにかく早く作り上げたかったので、試作品はFedExで送ってもらって」 好きな言葉に、孫子が残したとされる「巧遅拙速に如かず」。現在も変わらない、フィールドフォースのスピード感は、こんな吉村の性分によるところが大きい。 こうして気軽に持ち運び、使う場所で組み立てて使用できるバッティングネットが完成した。 ちなみに、フィールドフォースの商品に付けられた型番は、すべて法則がある。FBN-2016Nを例に挙げると、「F」はフィールドフォース、「B」はバッティング、「N」はネット。数字の2016は「高さ2メートル、幅1.6メートル」のサイズを表している。最後の「N」はノーマルの意味だ。 少年野球の練習の定番に! 穴あきボールの誕生 もうひとつ、FBN-2016Nのリリースと時を同じくして発売した商品がある。FBB-20(20は「20個入り」の意味)、蛍光イエローの「穴あきボール」である。 フィールドフォースが創業した当時は、折しも、全国各地の公園における「ボール遊び禁止」、「野球禁止」が大きな話題となった時期であり、普段、学校の校庭を使うチーム練習でも軟式ボールを思いきり打つことができない、あるいは、大会における試合前の練習でも、実球を使ったフリー打撃は禁止される、といった事例が増えていた。 いずれも理由は「危険だから」。もはや、かつて放課後にグラブとバット、ボールをもって仲間たちと「空き地」に集まり、野球に興じた、そんな牧歌的な風景はない。決して広くないスペースに、子供からお年寄りまで(中にはベビーカーで幼児を連れた夫婦もいるだろう)様々な人たちが集う、公共施設としての「公園」では、自由に野球をすることもかなわないのだ。 そんな制約が多い環境下、学童野球の選手たちは、どこで、どんな練習をすればよいのか……。「思い浮かんだのは、ゴルフでした」 吉村が回想する。 ゴルフでは、自宅などでの練習用に、プラスチック製などの練習用ボールがある。野球でも、同じような環境を作り出せないものか──。ただ、野球用に同じプラスチック製のボールを作るとすると、硬くて人に当たればそれなりに痛いし、なにより、すぐに割れてしまう……。 そうした思案の末に誕生したのが、「穴あきボール」だった。 ポリエチレンに発泡素材のEVA樹脂を調合することで、「柔らか」で「軽く」、「耐久性もあり」、さらに穴あきにすることで「飛ばない」ボールを作り出すことに成功したのだ。軟式の実球とはもちろん異なるが、バットで打ったときの「打感」もそこそこある。また、これも実球と同じとはいかないものの、単に素振りをするよりも、ずっと実践的な打撃練習ができる。加えて、手軽であるがゆえに、パートナーである投げ手(あるいはトスの上げ手)の負担が少なく、実球を使った練習以上のペースで「数をこなす」練習ができるという利点もあった。 快進撃は量販店の一角から始まった こうして製品化されたFBN-2016NとFBB-20。当時はまだ、インターネットを使った通販は、さほど普及しておらず(2000年にオンライン書店として日本でサービスを始めたAmazonがその後ストアを増やし、「Amazonプライム」を始めたのは2007年、Appleが日本で販売した最初のスマートフォン「iPhone 3G」をリリースしたのは2008年のことだ)、販路は、かねてからプライベートブランドのOEMなどで付き合いがあり、さらに、このフィールドフォース商品の価値を認めてくれた、「スポーツオーソリティ」店舗での販売に限られていた。 どちらの商品も、当初はさほど注目されなかった。フィールドフォース商品の「かゆいところに手が届く」感覚は、実際に使用してこそ。商品棚での陳列、つまり商品の外観だけでは、アピールポイントもユーザーには届きづらい。箱入りで売っていたFBB-20などは、化粧箱の外からボールに触れ、その柔らかさを実感できるように、箱の側面を丸く切り抜くなど、パッケージデザインも見直しながら、販売を続けた。 苦戦からのスタートではあったが、スポーツオーソリティが全国の店舗で扱ってくれたことは大きく、爆発的ではないものの、その使い勝手の良さは徐々に認知され始めた。 やはり、使えば分かるのだ。口コミはもちろん、実際に使用する別チームの練習風景を見た少年野球指導者たちは「なんだ、あれは」ということになる。そうして、2商品は販売数を伸ばしていったのだった。 現在、社長となった吉村が振り返る。「このふたつを商品化したことで、会社の将来に光が見えた気がしたんですよね。迷いがなくなったんです。この方向で行けば、間違いないだろうと」 変わらない穴あきボール 進化し派生商品を生むバッティングネット フィールドフォース商品の「礎」となった、FBN-2016NとFBB-20。FBN-2016Nは、改良を加えた「FBN-2016N2」として、FBB-20はフィールドフォースのロゴが刻印された以外はまったく変わることなく(これはフィールドフォースの商品としてはきわめて珍しい)、現在もベストセラーとして、商品ラインアップに堂々と君臨している。 2商品のヒットで自信を深めた吉村も、「正直、ここまでの成果を期待していたかといえば、そうではなかったんですけどね。想像以上でした」 と当時を振り返る。 事実、この2商品は、誕生から19年の間で、少年野球チームの練習風景を変えた、といっても過言ではない。持ち運びできるバッティングネットも、蛍光カラーの穴あきボールも、いまや、どの河川敷でも見かけないことはない。大げさに言えば、少年野球に「新たな練習法」をもたらしたのだ。 優れた商品が開発者、あるいは作者の手を離れ、ひとり歩きを始めるように人気を博し、そこにユーザーの発信力や創意工夫も加わることで、さらに爆発的ヒットに発展する……というケースがまれにある。FBB-20などは、その好例といえるだろう。「そうですね……。一昨年、足立区から移転した、この柏の葉本社も、考えてみたら『穴あきボール御殿』なのかもしれません。ははっ」 FBN-2016Nの進化形で、FBN-2016ARというバッティングネットがある。型番末尾の「AR」はオート・リターンの意味。集球ネットの下部に、傾斜をつけられるシートがついており、傾斜を転がったボールが底に開けられた穴から落ちることで、一カ所に集まる構造になっている。これを使えば、いままでトスを上げていたパートナーが、打ち終えたボールを拾い集めることなく、数少ないボールでも打撃練習を続けられることになる。 この仕組みは、バッティングマシン、トスマシンなどと組み合わせた「オートリターン」シリーズへと引き継がれてゆく。また、バッティングネットもスチールフレームのものだけではなく、衝撃を自らの柔軟性で受けとめる、グラスファイバー製フレームを採用したもの、ネット自体に、より衝撃吸収性の高い素材を使用したものが登場するなど、こちらも続々と、異なるアイデアを加えた次世代商品が生まれている。 進化はさらに続く 当初「家のガレージのスペースでできる」練習を目指して作り始めた練習用ギアたちは、「家の中でも練習できる」ものへと変化を遂げ、さらに、パートナーなしでも「ひとりで」練習できるものまで登場。「省スペースで最大限の効果を」という開発コンセプトのもと、そのラインアップは現在も日々、「巧遅拙速に如かず」のスピード感で、進化を続けている。
[vol.1] 少年野球の練習風景を変えた...

