この4月、仙台市にフィールドフォース6つめの拠点となる、ボールパーク仙台(以下BP仙台)がオープンした。施設の無料体験を行ったプレオープンに始まり、正式オープン後も順調な滑り出し。長くもあり、短くもあった準備期間を経て、“野球どころ”仙台の野球文化を盛り上げる一助になればと、志も高く、その帆を上げた。
早速、地元の選手やチームが活用

東北楽天ゴールデンイーグルスの本拠地としてのみならず、高校野球の名門も名を連ねる宮城県、仙台市。BP仙台が所在する宮城野区高砂は、電車でもクルマでもアクセスが良い、絶妙な立地だ。
物件を決め、元の建物をリノベーションする形で施工を行ったBP仙台。オープンまでに要した期間は、わずか2か月というスピード工事だった。
「物件が決まってからは、本当にあっという間で…」
半年以上、拠点を持たない駐在期間を経て、晴れて「店長」になったフィールドフォースのボールパーク事業部・鈴木崇良が振り返る。
「むしろ、外装、内装の施工なんかよりも、自分がオープンまでに手配しなきゃならない什器類だとか商品だとか、そっちの方が間に合うのかよ、ってくらいのスピードでした」
そうして完成するや、そのまま無料開放のプレオープンイベントに突入。そのごった返しを終了して無事、正式オープンにこぎつけ、鈴木もほっと一息、と思いきや…。
「自分も外商でお邪魔したところにはお伝えしていましたが、会社のホームページとか、社長のインスタでもアナウンスしてくれていました。それもあって、予想以上に事前に多くの方が知ってくれていたんですね」
正式オープン後も、今のところ予約が途切れることなく、順調すぎる滑り出し。うれしい悲鳴、といった様子だ。

「先日、学童野球のチームで予約いただいて、来店された団体があって。ボクは存じ上げないチームだったのですが、『鈴木さんですか』って聞かれたんです。SNSの情報なんかで、ボクの名前まで知ってていただいたんですね。びっくりです」
こうして鈴木は一息つく間もなく働いている。が、その声は明るい。
「やはりこうして、拠点があって働けるというのはいいですよね」
半年以上、「ノマドワーカー」よろしく、移動中のハイエースからリモートで会議への参加を続けてきた鈴木が、あらためてつぶやくのだった。
現状ではスポットのアルバイトに頼っているスクール運営や店舗運営のための人材登用、活用を含め、鈴木にはまだこれから進めなければいけない仕事も多いが、「なんとか通常運転になりつつはある…と思います」と充実感をにじませている。
地元の野球熱も感じながら

「そうなんですよ。物件が決まってからは早かったですね」
そう振り返るのは、フィールドフォース社長の吉村尚記だ。
「それまで、見に行った候補地は10件を下らないくらい。ハンコを押すところまで行きながら、決まらなかった物件もあり、難航続きでしたが…。ただ、決定以降は、これまでのボールパークの施工や運営で培ってきた、こちらの経験ももちろんですが、地元でも素晴らしい内装業者さんとの出会いもあったり、さらにはSNSでフォローしてくれている皆さんからの励ましもありました。物件決定の後は、すべてがうまく進みましたね。こうして完成してみれば、外装も内装も、文句なしじゃないですか」
さらに続ける。
「これまでの苦労や、やきもきはあったのですが、自分も『仙台にボールパークをつくる』って公言して退路を断ち切って…みたいなところはありましたし、(鈴木)崇良もこっちに引っ越して、ずっと頑張ってくれていて。ただ、仙台という土地柄もあるのかもしれません。お客さんの方で、なんとなく野球を求めてアンテナを張ってくれている、みたいな実感はあったんですよね。そんな野球熱みたいなものも、完成してみて、あらためて実感しているところではあります」
多種ニーズに応えるエリア展開、ウエイト機器も

20m×17mの広さがあり、未就学児から小学1、2年生あたりまでのミニゲームならできそうな「多目的エリア」、その多目的エリアをカーテン状のネットで2~4つのレーンに仕切って使う「バッティングエリア」、約9m×3.6mとコンパクトながら、それだけにボール集めが楽で使い勝手の良い「手投げエリア」と、これまでのボールパーク運営でのノウハウも生かして設計された人工芝エリア。それらに加え、ウエイトトレーニングのための機器を各種そろえた、鈴木こだわりの「トレーニング室」も完備した充実の施設。ショップスペースも広く、軟式用、硬式用と数多くのグラブが陳列されている。

「いまのところ、学童野球から、社会人の草野球まで、幅広い年齢層のお客さんに使っていただいてますね」
まだオープンから日は浅いが、鈴木が実感していることがあるという。
「これが土地柄なのかな、とも思うんですが、使ってくれるお客さんも、温厚っていうんですかね。そんな方が多い印象はありますね」
BP仙台の各エリアを使用するユーザーを見ていて、そう感じることが少なくないのだという。
「これは極端なレベルの話なのかもしれませんが、他のボールパークでは、時間貸し利用のお客様の場合、こちらから声掛けをしないと終わってくれない、みたいな話をよく聞くんです。こっちでもそうかな…と身構えていたんですが、これまでにBP仙台を使ってくれたお客さんは、それが一切、ないんです。みなさん、終了時間が近づくと、自分たちで切り上げてくれます」
鈴木にとっては、ちょっとした驚きだった「マナーの良さ」だという。
「あと、思った以上に客層が幅広い、というか。予想外ではありますが、ありがたくもありますね。いろんなお客さんに使っていただいて、憩いの場、ではないですけど、そんな場所になっていければいいな、という気持ちは持っています」
ボールパーク展開で目指すものは

BP仙台のオープンを見届けた吉村もまた、あらためて初心にかえる、といった心持ちを吐露する
「元来、仙台に限らず、このボールパークという施設は、それで利益を出そうという考えで作っているものではないんです」
そうなのだ。公園で野球をすることができない、現代の子どもたち、そして親子に、思い切り野球に興じることができるスペースを提供することこそが、ボールパークの第一の存在意義なのだ。
「本社に併設の、千葉県の柏の葉ボールパークでも、実質的に稼働していない午前中などは、地元の保育園や幼稚園の子どもたちに開放したりしています。BP仙台も、野球以外の部分であっても、地元のコミュニティに溶け込み、貢献できることがあるのならば、積極的に関わっていきたいと思っているんですよね」
まだ手探りではあるが、固定観念にとらわれることなく、地元に貢献できるような運営ができれば、と吉村が続ける。
「仙台は北海道の2つのボールパークとも違い、雪こそ多くはありませんが、それでも、そこは東北。冬は寒い。BP仙台は冷暖房も完備しているので、野球以外での使用も含めて、有効活用していただければと思いますね」
東北の野球コミュニティの一員に。そして…

仙台、宮城のみならず、いまや東北における野球文化において、大きな役割を果たしているのが東北楽天ゴールデンイーグルスだ。
「この地域での野球熱、もちろん野球振興にも大きな役割を果たしていらっしゃる。東日本大震災からの復興においても、地元の大きな勇気になったことは印象深いですよね。尊敬するばかりです」
吉村がしみじみと話す。
「ありがたいことに、フィールドフォースは野球振興を担う楽天アカデミーさんと、業務提携を結ばせていただいています。これまでも定期的に、意見交換などを行ってきました。こうしたやり取りにもボールパークが活用できれば、今後は、今まで以上に密なセッションが可能になるんじゃないかなと、ここにも期待しているんです」
地元野球界の、さらにそれを超えたコミュニティの力になりたい。そんなBP仙台をぜひ、積極活用してもらいたい。施設紹介、そしてWeb予約はこちらから──。