全日本学童大会
【開会式】53チーム1033人、夢舞台に栄...
2026年8月7日、四国・愛媛県での「小学生の甲子園」に集結したのは、47都道府県のチャンピオン(北海道と東京は2枠)、前年度優勝、開催地代表3の計53チーム。栄えある入場行進の後編は、近畿ブロックから開催地代表までの26チームだ。角度とタイミングの関係で、顔のほんの一部しか写っていない選手もいるが、1033選手(登録)の全員を写真に収めている。 (写真=福地和男、大久保克哉、鈴木秀樹) 始球式にはゲストの杉谷拳士氏(元日本ハム)が登場。打者は長曽根ストロングス(前年度優勝/大阪)の吉見憲眞主将が、捕手は開催地・愛媛県王者の松山NORTHベースボールクラブの長野晃也主将が、それぞれ務めた ■出場53チーム【後編】 ※入場行進順 たが 多賀少年野球クラブ [滋賀] 出場=9大会連続19回目/優勝=2回 おおすみ 大住クラブ [京都] 出場=19年ぶり3回目 しんげ 新家スターズ [大阪] 出場=5年連続6回目/優勝=2回 こうでら 香寺クラブジュニア [兵庫] 出場=40年ぶり3回目/優勝=1回 ...
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【開会式】四国で初の「学童甲子園」。53チ...
高円宮賜杯第46回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントは8月7日、愛媛県松山市の坊っちゃんスタジアムで開会式を行った。7月28日に大地震があった熊本県の代表も含め、53チームの1033人(登録選手)が「小学生の甲子園」と言われる夢舞台に入場行進。その様子を、前後半の2回に分けてお届けしよう。前半は前年度優勝チームから東海ブロックまでの27チーム。なお、大会は昨年から全国9ブロックの持ち回り制となり、四国での開催は史上初めて。 (写真=福地和男、大久保克哉、鈴木秀樹) 選手宣誓「仲間と一緒に流した涙を力に変えて、今日、この夢の舞台に立つことができました。大好きな仲間を信じ、笑顔を忘れず、一球一球を大切に、最後の一瞬まで全力でプレーします。またこの大会で出会う全国の仲間とお互いを認め合い、野球ができる喜びを分かち合い、生涯忘れることのない最高の夏にします(一部抜粋)」大分・長浜少年野球団・吉岡聖真主将 ■出場53チーム【前編】 ※大会プログラム・入場行進順 ながそね 長曽根ストロングス [前年度優勝/大阪] 出場=2年連続19回目/優勝=8回 しょうわ 昭和ブルーホークス [北海道北] 出場=初 ひがしじゅうろくちょうめ 東16丁目フリッパーズ [北海道南] 出場=2年連続10回目/優勝=1回 ひろさき 弘前レッドデビルズ [青森] 出場=2年連続2回目 ...
【開会式】四国で初の「学童甲子園」。53チ...
【速報●2026日本一も長曽根!!9度目の賜杯】
「小学生の甲子園」こと高円宮賜杯第46回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントは8月13日、愛媛県松山市の坊っちゃんスタジアムで決勝が行われ、前年優勝の長曽根ストロングス(大阪)が多賀少年野球クラブ(滋賀)を下して2年連続9回目の優勝を果たした。 (写真=福地和男、大久保克哉)(取材&文=鈴木秀樹) ※開会式から決勝までのリポートや大会総括などを順次、お届けしていきます ■決勝 ◇8月13日◇坊っちゃんスタジアム[滋賀]9大会連続19回目多賀少年野球クラブ 200000=2 00210x=3長曽根ストロングス[大阪]2年連続19回目【多】岸本-生川【長】山瀬、高見、山瀬-岡林三塁打/生川(多)二塁打/安達(多)、山田蒼、岡林(長)【評】多賀は初回、村井大翔、生川友翔の連打で好機を得ると、二死から安達琉斗が右中間に適時二塁打を放ち2点を先制。対する長曽根は序盤、多賀先発の岸本來橙を攻めあぐねたが、3回に茂友悠人の左前打を足掛かりに敵失も加わり一死一、三塁とし、吉見憲眞主将の犠飛で1点、さらに山田蒼の中越え適時二塁打で同点とした。長曽根は4回にも岡林優志(5年)の左中間二塁打と髙見銀志郎(5年)、茂友の連打で3対2と勝ち越すと、多賀の反撃をしのいで、前人未到の最多V記録を大会連覇で「9」へと更新した。 大目標V10に王手 「しんどい試合やった。ウチと多賀さんとは似たところのあるチームやからね」 偉業を達成した長曽根ストロングスの熊田耐樹監督はそうつぶやき、真っ赤にした目をぬぐった。 日本の学童野球界をリードする2チームの対戦となった決勝。すでに戦いを終えた、他の出場チーム関係者の多くもスタンドに駆け付け、試合の行方を見守った。 多賀が初回に先制も、以降は互いの投手陣の好投と、堅守が目を引く展開。「1アウト三塁。他のチームが相手やったら確実に1点は入る場面や。どっちもそんな場面があったけど、お互いに敵の守りを知ってるだけに、その場面で動けなかったね」。V監督の言葉が、厳しい試合展開を物語る。 3回、この試合唯一の失策に乗じる形で長曽根が追いついた。「やっとのことで追いついて、次の1点をどちらが取るか。そこだったと思う」。結果的に、4回に連打で勝ち越した長曽根が勝利を手にした。「3回戦の昭和ブルーホークス(北海道北)さん、準々決勝のIBCレイカーズ(熊本)さん、準決勝の船橋フェニックス(東京第1)さん…。そして多賀さんも、対戦相手すべてが強かった。今年の大会はレベルが相当、高かったんとちゃいますか」 長曽根はこれで来年大会の出場権を得て、大目標である10度目の優勝に王手をかけた。「確かに、これで1万分の1が、50分の1にはなったけど…。それはこれからゆっくり考えますわ」。指揮官はそう言い、持ち込んだディレクターズチェアに深く腰を落として、大きく息をついた。 新旧主将が流れ創出 最後の難しい遊ゴロをきっちりさばき、決勝を美技で締めくくったのは長曽根のキャプテン、吉見憲眞だった。「いつも通りのプレーができました。『やった、これで優勝や!』と思いました。めっちゃうれしかったです!」 5年生で出場した昨年も攻守で活躍し、優勝に貢献した名手。それでも、背番号「10」を背負いプレーした今大会は、少し違ったという。「チームをまとめるのがボクの役割。自分だけではなく、責任を感じながらプレーしました。少し、プレッシャーも」 遊撃の守備は、昨年以上に安定。打撃も力強さを増していたが、主将としての重圧もあったという。 一方、5年生チームのころから、今春まで主将を務めていたのが山田雄大。ここのところの不調で主将を吉見に譲り、スタメンから外れることもあったが、チーム初戦だった2回戦(対弓ヶ浜)で代打出場し、サク越えの本塁打を放つ活躍。準々決勝以降は九番・中堅で先発出場した。「(初戦に代打で指名されたとき)絶対に活躍してやろう、と思ったんです」 九番の山田雄が機能し始めたことで、一番を打つ吉見にチャンスで回る場面も増え、長曽根打線は爆発力を増した。「(吉見)憲眞に良い形でつなぐのが自分の役割、と思って打席に入っていました。良い仕事ができたと思います」 新旧キャプテンの活躍で打線が迫力を増した、今年の長曽根。「来年の後輩たちにも頑張ってもらって、ぜひ10回目の優勝を3連覇で果たしてほしいです」。山田雄大は後輩たちを見ながら、そう言って締めくくった。
【速報●2026日本一も長曽根!!9度目の賜杯】
【開幕直前展望《後編》】元王者にも肩を並べ...
本日8月7日、間もなくの夕刻4時半より、愛媛・坊っちゃんスタジアムで高円宮賜杯第46回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントの開会式が始まる。当メディアでは、例年より1カ月早くスタートした大会プレビューも、この14本目『開幕直前展望《後編》』がラスト。元王者も脅かす実力派のチームなどを紹介して締めとしよう。 (取材&写真&文=大久保克哉) なるほど!ずくめの智将 きたなごや 北名古屋ドリームス [愛知/2006年創立] 出場=4年連続8回目最高成績=準優勝/2021年初出場=2017年/1回戦【全国スポ少交流】出場=2回 過去の実績の上位グループをまとめておこう。優勝経験があるのは『前編』で紹介した6チーム。それに次ぐ準優勝は1チーム、3位(ベスト4)は関東の2チーム、そしてベスト8は九州勢に集中していて4チームとなる。「目の前の子たちを見渡して『今年は良い』とか『今年は悪い』とか。そういうことだけじゃ、なかなか勝つことはできないので。ウチは今年に限らず、『例年通り』ということなんでしょうね」 クールに語るのは、2021年に準優勝している北名古屋ドリームス(愛知)の岡秀信監督だ。 4年連続8回目の全国出場という結果も説得力だが、この指揮官の考えはつくづく賢明で、話も理屈が通っている。「ウチはよく『打力のチーム』と言われますけど、何をもって打力なのか。何人がサク越えできるかで言えば、毎年そんなに変わらない。全体の1/3くらいです。またその長打を打てるようになるための練習というのも、例年通りですね」(岡監督) 昨夏の全国では五番に入り、二塁打も放っている中津拓真 幼児から6年生までの、段階的な育成システムを確立して数年。それが学年平均10人強という組織と、安定した結果をもたらしている大きな要因だ。「投手陣は7枚、8枚かな。新たに『210球ルール』があるなかで、1・2回戦で終わるつもりならエースの坪井(心汰『2026注目戦士❽』=㊦写真)をフル回転でいきますけど、ウチはその先まで考えてるので。幸いに、先に点を取られても振り出しに戻せるくらいの実力はありますから、後半勝負になるんでしょうかね…」 本番直前なので、それ以上の深い話は伏せておくとして、岡監督を取材していて感心したことがもうひとつ。来年からの新ルール『投手と捕手の交代不可』も見据えて、すでに手を打っていることだ。 マスクをかぶる吉村太賀は、世代屈指の5年生で、捕手のスキルも長打力も出色。マウンドからも6年生顔負けの、とんでもないボールを投げるという。「ホントに抜群なんですよ。すごく惜しいんですけど、すでに捕手に専念させています」 加藤航大は昨年の1回戦で、2安打をマークしている 目の前の1勝、今年の優勝。ただそれだけを求めて100%を投入するわけではない。それも智将には“例年通り”だろうが、今年は間違いなく他のV候補と肩を並べる実力がある。「トーナメント表のどこに入ろうが、3つ勝てばその先は強敵ばかり。それも毎年のことですよ」 かわし方も巧みな指揮官だ。 関東勢が再躍進の予感 「小学生の甲子園」はこの数年来、東京代表を中心とする関東勢の躍進が顕著だった。昨年は千葉・豊上ジュニアーズのベスト8が最高と小休止も、飛躍の流れはまた加速しそうな雲行きだ。 1都7県の予選と各代表チームについては、すでに詳報しているので割愛するが、主だったチームと特長をおさらいしておこう。 千葉・豊上ジュニアーズの詳細➡こちら 東京・船橋フェニックスの詳細➡こちら 過去に銅メダルを2個獲得している豊上は、粒ぞろいで攻守とも巧み。後山晴(『2026注目戦士❼』)という出色の三刀流がいて、エースの加藤豪篤はピカイチの安定度だが、個に頼り切る野球ではない。 一方、ケタ違いのタレント軍団で存分に野球をしているのは、東京王者の船橋フェニックス。全国大会ならではの、足技小技やトリッキーなプレーに対してもマイペースを貫ければ、金メダルも十分にあるだろう。 豊上の巧みな野球と、船橋の個々のハイレベルを、プラスして二分したようなバランス型のチーム。それが山梨のラウンダースと、東京第2代表のレッドサンズで、両チームは2回戦で激突する可能性がある。 山梨・ラウンダースの詳細➡こちら 東京・レッドサンズの詳細➡こちら➡ ラウンダースの日原宏幸監督は「過去最高のベスト16をひとつ上回りたい」と控えめだが、昨秋の関東新人戦で準V。今年に入っても東日本交流大会で初出場初優勝している。 レッドサンズは2023年に初の銅メダル。当時の指揮官が今年の門田憲治監督で、現6年生たちは低学年のころから、全国大会の常連チームと数多く手合わせもしてきた。 この2チームが戦うとなれば話題を独占しそうだが、試合内容も結果も予想に難い。だが、この勝負をものにしたほうが一気に走る可能性もありそうだ。 九州勢にも新時代の予感 こやのせ 木屋瀬バンブース [福岡/1974年創立]...
