全日本学童大会

【細かすぎて伝わる特ダネ➍】V本命!? 過去の日本一6チーム&監督コメントから大展望

【細かすぎて伝わる特ダネ➍】V本命!? 過...

2023.07.27

 高円宮賜杯第43回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント(以下、全日本学童)の開幕まで残り10日。特ダネの第4弾は、全国スポーツ少年団軟式野球交流大会(以下、全国スポ少交流)を含む2大全国大会で優勝実績のある6チームと各指揮官のコメントから夢舞台を展望します。 (写真&文=大久保克哉) ⇩クリックで拡大  きた ■北ナニワハヤテタイガース [兵庫/1965年創立] 出場=6年ぶり3回目 優勝=1988年※初出場 【全国スポ少交流】 出場=3回 優勝=1回/1988年 酷暑&強行軍ゆえに  負けたら終わりの真夏のサバイバル。毎年のことながら、51チームの組み合わせが入ったトーナメント表は壮観で、思わず時を忘れて見入ってしまう。  今大会の大きな特長のひとつは、過去に日本一に輝いている6チームが程よく散っている点だ。それぞれ順調に勝ち上がったと仮定して、最初の顔合わせは3回戦で1試合。翌日の準々決勝で1試合、残る2チームは準決勝で対峙することになる。 まだコロナ禍だった昨年は試合中もベンチの指導陣はマスクを着用、閉会式では全員が着用していた  もちろん、そんな容易に事が運ばないことは、40年超の大会史が証明している。とはいえ、夢舞台で最後まで勝ち切った経験が、大きなアドバンテージとなっているのは間違いないだろう。  複数会場で6日間のうちに50試合を消化する全日本学童はとりわけ、初出場組に戸惑いやストレスが生じやすい。1回戦からなら6連戦、2回戦からでも5連戦という強行軍。首都圏以外のチームは宿泊を伴う遠征となり、酷暑に加えての慣れない移動に衣食住で疲労がたまりやすい側面もある。 老舗の金字塔  過去の日本一6チームの中でも随一の老舗、1965年創立の北ナニワハヤテタイガース(兵庫)の「金字塔」をご存知だろうか。  昭和最後の1988年夏に初出場初優勝。さらに全国スポ少交流も優勝と、二冠に輝いているのだ。現在は2大会の同一年同時エントリーはできないシステムだが、10数年前までは禁じるルールもなかった。許された(黙認されていた)その約30年の間に両大会制覇を果たしたのは、北ナニワと前年87年の亀川野球スポーツ少年団(大分)のみ。しかも、全日本学童は47都道府県の王者が参加する現行のシステムとなったのが88年(前年までの出場枠は主に16~27)だから、北ナニワの偉業は「金字塔」と言っていいだろう。  創設者にして現在も現場で指揮を執る石橋孝志監督は、1950年生まれの73歳。2017年には29年ぶりの全日本学童で準優勝までチームを導いている。以来、6年ぶりの出場を決めた今年は「別にコレという特長のあるチームではないな。逆にバランスがとれていて何でもできる」と語る。激戦区の兵庫大会は全6試合の半分が完封勝ち。準決勝からは接戦をものにしてきた。 「6年生が10人おって、エースでキャプテンの森岡雄飛が右の本格派で大きな柱。全国に出る以上は優勝したいと思うてますし、選手も優勝したいと言ってます。でも、今は昔と違って情報もいろいろあるし、今年は新家さんが行くのと違いますかね」  しんげ ■新家スターズ [大阪/1979年創立] 出場=2年連続3回目...

