野手の中で一人だけ反対方向を向いてフィールド全体を掌握、ゲームをコントロールする役割も持ち、「扇の要」とも、「第2の監督」とも呼ばれるキャッチャー。その仕事は名前通り、ピッチャーの投げたボールを「キャッチ」するだけにとどまりません。配球を組み立て、仲間たちに守備位置を指示し、送球時はカバーに走り…。仕事量は多く、さらにケガのリスクも高い。とはいえ、大変ですが、やりがいのあるポジションでもあります。フィールドフォースは、そんなキャッチャーの力になるべく、さまざまなギアの開発を続けています。そして学童野球界では、キャッチャーを取り巻く環境が、さらに熱くなりそうな予感も…。
ある日、商品開発室にて
1月のある日、フィールドフォース本社にうれしい来客がありました。北海道日本ハムファイターズの的場直樹・ファームバッテリーコーチです。
的場コーチにお越しいただくのは、昨年の12月以来です。お目にかかったのはその時が初めてだったのですが、以前からフィールドフォースのことは知っていていただいたそうで、いくつかのギアをご使用いただいたこともあるとのこと。ご自身も現役選手に指導やアドバイスをする立場として、練習法についてはさまざまなアイデアをお持ちです。思いをたっぷりとお聞かせいただいたのでした。

さすが、プロ野球の現場でご指導されている方の意見は興味深く、参考になることばかりです。感心しながらお話をお聞きする中で、的場コーチからは「こんなものはできませんか?」とリクエストをいただき、私はといえば、そのアイデアを何としても形にしたい、とノートにペンを走らせたのでした。
そんな出会いから1か月。この日は、そのいくつかのギアの試作品が出来上がってきていたのです。
そのうちのひとつが、ブロッキング練習で腕の前面を守るためのプロテクターでした。的場コーチのイメージをお聞きし、こちらからは形状や素材などについてご提案、早速、試作品をお作りしたというわけです。

「良い感じですね。しっかり両腕を守れています。それと、ミットと反対の手をカバーする、この部分。中にはいらないという選手もいると思うので、取り外せるようになっているのはすごくいいと思います」
「ここはカバーしてくれている感じはすごく良いんですけど、もう少し柔らかさがあったらいいかなと思います」
実際にブロッキングの姿勢を取り、サイズ感や装着感を試し、率直な感想をいただきます。全体的には、合格点をいただけたようです。新たなキャッチャー用ギアの完成も、そう遠くはないと感じています。
新ルール「同一試合の投手・捕手の兼任禁止」

的場コーチ来社の時期との一致は偶然なのですが、まさに今、学童野球界ではキャッチャー育成の重要性が、あらためて叫ばれています。いや、正確には、まだあまり耳にはしていないのですが、遠からず、焦点が当てられるであろうトピックであることは間違いありません。
きっかけは、2月初旬に全日本軟式野球連盟(JSBB)が発した新ルールの通知です。来年、2027年から、学童野球では「同一試合での投手と捕手の兼任禁止」という新たなルールが実施されるというのです。
ピッチャーとキャッチャーの入れ替えは、学童野球ではポピュラーな選手交代です。それが禁止になるというのですから、これは一大事です。
この新ルールの導入は前述のとおり、2027年からとされています。1年間の猶予があります。「新たなキャッチャーを育てるには時間がかかる」というのが猶予期間を設けた理由だそうです。
この猶予期間が長いか短いかはともかく、新たにキャッチャーを育てることが、あらゆる学童野球チームにとって急務なのは確かでしょう。そして、ルールそのものの是非についても様々な意見はあるでしょうが、これを契機に、より多くの選手が学童野球の時期に捕手を経験できるのだとすれば、結果的に、それは決してマイナスにはならないのではないか──というのが、個人的な考えです。
そして、そうであれば当然、キャッチャーの育成にあたる学童チームのコーチ、実際にキャッチャーを務める選手を、全力で応援するのがフィールドフォースに課せられた使命だとも思っています。
「キャッチャーが捕らなければ、野球は始まらない」

フィールドフォースではこれまでも、学童野球選手用に特化したレガース・プロテクタの開発、商品化をしています(⇒こちら)。また、プロ選手から学童選手まで、幅広い年齢層の選手に対して指導・アドバイスを行っているキャッチャーコーチ・緑川大陸さんとのコラボレーションにより、各種キャッチャー用ギアを開発してきました。
実を言えば、かくいう私、吉村自身も高校までキャッチャーひとすじでプレーしてきました。すごく大変なポジションであることは十分に理解しています。そしてそれ以上に、魅力あるポジションであることも。何といっても唯一、守備で攻めることができるポジションなんですから…。
『野球はピッチャーが投げないと始まらない』とはよく聞く言葉ですが、『キャッチャーが捕らなければ始まらない』という言い方もできるのではないか、というのが私の考えです。
そんな考えのもと、緑川さんとは、もっとキャッチャーにもスポットライトを当てていこう、キャッチャーのカッコよさを発信していこう、と話しているのです。
大人だって痛いし、怖いのだ

もっとも、学童野球で最初からキャッチャーを志す選手は決して多くはないでしょう。一番の理由は、ボールに対する恐怖心ではないかと思います。
冒頭に話を戻せば、日本ハム・的場コーチと開発中のブロッキングガードも、「ブロッキングの練習時に、キャッチャーが痛くないように」というのが開発の理由です。大人だって、さらに言うならプロだって、痛いし、怖いのです。学童選手が恐怖心を抱くのは当然だと思います。
それでも、そのためのガードを装着することにより、恐怖心も少しは和らぐはずです。練習用のギアをうまく使うことで、「怖い」「痛い」といったマイナス感情を抱くことなく練習し、キャッチャーの楽しさや、やりがいを感じてくれたら、これほどうれしいことはありません。

近年はそれに加えてもう一つ、無視できない課題があります。夏場の「暑さ対策」「熱中症対策」です。重装備を強いられるキャッチャーは、暑さの影響を一番受けるポジションでもあります。フィールドフォースでも、暑さ対策を念頭に入れた学童選手用の白いレガース・プロテクターをつくっており、人気商品となっています。
暑さ対策は学童野球に限らず、球界全体の課題でもあります。中でも、キャッチャーは最優先。こちらも全力で取り組んでいかなければならない、喫緊の課題といえるでしょう。
即座に、多くの選手が「キャッチャーってカッコいい!」と考え、キャッチャーが人気のポジションになることは、今のところは難しいでしょう。ハードルはいくつもあります。そして、それらはいずれも、決して低いものではありません。
それでも、選手たちが恐怖心なくキャッチャーのポジションに就き、「楽しく」「カッコいい」ポジションと思えるようなギアを考え、創り出していきたい。フィールドフォースは今も、これからも、キャッチャーを全力で応援していきます!