【開幕直前展望《後編》】元王者にも肩を並べ...
【開幕直前展望《前編》】元王者も適度にバラ...
巨大トーナメント表の左ブロックに、なぜか強豪チームが固まる――都市伝説めいた傾向が毎年のように指摘されてきた「小学生の甲子園」だが、今夏は例外? かもしれない。過去に優勝している6チームのほか、実績のある有力チームが適度にバラけている。そこで開幕直前展望の前半は、元チャンピオンたちを改めて紹介していこう。最も古い1984年の王者、兵庫代表は実に40年ぶりの夢舞台で、当メディアにも初登場。高円宮賜杯第45回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントは、あす8月7日、愛媛県・坊っちゃんスタジアムで開会式を迎える。 (取材=大久保克哉、鈴木秀樹)(写真&文=大久保克哉) ※一部写真は当該チームの提供です 孤高の記録を更新中 ながそね 長曽根ストロングス [大阪/1988年創立] 出場=2年連続19回目 最高成績=優勝8回※最多記録/2002年、2003年、2005年、2011年、2015年、2016年、2021年、2025年初出場=2001年/ベスト4【全国スポ少交流】出場=3回優勝=1回/2024年 半世紀に迫る伝統の夢舞台だが、3回以上の優勝を遂げているのは1チームのみ。昨夏、その最多V記録を「8回」に更新した大阪の長曽根ストロングスだ。 「これまで8度優勝したといっても、毎回、その年なりの難しさはあります」と語る熊田耐樹監督に、今年のチームについて尋ねると。「キャプテンの吉見憲眞(=㊤写真)をはじめ山田蒼(=㊦写真)、山田雄大、北原優響、5年生の岡林優志など、去年の大会を経験しているメンバーは順調に成長してますよ。昨年のチームは、力でいったらそこまでなかったけど、気持ちが強かった。比べると、今年は個々の力はあるけど、気持ちの面ではまだ、物足りないところもあるかな…」 投球は1週間で210球まで、との新ルールが2026年から導入されているが、影響を最も受けると思われるのはこの全国舞台。なぜなら、競技は6日連続。1回戦から決勝まで進むと6連戦になるからだ。 さしものV8監督も、新ルールについては「ちょっと悩みます」と打ち明ける。投手陣は5枚、エースは山瀬晴だ。「直前の高野山旗大会は3位で終わりましたけど、ここで試すことができたことがプラスになればええなあ、と思うてます。幸い、ウチは2回戦からなので、1試合分、少ないアドバンテージを生かせたらいいですね」(熊田監督) 全員ジョーカー!? たが 多賀少年野球クラブ [滋賀/1988年創立] 出場=9大会連続19回目※最多連続出場記録 最高成績=優勝2回/2018年、2019年初出場=2000年/3回戦【全国スポ少交流】出場=3回優勝=1回/2016年 長曽根と並ぶ19回目の全国出場。そして孤高の連続出場記録を「9大会連続」に更新したのは、滋賀の多賀少年野球クラブだ。 過去2回の優勝でも、進化を止めない“カリスマ”こと辻正人監督は「脱・スポ根」を経て「令和の根性野球」を標ぼう。その下には今や150人の小学生が集まっている。 何年ぶりかに「スーパー4年生」も台頭。万能タイプの関沢だ 「昔と違って、今は圧倒的に試合数が少ないので、逆に個人の能力が上がっていくんです。例えば3時間あるなら、2試合しようというのが昔で、今は練習しようというスタイルなので」(同監督) そうして個々が成長した結果、「レギュラー9人」の概念が薄れつつある。6年ぶりにメダルを手にした昨年は、1回戦から準決勝まで5試合で、登録25選手のうち22人までがフィールドでプレー。今年はそれ以上の全選手出場があるかもしれないという。「サッカーでは、後半から出てくるフレッシュな選手が『ジョーカー』と呼ばれて活躍してましたけど、今の多賀は半分の選手がジョーカー。いや、『全員ジョーカー』かも(笑)。疲れてない子を使っていくので、6日間やるとしたらスタメンが毎日そっくり入れ代わる可能性もある」 となれば、「210球」の新ルールにもそこまで神経質になる必要もなく、ケガ予防というルールの大義にも通じる。いかにも、“一石三鳥”を十八番とする指揮官らしい発想だ。 とはいえ、軸はいる。『2026注目戦士❻』でも紹介した右腕、岸本來登だ(=㊤写真)。昨年も全国のマウンドを経験しており、球速は110㎞を越えてきているという。 また多賀としては、久しぶりに「スーパー4年生」も台頭。背番号70の関沢勇吾で、投手も捕手も外野手もやる万能タイプ。「特に外野のスタートがめちゃめちゃ速いので、楽しみにしています」(辻監督) “整い野球”で3度目!? ※写真は2025年の全国2回戦 しんげ...
【開幕直前展望《前編》】元王者も適度にバラ...
【プレビュー⓬ここだけの特ダネ】“がんばれ...
高円宮賜杯第46回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントの開幕まで3 日。『ここだけの特ダネ』としてお届けしているプレビューの第12弾は「関東」や「実績」から離れて、今大会ならではのトピックスを5本、お届けします。なお、写真の一部は当該チームからの提供です。 (2026全国大会写真=福地和男、大久保克哉/取材&文=大久保克哉) TOPIC①天災に負けず!! ※写真は2025年の全国1回戦 あい・びー・しーIBCレイカーズ[熊本県/2年連続2回目] 「全国大会? もちろん行きます!」 大会前最後の日曜日となった8月2日の夜。熊本代表・IBCレイカーズの横田暁監督(=㊦写真)は、電話口の向こうで話してくれた。 マグニチュード7.1の大地震が九州・熊本地方で起こったのは7月28日。以降も余震が続いており、各地の甚大な被害や酷暑下での困難な避難生活などが連日、報じられている。「何とかチームの全員、家族も含めて無事です。避難生活者もいません。ただ、余震もあったり、子どもたちはメンタル的なダメージも…」(横田監督) 野球どころではなかった状況から、ようやくチームで集まれたのが8月1日の土曜日だった。しかし、不安や落ち込みの色も濃く、まともに動けなかったという。「なので今日(日曜)はもう、あえてガッツリやりました。野球に打ち込むことで、その間は他のことを忘れられる面もあったかもしれません。私自身も今回、野球ができることのありがたみを感じました」(同監督) 昨年、全国初出場したIBCは、1回戦でサヨナラ負け。だが、元王者の東16丁目フリッパース(北海道南※今夏も出場)に初回に4失を奪われながら、じわりと追い上げて5回表に追いつく粘り腰をみせた。また、個々の能力もパフォーマンスも大いに光っていた。 そのなかで二番・左翼だった永野路ノ介(=㊤写真)と、八番・一塁だった横田碧(=㊦写真)の5年生コンビが、今年のチームの中心。6年生はこの2人を含めて9人いるが、新チームは秋の新人戦でコールド負けするなど、順風満帆ではなかった。「転機は12月末の合宿でした。保護者も含めた全員の話し合いで『全国1勝したい』という目標が決まりました。そこからは各自も相当に努力したと思います」(横田監督) 全国予選は最終回に大逆転などのミラクルも演じて、まずは目標とする舞台への出場権を獲得した。指揮官の胸の内には、より高い目標があり、それは天災に遭っても揺らいでいないという。「今年はザ・学童野球という子どもたち。野球の神様をひきつけるチームだと思っています」 TOPIC②開催地のチャンプ!! ※写真は2025年の全国1回戦 まつやま・のーす松山NORTHベースボールクラブ[愛媛県/2年連続3回目] 開催地からは今年も4チームが出場する。中でも注目は、2年連続で愛媛県予選を制した松山NORTHベースボールクラブだ。「今年は地元開催なのでもちろん、全国を狙っていました」と語る阿部勇太監督は松山北高出身。2019年に誕生したチームの創設者でもあり、全国初出場時の2023年は長男・輝が主将で初戦を突破している。 昨年は1回戦で、元王者の常磐軟式野球スポーツ少年団(福島)に敗北。だがやはり、地力があって、年末の「冬の神宮」ことポップアスリートカップ全国ファイナルにも初出場(=㊤写真)して1勝したほか、那須原悠翔(現中1)は四国ILジュニアでもプレーした。「今年はそんなに大きい子はいません。上位打線はバットが振れるので、下位打線からつないでいくのがパターンであり、テーマ。全国でも一戦一戦ですね」(阿部監督) 大黒柱は昨年から不動のトップバッターで、今年は投手と捕手を兼務する長野晃也(=㊤写真)だ。野津手旭都もレギュラー2年目で、この2人を含めて6年生は9人。また、監督の次男・阿部暖(=㊦写真)も昨年は二番・三塁でプレー、5年生となった今年は三番・遊撃と、より重責を担っている。 TOPIC③選手宣誓やります!! ながはま長浜少年野球団[大分県/初出場] 8月7日、松山市の坊ちゃんスタジアムでの開会式で、選手宣誓をするのは大分代表、長浜少年野球団の吉岡聖真主将(=㊦写真)だ。 九州勢で唯一の全国初出場となるチームは、大分市で活動58年目。地元の市立長浜小は6年男子が25人程度と少子化が著しいが、そのうち10人が長浜のグリーンのユニフォームを着ている。 主将の父で、就任3年目の吉岡貴政監督は、新しい歴史を築けた理由をこう語っている。「子どもも保護者も指導者も、みんなが同じ方向を向いて野球をやれていること。また地元の結束も強くて、(県)決勝は自治会長からの呼びかけもあり、たくさんの応援をいただいて勝つことができました。それも準々決勝に続く逆転勝ち。バランスが良くて粘り強いチームです」 決勝では6回裏二死から六番・倉永旺大が同点二塁打㊤。そして延長7回裏、一番・篠原ガリヨン莉之がサヨナラ打㊦ TOPIC④5チームの想い袖に!!...