【外野手用】女子野球選手向けグローブを開発...
男性を基準につくられたグローブ(グラブ)が当たり前…女子野球選手は、そんなグローブをなんの疑いもなく使っている日々… 特に【外野手用グローブ(外野手用グラブ)】は、その特徴からただでさえ大きく長いので、扱いきれていない女子選手がほとんどです。 そのため、外野手でありながら内野手用やオールラウンド用を使用しているという選手も少なくありません。 そんな現状を変え、女子野球の外野手も最高の守備力を発揮できるよう開発された≪女子硬式野球選手向けの外野手用グローブ(グラブ)≫があります。 新型開発:フィールドフォース/Glom(グロム) グラブ工房長 プロデュース:フィールドフォース 女子野球出身 女性社員 2025年7月25日更新 目次 女子野球における外野手の特徴 最適なサイズの外野手用グラブを目指して 現役選手&指導者の声 同シリーズの内野手用グラブ 商品ページへ vol.1記事→ コチラ vol.2記事→ コチラ 女子野球における外野手の特徴 これは女子野球に限らずですが、チーム事情によっては「本来は内野手(もしくは他のポジション)だけど、今年は外野手として試合に出ることになった」という状況が多々あります。 同じポジションに上手な先輩がいる、バッティングを買われてメンバー入りの可能性がある…等々、外野手としてチームの戦力となるパターンです。 特に女子硬式野球でも、今までの実績や実力があり進学した先で「自分たちの代では内野手(もしくは他のポジション)で主力となる選手が、1・2年生のうちは外野手として試合に出る」という選手は非常に多いです。...
【外野手用】女子野球選手向けグローブを開発...