【細かすぎて伝わる特ダネ❸】注目の6年生捕手

【細かすぎて伝わる特ダネ❸】注目の6年生捕手

2023.07.18

 野球はとかく投手に目が行きがち。それが学童野球になると、捕手の優劣で明暗が分かれることがままある。エースが怪物級のボールを投じたとしても、それを確実に捕る・止める捕手がいなければ、まともなゲームにならないからだ。『細かすぎて伝わる特ダネ』の第3弾は、既出を含めて8月の夢舞台で輝きを増すだろう捕手たちにスポットを充てた。 (動画&写真&文=大久保克哉)  全国大会ともなれば、相手走者を簡単に進塁させるような捕手はほぼいなくなる。逆に言えば、ほぼ無条件に相手に次塁を与えてしまうようなチームは、自ずと予選で消えていくのだ。  概ね平均点以上の捕手。そういう大前提の上で、真っ先に取り上げたいのは昨夏の胴上げ捕手、中条ブルーインパルス(石川)の向慶士郎主将だ。1年前は5年生にして、堅実なキャッチングとブロッキングで目を引いた。リード面も任されており、3回戦ではピカイチ右腕の服部成(星稜中1年)と完全試合の偉業も達成している。  打球に対する反応と、動き出しの鋭さは随一。動物的なその瞬発力とスピードは、攻撃面でも大きな武器となっている。昨年は全国予選で左打席から打ちまくった。新チームで主将となってから一時期は打撃の調子を崩していたが、7月に倉知幸生監督に近況を尋ねると「春以降はかなり調子が上向きで、逆方向の左中間のサク越え(70m)も普通に出ています」との返答。全国大会ではダイヤモンドを疾走する姿も見られそうだ。 向慶士郎(中条ブルーインパルス※紹介は→こちら)  同じくサク越えアーチが期待できそうな左打者は、同じ石川県の館野野学童野球クラブ、中村颯真だ。ヤクルト・村上宗隆をコンパクトにしたような風貌と同様のルーティン。「ツボにはまると大人の打球」と山本義明監督が評するように、芯でとらえたときの打球速度はハンパない。通算で2ケタの本塁打をマークしているというのもうなづける。  また、コースの左右高低にテンポも交えた配球で投手陣を好リードし、県大会では4試合で4失点。打者としての心理や読みがディフェンス面にも生きているようだ。 中村颯真(館野学童野球クラブ※紹介は→こちら)  勝負強い打撃を売りとするのは、常磐軟式野球スポーツ少年団(福島)の本多希光だ。全国最多出場記録を保持する同チームの伝統のカラーは「守備と走塁」だが、今年は打力も秀でている。その強力打線で四番を張る本多は、短く持ったバットで機に応じて打ち分けるポイントゲッター。昨夏は5年生で全日本学童に出場、神宮球場でタイムリー二塁打を放っている点も心強い。  夏場に来てスローイング面が明らかに向上しており、二塁へはコンパクトな動作から強いボールをコンスタントに投じている。堅守のカギも握る扇の要だ。 本多希光(常磐軟式野球スポーツ少年団※紹介は→こちら)    全国経験者と言えば、昨夏8強の越前ニューヒーローズ(福井)の山本颯真主将だ。こちらは攻守走すべてハイレベルの万能捕手。県予選では2本塁打を放っている。  昨夏の全日本学童は2試合で6打数4安打4打点で三塁打2本。三盗も決めているほか、小飛球も好捕するなど、身体能力は中条・向にもひけをとらない。チーム内のコロナ感染で準々決勝を戦えなかった1年前の分も、今夏は東京で大暴れしてくれそうだ。 山本颯真(越前ニューヒーローズ※チーム紹介は→こちら)  身体能力に長ける万能型と言えば、北名古屋ドリームス(愛知)の境翔太主将も外せない一人。バットヘッドが猛烈に走るスイングは、投球のコースや緩急で変わることがなく、痛烈な打球を弾き返す。そして塁に出れば、学校1位の脚力の見せ場となる。  5年生までは遊撃手一筋。チーム事情もあって捕手に転じてからも、精力的な努力で基礎スキルをマスターし、新境地を開拓している点も見逃せない。 境翔太(北名古屋ドリームス※紹介は→こちら)  捕手の基礎スキルをガッツリと携えているのは八日市場中央スポーツ少年団の伊藤瑠生だ。捕手出身の宇野貴雄監督と富永孝コーチの目に留まったのが、三盗の練習中に捕手役を務めていた当時4年生の伊藤だという。以降は2人の薫陶を受けて、今では大人をうならせるほどのキャッチングを披露する。理知的なマスクに、トレードマークのメガネがまたよく似合う。 伊藤瑠生(八日市場中央スポーツ少年団※紹介は→こちら)    学童野球メディアで追い切れていないが、上記の6人以外にも全国大会では捕手の有望株が多数いるはず。小学生でも指導と努力次第でここまでできるのだ、というところを存分に見せてくれることだろう。  東京V2王者・レッドサンズの増田球太(写真下)と、初出場・簗瀬スポーツ(栃木)の半田蒼真主将は、ともに三番・捕手で攻守に頼れる逸材。また遊撃手がメインだが、捕手も無難にこなす不動パイレーツ(東京)の小原快斗は打力に著しく長けており、「2023注目戦士」で追って紹介する予定だ。 

【細かすぎて伝わる特ダネ❷】初出場・千葉代表の横顔

【細かすぎて伝わる特ダネ❷】初出場・千葉代...

