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  • 2026注目戦士

2025西武Jr.の仲間入り。3兄弟“最終傑作”の三刀流が全国デビューへ

2026.05.18 |更新日:2026.05.21 注目戦士
2025西武Jr.の仲間入り。3兄弟“最終傑作”の三刀流が全国デビューへ

【2026注目の逸材】

たての・かなた

舘野奏空

[栃木/6年]
もおか

真岡クラブ

※プレー動画➡こちら

【ポジション】遊撃手、投手
【主な打順】三番
【投打】右投右打
【身長体重】150㎝44㎏
【好きなプロ野球選手】坂本勇人(巨人)、源田壮亮(西武)、今井達也(アストロズ)
※2026年5月15日現在

5年生でレオJr.に

「今」だけでなく、その先の未来を見据えたアプローチで、野球界と社会をリードする人材を育む――。
 これは2025年の埼玉西武ライオンズジュニア(以下、西武Jr.)が打ち出した『育成ビジョン』。筆記試験や面接を含む3次の選考を経て、16人の選手とともに5年生のサポートメンバー5人を選出したのも、理想を具現化する施策のひとつであったと思われる。
 サポート組も年末のNPBジュニアトーナメントまでの4カ月間は、練習試合を含むすべての活動に参加。本大会のベンチには入れなかったが、西武Jr.としての経験は代えがたい財産となったに違いない。

背番号0の舘野は2025西武Jr.のサポートメンバー。遊撃手兼投手として練習試合ではプレー㊦㊧、自ら決勝打を放った試合もあるという(撮影/鈴木秀樹)

「最初はみんな知らない人たちだったのが、いろいろ話し合ったりして、心がひとつに。あとは毎回の練習前に、自分がどういう目標をもっているのかを話して、終わったらノートで振り返る。そういうところを学びました」
 西武Jr.のサポートメンバーだった舘野奏空は、所属する栃木・真岡クラブに戻ってからも野球ノートを続けているという。ジュニアトーナメントは予選敗退(1勝2敗)ながら、球団の『未来も見据えたアプローチ』は着実に実を結んでいるようだ。
 もちろん、前年のサポートメンバーが、西武Jr.に再選される保証はどこにもない。舘野もゼロからの再挑戦を誓っている。


「バッティングでは100発100中を目指して。投手ではコントロールが良くなるように際々を狙って練習しています。一番自信があるのはショートの守備で、守備範囲の広さです」
 己を磨くのは、所属するチームのためでもある。真岡クラブは2009年と2015年に全国大会(全日本学童マクドナルド・トーナメント)に出場。今年は5・6年生18人で11年ぶり3回目の夢舞台を期している。
「マクドナルド・トーナメントの全国大会に出場することと、ライオンズジュニアに入って日本一になることが今年の目標です」


 舘野は地元の真岡市界隈では名の知れた“舘野3兄弟”の末っ子。2021年には長男が6年生、次男が4年生、三男が1年生と、そろって同じユニフォームでプレーしていた。
「1番目(蒼空=茂木高2年)のスピードに、パワーも兼ね備えたのが2番目(琉空=下野シニア3年)。その2人を足して割ったのが、3番目(奏空)という感じですかね」
 息子たちをこう評するのは、真岡でかつてキャプテンを務めていた舘野瞬監督(=㊦写真)。真岡中(軟式野球部)、茂木高でも主将を務めた捕手兼外野手で、長男の入団を機に古巣でコーチとなり、2024年から指揮官に。

 まだ夏の全国大会にはチームを導けていないが、昨年はGasOneカップの県大会を制し(2連覇)、12月のミズノドリームカップ全国ファイナルでは4強入りして同時優勝(雨天で準決勝以降中止)。そしてこの2026年が、息子と同じユニフォームを着られるラストイヤーとなる。
「歴代の先輩たちや支えてくれている保護者のためにも、夏の全国を決めたいですね。息子を含め、下級生から多くの経験を積んできた世代なのでチャンスはあると思っています」(舘野監督)