【内野手用】女子野球選手向けグローブを開発...
男性を基準につくられたグローブ(グラブ)が当たり前…女子野球選手は、そんなグローブをなんの疑いもなく使っている日々… そんな現状を変え、女子野球選手がより "シンプル" に "スムーズ" に本来の実力を発揮できるようになってほしい!という想いで生まれた≪女子硬式野球選手向けのグローブ(グラブ)≫があります。 新型開発:フィールドフォース/Glom(グロム) グラブ工房長 プロデュース:フィールドフォース 女子野球出身 女性社員 2025年7月27日更新 目次 女子野球選手の特徴 操作性を求めて 女子向け内野手用グローブ クラブ職人と女性社員がタッグ 型付けも女性の手で ご注文ページ 井端弘和さんにも評価していただいた開発vol.1の記事は→ コチラ 外野手用の新型については→ コチラ 女子野球選手の特徴...
【内野手用】女子野球選手向けグローブを開発...

全ての野球選手に「良い球が投げられる喜びを...
野球選手にとって "いい球を投げる" ということはピッチャーだけに限らず、野手にも必要不可欠な要素です。 今回のブログでは、野球動作改善専門のプロ施設で生まれた "いい球を投げる" ことができるようになる『ロケットリリース・発射バンド』という投球練習用品の開発秘話をご紹介します。 2024年6月17日更新 目次 ロケットリリース・発射バンドがうまれた理由 イメージを形にするためのサンプル作り ロケット発射のような鋭く弾くリリースを身につける ロケットリリース習得の仕組み 小学生からプロ野球選手まで使えるバンド 相澤代表からのメッセージ ロケットリリース・発射バンドがうまれた理由 「スナップを使って投げろ」「手首を柔らかく使って投げるんだよ」「速い球を投げるためにお風呂の中で手首を振って鍛えろ」 と指導された経験はありますか? その指導通りにボールを投げると…『ボールが抜けたり、引っ掛けたり』してしまったことはありませんか? ボールを離す瞬間の動作や力の伝え方とは何が正しいのか。指先の感覚的なことも含まれるリリースポイントだけに、言葉で伝えることは容易ではありません。 そこで開発されたのがこの【ロケットリリース・発射バンド】です。 このロケットリリース・発射バンドを装着すれば、実際のプロ野球投手が感じている『力の伝え方』や『ロケットの発射のような "鋭く・弾く" リリース動作』を実感できます。 速い球をコントロールよく投げられる選手の感覚を、小・中学生のうちに体験できることは野球選手にとって財産です! 正しい力の伝え方を習得して、無限の可能性を開花させてください。...
全ての野球選手に「良い球が投げられる喜びを...

【開発秘話】バッティングのタイミングを極める
"タイミング力" に着目 野球のバッティングにおける重要なポイントはいくつかあります。 フォーム スウィングスピード タイミング 間 ミート率 バットの角度 パワー 等々 その中でも "タイミング" に着目し、投手が投げてくるボールに対してタイミングを合わせ、ミートする技術を上げるための野球練習用品…唯一無二の野球練習ギアが誕生しました。 2023年11月22日更新 目次 タイミングの重要性 タイミング力を身に付けるには 開発のスタートはゲーム 井端弘和氏のアドバイス タイミングマスターの効果 商品購入 タイミングの重要性 いくら振る力・飛ばす力があっても相手投手の投げるボールに対して、自分自身のスウィングのタイミングが合っていなければ、そのパワーは発揮されません。 バッティング練習で指導者がバッピ(バッティングピッチャー)をしてくれる時のように、「打ちやすいボール」「打たせてあげようというボール」は試合では絶対にきません。 高さやコースを工夫して打ち取りに来るだけでなく、『タイミングを崩してでも』打ち取ろうとしてくるのです。 そんな実戦に向けて、最適なミートポイントでボールを捉えるタイミング力(タイミングを合わせる能力)を高めることが、好打者になる必須条件になります。 タイミング力を身に付けるには 特に空振りやファールになったときに「タイミングが合わなかった…」と反省することも多いですよね。...
【開発秘話】バッティングのタイミングを極める