2023.07.12

 バッテリーと三遊間と右翼は6年生で、残る4つのポジションは5年生と4年生で等分。登録メンバーの5人は3年生以下で、実質的には13人で夏の全国2大大会の千葉県予選をそれぞれ制覇してみせた。八日市場中央スポーツ少年団の持ち味は、バッテリーを中心とする堅守と勝負強さ。これらを引き出す指揮官の手法にも特筆するべきものがあった。なお、全日本学童大会マクドナルド・トーナメントに初出場するため、16日の全国スポーツ少年団交流大会の関東大会(最終予選)は出場を辞退している。 ※秀逸バッテリーの紹介→こちら (写真&文=大久保克哉) スタメン4人は下級生。普段着野球でスポ少も県制覇 全日本学童千葉大会優勝時の6年生は5人。左から富永孝太郎主将、田中功明、伊藤瑠生、石井陽向、宇井貴浩 「夢のような2週間でした」  宇野貴雄監督はこう振り返ったが、選手も保護者も思いは同じであったことだろう。ほぼ同時期に並行して開催されてきた、全国2大大会の県予選をそれぞれ制したのである。 2週間で5戦の強行軍  まずは6月10日、全日本学童予選の県決勝で磯辺シャークスに1対0の勝利で初優勝。守備は学年やポジションを問わず、一様に堅くて勝負どころでミスがなかった。打線は力強い上位に、しぶとい下位がつないでいった。「しっかり守って、得点チャンスでしっかり取るという野球。ふだん言っていること、これまでにやってきたことを、子どもたちがそれ以上にやってくれたという感じ。もう何も言うことないですね」(宇野監督)。 県大会では随所で好守を披露した右翼手・田中。「全国大会でもみんなで守って、打線はつないで、どんどん勝ち進んでいきたいと思います」  創部21年目にして初めて手にした全国切符の興奮も冷めやらぬうちに、会場を移動しての全国スポ少交流予選の県3回戦に(3対0で勝利)。そして翌週末の土曜に準々決勝、翌日曜には準決勝と決勝のダブルヘッダーも勝ち抜いて、2つめの金メダルに輝いた。主将の富永孝太郎は、未知の全国大会をうれしそうにイメージしながら、抱負をこう語っている。 「なんか甲子園(高校野球)みたいな感じで、そこに出られるというのは全国の中でもトップのほうに入っているんだ、ということだと思います。全国でも良い結果を残していきたいです」  2週間のうちに2大会の大詰め計5試合という強行軍。これを実質13人の手勢で勝ち切ったことに加えて、1日2試合目となった決勝(県スポ少)の16対3という圧勝劇は、真夏の全国大会を踏まえても大きな自信の拠り所になるだろう。 コーチから監督となって11年目、チームを初めての全国大会に導いた宇野監督。冷静沈着な言動は選手の模範にもなっているようだ  8月5日に東京・神宮球場で開会する全日本学童大会は、翌6日から最多6連戦となる。酷暑の中で例年、持てる力を発揮できるのは序盤の2回戦あたりまで。3連戦となる3回戦以降は、投手の枚数と能力に加え、心身の持久力の差で明暗が分かれるケースも増えてくる。 「ここで勝つために子どもたちも頑張って来て、自信を持って送り出しているので、私から言うことは何もないです。子どもたちを信用しています」  県大会の最中で宇野監督がそう話していたように、大一番でそれぞれ緊張している選手たちに指導陣がプレッシャーを上塗りするようなことがない。目の前の結果で一喜一憂しないし、観客までハラハラするようなシーソーゲームでも背番号30はベンチの奥で静かに仁王立ちしたまま。そしてフィールドの選手たちは、自ら守備のタイムをとってマウンドに集まるなど、主体的に野球をしている姿が見受けられる。 ⇧安定した三塁守備の石井は、マウンド度胸も満点。「ボール係とか頑張ってくれる人たちの思いも胸に、全国ではみんなで一丸となって戦います」⇩遊撃手・宇井は堅実な上に守備範囲も広い。「全国はまず初戦を大事に勝ってから。個人的にはヒットをいっぱい打ちたいです」 独特のウォームアップ 「練習は厳しい」と選手は口をそろえるが、本番(公式戦)では大人からストレスをやたらに与えられることがない。要するに、精神面から疲弊して自滅していくような心配はないだろう。  相手がどうのこうのではない。自分たちが突き詰めてきたことをそのまま発揮すれば勝てる。6年生からはこういうコメントが複数聞かれたが、“ゴーイング・マイウェイ”は指揮官が率先しているように見受けられた。  たとえば、全国8強の実績もある磯辺シャークスとの決勝。背中に「30」と入った上着に宇野監督が袖を通したのは、試合前シートノックの直前。それまではTシャツ姿で選手たちのウォーミングアップを遠巻きに眺めていた。その意図とは? 「グラウンドに入ったときから、勝負は始まっているなと思ったんですよ。シャークスさんは格上ですし、声を出してボールもバンバン投げていました。ウチは集合場所で体を動かしてきたこともあるんですけど、あえて焦らずに。いつも通りに自分たちのアップをすればいい、と。そういう狙いでユニフォーム(上着)も着ずにいました」(宇野監督) 対戦相手も学年も関係ない。個々でやるべきことに取り組んでいたウォーミングアップ  ウォーミングアップがまた独特だった。よく見る軍隊方式のものではない。外野の芝の上に散った選手たちは各々に手足を動かしながら進んだり、走ったり、戻ったり。それも160㎝超の富永主将から、背番号17の1年生・嶋根蓮人まで例外なく。また、一団の近くには大人の目や声はもちろん、姿すらもなかった。 「アップの内容や方法はコーチ陣からも提案があって、今の自分たちでやる形になりました。去年の6年生が4人しかいなかったんですけど、彼らが見本を見せてくれていたので今年にそのまま引き継がれています」(同監督)...

