本日8月7日、間もなくの夕刻4時半より、愛媛・坊っちゃんスタジアムで高円宮賜杯第46回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントの開会式が始まる。当メディアでは、例年より1カ月早くスタートした大会プレビューも、この14本目『開幕直前展望《後編》』がラスト。元王者も脅かす実力派のチームなどを紹介して締めとしよう。
(取材&写真&文=大久保克哉)

なるほど!ずくめの智将

北名古屋ドリームス
出場=4年連続8回目
最高成績=準優勝/2021年
初出場=2017年/1回戦
【全国スポ少交流】
出場=2回
過去の実績の上位グループをまとめておこう。優勝経験があるのは『前編』で紹介した6チーム。それに次ぐ準優勝は1チーム、3位(ベスト4)は関東の2チーム、そしてベスト8は九州勢に集中していて4チームとなる。
「目の前の子たちを見渡して『今年は良い』とか『今年は悪い』とか。そういうことだけじゃ、なかなか勝つことはできないので。ウチは今年に限らず、『例年通り』ということなんでしょうね」
クールに語るのは、2021年に準優勝している北名古屋ドリームス(愛知)の岡秀信監督だ。

4年連続8回目の全国出場という結果も説得力だが、この指揮官の考えはつくづく賢明で、話も理屈が通っている。
「ウチはよく『打力のチーム』と言われますけど、何をもって打力なのか。何人がサク越えできるかで言えば、毎年そんなに変わらない。全体の1/3くらいです。またその長打を打てるようになるための練習というのも、例年通りですね」(岡監督)

昨夏の全国では五番に入り、二塁打も放っている中津拓真
幼児から6年生までの、段階的な育成システムを確立して数年。それが学年平均10人強という組織と、安定した結果をもたらしている大きな要因だ。
「投手陣は7枚、8枚かな。新たに『210球ルール』があるなかで、1・2回戦で終わるつもりならエースの坪井(心汰『2026注目戦士❽』=㊦写真)をフル回転でいきますけど、ウチはその先まで考えてるので。幸いに、先に点を取られても振り出しに戻せるくらいの実力はありますから、後半勝負になるんでしょうかね…」

本番直前なので、それ以上の深い話は伏せておくとして、岡監督を取材していて感心したことがもうひとつ。来年からの新ルール『投手と捕手の交代不可』も見据えて、すでに手を打っていることだ。
マスクをかぶる吉村太賀は、世代屈指の5年生で、捕手のスキルも長打力も出色。マウンドからも6年生顔負けの、とんでもないボールを投げるという。「ホントに抜群なんですよ。すごく惜しいんですけど、すでに捕手に専念させています」

加藤航大は昨年の1回戦で、2安打をマークしている
目の前の1勝、今年の優勝。ただそれだけを求めて100%を投入するわけではない。それも智将には“例年通り”だろうが、今年は間違いなく他のV候補と肩を並べる実力がある。
「トーナメント表のどこに入ろうが、3つ勝てばその先は強敵ばかり。それも毎年のことですよ」
かわし方も巧みな指揮官だ。
関東勢が再躍進の予感
「小学生の甲子園」はこの数年来、東京代表を中心とする関東勢の躍進が顕著だった。昨年は千葉・豊上ジュニアーズのベスト8が最高と小休止も、飛躍の流れはまた加速しそうな雲行きだ。
1都7県の予選と各代表チームについては、すでに詳報しているので割愛するが、主だったチームと特長をおさらいしておこう。

千葉・豊上ジュニアーズの詳細➡こちら

東京・船橋フェニックスの詳細➡こちら
過去に銅メダルを2個獲得している豊上は、粒ぞろいで攻守とも巧み。後山晴(『2026注目戦士❼』)という出色の三刀流がいて、エースの加藤豪篤はピカイチの安定度だが、個に頼り切る野球ではない。
一方、ケタ違いのタレント軍団で存分に野球をしているのは、東京王者の船橋フェニックス。全国大会ならではの、足技小技やトリッキーなプレーに対してもマイペースを貫ければ、金メダルも十分にあるだろう。
豊上の巧みな野球と、船橋の個々のハイレベルを、プラスして二分したようなバランス型のチーム。それが山梨のラウンダースと、東京第2代表のレッドサンズで、両チームは2回戦で激突する可能性がある。

山梨・ラウンダースの詳細➡こちら

東京・レッドサンズの詳細➡こちら➡
ラウンダースの日原宏幸監督は「過去最高のベスト16をひとつ上回りたい」と控えめだが、昨秋の関東新人戦で準V。今年に入っても東日本交流大会で初出場初優勝している。
レッドサンズは2023年に初の銅メダル。当時の指揮官が今年の門田憲治監督で、現6年生たちは低学年のころから、全国大会の常連チームと数多く手合わせもしてきた。
この2チームが戦うとなれば話題を独占しそうだが、試合内容も結果も予想に難い。だが、この勝負をものにしたほうが一気に走る可能性もありそうだ。
九州勢にも新時代の予感