女子野球選手向けグローブを開発vol.1
こだわったのはデザインじゃない まず初めに記載しておきたいことは… 今回開発した女子野球選手向けのグローブ(グラブ)でこだわり抜いたポイントは… 見た目やデザインではなく、捕球のための機能性であるということです。 グローブの機能性に関して、記事の後半で井端監督にも評価していただいています。 2025年7月25日更新 \2025年新色キャメル登場/ 販売ページ 目次 デザインではなく捕球を重視 親指~小指までの操作性 手口のフィット感は当たり前 さまざまな捕球でテスト 井端監督からもうれしい評価を 女子野球出身の社員がプロデュース 商品ページへ デザインではなく捕球を重視 2010年頃から女子野球界は急速に発展しており、学童~一般まで女子野球選手の数も年々増加しています。 野球用品やグローブ、ウェアにおいて「女子用」「女子選手用」「女子モデル」そんなキャッチコピーで販売されているものには… 〇女子っぽいカラーリングやデザイン 〇女子向けに小さくしたり細くした仕様 と、見た目や安易な特徴を打ち出したものが多く存在します。 \ではなく/ 今回新しく型から開発した女子硬式野球選手向けのグローブは、カラーリングやデザインではなく、選手に1番求められる『捕球のしやすさ』を追求しました。 親指~小指までの操作性...
女子野球選手向けグローブを開発vol.1

豚革ってどんな革?
特徴を"超簡単"解説 野球のグローブに豚革が適している? 軟式ボールとの相性が抜群で学童野球におすすめ? ここでは豚の革はどのような特徴があるのか。なぜ野球のグローブに使用したのか。わかりやすくご紹介します。 2023年12月1日更新 目次 豚革の4つの特徴 なぜ軽いのか? なぜ丈夫なのか? なぜ柔らかいのか? なぜ通気性がいいのか? グローブ用として 豚革の4つの特徴 なにより軽い さらに丈夫 そして柔らかい 実は通気性も良い そもそも皮じゃなくてなんで革っていうの?と疑問に思う方もいるかもしれません。 皮=未加工の状態 革=製品用に加工した状態 このように呼び名が使い分けられています。 なぜ軽いのか? それは『豚革は厚みがなく薄いから』です。 豚の皮は全体が乳頭層でできていて、すぐに皮下組織(脂肪など)になるので、革として使用する部分は薄いのです。 ...
豚革ってどんな革?

【野球】ピッチングマシンの選び方│メリット...
ピッチングマシンとは 野球の練習において、投手が投げる球を想定した実戦的なバッティング練習ができるマシンです。 大きさや種類もさまざまで、それぞれに特徴や適した練習目的があります。 今回はそんなピッチングマシンの "あれこれ" をご紹介します。 2025年7月28日更新 目次 大きく分けて2種類 ウィール式マシンの特徴 アーム式マシンの特徴 一般的な価格について フィールドフォース製マシン導入事例 小型?中型?比較 守備練習での使い方 まとめ 大きく分けて2種類 現在主に流通しているピッチングマシンは大きく分けて2種類になります。 ※ほかにもエアー式(空気で発射)もありますが、市場の流通は少ないので今回は割愛します ウィール式(ドラム式とも呼ばれます) 回転する2つもしくは3つのウィール(ローラー)でボールを押し出して発射するタイプ アーム式 ハンド・アームと呼ばれる回転するパーツにボールを乗せて発射するタイプ それぞれに特徴や使用するシーンでのメリット・デメリットがあるのでご紹介します。...
【野球】ピッチングマシンの選び方│メリット...