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【新潟県代表/初出場】両川スポーツ少年団
新潟県予選を制し、悲願の全日本学童出場を決めた両川スポーツ少年団。同県では長らく、県大会でも上位を争ってきた強豪ながら、これまで全国大会とは縁がなかった。今年はチーム初の女子キャプテンがナインをよくまとめ、伝統である堅守に加え、圧倒的な攻撃力を武器に躍進を続けている。 ※集合写真はチーム提供 (写真&文=鈴木秀樹) りょうかわ 両川スポーツ少年団 [新潟市/2003年創部] 初出場 【新潟県大会の軌跡】1回戦〇6対0真木山野球スポーツ少年団(下越)準決勝〇15対4大潟フェニックス(上越)決 勝〇13対3今町ふたば野球スポーツ少年団(中越) 今年はパワフルな攻撃が魅力 新潟県予選決勝で一番打者の山森陽人が2本塁打。準決勝では二番・窪田力毅が2本塁打。四番の保坂慶人は準決勝と決勝で、ともに1本塁打。三番の笹原徹太、五番の芳賀めい主将のスイングも力強く、上位打線は迫力抜群だ。「実は一昨年、昨年の方が全国には近いと思っていたんですが…。分からないものです」 そうつぶやくのは高橋豊監督(※関連記事➡こちら)だ。 両川スポーツ少年団の指揮を執って16年目のベテラン。一昨年の新潟予選では準優勝と、全国まであと一歩まで迫ったが、わずかに届かず。それまでも、2018年には新人戦で新潟一を獲得するなど、チームを毎年のように、県で上位を争えるレベルに育て上げている。「ただ、これまでは好成績を残した年も、大きな選手は少なかったですね。基本的には守備を鍛えることで戦ってきたチームなんです」 一転、今年のチームはパワフルな打線が最大の武器だ。 上越、中越、下越、新潟の各支部代表8チームが出場する県予選は、3試合で総得点34、7失点と、圧倒的な攻撃力で頂点に上り詰めた。「6年生は7人ですが、これほど体格がいい子がそろったことは…歴代でもなかったんじゃないかと思います」 大型選手がそろったことも初めてなら、女子選手が主将になったのも初めてのことだ。 高橋監督が続ける。「キャプテンの芳賀は、お兄ちゃんがこの両川にいたこともあって、幼稚園の年長のときからチームにいるんです。だから、今年が入団7年目で、チームの在籍が一番長い。そして、われわれコーチ陣も感心するほど、選手たちをうまくまとめてくれています」 昨年はボールボーイ、ボールガールだった 両川が本拠地として使っている旧酒屋小学校グラウンドは、ライト側こそやや狭いものの、レフト側は学童野球の規定サイズ、70mが十分に確保され、センターの85m地点まで、ネットフェンスが張られている。練習にはぜいたくなほどの広さだ。 このグラウンドをフルに使って、現役の社会人軟式選手でもある父親コーチが投げる100kmオーバー(に調整している)の速球により繰り広げられる、スピード感あふれる実戦形式の練習は圧巻だ。 コロナ禍だった2021年の第41回大会、そして昨年の第45回大会は、全国大会が地元・新潟で開催された(中止になった第40回大会も新潟での開催が予定されていた)。 両川は出場チームの練習会場として、メイン会場のHARD OFF ECOスタジアム新潟からもほど近い、このグラウンドを提供。その縁もあって、大会常連の多賀少年野球クラブ(滋賀)や北名古屋ドリームス(愛知)と親交が始まった。「全国出場が決まった時、最初に連絡をいただいたのは、多賀少年野球クラブの辻(正人)監督でした」と高橋監督。現在も折に触れ、連絡を取り合う間柄だという。 「私たち、去年は全国大会で、ボールボーイ、ボールガールをしてたんです」 芳賀主将が笑顔で振り返る。「それも良い思い出ではあるけれど、やっぱり大会に出たい、と思いました。悔しい気持ちも少し。だから、今年は絶対に全国大会に出るんだ、って思って、みんなで練習をしてきたんです。こうして出場が決まって、すごく幸せです」 さらに続けた。「今年のチームの強みは打線。みんな、次につなぐことを一番に考えています。全国大会に出てくるピッチャーはみんなレベルが高くて、球も速いと思う。なんとか食らいついて、次のバッターにつなぐことに集中しようと思います」 県予選決勝2ホーマーの山森は「全国大会は楽しみだけど、緊張もしています」と武者震いしつつも、「しっかり体調を整えて、良い調子で全国大会を迎えたいです」と冷静だ。 その山森と一、二番コンビを組む窪田は「緊張してるけど、あとは戦うだけなので。ボクの打順は一番か二番なので、とにかく塁に出て走ることで、チームに貢献したいと思ってます」と気合を入れている。 大会に向けて練習を続けるナインを見ながら、高橋監督がつぶやく。「2勝すると、3回戦で長曽根ストロングスさんと戦えます。向こうも勝ち上がっていれば、ですが。なんとか、そこまで行きたいですね。対戦してみたいなぁ」 伸びしろ十分、愛媛で輝け! 昨年まで、中止だった2020年を除き、44回を数える全日本学童大会の歴史で、新潟県代表の優勝チームは出ていない。準優勝もない。 第16回大会(1996年)の大蒲原野球スポーツ少年団、第25回大会(2005年)の吉田ジュニアクラブ、第35回大会(2015年)のオール阿賀野クラブ、そして昨年の旭スポーツ少年団の3位が最高位として記録が残っている。 冬場、雪深くなる新潟では、11月から2月あたりまでは屋外のグラウンドが使えず、活動が体育館など、屋内での基礎練習に限られるチームがほとんどだ。 そうした練習事情も、県勢の過去の成績に反映されているのかもしれない。 両川の場合は毎年、3月初旬、交流のある東京・東村山市に遠征を行うのが恒例となっている。これがグラウンドを使った、シーズンの始まりだ。 4月半ば過ぎには、全日本学童の地区予選が始まる。きっちりと仕上げて戦いに臨む、というよりは、戦いながら戦力を整えてゆく感覚なのだろう。 他県の環境と比較し、それをハンディキャップと捉えることはできる。ただ、逆に見るなら「伸びしろ」ともいえる。 県予選後も全国大会に向けて、精力的に練習と練習試合を重ねる両川。その力強いプレーには、昨年の新潟代表、旭スポーツ少年団がそうであったように、戦いながら、全国大会中にもグングン強くなる可能性を秘めている、とも感じる。 間もなく、その舞台の幕が開く。抜群の一体感を誇る両川ナインが、愛媛の地でどんな輝きを見せてくれるか、楽しみにしたい。 【県大会登録メンバー】※背番号、学年、名前 ⑩6 芳賀 めい③6 窪田 力毅②6 保坂 慶人⑤6 藤田 洸①6 笹原 徹太⑧6 鈴木 翔太⑪6 山森 陽人④5 廣瀬 希里⑦5 小熊 結翔⑤5 長橋 葵輝⑨5 鈴木 朔仁⑫5 阿部 希蓮㉕5 柴山 颯真⑬4 宮尾 一星⑭4 戸熊 一登⑮4 河内 新⑯4 太田悠士朗⑱3 小熊 唯乃⑰3 池田 虎生⑲3 戸松 快翔⑳3 熊倉 航大㉑3 濱田 蒼㉒3 齋藤 大恵㉓3 遠藤 凱李㉔2 近藤桜太郎
【新潟県代表/初出場】両川スポーツ少年団
【神奈川県代表/初出場】南瀬谷ライオンズ
激戦の神奈川を制して、初の全国へ。常に笑顔で選手たちを鼓舞する渡邉記章監督のもと、ベンチでもフィールドでも、選手たちの声が絶えることはない。応援席も同じように、常に明るい。全国大会の舞台である愛媛の球場でも、南瀬谷ライオンズのベンチ、応援席からは元気な声がこだまするはずだ。 (写真&文=鈴木秀樹) ※県決勝リポート➡こちら みなみせや 南瀬谷ライオンズ [横浜市/1977年創部] 初出場 【神奈川県大会の軌跡】1回戦〇11対5海老名ダックスズ(海老名)2回戦〇5対0座間パイレーツ(座間)準々決〇7対0野川レッドパワーズ(川崎)準決勝〇9対5戸塚アイアンボンドス(横浜)決 勝〇5対3清水ヶ丘ジャイアンツ(横浜) 同地区ライバル下し神奈川の頂点に 県大会のベスト4に残ったのは、同じ横浜代表ばかり4チーム。準決勝では優勝候補の一角、戸塚アイアンボンドスを下し、決勝では昨秋の新人戦で神奈川No.1になり、関東王者にもなった清水ヶ丘ジャイアンツを下した。 同じ横浜で活動する昨年の県大会王者・川和シャークスも、一昨年王者で全国ベスト8入りした平戸イーグルスも、この大会には出られていない。それほど今年は、横浜が激戦だったのだ。ちなみに、横浜予選の優勝は清水ヶ丘、準優勝は戸塚だった。「準決勝で当たった戸塚さんはこれまで毎年、何度も戦ってきましたが、勝ち越せた年がないんです」 渡邉監督が振り返る。 そんな対戦成績なら、選手たちや、チーム全体にも苦手意識がありそうなものだが…。「それが不思議と、ないんですね。監督としては、知っている相手だからこそやりづらいといった感覚があるんですが、選手たちは逆に、完全に開き直っているというか。『それなら強気で行ってこい!』と」 とにかくポジティブ。ベンチの中でも常に笑顔を見せているのは、渡邉監督その人かもしれない。1977年創部、49年目のシーズンを戦うチームの指揮を執って5年目。大きな声と、大きな身振り手振りで選手たちを励まし続ける。「チームの方針ですか…。特別なことはないですよ。『全力疾走』と『全力発声』ですかねぇ…。『声では日本一になろうぜ』とはいつも、言ってますね」 準決勝では、その戸塚に初回、4失点と大量リードを許しながら追いつき、タイブレークの末に勝利を収め、雰囲気は最高潮に。続く清水ヶ丘との決勝では、先手を奪う形で優位に試合を進め、ついに頂点に立ち、全国大会への切符を手にしたのだった。 「日本一の声」で全国を沸かせ 今年のチームで攻撃の核になるのは、古川泰輔と橋元涼の一、二番コンビ。「きっかけにもなってくれるし、長打力も足もある。大会では、2人で得点してくれるケースも多かったです」と渡邉監督も信頼を寄せる。 県大会最終日も、準決勝の戸塚戦では古川が3安打で橋元が2安打、決勝の清水ヶ丘戦では古川が2安打、橋元が3安打と、期待通りの活躍で優勝に大きく貢献した。「シングルヒットでも、フォアボールでも塁に出る。橋元君と2人で点が取れたらベスト、と思って打席に入っています」と古川、「古川君が打つと、ボクも打てる気がするんです。彼が一塁にいれば右方向に、二塁にいればセーフティーもある。チャンスを広げるのが自分の役割だと思っています」と橋元。お互いに対する信頼感もゆるぎない。 この2人がけん引する打線は、「どこかで1本(ヒットが)出ると、それをきっかけによくつながるんですよね」と渡邉監督が説明する。「勢いに乗ると強いので、先制できればそれに越したことはないんですが、相手に先制されても、そこまで苦にはしません。どこかできっかけをつかみ、得点してくれる。県大会ではそんな感じでしたね」 常ににぎやかな南瀬谷ベンチ。その元気が打線の起爆剤になっているのか、あるいは逆に、1本のヒットが次につながることで、ベンチに活気をもたらしているのか。 まだ見ぬ全国大会では「とにかく目の前の1試合を全力で、全員で戦うだけです」と渡邉監督は語る。一番の武器は、もちろん「日本一の声」だ。 新ルールも気にならない投手育成 投手陣の充実も特筆すべきだろう。 今年から、全国大会では新たに「ひとり1週間210球」の新たな投球数制限が規則として加わるが、「ピッチャーの育成と起用については、この210球ルールが話題になる前から、とにかくひとりの投手に過度な負担がかからないように、と心がけているんです」と渡邉監督は語る。「シーズン中は練習試合も含めて、土日の週末2日間、続けて試合が組まれることも多いんですけど、その2日間でも、連投はさせないようにしています。土曜に投げたピッチャーは、日曜には投げさせないようにしているんです」 県大会最終日に投げたのは村瀬嘉泰主将と音村星茶、馬場壮輝、古川の4人。決勝では2回、ピンチでマウンドに上がり、ピシャリと抑えて清水ヶ丘に傾きかけた流れを食い止めた、音村の堂々たる投球が光った。「4人のほかに船田(虎太郎)も先発を任せられます。その5人は、5年生のときから経験を積んできました」。選手ファーストの投手育成により、結果的に、新ルールを苦にしない5人体制がすでに出来上がっているのだ。 全国大会は初めてとなるが、これまでも東京新聞旗、専修大学杯などの県大会では優勝経験がある。前述のとおり激戦の横浜で、市小学生野球連盟が主催するYBBL大会では8度の優勝を果たしている強豪だ。「神奈川の代表として、気持ちで負けないような試合ができたらと思います」と渡邉監督は気合を込める。 初めての大舞台にも臆することなく、持ち前のけれん味ない戦いを披露してくれるはずだ。 【県大会登録メンバー】※背番号、学年、名前 ⑩6 村瀬 嘉泰①6 音村 星茶②6 山尾 燈汰③6 船田虎太郎④6 橋元 涼⑤6 馬場 壮輝⑥6 古川 泰輔⑦6 上坂 佑太⑧6 井村 琉⑨6 小野寺 啓⑪5 福田 陽悠⑫5 福田 晴悠⑬5 青柳 優志⑭5 大本 愛斗⑮5 濱田 虎我⑯5 永野 颯人⑰5 谷地田瑞基