【細かすぎて伝わる特ダネ❶】出場全51チームと過去の成績ほか

【細かすぎて伝わる特ダネ❶】出場全51チー...

2023.07.06

 高円宮賜杯第43回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント(以下、全日本学童)の開幕までジャスト1カ月。『学童野球メディア』は、今夏の夢舞台を事前から事後まで特報していきます。第1弾は7月2日に出そろった出場全51チームと過去の成績のほか、ご当地外ではあまり知られていない特ダネも随所に――。  (写真&文=大久保克哉) ※下の表はタップで拡大できます 「小学生の甲子園」とは  全日本学童が「小学生の甲子園」と呼ばれるのは、高校野球の夏の甲子園と同様に、都道府県大会を制したチームによるチャンピオンシップ大会であることが大きな理由だろう。1988年の第8回大会(静岡県開催)から、この方式となっている。  2009年の第29回大会からは、開催地が学生野球の聖地「神宮球場」のある東京都に。プロ野球ヤクルトの本拠地でもある同球場で毎年8月に開会式があり、都内の複数会場で51チーム参加の巨大トーナメントを6日間で消化する(予備日あり)。そして最後まで勝ち抜いて頂点に輝いたチームこそは「キング・オブ・キング」、全国の加盟9842の学童野球チーム(2022年度)のチャンピオンである。  47都道府県のうち、予選が困難な北の大地・北海道は出場枠が2。登録チーム数が唯一、4ケタを超える大激戦区の東京都も出場枠が2。北海道は北と南に分かれての予選で各出場チームを決する。東京都は第1・第2代表に加えて「開催地枠」もあるため、予選の都大会上位3チームが出場している(2009年から)。 【⇩東京大会リポートは→こちら】 優勝経験組は4チーム  2001年の第21回大会からは「前年度優勝枠」も設けられて、現行の出場51チームに。昨夏に5年ぶり3回目の出場で初優勝を遂げた中条ブルーインパルス(石川)が、今年は予選免除で全国V2へと向かう。選手主体の普段着野球を実践する倉知幸生監督は『学童野球メディア』の人気コーナー、監督リレートークのトップバッターも快く引き受けてくれた。  前年王者のその指揮官も親愛する“カリスマ指揮官”こと辻正人監督が率いる多賀少年野球クラブ(滋賀)は、何と6大会連続の出場。多賀の選手たちが展開する「ノー(脳)サイン野球」はもはや、夏の夢舞台の風物詩か。2018年から2連覇のほか、2大大会のもうひとつ、全国スポーツ少年団軟式野球交流大会(以降、全国スポ少交流)は2016年に初優勝と、都合3度の日本一を遂げている。 【⇧前年王者・中条ブルーインパルスの4月のレポートは→こちら】 【⇩多賀・辻監督の「監督リレートーク」は→こちら】  2大大会を通じた日本一の回数も、全日本学童の出場回数でも、多賀の上をいく「横綱」が福島の常磐軟式野球スポーツ少年団だ。創立40年目にあたる今年、保持する最多出場レコードを「23」に更新、全国スポ少交流も含めると全国出場は何と34回というオバケ記録だ。夏の2大大会をハシゴで出場した時代もあったが、現在のルールはダブル出場不可となっている。  