フィールドフォースが、夏の風物詩ともいえる学童野球の伝統大会「東京都知事杯」のメインスポンサーになり、今年で10年。今回もまた、素晴らしい戦いを見ることができました。学童球児たちが繰り広げる、真夏の熱戦にはいつも感動させられますが、この数年は考えるところもあって…
大会史に残る名勝負!

われわれフィールドフォースが特別協賛している「東京都知事杯第49回東京都学童軟式野球大会フィールドフォース・トーナメント」の決勝が7月19日に行われました。東京ナンバーワンを決める、夏の伝統大会です。
フィールドフォースの冠がついて10年目。今年の決勝のカードは用賀ベアーズ対船橋フェニックスという、世田谷代表同士による一戦となりました。
用賀はこの年代の4年生東京チャンピオン、船橋は全日本学童東京予選で優勝し、間もなく始まる全国大会出場を決めている、実績申し分ない両チームの対戦です。
結果は、ここのところ、直接対決では勝てていなかった用賀が10-4で船橋に打ち勝って初優勝を果たしたのですが、その試合内容が素晴らしいものでした。
同地区のライバル、互いの手の内を知るチーム同士でありながら、ピンチでも相手の主力選手に対して勝負を避けることなく、すべて真っ向勝負。得点差以上に緊迫した内容で、1球たりとも目が離せません。
そんな中、ベンチから聞こえる指示や声掛けも、前向きなものばかり。相手チームや、その選手たちに対するリスペクトにもあふれた、すがすがしい一戦でした。
間違いなく大会史に残るであろう好ゲームに立ち会えたことは、協賛社としてもうれしい限りです。

猛暑日、酷暑日…
さて、その一戦が行われた東京・八王子市のスリーボンドスタジアム八王子は、高校野球のメッカでもあります。この日、佳境に差し掛かっていた夏の高校野球選手権、西東京大会との兼ね合いもあり、フィールドフォース・トーナメント決勝は異例の夕方5時プレーボールでした。
結果的には、これは正解だったといえます。この日、昼間の八王子は気温30度超え。いわゆる「猛暑日」で、高校野球の選手も応援団も、気の毒なほどの暑さだったのです。

最高気温が40度を超える日を指す「酷暑日」という言葉は今年、正式に採用された気象用語だそうですが、それを待っていましたとばかりに、まだ7月というのに、気温40度超えのニュースが連日、伝えられています。
個人的にも、高校3年生になり、最後の夏を迎えた息子の応援に、何度か神宮球場に足を運びました。夏の昼間、日よけのない神宮球場の応援席…。暑すぎる一戦、暑すぎるスタンド。誤字ではありません。「熱すぎ」よりも先に「暑すぎ」です。
私自身の高校時代、30数年前を振り返れば、「水を飲むな!」と言われて練習しながら、グラウンド外に飛んだボールを探しに入る林の中で、隠れて飲む一口の水のために、すすんでボール拾いを買って出ていたことが思い出されます。
今となってみれば、当時のナンセンスな教えにはあきれるばかりです。現代で同じことをすれば、ハラスメントを通り過ぎ、殺人行為と言われてもおかしくないのではないでしょうか。
話は戻って、ここ数年の、日常化する猛暑です。同じく毎日のように耳にする、局地的集中豪雨の話題もあわせて考えるならば、もはや、日本全土が「亜熱帯化」していると自覚するのが正解なのかもしれません。
そして、そんな気候の変化は当然、野球にとっても大問題です。
メーカーにも課せられる暑さ対策