3年秋に遊撃手で県Vも…

 3兄弟の“最終傑作”ともいえる三男坊の舘野は、真岡での実績も抜けている。2年生で正二塁手となり、3年生から正遊撃手に。4年生からは打線の三番に入って投手も兼務し、この最終学年でキャプテンも務めている。

3年秋㊤、4年秋㊦と2年連続で新人戦の県決勝でもプレー。体格とパワーは上級生に及ばないが、巧みなグラブさばきや正確な送球は際立っていた

 3年時の2023年秋には、同級生の高山剣輔との二遊間コンビで県新人戦初優勝(リポート➡こちら)に貢献。翌24年の県新人戦は同級生の栁和希が中堅守備で大活躍して準V(リポート➡こちら)、リリーフエースとなっていた舘野は決勝でも登板している。
 当メディアも取り上げてきたように、常に目に留まる下級生だった舘野のこと。5年生での西武Jr.入りにも、大きな驚きはない。だが実は、4年生の冬から5年生に上がるころにかけては大不振に喘いだそうだ。

3年時は二塁手、4年時は三塁で遊撃手・舘野とコンビを組んできた高山は現在は正捕手㊤。同じく下級生時代から活躍してきた韋駄天・柳はスーパーな中堅手㊦

「練習試合でもぜんぜん打てなくなって、ピッチャーでも打たれたり、ショートの守備でも思うように守れなくて…」(舘野)
 3兄弟は父から指示される以前に、自宅でも白球を追う日常が当たり前。また火曜、水曜、金曜はチーム練習がある。それでも、なかなかトンネルを抜け出せなかった末っ子にとっての光明は、野球塾だったという。
 その道の専門家からの、技術やフィジカル面の体系的なサポートに加えて、環境の変化が心のリフレッシュにもつながった。「塾でいろいろ教えてもらったことを、家での自主練にも取り入れたり。それで5年生になってから、また打ったり守れたりするようになりました」(舘野)

 父親監督は、悩める息子をシゴキ倒すようなスパルタ式の指導者ではない。それでも、週イチで野球塾へ通いながら立ち直っていく三男を目の当たりにして、悟ったことも少なくなかったという。
「小学生は特に、身体だけではなく、心をしっかりと休ませることも大切なんですね。自分らのころは『質より量!』の時代でしたけど。なので最近は、息子と立ち寄り湯に行くことも増えました。栃木なので温泉もありますし」(舘野監督)

長男が1年生だった2016年からの舘野父子の学童野球生活も、11年目の今年でピリオドが打たれる

 身体の成長期に入りつつある舘野は、パフォーマンスもさらに上がってきている。2026年に入って、投球の最速は104㎞から108㎞(4月・野球塾で計測)に。打率は5割超をキープしており、学童通算の本塁打は36本を数える。


場面や投手などに応じて、すり足で中前打を放つなど打席での引き出しも多い

 3兄弟の中でも最もストイックで、中学硬式で主将も務める次男からは、日々の生活や野球への取り組みなども認められ、自身の学童時代の応援歌を「使ってもいい」との許可が春先に下りたという。
「将来はプロ野球選手になって三冠王になるのが夢です。三冠王になれたら? 2年連続を目指したい!」
 間髪入れずに答えるあたりも、末っ子ならではか。西武Jr.というハイレベルな集団で揉まれてきたおかげか。

 そんな3番目の愛息の未来について、父親監督は一歩引いたところから期待をこう寄せている。
「本人はこの先もピッチャーもショートもやりたいと言ってるんですけど、その都度、適正に合ったところで自分が決めた道を進んで、花咲いてほしいなと思っています」
 全日本学童出場をかけた最終予選、栃木県大会は6月6日に開幕する。

(動画&写真&文=大久保克哉)


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