【神奈川県代表/初出場】南瀬谷ライオンズ
【栃木県代表/33年ぶり2回目】旭町学童野球部
強豪を次々と下して、ついに頂点へ。雨で中止、延期再試合となった決勝を制して、実に33年ぶりとなる全国大会出場を決めた旭町学童野球部。指揮を執って11年目になる監督も驚く快進撃。この勢いで、愛媛のスタンドも大いに沸かせたい。 (写真&文=鈴木秀樹) ※県決勝リポート➡こちら あさひちょうがくどうやきゅうぶ 旭町学童野球部 [小山市/1975年創部] 33年ぶり2回目初出場=1993年 【栃木県大会の軌跡】1回戦〇9対0押原BBC(鹿沼)2回戦〇6対5真岡クラブ(真岡)準々決〇8対7横川中央学童野球部(宇都宮)準決勝〇7対5壬生レッド(壬生)決 勝〇3対1田沼アスレチックBBC(佐野) 指揮官も驚く快進撃! 33年ぶりの全日本学童出場。前回出場時を知る人物は、現在のチームにはほとんどいないという。 旭町学童野球部といえば、この県予選では前回優勝した33年前、1993年以降も、2009年に準優勝を果たしているほか、ベスト4入りも2度。また、2013年にはNPB CUP選抜学童軟式野球大会、2019年にはGasOneカップ学童軟式野球選手権大会で優勝するなど、栃木県内、さらに関東大会レベルでも、常に大会上位をうかがう存在の、広く名が知られた古豪ではある。 ところが…。就任11年目の指揮を執る荒川晴紀監督も「まさか今年、全国大会出場を果たせるとは…」と、今回の躍進には驚きを隠さない。 その驚きの根拠を荒川監督が明かす。「3年生のときに入部した選手も何人かいます。昨年、新チームとしてスタートした頃は、キャッチボールも怪しいくらいで…」 とは言っても、昨秋の県新人戦では、同じ小山市の羽川学童野球部が優勝を果たしている。県大会に出られれば、あるいは…といった気持ちはなかったのだろうか。「いや、ウチには厳しい、としか…」と指揮官。どうやら謙遜でもないらしい。「(栃木では春に行われる)今年のGasOneカップの県予選では、2回戦でアブレイズさん(High Heat ABLAZE=大田原=に)2対14で敗れたんです。こりゃ県大会では歯が立たない。今年は厳しいな…と」 そのチームが、見事に化けたのだ。「まさに、『あれよあれよ』の快進撃でしたね…」。荒川監督はまるでひと事のように、そう言って笑顔を見せるのだった。 大敗から始まった成長 ただ、大敗に終わったGasOneカップ県予選の後、選手たちの様子には変化があったという。「練習に取り組む姿勢が変わってきたな、とは思って見ていました。以前よりも真剣に取り組むようになり、徐々に自分たちで動けるようになってきたんです」。荒川監督が回想する。「そうすることで、量もこなせるようになって…。練習の質は、かなり上がったように思いますね」 その効果は、徐々に試合でも現れるようになっていたという。「勝てるときもあれば、簡単に負けてしまうこともあって、今もつかみきれない部分はあるんですが…」 それでも、この全日本学童予選は、初戦から調子が良かったという。初戦以外はいずれも1点差、2点差の辛勝ではあるものの、その相手は真岡クラブ(真岡)、横川中央学童野球部(宇都宮)、壬生レッド(壬生)と、いずれも県大会でも上位常連の強豪たち。これらの相手との厳しい戦いを通して、大会中にも力をつけていったのだろう。 そして決勝。優勝候補筆頭ともいえる田沼アスレチックBBC(佐野)を相手に、堂々たる戦いを演じた。初回と2回のピンチを好守備によりゼロで切り抜けると、その後も息詰まるようなロースコアの接戦に。田沼打線から時折飛び出す、大きな外野への飛球をきっちりと守り切る、旭町外野陣の好守備も目を引いた。 5回に先制を許すも、6回表に1点を返し、勝負はタイブレークへ。ここでも7回表に2点を奪うと、最後もきっちりと守りきって、ついに歓喜の瞬間を迎えたのだった。 もちろん、守るだけでは勝つことはできないが…。「打撃に関していえば、まさに日替わりヒーローというか。試合ごとに、いろんな選手が入れ替わるように、みんなが活躍したんですよね」 荒川監督はそう振り返るのだった。 「ミラクル」は「まぐれ」にあらず こうして、ついに2度目の全国大会出場を決めた旭町。その後も大会出場が続いているというが、「相変わらず、勝ったり負けたり。今もつかみかねています」と、荒川監督は苦笑いする。 いよいよ、夢舞台へ。「県大会のように、ミラクルを期待したいところです」 決勝の戦いぶりを見れば、実力をつけているのは明らか。「ミラクル」は「まぐれ」ではないのだ。 今シーズン、厳しい戦いを重ねてきたことで急激に力をつけた旭町が、大舞台でどれだけ力を発揮することができるか。 前回出場の1993年は2回戦敗退に終わっている。「2勝できれば、長曽根ストロングスさん(前年度優勝・大阪)と対戦できます。ぜひ、対戦したい相手です。そして、長曽根さんに勝ったベスト8を目標にしておきます」 持てる力をすべて発揮し、「ミラクル」が実力の産物であることを見せてほしい。 【県大会登録メンバー】※背番号、学年、名前 ⑩6 中嶋 凌大①6 増山 颯真②6 山中 晴眞③6 諏訪 運④6 川田 大輔⑤5 相澤 尚愛⑥5 大塚 凌生⑦5 小田島翔大⑧6 守山 朋希⑨6 谷田 優音⑪5 糸満 勇成⑫5 遠藤 巧都⑬5 白井 晴翔⑭4 池戸 陽都⑮3 川田 弦冬⑯3 河田 敦吏⑰3 中嶋 丈耀⑱3 松坂隼之助⑲4 立木 結大
【栃木県代表/33年ぶり2回目】旭町学童野球部
【東京都第1代表/2年ぶり3回目】船橋フェ...
磐石や鉄壁でないのが逆に、魅力にすら思えてしまう。それはきっと、底知れぬノビシロと、突き抜けた強さのせいだ。破天荒でサイズ感もスケール感もハンパないのに、ヘタに尖らず、気負いは端からない。全国最多の941チームが加盟する大激戦区「東京」を制したチャンピオンは、真夏の6日間を一気に駆け上がる可能性も十分に秘めている。 (写真&文=大久保克哉) デカい、強い、明るい!!型破りな都の王者が、時代の寵児となるか ふなばし 船橋フェニックス [東京都世田谷区/1971年創立] 2年ぶり3回目 初出場=2023年最高成績=ベスト16/2024年 【全国スポ少交流出場】なし 【都大会の軌跡】1回戦〇14対1品川ブルーレーシング2回戦〇8対1府ロクスポーツ少年団野球部3回戦〇9対2二小ジャガーズ準々勝〇8対6東村山3RISEベースボールクラブ準決勝〇9対5用賀ベアーズ※レポート➡こちら決 勝〇8対3レッドサンズ※レポート➡こちら 歌わない踊らない 運動と休息に栄養と睡眠――子どもの発育に必須の要素は、広く知られている。かつて少年野球の雑誌を編集していた筆者は、「睡眠」における専門家も複数取材してきた。 それによると、睡眠で肝心なのは質と量(主に時間帯と継続時間)で、どちらにも深く関わるのが「安心」。慢性的な極度のストレスや疲労、心に波風が立ったままの入眠は、質と量を大いに妨げる――。 世の野球人や学生の指導者が、そこまで学べているかというと甚だ怪しい。どこかの強豪高校の受け売りで、大量の白米を小中学生に無理やり食べさせたり、日常から高圧的な言動でストレスを与えまくっている大人たちは、きっと知らないし、知ろうともしない。 そしてこれは、現場で取材をしてきた筆者の経験則だが、そういう指導者が率いるチームは例年、小柄な選手が多い傾向にある。 新人戦、全国予選、都知事杯の「東京三冠」となった2024年の船橋は、全国3回戦まで進出した さて、船橋フェニックス。“東京無双”でNPBジュニアを6人輩出した2年前と同様、今年も相当な大型のチームである。 睡眠の知識は定かでないが、選手たちの「安眠」を妨げるような指導陣の言動はゼロ。試合や1日の終わりの、くどくどとしたミーティングもなく、岡本隼人監督は解散前に決まってこう口にするそうだ。「心身健康で、また週末に来てくれればいいから!」 岡本監督は江戸川区の葛西ユニオンズ、小・中は私学の佼成学園でプレー。小6時には176㎝72㎏の超ビッグサイズだったという 6年生12人の半分は、幼稚園からの幼なじみ。三塁手の岡本悠人と、捕手の石黒信匡主将の父親同士も、園児の親として出会い、野球経験者であったことから意気投合してゴルフ仲間に。そして息子らが年長のときに、親子で地元・船橋の門を叩き、園の友人らがそれに続いた。 四番・捕手の石黒主将は攻守の要。送球動作はコンパクト、バットスイングは力強い 岡本の父が、学年チームの監督になったのは2年生のとき。すでに4年生チームでも活躍する選手が複数いて、日本一という目標は当初からそれぞれの胸にあったという。「幼稚園からずっと一緒の6人に、後からいろんな仲間が加わって、見事に調和がとれている。この子たちの最大の武器は、明るさと仲の良さですね」(岡本監督) 平日の水曜と金曜は、前監督の森重浩之コーチが学校校庭での全体練習をみているが、あくまでも自由参加。野球を含む塾通いや、親子で独自に特訓している5・6年生も多いという。 そして各々、健康体で集まった週末にチームは結束して戦うが、学生野球にありがちな、戦前の歌ったり踊ったりがない。勝てば全国出場が決まるという都準決勝でも、「東京第1代表」をかけた決勝でも、穏やかなムードがベンチを包み込んでいた。「気合い入れろ!」「絶対勝つぞ!」などの掛け声は、どの口からも発せられない。 代わりに、外野のフィールドで適度な輪になり、留意点などを最終確認(=㊦写真)。選手たちは敬語を使い、途中で天然素材の121㎞左腕・大野凌駕が笑いを誘ったり。そしてキャッチボールに入るのが、試合前のルーティンだった。 それらには賛否もあろうが確実なのは、野球を経験してきた大人たちの経験則と固定観念に縛られていないこと。また子どもたちは、変に洗脳されていない。そしてそれで勝ってきていることも、外せない事実である。 中堅手兼投手で二番打者の大野は、守・投・打・走のすべてが怪物級。陽気な天然キャラでも愛される(※2026注目戦士で紹介予定) 上がり目と脆さの同居 「試合前にああやってダラ~っとできるくらいの子たちなので、こっち(指導陣)もピリピリしない。まぁ、キミたちが普通にやれば、普通に勝てるんじゃないの、というところ」 そう語る岡本監督はかつて、杉並区の強豪私学・佼成学園高の主戦投手として鳴らした。この6月13日、午前中に全国予選の決勝、夕方から都知事杯の開会式があった日は、そんな指揮官に特別な想いが生じていた。 「高2の夏に背番号1をつけて負けたのがここ(全国予選決勝の府中市民球場)で、高3夏に負けた八王子(スリーボンドスタジアム)で午後から開会式。なので実は、今日は朝からちょっと個人的な楽しみも…」 むろん、私的なその想いは口外されていない。公私もわきまえ、選手の主体性や人間性を尊重する岡本監督のスタイルは、「イロハから学ばせていただいた」という高校時代の恩師、藤田直毅監督の系譜を汲む。 岡本家の一粒種、悠人は2歳から父の手ほどきを受けてきた。安定した三塁守備と勝負強い打撃で東京制覇にも貢献...