1973年に選手8人でスタートした常磐。その8人の一人(当時4年生)だった天井正之監督は、6年時にチーム初の全国出場(全国スポ少交流)を果たす。中大卒業後に古巣のコーチを経て2000年から監督となり、2002年と05年に全日本学童で準優勝、07年には全国スポ少交流で優勝。家庭の事情で5年間は現場を離れた後、2015年に指揮官に復帰しており、節目の年でもある今夏はチームとして2010年以来の全日本学童制覇へ向かう。 【⇧常磐・天井監督の「監督リレートーク」は→こちら】  北ナニワハヤテタイガース(兵庫)は1988年に初優勝(全国スポ少交流もV)。お隣の大阪・新家スターズは2015年と19年に全国スポ少交流を制しており、全日本学童は出場2回目の昨夏、4強まで進出している。 千代松剛史監督率いる新家スターズ(大阪)は2015年の全国スポ少交流の決勝で多賀(滋賀)を破り、初の日本一に輝いている。写真は当時  茨城の茎崎ファイターズは2017年に、愛知の北名古屋ドリームスは21年に準優勝。東京第1代表のレッドサンズは昨夏8強入り、第2代表の不動パイレーツは19年に4強入りと、近年は開催地・東京勢の躍進も際立ってきた。 九州勢が彩り豊かに  予選の至難さもあって例年、半数以上が初出場。これも2大大会の特色だが、今年の全日本学童は初出場組が昨年より6チーム減の25。昨年は全8県が初出場だった九州勢だが、今年は彩りが豊かだ。  宮崎と沖縄の2チームは1年前の初戦敗退の借りを返すべく、2年連続で神宮へ。福岡の光友ヴィクトリーは今大会で唯一、1981年の第1回大会(16チームで東京開催)を知る老舗で、2011年以来3回目となる今夏は全国初白星なるか。鹿児島の川内サンダースは1980年代から2020年代まで、10年刻みの全年代で全日本学童出場と安定しており、86年には準優勝の実績もある。 沖縄・大里シャークスは昨夏、初戦(2回戦)で1点差負け。「持っている力を出せないまま終わってしまったよ」と宮城政一監督は嘆いたが、今夏はその分も!  長崎の波佐見鴻ノ巣少年野球クラブは、熱い学生野球ファンには知られているだろう。2011年に全国スポ少交流で初優勝したメンバーが、波佐見中の軟式野球部で14年夏に全国制覇を遂げた。さらにその中の一人で、2010年から指揮する村川和法監督の三男・大介さんは、波佐見高で3年夏に甲子園出場、西日本工大では4年春に大学選手権に出場。こうして小・中・高・大と全国舞台でプレーした大介さんは、小柄ながら50m走6.0秒を誇る左の巧打者で、ドラフト候補にも挙がった。すでに引退して社会の一員となり、一児の父にもなっているというから、ゆくゆくは父の跡を継いで古巣を率いるのかもしれない。 学童の波佐見鴻ノ巣と波佐見中で、ともに日本一に輝いた村川大介さん(中央)。写真は2014年夏、横浜スタジアムで中学日本一に輝いたときの一枚で、左が父・和法監督(学童)で右が母  佐賀の川副少年野球は1999年以来、24年ぶりの出場。それを超える今大会の最長ブランクは、四国の藍住南タイガーススポーツ少年団(徳島)で1985年以来、実に38年ぶりの出場となる(全国スポ少交流は90年に出場)。...