全国大会を目指す強豪16チーム参加による「目指せ!愛媛・スポ少2026 2DAYs IN SUITA」。大会2日目はベスト4に勝ち上がったチームにより準決勝と3位決定戦、決勝が万博記念公園野球場で行われた。朝から雪が降り続ける中、決勝で不動パイレーツ(東京)を退け優勝を果たしたのは王者・長曽根。同スポーツ広場では、敗れたチーム同士による敗者戦も行われた。
(本文&写真=鈴木秀樹)
■準決勝
シビれる投手戦を制して不動が勝利
▽第1試合
不動パイレーツ(東京)
001000=1
000000=0
北名古屋ドリームス(愛知)
【不】上田-瀧
【北】坪井-中津

▲好投の不動・上田主将㊤と北名古屋・坪井㊦▼

不動・上田廉主将、北名古屋・坪井心汰の両先発が好投、野手陣も好守備で投手をもり立て、見応えある投手戦が繰り広げられた。
1、2回をともに無得点で終え、迎えた3回表、不動は二死から九番・古谷蒼生が左前打で出塁すると、一番にかえり榎本健太が右前打、続く近藤蓮も内野安打を放ち、先制点を奪った。

▲3回表、近藤の先制適時打㊤で不動が先制㊦▼

その裏、北名古屋も一死から八番・青山隼磨が左前打で出塁すると、九番・丹羽夏暉もバント安打で続いて一死一、二塁としたが、後続が倒れ、得点はならなかった。
以降は両軍とも走者を出しながらホームが遠い。不動は4回裏に一死一塁から併殺でピンチの芽を摘み、5回裏には一死二塁からの三盗を阻止するなど、好守備も光る試合運びで北名古屋に得点を許さず、3回に手にした1点を守り切り、接戦をものにした。
▲北名古屋打線は5安打も好機であと1本が出なかった ▼5回には同点の走者が三盗を試みるも失敗

1、2回戦ではともに2ケタ得点で勝利を収めるなど、強力打線による得点力が目を引いた両チームだったが、直接対決は好守備も光る投手戦に。不動・上田博雄、北名古屋・岡秀信の両監督は互いをたたえ合い、「良い試合ができました」と、対戦の収穫を口にしていた。
初回の4得点から一気に寄り切り長曽根が勝利
▽第2試合
長曽根ストロングス(大阪)
400300=7
000100=1
豊上ジュニアーズ(千葉)
【長】山瀬、辻井、山田雄、山瀬-岡林
【豊】加藤-関澤
二塁打/吉見(長)、関澤(豊)
初回、長曽根は一番・吉見憲眞の左翼線二塁打に始まり、山田蒼、北原優響、岡林優志までの4連打で2点を先取し、内野ゴロ間にもう1点、六番・山田雄大の右前適時打でさらに1点と、いきなり4点のリードを奪った。

▲長曽根は初回に先頭の吉見が二塁打㊤ ▼先制適時打を放つ長曽根・北原㊦

長曽根は好守備も光った。2回裏一死二、三塁のピンチでは、飛び出した相手三走をきっちりと刺して無失点で切り抜け、3回には先頭の打者を四球で出しながらも、次打者を内野ゴロ併殺に仕留めてピンチを未然に防いでみせた。4回、日本松龍、川添瑠希の連打から3点を加えた長曽根は、その裏に豊上三番・関澤月陸の右越え二塁打から1点を失うも、落ち着いた試合運び。投げては先発の山瀬晴から辻井恭悟、山田雄大主将、再び山瀬へとマウンドをつないで、豊上にさらなる反撃を許さなかった。