【東京都第1代表/2年ぶり3回目】船橋フェ...
【埼玉県代表/2年ぶり2回目】山野ガッツ
混戦模様の埼玉県予選を制して、一昨年以来、2度目となる全国大会出場を勝ち取った山野ガッツ。「5点取られたら6点取る。10点取られたら11点取る」。攻撃力を前面に押し出したチームスタイルは2年前同様で、厳しい県大会を打ち勝って全国大会への切符をもぎ取った。2度目となる大舞台で目指すのは──。 (写真&文=鈴木秀樹) ※県決勝リポート➡こちら さんや 山野ガッツ [越谷市/1971年創立] 2年ぶり2度目初出場=2024年 【埼玉県大会の軌跡】2回戦〇11対4 名細少年野球クラブ(川越)3回戦〇6対5 さくらキッズ(幸手)準々決〇11対5 栄和クラブ(浦和)準決勝〇8対2 上藤沢ライオンズ(入間市)決 勝〇9対8 吉川ウイングス(吉川) 初出場の戦いと、2度目への挑戦 全国大会初出場を果たした2年前の戦いを、瀬端哲也監督は現在も克明に覚えている。「初戦を快勝した後、2回戦で、その後優勝した新家スターズ(大阪)さんと戦ったんです。2点リードしていたんですが、最終回に3ランを打たれて、逆転負けでした」 指揮官は続ける。「全国大会で戦う厳しさを知った一戦でもあったんですが、決勝の後、当時の新家スターズの千代松剛史監督が『2回戦が一番、苦しかった。あの試合は負けたと思った』とまで言ってくださった。それを聞いて、われわれが目指してきたチームづくりは間違っていなかったのかな、と思えたんです」 翌年の新5年、つまり現在6年生の学年の監督になることが決まっていた瀬端監督が「もう一度、全国を目指そう」と決めた瞬間だった。「負けたのはウチに何かが足りなかったから、とは思わなかったんですよね。むしろ、全般的な方針は間違っていなかった、と。だからこそ、もう一度、ウチらしいチームをつくって、あの舞台に挑みたい、と思えたんです」 2回戦大敗の新人戦から再始動 とはいえ、である。 当然だが、「目指します」と宣言して簡単に出場権が獲得できるほど、全国大会への道は甘くはない。 少なくとも、県大会に出てくるほどのチームならば、当然、全て全国大会を目指していると考えるべきだろう。 埼玉には、その全国大会で3度の準優勝経験を持つ東松山野球スポーツ少年団(東松山)がいて、3位入賞経験のある熊谷グリーンタウン(熊谷)がいる。2年連続全国大会出場を目指す西埼玉少年野球(飯能)も昨秋の県新人戦で優勝するなど、ライバルたちも充実の戦力で全国出場を目指し、その爪を研いでいるのだ。 当然だが、その埼玉で勝てないことには、話にならない。「一度、全国大会に出場できたことで、自分の中で『これだけ力をつければ、全国を目指せるかな』という基準はできたような気がするんです」と瀬端監督。「ただ、今年のチームを最初に見た2年前、そこまでの力を感じたのかといえば、当然といえば当然なのかもしれませんが、そんなことはありませんでした。新人戦など、県大会2回戦でコールド負けです」 5年生秋の新人戦では、県大会には出場したものの、上位を狙うには程遠い実力だったという。その新人戦が始まる前に、エース投手が転校によりチームを抜けていたのも一因だったようだ。「さすがに、その頃はコーチ陣も父母も、『全国を目指すのは難しいんじゃないか』なんて空気になっていましたね」 入団希望の2人の選手がチームにやってきたのは、新人戦後のことだった。 山口県から引っ越して埼玉に来た吉岡泰平と、全国大会を目指せるチームへと移籍希望だった島村力翔がチームに加わったのだ。「どちらも、ネットなどで調べてウチを選んでくれて、ご両親も熱心で」と瀬端監督。「足りなかったピースが埋まったような、そんな感覚があったんですよね」 県大会決勝では、島村は二番センター、吉岡が三番ピッチャー(その後キャッチャー)。ともにチームに欠かせない、重要なポジションを担う存在になっている。 成長の手応えと県大会での躍進 チーム成長の手応えを実感したのは、昨年の12月から今年2月にかけて行われた、フィールドフォースカップだった。「初戦で熊谷グリーンタウンさんと対戦して、勝てたんです」 この大会で、山野はその後も2勝し、準決勝で東京のレッドサンズと対戦。タイブレークまで戦い敗戦。その後、3位決定戦で勝利し、戦いを終えた。 全国レベルのチームが集う大会で結果を残せたことは、チームにとって大きな自信に。山野はそこからさらに、春に向け急激に力をつけたのだった。「全国大会の県予選が始まる頃には、見違えるほどでした」 瀬端監督が振り返る。 2回戦から登場した全日本学童の県予選でも、戦いながら調子を上げて勝ち進み、準決勝では、昨秋の新人戦で敗れた上藤沢ライオンズ(入間市)に快勝した。 決勝では、同じく快進撃をみせ勝ち上がってきた吉川ウイングス(吉川)と対戦した。 その予選のトーナメント表を見返すと、上記の東松山、熊谷、西埼玉は反対のブロックに入り、東松山と西埼玉はいずれも吉川に敗れ、すでに姿を消している(熊谷は西埼玉に敗戦)。この強運も無視できない。 そして決勝。山野は3回に大量6点を奪って主導権を握り、リードを守る形で見事、9対8で吉川に打ち勝ってみせた。瀬端監督は「ロースコアの試合ではなく、打ち合う展開になったことが勝因でしょうか」と振り返るのだった。 ただ、こうも付け加えている。「『打ち勝つ』のがウチのスタイルであることに変わりはないんですが、同時に、この県大会では、大会を通して守備のミスがほとんどなかったんです」と瀬端監督。「力をつけた、うまくなったというよりは、次々と勝ち上がることで選手たちが自信をつけ、守備でも余裕を持ってプレーできていたんでしょうね」 再び全国大会へ 新戦力の加入、そして県大会における組み合わせの妙。加えてもちろん、勝つたびに力をつけ、ひとつになってきたチーム力。2年前に「再び全国へ」の目標を掲げ、それを公約通りに達成してしまうまでの山野の道のりを振り返れば、何かに導かれているかのような感覚さえ抱かされる。 県大会優勝後は一度、チームが緩んだという山野。直後に始まったGasOneカップ予選では、全日本予選決勝で下した吉川ウイングスに雪辱を許し、初戦敗退に終わっている。「ただ、その後は全国大会が近づくにつれて、またノッてきてますよ」と瀬端監督。「愛媛では全開で戦えるはずです。ウチらしい戦いをするだけです」 2度目の大舞台でも、持ち前の「打ち勝つ野球」を看板に、ワクワクする戦いを見せてくれそうな予感がする、今年の山野なのだ。...
【埼玉県代表/2年ぶり2回目】山野ガッツ
【茨城県代表/初出場】竹園ヴィクトリーズ
チームのあり方と、ありのままが案内されている、竹園ヴィクトリーズの公式サイトには「優勝」や「全国出場」などの喧伝がない。「野球って、おもしろい!」のキャッチに続くのは、年間日程や各家庭の関わりなど世の親たちが真に知りたいだろう情報で、ことごとくツボを押さえている。全体練習は日曜日のみで、土曜午前を自主練習に。「平日もやるとなると『強くなくちゃ!』とか、どうしてもそうなりやすいので、毎年の目標は県大会出場なんです」。実直に語る指揮官は今夏、初の全国大会でも“無欲の勝利”を掲げるという。新たな潮流が、愛媛県での夢舞台から広まっていくのかもしれない。 (写真&文=大久保克哉) ※県決勝リポート➡こちら 成績にコミットしないパイオニア。“無欲の勝利”を夢舞台でも たけぞの 竹園ヴィクトリーズ [茨城県つくば市/1984年創立] 初出場 【全国スポ少交流出場】なし 【県大会の軌跡】1回戦〇6対1城南ニューキッズ2回戦〇7対0桜学園ベースボールクラブ準々決勝〇13対3嘉田生野球スポーツ少年団準決勝〇6対2日立ベースボールクラブ決 勝〇8対7豊ナインズ 初々しさと心強さと 就任7年目。56歳の指揮官が初々しく空に舞った。創立42年目のチームにとっても、初めてのことだったのかもしれない。「胴上げは? えっ、そんなのやっていいんですか。でも、どこで?」 つい10分ほど前のインタビューでは逆質問していた背番号30が、選手たちに一斉に取り囲まれ、スタッフや保護者らの男手で舞った。水戸市の夏空に3回――。 「いやいやいや、怖かったです、はい。思った以上に高くて(笑)。胴上げなんて人生初かな。ホントに子どもと保護者の団結力が今年の強さでしたね。感無量です」(小泉隆監督) 何もかも初めてとは思えない、手際の良さ。ひとつのことに大集団がパッと入る足並み。虚空で注文通りに、カメラへ視線を投げる誠実さと、つつがのないムード。 全国大会初出場を決めた後のイベントは、竹園ヴィクトリーズの組織力と勝因を象徴しているようだった。 6点差を跳ね返しての逆転サヨナラで県決勝を制すると、小泉監督は人目もはばからずに泣いた。これも指導者となって初だったという。「まさかまさかね、あんな展開だったので。正直ね、『みんなが悔いなく頑張ってくれればいいや!』と言いながらも、こっちもプレッシャーが掛かってたので(笑)。今日の決勝が雨で順延されたら、あと1週間がイヤだなぁと思っていたのでホッとしました」 全国初出場を決めると、選手にも指導陣にも涙が。㊦写真は小杉康夫コーチ(左)と松田真一コーチ(中央) 全国最終予選の茨城県大会。土曜日に準決勝、日曜日に3位決定戦と決勝を予定していた週末は、数日前から「大雨」の予報だった。実際に金曜から雨が降りだしたが、やや小康状態となった土曜に、3位決定戦を組み込む“ウルトラC”を発動。 そして晴れて迎えた日曜の決勝戦で、竹園がミラクルを巻き起こした(※詳細はリポート参照)。 個の能力と努力と経験と 「今年はたまたま、実力のある子、努力する子が集まったのもあるかもしれません。平日は活動してないので、各自の練習というのも勝因ですね。それとやっぱり、優勝したいという、子どもたちの気持ち」 小泉監督は野球以前に、人として模範である。その言葉には謙遜も修飾もない。 息子の在籍時は父親コーチだった小泉監督は、親子で卒団して1年後、新指揮官に迎えられて7年目 「チームもみんなも熱い気持ちで全国を目指してきました」と、主将の松林晃徳。四番・捕手の吉田結乃助は「チームで心をひとつにして、みんなで声を掛け合って連携して戦えたから、優勝できたと思います」と落ち着いて話した。 現6年生は13人。この世代は低学年のころから県下に名を轟かせ、完成度の高い野球で数々の優勝旗やメダルを手にしてきた。ただし、個人の能力と主体性に任せきりで勝ち続けられるほど、高学年の野球は甘くない。 松林主将㊤は好救援に2ラン。四番・吉田㊦は適時二塁打など2安打1四球で、それぞれ県制覇に貢献 茨城県のレベルだって、そんなに低くない。 ここ20年ほどは、全国出場2ケタの茎崎ファイターズを中心にほぼ回っているが、同チームは県内のチームとも切磋琢磨し、全体の底上げにも寄与。低学年大会を主催したり、県外の強豪チームも招いての独自大会を軌道に乗せたり。 3月の東日本交流大会では東京・不動パイレーツと対戦。6年女子の野口琉桜にもヒットが生まれた㊦ 「全国予選の試金石」と位置付けられる、春休み中の東日本交流大会は23年の歴史がある。竹園は昨年から招かれており、今年は東京勢初の「4年連続全国出場」を期していた不動パイレーツに、1回戦で3対8と敗れ、2日目は交流戦へ。本気で全国をうかがうチームとの実戦は、多方面でプラスに作用したことだろう。「ホントにものすごくいい経験になっています。茎崎さんをはじめ、いろんなチームの方々にも感謝したいです。ただ、ウチは茎崎さんみたいに全国に毎年出るようなアレもないですし、今年はたまたまいろんなことが重なって。運もそうですし、いろんな人のご協力もあってのことで」(小泉監督) 個々の能力と努力に良質な経験。さらに外せない勝因は、指揮官のマネジメント力だ。とりわけ、大事な一戦で選手のパフォーマンスを導く術に長けている。 そのベースは、一人ひとりへの理解と愛情だろう。決勝戦の『ふたりのヒーロー』(※レポート参照)誕生秘話でも、それは読み取れる。 「できる力は持っている。ただ、それを本番で出すのって、子どもにはなかなか難しいことですね。失敗を繰り返して、いいところでちゃんとプレーできるようになる」 小泉監督がふと漏らしたのは、八番・右翼の小杉透真の渋い活躍に話が及んだとき。この選手は、決勝の2回裏に内野安打で打点を稼ぎ、4回表の一死三塁のピンチでは失点と引き換えにライトゴロを決めた。打球へのチャージから一塁へのロングスローまで、すべてがパーフェクトだった。...