【開発秘話】女子野球選手の想いを形に
現役女子高生たちが勇気をもって提案 高校生が企業へ商品提案をする。それがどれほど緊張し、勇気のいることか… そのためにどれほどの時間を使い、準備をしてきたか… 思い切りプレーができる下着やアンダーシャツを開発したい。その想いからたどり着いたのは≪更衣室≫でした。 野球用品メーカー フィールドフォースの会長と社長の心をも動かした素晴らしいプレゼンを経て、ついにその想いが形になりました。 ※プレゼンの様子はこちら 軟式女子野球部と共同開発 今回共同開発をさせていただいたのは中京大学附属中京高等学校の軟式女子野球部のみなさんです。 ここ数年、高校女子硬式野球は春の全国大会決勝戦は東京ドーム、夏の決勝戦は甲子園で行われ、メディアに取り上げられることも多くなってきました。 女子硬式野球部を持つ高校も激増し2023年の夏の大会にはなんと58チームが出場しています(現時点では地区予選はなく全チームが全国大会へ出場) そんな中、中京高校は数少ない女子の”軟式”野球部として活動しているのです。 女子野球の環境を良くしたい 高校野球プレゼンテーション大会(通称「オンライン甲子園」)で掲げた『女子野球革命宣言』の一つとして商品開発に取り組み始めました。 きっかけは同部活の土井監督からフィールドフォースの社員:小林に届いた一通のメールからでした。 1.商品開発についてヒアリングをさせていただけるか 2.商品開発の流れを生徒たちに教えていただけるか 3.共同開発がお願いできるか まずは 1. 2. について、女子選手向けのスライディングパンツを開発した経緯(詳細はこちら)、その時の苦労や問題点の解決策などを、オンラインミーティングで直接お話させていただきました。 そして、ここから共同開発が始まります。 まずは、現在の女子野球環境における問題点、悩み、不満、改善点、こんなものがあったらいいのにな。というアイデアを現役女子高生の選手たちからリストアップしてもらったのです。...
【開発秘話】女子野球選手の想いを形に

【開発秘話】投げながら下半身の体重移動を習...
BBMCとフィールドフォースの共同開発 第一弾! 兵庫県西宮市で動作改善と故障を同時に解決できる野球専門プロ施設「ベースボールメディカルセンター(BBMC)」代表:相澤一幸氏とフィールドフォースが共同で野球練習用品を開発! 下半身の使い方に悩む全て選手の救世主となり、軸足のタメや体重移動の習得ができる改善アイテム『POWER STANDBY』を詳しくご紹介します。 2024年1月31日更新 ~Profile~ プロ選手から小・中・高・大・社会人選手まで、野球の技術や怪我に悩む選手を技術と治療の両面からサポート。その実績が認められ阪神タイガースの臨時コーチも2年間務める。スポーツ医学と独自の『バネ投げ』を取り入れた科学的根拠のある動作改善を、選手個々の身体特性にあわせて指導することで数多くの実績をあげている。 目次 POWER STANDBY(パワースタンバイ)とは POWER STANDBY(パワースタンバイ)の秘密 開発ストーリー 相澤氏よりメッセージ POWER STANDBY(パワースタンバイ)とは 少年野球チームや中学硬式・軟式野球チームでは頻繁に「下半身が使えてない」「軸足にタメがない」「体重移動が出来てない」というアドバイスや指導が飛び交います。実際のところ「下半身の何が出来れば、下半身が使えていることになるんだろう…」そんな悩みを解決するために形にしたのが今回ご紹介するイス 『POWER STANDBY』 です。 このPOWER STANDBYは投球動作に必要不可欠なステップ=『力を出す為の準備動作』であり、ステップの本質である「勢い・開かない・目標物に近く」を目的に作られています。骨盤前傾ポジションを始め、軸足のタメや体重移動の習得ができる改善アイテムなのです! 下半身の使い方に悩む全て選手の救世主となり、お父さんとお母さんと一緒に自主練習も可能にするPOWER STANDBYで理想フォームを手に入れよう! POWER STANDBY(パワースタンバイ)の秘密...
【開発秘話】投げながら下半身の体重移動を習...