▲豊上は2回、走塁死で得点ならず㊤ ▼4回の石井尊の適時打㊦による1点が豊上唯一の得点となった

初回の4失点でリズムを崩した豊上は1、2回戦の爆発的な攻撃力が影を潜めた。豊上ベンチからは、試合開始時から髙野範哉監督の「7点(が勝敗の分岐点となる)ゲームだぞ」の声も聞こえ、トータル7失点は試合前からの想定内だったようだが、攻撃面では長曽根投手陣に苦戦し、最後までリズムに乗ることができなかった。
■3位決定戦
本塁打4本!!予想外の空中戦は豊上が〇
豊上ジュニアーズ
200016=9
202301=8
北名古屋ドリームス
【豊】蛭間、石井-関澤
【北】加藤朝、今井大、今井悠、吉村、今井悠-中津
本塁打/蛭間、後山(豊)、吉村、今井大(北)
二塁打/後山、後藤、蒔田(豊)坪井(北)
【評】豊上は初回、四番・蛭間悠智主将が左翼へ、両翼70mの仮設フェンスを越える2点本塁打を放ち先制。その裏、一番・中津拓真の安打と四球、バッテリーエラーで北名古屋が同点に。3回に再び中津の安打と三番・吉村太賀の左サク越え弾で2点を勝ち越した北名古屋は、4回にも今井大稀が左中間フェンス越えにソロアーチ。さらにこの回、佐々木飛雅、久保田結仁、中津の安打などで2点を加えた。
しかし、最終6回に豊上打線が猛反撃。蒔田昊明の右中間適時打などで2点を返すと、二死から蛭間主将、石井尊も安打を放つなど、打者一巡の猛攻で6点を奪い逆転。北名古屋もその裏に久保田の内野安打、坪井心汰の適時打で1点を返すも及ばず、豊上が逃げ切って3位を獲得した。

▲投打に奮闘した豊上・蛭間主将㊤ ▼3回の本塁打などパワフルな打撃を披露した北名古屋・吉村㊦

先頭の巧打者とパワフルな中軸で得点重ねる
ともに準決勝から一転、本塁打も2本ずつ飛び出す打撃戦となった。ダブルヘッダーの2試合目でもあることを考えれば、考えられる結果ともいえるが、さすがの攻撃力だ。
両チームとも、攻撃の起点となった一番打者の活躍が目を引く。この試合では、豊上の遊撃手・後山晴は本塁打を含む2打数2安打2四球、北名古屋の捕手・中津は4打数3安打だった。

▲5回表無死、豊上・後山が左中間にサク越え本塁打㊤ ▼4回裏無死、北名古屋・今井大稀が左中間にサク越え本塁打㊦

豊上・後山は「すごいチームばかりの大会。打席ではどのチームのピッチャーからも、『圧』のようなものを感じました。それでも、この試合(3位決定戦)ではホームランも打ててよかった。1試合目に戦った長曽根は強かったけど、次に対戦する時には勝ちたいです」と、独特の雰囲気の中でも結果を出し、手応えを感じている様子。一方の北名古屋・中津は「積極的な打撃ができてよかったです。監督からも、いつも言われているんです。チームの打線を引っ張っている実感があるので、一番の打順は好き。今年も全国大会に出て、先輩たちの成績を超えられるように頑張りたいです」と話した。
また、両チームとも先頭打者の奮闘に応えるように、中軸も長打を連発した。豊上の四番・蛭間主将は本塁打を含む3打数3安打1四球、北名古屋も三番の吉村と、途中から五番に入った今井大稀がサク越え弾を放った。

▲北名古屋は4回に3点を奪いダメを押したかに見えたが…㊤ ▼豊上は4点を追う最終6回に打線爆発で逆転し勝利。写真は適時打を放つ蛭間主将㊦

豊上・蛭間主将はこの試合での活躍に笑顔を見せながらも、長曽根に敗れた準決勝が印象に残ったようで、「長曽根はほかのチームと雰囲気が違いました。小さなチャンスでも確実に点を取ってくる。ミスがないんです。いつもやっている練習で、監督が言っているのはこういうことなのかって思いました。一、三塁の場面も、ボクたちはミスしてしまった。向こうはしっかり点を取った…」と反省していた。
準決勝での好投が光った北名古屋の左腕・坪井は「いいピッチングができました。全国大会を目指す強いチームとの試合なので、自信になります」と話したが、「去年の全国大会では、伊勢田戦(伊勢田ファイターズに敗れた3回戦)で最後の打者になったのが悔しくて、今も忘れられないんです。今年は絶対に、全国一を目指します」と気持ちを新たにしていた。

■決勝
攻守にスキなし! 長曽根が完封勝ちで優勝飾る

不動パイレーツ
000000=0
11100x=3
長曽根ストロングス
【不】間壁、堀口-瀧
【長】山瀬、辻井、山瀬-岡林
二塁打/山田雄(長)、近藤(不)
【評】長曽根は1回裏、先頭の吉見憲眞が二塁打後にけん制悪送球で三進、内野ゴロで生還し先制。2回にも連続四球から無安打で1点、3回には死球と山田雄大主将の左翼線二塁打で一死二、三塁とし、茂友悠人のスクイズでさらに1点を追加した。
長曽根の先発は、準決勝に続いて山瀬晴。3回途中からは辻井恭悟にスイッチ、最終6回に再び山瀬がマウンドに上がって試合を締めくくり、不動打線をゼロに抑える完封リレーを完成させた。長曽根が3対0の完封勝ちで、16チームの頂点に立った。
不動・上田監督「貴重な経験積めた」