【茨城県代表/初出場】竹園ヴィクトリーズ
【東京都第2代表/3年ぶり5回目】レッドサンズ
全国予選の決勝に敗れ、東京第2代表が決まったとき、指揮官は「負け惜しみ」と前置きしてから不敵に言った。「負けた悔しさを持って全国に行けるチームというのも、なかなかないと思うので」。2年前のジュニアマック(4年生以下の都大会)はベスト4、昨秋の都新人戦は準優勝と頂点には立っていないが、どれも想定内の通過点。東大出身の指揮官と、3年計画を歩む6年生たちは、虎視眈々と勝負の夏を見つめる。粒ぞろいで、野球レベルも一体感も申し分なし。過去45年の全国大会で、東京勢の最高は銀メダル。来たる8月の四国・愛媛で、それも塗り替わるかもしれない。 (写真&文=大久保克哉) 縦横無尽に賢く根を張る“三年草”。夏の四国でついに咲く花 RED SANS レッドサンズ [東京都文京区/1976年創立] 3年ぶり5回目 初出場=2010年最高成績=3位/2023年 【全国スポ少交流出場】なし 【都大会の軌跡】1回戦〇4対3オール麻布2回戦〇12対0南勝ホークス少年野球部3回戦〇9対0南小レッドイーグルス準々決勝〇10対1国立シャークス準決勝〇7対3深川ジャイアンツ※レポート➡こちら決 勝●3対8船橋フェニックス※レポート➡こちら 百戦錬磨の佇まい 120㎞のスピードボールにたじろがず、平然と自分のスイングができる――。そういう小学6年生は今の時代、どれだけいるだろうか。難関の全国大会「小学生の甲子園」でも、少数だと思われる。 レッドサンズが突出しているのは、6年生の15人全員がそういう域にあることだ。それも偶然ではなく、必然で。 全国予選の決勝(※レポート参照)では、開始1球目から117㎞の速球を見せつけられ、救援投手はさらに速い121㎞を何球も。対するレッド打線は8安打。原川瑛仁主将(=㊤写真)は長打を3本連ね、途中出場の加藤光志朗も逆方向へ打ち返している。またサインプレーも、普通に行われていた。 おそらく、6年生の誰が打席に立っても、剛速球に腰が引けることはあるまい。何しろ、この世代は3年生のときから「東京」に安住せず、東海や関西方面などの全国区の強豪とも手合わせを繰り返してきたのだ。 全国予選の準決勝は先発全員安打。㊤は斉藤叶翔、㊦は園田咲生 『井の中の蛙』や『出たとこ勝負』でないのは、名門たる由縁のひとつ。それにも増して、指揮官の熱量と学習力がハンパない。「全国大会で勝つということが、この子たちのちっちゃいときからの大目標なので」と語る門田憲治監督は全国予選後、遂行中の3年計画の手ごたえも示唆した。「確かに、どの子も(剛速球に)気後れしてなかったですね。そういうの(強豪チーム行脚)はもしかすると、彼らの財産になっているかもしれないですね」 八番・野村咲翔㊤は中軸も任せられる。左翼手の山本駿翔㊦は、足が万全でない右翼手・齊藤とポジション交代を繰り返してカバーした 小学生は最上級生でも、生まれてせいぜい11年から12年強。人生の「未体験ゾーン」が大半で、野球においては目や耳から入る情報より「実体験」が血肉となり、ひいてはチームの武器になる。勝敗以前に、いつでも落ち着き払っているレッドサンズの面々が、それを実証している気がしてならない。 このチームの野球レベルの指標も、「対速球」はほんの一例だ。守備力や経験値の高さは例えば、走者一、三塁の場面で見て取れる。一般的に、学童野球では悩ましい局面である。 レッドは正捕手の原川主将が、全体へブロックサインを出し(=㊤写真)、投球ごとに守る8人が連動する。これを当たり前に繰り返し、全国予選の準決勝では粛々と二盗を阻止(=㊦写真)。もちろん、三走を生還させずに、だ。 昨年末のNPBジュニアトーナメントでは、走者一、三塁からの重盗に対して併殺という、ウルトラ級の離れ業もあったが、選び抜かれたタレントたちゆえだろう。レッドサンズは、そこまでの強肩ぞろいではないものの、そう簡単には1点も次塁も相手に与えない。 あらゆる局面において、次の展開も読んでの手はずが整っている。試合中の「想定外」がほとんどないから、ミスが続くこともないし、120kmにも対応できるのだろう。「みんなを信じて自分の力を出し切るだけ」と語るエースの神谷駿は、ピンチや失点はあっても自滅や大崩れをしない。同様にどの投手も出来ムラが少なく、マウンドでバタつかないあたりも百戦錬磨を物語る。 エースの神谷㊤は一番打者として打線もリード。武内㊦は全国予選で105㎞をマーク なるほど納得!!ノック 東京都は2009年から15年間、「小学生の甲子園」の舞台となり、この期間は「開催地枠」を含めて東京から3チームが出場できた。真夏の6日間で一気に消化するトーナメント戦だけに、地の利も大いにあったはずだが、不動パイレーツの銀メダル2個が最高成績。その後にも先にも、金メダルを手にしたチームはない。 レッドサンズは、2021年から3年連続で全国出場。2022年はベスト8(=㊤写真)、翌23年は124㎞左腕の藤森一生(現・駿台学園中3年➡こちら)を擁して、銅メダルに輝いた(=㊦写真)。チーム史を塗り替えた2年間、タクトを振っていたのは門田監督だった。「今年はご覧の通り、あんな藤森みたいな怪物はいません。だけどボク自身が経験した全国大会でも、スーパースターがいるわけでもないチームが優勝しているのを目の当たりにしてますから。それも常に念頭に置きながら、この子たちをみてきました」 父親コーチから指導キャリアをスタートして満15年。門田監督は当初から、熱心な全国大会ウォッチャーだった(※関連記事➡こちら)。大人は目や耳でもよく学べるし、東大出身の同監督には本質や普遍性を解く眼力もある。 2018年に次男・英資のいた2年生チームの監督となり、そのまま繰り上がって6年時に全国出場(2022年)。翌年もトップチームを率いた後、2024年に三男・千資のいる4年生チームの監督に。そして3年目が今日となる。...
【東京都第2代表/3年ぶり5回目】レッドサンズ
【プレビュー➍ここだけの特ダネ】出場全53...
高円宮賜杯第46回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントの開幕まで25 日。『学童野球メディア』では、特報をすでにスタートしていますが、7月11日で47都道府県の予選大会がすべて終了し、出場全53チームが出そろいました。ではあらためて、伝統の夢舞台の顔ぶれを過去の実績とともにお届けしましょう。8月7日の開幕日までは「ここだけの特ダネ」として、予選大会を踏まえた注目チーム・選手の紹介のほか、名将たちのコメントや見どころなどをお伝えしていきます。 (写真&文=大久保克哉) ※大会の歴史や方式などは2023年プレビュー❶参照➡こちら ※一覧表ダウンロード➡こちら 「小学生の甲子園」とも称される全日本学童大会は、昨年の第45回大会から全国9ブロックの持ち回り開催に移行。今夏の舞台は四国の愛媛県で、8月7日に松山市の坊っちゃんスタジアムで開会式を行い、翌8日から7会場でトーナメントが始まる。6日間で52試合を消化し、8月13日に2026年の学童チャンピオンが誕生する予定だ。 夢舞台である理由 「全国」をうたう大会が今日は無数にあるが、昭和の時代から学童球児の憧れであるメジャーな夢舞台はふたつのみ。この全日本学童大会と、日本スポーツ協会が主催するエンジョイ!野球フェスティバル(「全国スポーツ少年団軟式野球交流大会」から改称)だ。そこで出場全53チームの一覧表には、両大会の出場実績を入れている。 全日本軟式野球連盟(JSBB)に加盟する学童チームは、8333(2025年度)。その全チームに等しく予選参加資格があり、47都道府県での予選を制した優勝チームによる真のチャンピオンシップとなる「全国大会」は、今も昔も全日本学童大会だけである。 予選参加規模は、おそらく日本の団体スポーツで最大。24回出場の最多記録を保持する福島・常磐軟式野球スポーツ少年団が、今年は県決勝で敗れるなど予選突破の至難さも昔から。例年は約半数が初出場組で、2022年の31チームから以降、25、25、26ときて今年は20チーム(38%)に減った。 最多優勝と連続出場記録 過去の優勝チームは昨年と同じく6チームで、1984年の第4回大会で日本一となっている香寺クラブジュニア(兵庫)が、1986年(2回戦敗退)以来、実に40年ぶりの出場を決めている。最多優勝は長曽根ストロングス(大阪)の8回で、これは大会記録。過去に2連覇している多賀少年野球クラブ(滋賀)は、継続中の連続出場記録を9大会連続(※コロナ禍で非開催の2020年を挟む)に更新している。また、奈良県の朝和イーグルスは初出場ながら、2022年に地元開催だったスポーツ少年団の全国大会で優勝(雨天により、決勝進出2チームの同時優勝)している。 先述の1984年王者・香寺クラブの「40年」を超える最長ブランクは、佐賀県の本庄少年野球で、こちらは何と1981年の第1回大会以来、45年ぶりの出場となる。また、栃木県の旭町学童野球部が33年ぶり、徳島県の八万ファイターズが22年ぶり、沖縄県の浦添タイガースが20年ぶりと、長年のブランクを経ての出場チームが多いのも今年の特徴だ。 昨年は本塁打が半減 ちなみに第3回大会(1983年)までは、16チームによるトーナメント戦だった。47都道府県の王者が初めて顔をそろえたのは1985年の第5回大会で、それが定着したのは1988年の第8回大会から。改めて、時間の重さとともに歴史的な価値も感じる「小学生の甲子園」である。 なお、この2026年からJSBBと傘下の連盟で導入した新ルール「投球は1週間で210球まで」は当然、今大会も適用される。1回戦から決勝まで、雨天順延なしで勝ち進むとすると「6日連続」の試合になる。使用バットの新ルールで本塁打数が半減したのが昨年(※関連記事➡こちら)で、この傾向は今年も続くのか。投球数の新ルールを受けての投手起用とともに、注目したいポイントだ。
【プレビュー➍ここだけの特ダネ】出場全53...