フィールドフォースでは昨年、水に濡らし、軽く絞って身につけることでクールダウンできる「冷感パーカータオル」FCHT-100BLという商品を発売し、人気アイテムになっています。
この商品は発売前に、全日本軟式野球連盟(JSBB)にサンプルを提示し、試合での着用もOKという判断を得ています。
即決に近い判断でした。おそらくですが、こういったケースでは、通常であればルールとの整合性を検討したり、検証が必要になるなど、これほど簡単にOKはもらえなかったと思います。
われわれメーカーだけでなく、連盟や大会主催者も、暑さ対策が待ったなし、喫緊の課題であることを、共通認識として捉えているのです。
2018年に取り扱いを始めたベースボール用サングラス「エアフライ」FAF-101JBKは、いまや定番商品となっています。ノーズパッドがなく、サイドパッドでホールドする仕組みにより、鼻骨の圧迫感がなく、野球ではボールが直撃してしまうようなケースでも、ケガの危険性を低減できるスグレモノです。

「エアフライ」発売当初は、まだ学童野球ではサングラスの着用が「生意気」「失礼」などと言われることも多かったのですが、今ではほぼ常識といっていいほど、よく見かける光景となっています(投手のミラーグラス着用は現在も認められていませんが)。
これは日差しのまぶしさ低減によるプレー面での利点、すなわちボールの見やすさもさることながら、現在では紫外線の直射から目の健康を守る、という観点が重要な一面と捉えられるようになったことも大きな要因かと思われます。
角膜から吸収される紫外線によって、肌までが日焼けするという事実も、今では広く知られています。とくに学童野球など、低年齢層でサングラス着用が推奨されるのは、必ずしも日差しが強い日に限らないことも、もっと理解されてしかるべきでしょう。
こうした夏の暑さ対策は、もはや単なるクールダウンの意味にとどまりません。われわれメーカーも、猛暑から「選手の体を守る」ことを大きな柱として、ものづくりを考えるべき時代なのです。
選手を取り巻く環境は、ルールの適用も追いつかないスピードで変化しています。選手の体を守るために有用なものであれば、ルールは後からついてくるはずと考え、先読みして対策ギアを開発することも、ときに必要だと感じています。
このままでいいのか、日本の野球
そしてもうひとつ。これは誰もが直視するのを避けている事実かもしれません。
どれほど暑さ対策を考えようとも、追いつかない時代になっているのかもしれない、そんな思いも頭をもたげるのです。
そう、大会の開催時期や場所、仕組みといった問題です。

高校野球の7イニング制も議題に上がって久しくなりますが、(投手の肘肩を守るといった、別の意味合いはひとまずさておき)暑さ対策だけを考えるならば、それだけで解決するのでしょうか。給水タイムやクーリングタイムも同様です。どれも対処療法的な意味合いが強く、一時しのぎに過ぎないのではないかと感じます。
根本的な解決を求めるならば、やはり大会の開催時期や会場、仕組みの見直しに踏み込むべきではないでしょうか。
大会の在り方でいえば「トーナメントよりもリーグ戦を」という声は以前からあります。どのチームも同じ数の試合を経験できるため、とくに学童、中学などの育成世代においては、大きな意味を持つでしょう。
トーナメントで問題になる、勝ち進むほど過密日程になり、エースの負担が重くなるといった課題も解消できるはずです。
その実現を阻んでいるものが何かといえば、主には、その開催手順の煩雑さにあるといえるでしょう。
トーナメントであれば、いったん抽選で組み合わせを決めてしまえば、あとはゴールまで見えたようなものです。ところが、リーグ戦では試合数も一気に増えるため、そう簡単にはいきません。
ただ、当然ですが、決して不可能なわけではありません。

「7イニング制」をめぐり、対立する意見が平行線をたどっているように見える高校野球が変わるのには、まだ少し時間がかかりそうです。
一方で、学童野球や中学野球は、それよりも簡単に手を付けられるはずです。そろそろ、夏休み中心、トーナメント偏重の日本のアマチュア野球の在り方を、根本的に考え直すべき時が来ているのではないでしょうか。
いささか主語が大きくなりますが、言ってみれば、これは「日本の文化」としての野球の在り方の問題ともいえます。「夏の暑さ対策」をきっかけに、そこまで踏み込んで議論が進むのであれば、このうんざりするほどの酷暑も、マイナスばかりではなかった、ということになるのでしょうが…。