【開発秘話】究極のバットコントロール習得へ
バットコントロールって何だろう? バットに当てるのが上手な選手のことか、空振りをしない選手の事を指すのか。確かにそうかもしれないが… それにプラスして、打ちたい所にイメージ通りに打てる技術のことを”究極のバットコントロール”と言えるのではないでしょうか! \飯塚氏とのコラボ開発/ 2000年のシドニー五輪に日本代表選手として出場、そして社会人野球の強豪 NTT東日本硬式野球部の前監督である飯塚智広氏の言葉を紹介します! バットコントロールの真髄 2000年シドニー五輪に選ばれ、プロ野球選手の打撃練習を間近で見ていて凄さを感じていました。 その中でも一際輝いて打撃をしていた選手がいました。 その選手の名は松中信彦氏。平成唯一の三冠王の打撃には衝撃を受けました。 フリーバッティング中、なんと松中氏は同じ打球をずっと打ち続けていたのです。 しかも、いとも簡単にです。 まさに打ちたいように打っている姿は僕だけではなく、対戦相手の各国の選手からも拍手が沸くほどの見せ物(まさにショー)でした!と書けばその凄さが皆様にも伝わるでしょうか? バットコントロールとはなんぞや?の答えが一気に見つかりました。 それは 打ちたい所に打ちたいように打つ! でした。 (バットコントロールについて議論する飯塚氏とフィールドフォースの吉村社長は高校野球部時代の同級生) 身近でその『究極のバットコントロールを体得することが出来るギア』ってなかなかないかもしれない…と考えた時に、子どもの頃、時間を忘れ夢中で遊んでいた壁当てを思い出しました。 考えは至ってシンプルです。 投げたい所に投げたいように投げる。 このシンプルな考えをバッティングに置き換えました。 打ちたい所に打ちたいように打つ。 そんな練習用品があれば、まさに時間を忘れ夢中でバットを振るのではないか?と、商品化に向けて飯塚氏と社長の吉村は開発を進めました。 バックネットなどに取り付けるだけで、1~9の大きなターゲットを狙って打ち分けることのできるそんなシートの開発です! 完成した商品名は...
【開発秘話】究極のバットコントロール習得へ

【開発秘話】送球も重視した守備ネット
100%完璧な商品はない フィールドフォースの社長であり、野球練習ギアのアイデアマンである吉村の言葉です。 もちろん販売しているすべての商品は、情熱をこめて開発した自信作ではありますが、「もっとこうしたらよいのではないか?」「ここをもうちょっと変えたらいいのに」そんな声にも耳を傾け、常により良い商品を生み出すことや改良改善することを心がけています。 例えばこの≪移動式フィールディングネット≫はどうでしょうか? 高さ約150㎝という大きさだけでなく、脚にタイヤが付いていてグラウンドやチーム練習でも楽に移動ができるので、部活やチームユーザーにも人気の商品です。 昔はどこでもできていた「壁当て」が禁止される時代になり、壁ネット/フィールディングネット/守備ネットが商品として必要とされる時代になったのです。 これもまだ改良点があった すでに販売実績がある商品ではありますが、これにさらなる改善点を提案してくれたのが井端弘和さんです。 『たしかにこれ良いなぁ。でも…』 『横幅が少し狭いから送球の時にちょっと縮こまって投げちゃうなぁ』 繰り返し練習できる守備用のネットとして高評価をいただきながらも 送球 に着目したアドバイスです。 『もうちょっと横幅があればしっかり腕を振って投げられるからもっといい』 すぐにサンプル製作へ ここからのスピード感がフィールドフォースの商品開発の強みです! ・サイズ感の確認 ・フライやゴロ、バウンドの角度の確認 ポイントごとに意見交換を行い、高さ1.5m×横幅1.0mの商品は販売継続しつつ、さらにもう一回り大きいフィールディングネットを開発することになりました。 的が大きいから投げやすい 守備という大きな枠組みの中でも 送球 に悩みを抱えている選手、自信が持てない子ども達は非常に多くいます。 暴投してしまことへの恐怖や、相手が捕れなかったら怒られてしまうという不安もあると思います。 \1.5m×1.5mに/...