【千葉県代表/3年連続7回目】豊上ジュニアーズ
敵は全国にあり!! ここ3年、秋の新人戦と初夏の全国予選で千葉県を席捲し続けている豊上ジュニアーズ。ただし、宿願の「日本一」は果たせていない。チーム史上「最強」と言われた昨年は関東勢で唯一のベスト8入りも、消化不良の余韻もあった。今年の6年生は9人。3年生時には髙野範哉監督の手ほどきを受けており、今夏はいわば「名将の肝いり世代」の集大成。野球も試合運びも巧みで“負けないチーム”に仕上がっている。 (写真&文=大久保克哉) ※県決勝リポート➡こちら 3年時から名将の薫陶。野球力で挑む“天下獲り” とよがみ 豊上ジュニアーズ [千葉県柏市/1978年創立] 3年連続7回目 初出場=2016年最高成績=3位/2019、21年 【県大会の軌跡】1回戦〇9対2海上マリンキッズ2回戦〇12対5白浜タイガー準決勝〇11対1FJT決 勝〇8対1大橋みどりファイターズ 1/2成人式からの貯金 「正直、感動が薄れてきてしまって…全国大会で負けて泣いている子どもたちを見ても、涙が出てこなくなってきちゃったんですよね…」 髙野範哉監督が打ち明けたのは、2023年の春のこと。豊上ジュニアーズは当時、3年連続で全国大会に出場中だった。チームを全国区に押し上げたのは同監督だが、キャリア17年目にして初めて、自ら3年生チームを率いるという。そこで当メディアが単独インタビューした(※動画➡こちら)。 ちょうどその3年前の3年生たちが、現在の6年生たちである。早くから名将の薫陶を受けたアドバンテージもあるのだろう、昨秋の新人戦に続いて全国予選も県大会で圧勝。3年連続7回目の優勝を遂げると、真っ先に胴上げされた蛭間悠智主将は力強く宣言した。「全国大会まであと2ヵ月。キャプテンとしてチームをさらにつくりあげて、最高の形で全国制覇に向かいたいと思います」 主将に続いて、6年生9人が次々と千葉市の空に舞っていく。4人の5年生メンバーや低学年生、保護者らを含む歓喜の様子を穏やかに眺めている指揮官の胴上げは、ラストになるのか。「私の胴上げ? ないですよ、去年もそうでしたけど日本一になったら。この子たちは3年生のときから『全国優勝めざすぞ!』と一緒にやってるので。今日はこれはこれでみんなうれしいと思うんですけど、私はまだピンとこないですね」(髙野監督) 左翼手兼投手の蛭間主将はパワフル。一発パンチも秘めた打線の中軸だ 昨年は2019年(全国3位)を上回る「最強世代」と言われた。後のNPBジュニアも3人輩出したタレント軍団で、やはり千葉大会をぶっちぎりで制覇。当メディアも全国大会のV候補「大本命」に推した。しかし、準々決勝で思わぬ乱戦となって大敗。指揮官に涙はなかった。 2025年8月16日、京都・伊勢田ファイターズとの全国準々決勝で敗退(新潟・三条パール金属スタジアム) 「トーナメントは1回負けたら終わりですからね。今年は個の能力は去年にぜんぜん及ばないけど、この子たちのほうが野球ができるので…」 続く言葉はのみ込んだ髙野監督だが、むしろ今年のほうが可能性あり。そういう手応えも得ているようだ。確かなのは、強敵をねじ伏せるまでのパワーやスピードはないこと。でもその一方で“負けない強さ”が、しかと見て取れる。 指導陣で最も古株の斎藤欣也コーチ㊤と、全国舞台もよく知る原口守コーチが㊦が、名将をサポート 「やっぱり全国で勝つには、細かいことですよね。セーフティバントだったり、スクイズとかゴロ・ゴーだったり。そのへんの精度を上げて、取れるところで点を取らないと、競ったときに苦しくなる」(髙野監督) 千葉大会の決勝は、4イニングの攻撃で8安打8得点の5回コールド勝ち。本塁打1本に三塁打が2本、DHを含む野手全員が出塁した。そして決勝点となったのは、四番・蒔田皇明のスクイズバント(=㊦写真)による1得点だった。 「この大会はそんなに打てなかったけど、バントとかサインプレーをしっかり決めることはできました。全国ではまず、ヒットを打ちたいです」(蒔田) また、対戦相手の捕手は全国レベルのスキルだったが、4つの盗塁を企図。三盗を含め2つは刺されたが、春先まで散見された不用意な走塁死は最後までなかった。5年生の荒井皇明と坂部伶哉が、スタメンに定着して足も使えることで攻撃力は増している。 坂部㊤と荒井㊦の5年生コンビは、走攻守でそれぞれ戦力に 守りから波に乗る チームの長所や自信の源は「ディフェンス力」と、6年生たちは異口同音に語る。「守備力は去年とかよりも良いので、守備からバッティングに流れをもってくることができています」とは、1学年上の代からの正遊撃手、後山晴(「2026注目戦士❼」➡こちら)だ。 三塁手の増渕㊤と二塁手の玉井㊦は、ともに堅実で打力も上向きだ 千葉大会決勝では、その後山と三塁手の増渕碧人が張り合うかのように、一塁へ矢のような送球を披露しては、キャラリーのため息を誘った。また、昨年の全国でもプレーしている玉井蒼祐との二遊間コンビは息もぴったりで、4-6-3の併殺も決めている(=㊦写真)。 学童野球でも全国レベルになれば、内野ゴロ併殺は珍しくはないが、その多くは6-4-3か、満塁時の本塁フォースアウトからの打者走者のアウト。二塁手の右方向への送球に始まる4-6-3で2つのアウトを奪えるチームは、全国大会でもひと握りだろう。...
【千葉県代表/3年連続7回目】豊上ジュニアーズ
【山梨県代表/2年ぶり3回目】ラウンダース
無敗ロードを歩むような圧倒的な強さはないけれど、強か(したたか)である。どこにでもいるような小学生たちが展開する野球は、手練れで完成度が高く、リカバリーやフォローにも長けていて勝負強い。「日本一」の呼び声が高まるなかでも、指導陣と保護者は変わらず、人として模範。6年生12人には輝ける持ち場があり、思考や意思もまたそれぞれ。2026年、当メディアの巻頭記事も飾ったラウンダースが、いよいよ勝負の夏へと向かう。 (写真&文=大久保克哉) 【関連記事】県決勝リポート➡こちらチームファイル⑬➡こちら監督インタビュー➡こちら “野球ざんまい”のV候補。精度を求めつつ三の矢、四の矢も ROUNDERS ラウンダース [山梨県山梨市/2012年創立] 2年ぶり3回目 初出場=2018年最高成績=ベスト16/2018年 【全国スポ少交流】出場=なし 【県大会の軌跡】1回戦〇14対0韮崎甘利2回戦〇7対1SNSベースボールクラブ準決勝〇7対0甲府城東JBC決 勝〇6対1中央ジュニアベースボールクラブ Vのご褒美は… 全国出場を決めたその日ですら、選手からこういうリクエストもあったという。「監督、今日も練習しましょう!!」 エースの伊藤誉が、開始1球目に110㎞を投じたのが午前10時50分。ラウンダースはそれから2時間のうちに、山梨県のチャンピオンとなり、表彰式に続く記念撮影や胴上げも済ませていた。そして会場の山日YBS球場を引き上げる日原宏幸監督が、ゆったりと歩きながら話した「今日はこの後の半日はお休みにします。これからここで巨人の三軍戦があるので、観ていく子もいるみたいです…ウチは基本的にオフがないんですよ。子どもたちが『やりたい!』と言ってくるので。平日の練習(水・木曜)から、またスタートします」 胴上げ㊤直後の指揮官「うれしいですね、その一語に尽きます。お父さんお母さんたちがこれだけ集まるんですよね、ウチのチームは。それだけでも感謝ですし、練習もそういうのが力になって子どもたちが仕上がってきているので、ホントに感謝しています」。指導陣は㊦手前から、日原監督、益田陽介コーチ、奥山嘉紀コーチ 学生野球では「野球漬け」という言葉は聞くが、このチームは趣が違う。言うなれば“野球ざんまい”。優勝のご褒美ですら、野球――縄で縛りつけなくても、子ども主導でそういう世界をつとに創りあげている時点で、明らかな勝ち組である。 「奇跡」が日常的に 県決勝は6対1の快勝だった。 攻めては五番・奥山葵登主将が、先制とダメ押しの長打。投げては先発の伊藤が自己最速を115㎞に塗り替え、5回2安打6奪三振の1失点(自責点0)でまとめた。守ってのミスは悪送球1つのみ。最終回は左腕の深沢琉が締めている。 奥山主将㊤(中央)はプレーでも言動でも仲間を引っ張る絶対的なリーダーだ 甲府市の空に舞った日原宏幸監督は、夏の本大会に向けて兜の緒を締めた。「今日できなかったエンドラン。少なくとも、打者はバットに当てて走者をアウトにしないように。あとは引き続き、バントの精度を高めることと、投手陣はいかにムダ球をなくすか。そういうところをやっていきたいと思っています」 課題とした「エンドラン」は、初回の先制機に立て続けに失敗。いずれも打者が空振りして三走がタッチアウトに。それを帳消しにした主将の先制打はお見事だったが、より驚くのは指揮官の冷徹さ。エンドランを2回失敗した時点で、そのまま3アウトになることも想定し、以降の展開に考えを巡らせていたという。「当然です。(初回は)あのままゼロで終わるという心づもりでした」 右腕の国久が、非登板時は三塁コーチで重要な任務を負う 日原監督は過去の単独インタビュー(※動画参照)で、「タイムリーヒットは奇跡だと思っている」と本音を吐露。その上で、走塁と小技を絡めた攻撃とその精度アップの必要性を説いている。負けパターンを想定しながらの采配も“日原流”で、県決勝を前にした選手たちへは、このように伝えたそうだ。「先に点を取られることもあるだろうけど、慌てなくていい。最終的にウチは必ず5点は取るから、落ち着いていこう!」 あくまでも身内に向けた発言だったが、指揮官の手応えのほどもうかがえる。 昨秋の関東新人戦は準優勝(チームルポ➡こちら)。そこで外部の大人たちもうならせた、細やかな野球は健在だ。さらに、ひと冬を経ての打力の飛躍的な向上が、春先の東日本交流大会(優勝※リポート➡こちら)で顕著に。 タイムリーヒットが「奇跡」と呼べぬほど、日常的に生まれている。全国予選のラスト2試合だけでも、トータル16安打のうち5本は適時打(ソロ本塁打含む)だった。それも上位打線だけではなく、準決勝では八番・小番歩輝がサヨナラコールド勝ちを決める一打をライトへ(=㊤写真)。 またそれ以前に、バントとエンドランは打順や走者に関係なく、いつでもできるから「5得点」の計算も立つのだろう。2試合とも先頭打者ヒットから生還した一番・伊藤(=㊦写真)は、全国予選の勝因をこう語る。「日々の練習とか生活が、そのまま試合に出ている感じ。みんな練習からちゃんとやっているから、良いプレーができたり、バッティングとかも良くなったと思います」 四番・降矢聖悟は準決勝の初回に、中前へポトリと落ちるタイムリー(=㊤写真)。けれども自分を戒めてから、全国大会に向けての抱負を口にした。「あのタイムリーは、エンドランのサインで打球を上げちゃったのでダメです。全国では誉クン(伊藤)よりも速いピッチャーとかも出てくると思うので、どんな球でも対応して打ち返せるように練習していきたいと思います」。 準決勝では、その降矢の1本以外にも、走者三塁からのエンドランによる得点が1。九番の小玉翔太が、きっちりとゴロを転がした。決勝は先述のように、エンドランを続けてしくじるも、適時打で挽回している。...