木屋瀬バンブース
出場=2年連続2回目
最高成績=ベスト8/2025年
初出場=2025年
【全国スポ少交流】
出場=なし
昨年は5チーム、一昨年は3チームあった九州勢の「初出場」が、今年は大分・長浜少年野球団のみ。2ケタ出場にベスト8の実績もある戸尾ファイターズ(長崎)もいて、新しい時代や流れの予感もする今夏だ。
昨年は初出場で8強まで進出した木屋瀬バンブーズ(福岡)は、5年生ながらサク越えアーチも放っていた永嶋璃陽斗(『2026注目戦士❶』=㊦写真)が大黒柱となって、再び夢舞台に。

「一気にテッペンもないことないと思いますけど、一戦ずつですね。今年は去年ほどすごい選手はいないけど、守備が堅い」と中川芳生監督。特に内野守備は、4試合ノーエラーだった昨年を上回る安定感だという。
6年生は7人。エースの嘉戸惺一空と正捕手の石原桜太ら、5年生は17人もいる。

※写真は2025年の準々決勝
大龍ビッグドラゴンズ
出場=2年連続3回目
最高成績=ベスト8/2025年
初出場=2022年/1回戦
【全国スポ少交流】
出場=なし
同じく1年前にベスト8まで進んだ大龍ビッグドラゴンズ(鹿児島)は、今年はもう一段上のメダル圏内を目標にしているという。
「去年ほどの本格派の投手はいませんけど、確実に任せられる子が3人います。バッティングも去年ほど遠くに飛ばせる子はいませんけど、ミート力があって守りもいい。足も使えるバランスのいいチームですね」と中里優士監督。

2025年準決勝。敗色濃厚の最終回に代打で登場した下級生たちは、初球ストライクから振っていった。㊤は吉元爽馬(現6年)、㊦は樋口謙(現5年)

このチームの特長は、フィールドの選手が結果や大人を恐れてプレーしていないこと。それは下級生でも変わらない。そういうチームだから、選手も集まってくるのだろう。
この1年で6年生も11人に増えて、メダル獲りに挑む。
まだまだ実力派が

※写真は2025年の3回戦
弘前レッドデビルズ
出場=2年連続2回目
最高成績=3回戦/2025年
初出場=2025年
【全国スポ少交流】
出場=なし
実力派はまだまだいる。当メディアでカバーしきれていない地域にも、優勝できる力をもつチームはきっといることだろう。
昨年の3回戦で、大龍に敗れた弘前レッドデビルズ(青森)は、2年連続2回目の全国出場。そしてまた3回戦で、大龍と戦う可能性があるが、工藤貴士監督は「一戦必勝」を強調した。
「今年は去年より打力がちょっと落ちます。若いチームなのでミスもちょっと。ですので、先のことをあれこれ考えるより、初戦から気持ちを入れていかないと。去年もそうだったんですけどね」

今年は6年生が6人。昨年も内野のレギュラーだった下級生3人が、変わらず堅守のキーマンだ。右本格派の山本蒼(=㊤写真)がエースとして一本立ち。元気印のホットコーナーだった斉藤旭飛(=㊦写真)は遊撃守備に入って、5年生の秋元倫太朗と三遊間を組む。

チームの前身、時敏レッドデビルズは2001年創立で、2015年に全国初出場(1回戦敗退)。拠点の時敏小は、当時も今も弘前市で最多の生徒数だという。
しかし、近隣地域では少子化が進んだことなどから複数のチームを吸収(合同)するかたちで、2016年に現チームとなって再出発。ちょうど10年が過ぎて11年目に入った今夏、また新たな歴史を刻むか。

※写真は2023年2月に撮影
岡山庭瀬シャークス
出場=7年ぶり5回目
最高成績=3回戦/2016年、2019年
初出場=2015年/2回戦
【全国スポ少交流】
出場=なし
最後に紹介したいのは、当メディアのチーム紹介コーナーに最初に登場いただいた、岡山県の岡山庭瀬シャークス(➡こちら)だ。
過去4回の全国大会でベスト8以上はないものの、2022年の「冬の神宮」ポップアスリートカップ全国ファイナルで初優勝。
その結果はもちろんだが、冷静沈着なベンチワークは以前からで、選手の主体性を尊重する姿勢もうかがえた。当時はまだコロナ禍で、学童野球も先行き不透明というなかで、希望の光にも見えたのだった。

「子どもを石にさせてもうたらあかん」と指導哲学を明かしてくれた中西隆志監督(=㊤写真)は今夏、7年ぶりに夏の全国舞台へ戻ってくる。御年は73歳だ。
「久しぶりなんで楽しみですね。子どもたちが『てっぺんちょ』を目指すと言うてるので、私もそのつもり。私からは『勝て』とか『優勝』とかは言いませんけど、子どもたちが立てる目標は高いほうがええ。ボクの教え子の、徳岡(章)コーチの息子(晃誠)が今年はエースなので、より楽しみにしています」
3年前の集合写真のどこかに、徳岡親子もいるはず。この夏の夢舞台では、一目瞭然となるほどの活躍が期待される。