▲不動先発の間壁㊤とリリーフの堀口心太郎㊦▼

「最後にいいピッチングができてうれしいです」
決勝でリリーフのマウンドに立ち、3回二死からの2イニング1/3をノーヒットで抑えた長曽根・山田雄大主将がニコニコと振り返る。
「(山瀬)晴が先発して、流れをつくってくれる。攻撃も、作戦通りに得点できました。この調子で勝っていって、全国制覇まで行きたいです!」
敗れた不動・上田廉主将も手ごたえは感じている。
「攻撃も守備も、全体的に、チームの成長を実感できました。守備は連係もよかった。でも、長曽根は強かったです。あんな風に、細かい野球ができるようになりたい」

▲2回には長曽根の2点目を許さず。不動はピンチも最少失点で切り抜ける守備も光った㊤ ▼試合を終え、準優勝の表彰を受ける不動ナイン㊦

上田監督も手ごたえを口にした。
「長曽根さんは強かった。この大会では小野東さん、新家さん、北名古屋さん、そして長曽根さんと、様々な地域のチームと戦い、東京ではあまり見られないような野球を間近で見ることができました。守備シフトしかり、走塁しかり…。うちの投手陣はまだまだですが、キャプテンが(準決勝で)完封してくれたのは自信になりました」
太田樹希、間壁悠翔は2回戦の新家スターズ戦で2本ずつ、本塁打を放った。「チームに貢献できてよかった」と太田、「投打で納得いく活躍ができました」と間壁。こちらも、夏までにはまだまだ大きく成長しそうだ。

総失点わずか「2」! 圧巻の優勝劇
この日は準決勝と決勝のダブルヘッダー。「ダブルヘッダーの2試合目は荒れる」というのはこれまで、学童野球では“あるある”だった。学童野球で「ひとり1日70球」という投球制限がルール化された2019年以降は、その傾向がさらに強くなっていた。
今シーズンからは、さらに厳しさを増すかもしれない。70球ルールに加えて、「一人1週間210球」の新ルールも適用されるためだ。

▲準決勝、決勝とも先発、しっかりと試合をつくった長曽根・山瀬晴㊤ ▼3回裏、左翼線に適時二塁打を放つ長曽根・山田雄大主将㊦

このルールは、全国で活動する多くの学童野球チームにとっては、さほど気にすべき問題ではない。ほとんどの大会は週末、つまり1週間に1日か2日、多くて3日間だけの試合で進むため、毎日70球投げても210球に収まることにはなるからだ。
が、この大会に出ている16チームにとっては大問題となる。全日本学童マクドナルド・トーナメントは7日間連続で行われるためだ。この大会に出ているチームは、ただ全日本学童に出場することだけを目指しているわけではない。全日本学童で「勝つ」ことを目標にしているのだ。
その一方で、全日本学童で勝ち続ける難しさは、出場するチームすべてが「全国一」までを目指してチームづくりをしているわけではない、という事実にも影響を受けることになるはずだ。
たとえば、一人のスーパーエースの力を頼りに地区予選を勝ち上がってきたチームがあったとする。そのチームは全国大会で3日目(つまり3回戦)までエースで戦い、勝ち上がることは計算できても、それ以上は一気に難しくなる。一方で、日本一を目指すチームは、あらかじめ4日目(準々決勝)以降も勝てるよう投手陣を育て、起用しつつ、そうしたスーパーエースがいるチームを相手にも、取りこぼしがあってはいけないのだ。そう考えると、今シーズンからのルール下で「日本一を取れるチームをつくる」ことは、これまでにも増して、難易度の高い作業になると予想される。

今大会参加チームの指導者も皆、「1週間210球」のルールに関しては頭を悩ませていた。それだけに、決勝でも序盤から1点ずつをきっちりと積み上げ、そのリードを守り切って優勝した、長曽根の試合運びは見事というほかない。初戦からの4試合トータルでの総失点はわずか「2」と、驚異的ですらある。
今大会を見る限り、長曽根の戦いぶり──とりわけ、その隙のなさは飛び抜けている。それでいて、昨年大会の優勝により、すでに全国大会の出場権を手にしているというアドバンテージまであるのだ。
長曽根の9度目の日本一を脅かすチームが、この大会の参加チームから出てくるか、あるいは別ルートから現れるか。いずれにしろ、今年の高円宮賜杯をめぐる争いから長曽根を外して考えることは、難しいのではないだろうか──。