【山梨県代表/2年ぶり3回目】ラウンダース
【群馬県代表/初出場】玉村ジュニアベースボ...
創設から11年、いつからか悲願となっていた全国出場をついに叶えた。スタメンの4人は5年生という若いチームながら、センターラインを中心に守備が堅く、攻撃は幅が広い。そして何より、選手たちが生気に満ちている。一度は現場を離れ、学童野球を外から見つめ直したという指揮官はコーチングにも長け、実直で明るい。そういうチームだから、秋の新人戦、春の選抜大会に続く県3冠の“群馬無双”でも敵をつくらず、誰からも応援されている。今夏の全国舞台から、玉村ジュニアベースボールクラブの名が一気に広まるかもしれない。 (写真&文=大久保克哉) ※県決勝リポート➡こちら 若くて巧み。敵をつくらぬ県3冠”群馬無双” 全国予選の県決勝は8対2で勝利㊤。前日の準決勝「伊勢崎市対決」で戦った赤堀クラブスポーツ少年団が、一塁側のスタンドで玉村の応援に加わっていた㊦ たまむら 玉村ジュニアベースボールクラブ [群馬県伊勢崎市/2015年創立] 初出場【全国スポ少交流】出場=なし 【県大会の軌跡】1回戦〇12対0笠懸北・東小イースターズ合同2回戦〇10対9菱・境野フューチャーズ準々決〇22対0美土里タイガース準決勝〇5対0赤堀クラブスポーツ少年団決 勝〇8対2韮川レッズ 「ちょい騒ぎすぎ」 戦力が整い、優勝旗やメダルを次々とコレクション。にもかかわらず、肝心要の全国予選でコケてしまう。これも“学童野球あるある”のひとつだろう。 昨年度、2025年の玉村ジュニアベースボールクラブが、まさしくそれだった。秋の県新人戦に続いて、翌年3月からの県選抜大会も制して2冠に。ところが、4月の全国予選に来て、県準々決勝で0対1と敗北を喫してしまった。 その失意や無念たるや、いかばかりか。想像を絶するものであっただろうことは、1年後の指揮官の涙が物語っていた。 「いやぁ、もう感無量です…」 県決勝を制して全国を決めた選手たちは、歓喜の抱擁から挨拶を終えると、応援席へ笑顔で拳を突き上げながらベンチへ。その傍らで、髙木謙監督はコーチ陣やスタッフと握手をしながら、目頭をぬぐっていた(=㊤写真)。「子どもたちのマック(全日本学童マクドナルド・トーナメント)にかける想いというのが、年を経るごとにホントに強くなってきまして。それがこういうかたちで達成できて、うれしく思います」 試合中は全体を俯瞰しつつ、小学生と同じ目線に降りて「伝わりやすい言葉」を掛けるのが髙木監督流。だが前日の準決勝からは、異様に声を張るシーンも多かった。 松本主将の遊撃守備㊤は世代トップクラスだろう。再三の好プレーで味方を助けると、指揮官も興奮気味に出迎えた㊦ 「この子たちの全国にかける想いは、以前の数倍、数十倍ですかね。私も何とかそれに応えてあげたいというところで、ちょっとベンチで騒ぎすぎました(笑)」(髙木監督) フィールドへ声を発しても、双方の応援でかき消される。それでも、出さずにはいられなったのだろう。とにかく、1年前の悲劇をぶり返してはなるまい――。実直な指揮官の“想い”は、選手たちにしっかりと伝わっていたようだ。「チーム一丸となって、全員で声を出して、一生懸命にできたことが優勝につながったと思います」(松本咲斗主将) 強肩の三塁手・室岡㊤は、二番打者として技能も光った㊦ 準決勝も決勝もノーエラーで、攻めては先制、中押し、ダメ押し。徹頭徹尾の抜かりない試合運びで、いずれも完勝した。これで新人戦、選抜大会と合わせて県3冠を達成。前年の取りこぼしも見事に回収してみせた。 セオリーなき「タイム」 スタンドの応援合戦にのみ込まれて、ベンチからの声はフィールドに届かない。それでも、選手たちを確実に振り向かせる方法がある。1試合につき、攻守で各3回まで許されている「タイム」だ。 「私はその3回使えるタイムをすごく大事にしていまして、1回目はなるべく早い段階で取るようにしています」 髙木監督は、県決勝でもそれを実行した。最初のタイムは、1点を先取して迎えた1回裏の守備中だった。 5年生エースの竹之内翔真が一死から死球を与え、続く打者は三遊間への深いゴロ。遊撃手の松本主将がそれをギリギリで捕球するや、一塁へノーステップスローでアウトに。うっとりとするような美技に応援席もドッと沸いたなかで、背番号30がベンチを出てきてマウンドへ(=㊤写真)。 このタイミングのタイムには、疑問符も否めない。生まれている守備の良いリズムを失いかねず、逆にヒットを損したかたちの相手の消沈を和らげる「間合い」にもなりかねないからだ。 しかし、髙木監督に迷いはなかった。「二死二塁で、四番バッター。相手チームの最高の打者を迎えたところで、子どもたちをパッと見たときに不安そうな顔をしていたので、ココはちょっと行っちゃえ!! みたいな感じで」 マウンドに集まった内野陣がはけた直後、竹之内は追い込んでからの投ゴロで3アウトを奪った。そして2回目の守備のタイムは、最高の結果をもたらすことに。 無安打投球を続ける5年生右腕が4回裏、一死から与死球で、打席にはまた四番打者。ここで髙木監督の「タイム」(=㊤写真)の後、内野ゴロから6-6-3併殺で守りを終わらせている(=㊦写真)。「トウマ(竹之内)はコントロールに自信をもっている投手で、きのうの準決勝も無四球(申告敬遠1)で完投。その彼が珍しく、1試合で2つめの死球を与えたので、ダメージが結構あるのかな、と。直感的にマウンドへ行きました」 大崩れしないワケ 韮川レッズの右強打者、岡本大和主将は決勝戦後、玉村の5年生エースをこう評している。「見た目は打てそうだけど、ちょっと打ちづらい。コントロールがいいので、どんどん追い込まれるし」。同主将は準決勝ではタイムリー二塁打2本、決勝は2打数でヒットはなかった(1死球)。 竹之内は準決勝に続いて、決勝も完投した。被安打4の1失点、要した球数は62球。上背も球速も並ながら“打てそうで打てない”のは、結果論ではない。まして、変化球を投げているからでもない。 5年生エース・竹之内は県準決勝、決勝と連続完投。たとえスローボールでも、球の握りは真っすぐ(フォーシーム)だ㊦ 指揮官とエースとの合言葉は「タイミング」。打者に対しては、球速と投球フォームとテンポの変化による前後への揺さぶりと、内外への揺さぶりで淡々とアウトを重ねていく。土台は出色の制球力とタフなハートで、まともに弾き返されることがあっても、連打はそうそう食らわない。「(決勝も)思い通りのピッチングができました。相手の岡本クンが良いバッターなのでちょっと怖かったです。全国大会でも完投したいです」(竹之内)...
【群馬県代表/初出場】玉村ジュニアベースボ...
【2026学童甲子園への道】出場決定チーム...
「小学生の甲子園」への道――。高円宮賜杯第46回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントは8月7日、愛媛県で開幕。翌8日から47都道府県のチャンピオンによる巨大トーナメント戦を行い、日本一を決します。北海道と東京は各2枠、前年度優勝に開催地代表3枠を含む出場53チームのうち、7月5日までに52枠が決定。残る1枠、福島県代表も7月11日に決まる見込みですが、本日7月7日には抽選で組み合わせが決まりました。 ※情報は7月7日現在。画像や表組の無断転載はご遠慮ください
【2026学童甲子園への道】出場決定チーム...
【最終報】2025夢舞台を総括&2026主...
6月25日にスタートしたプレビューは開幕までに10本。8月の新潟での大会中、そして閉幕後のリポートは、これで23本目となる。約4カ月に渡ってお届けしてきた、第45回高円宮賜杯全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントの大特集もついにラスト。主なリザルトとともに大会を総括し、来たる2026年の活躍も期待される5年生20人も紹介しよう。「小学生の甲子園」とも称される伝統の夢舞台は来年夏、四国・愛媛県で開催される。 (写真=福地和男、大久保克哉、鈴木秀樹) (文=大久保克哉/編集長) 本塁打が半減 打球部が別素材の複合型バットのうち、一般用(大人用)の使用が禁止となって、初めて迎えた全国大会。新ルールの影響は、如実に表れた。両翼70mの特設フェンスを超えるサク越えアーチ、本塁打の数が激減。その理由は「飛ぶバット」が使えなくなったことに他ならない。 当メディアでは大会中、現地からの1回戦リポートで「本塁打75%減」と、著しい傾向を伝えた。最終的に、大会中の本塁打はほぼ半減したことが明らかとなっている。 昨年は39本の本塁打が、今年は18本と約54%減。試合数が昨年は50試合、今年は52試合と微増でも、この数字だ。複数の本塁打を放った選手も、昨年の6人から2人に減った。 不動の田中は3試合で8安打。そのうち3本が本塁打、4本が二塁打だった 昨年は個人の大会最多本塁打は、ベスト4に入った不動パイレーツ(東京)の山本大智で4本。今年は同チームの田中璃空が、3回戦敗退(計3試合)ながら3本塁打と、驚異的な成績を残している。 開幕を前に、全国常連の名将たちからはこのような声が複数聞かれた。「学童用のバットでも複合型なら、十分にホームランにできる」「バットの芯に当たれば、大人用じゃなくてもサク越えする」。予選までの経過を踏まえても、バットの新ルールの影響はさほどなし、との見解が大勢。展開する野球も変わらない、という声もあった。 いざ、フタを開けてみると、影響は大ということに。もちろん、1年で結論づけなくてもいい。当メディアでは来年の第46回大会でも、各種の成績も踏まえてリポートしていく予定だ(※2024年総括➡こちら)。 ノーアーチでVの要因 「一発」とも表現される本塁打は、試合の流れや展開を変えたり、勝負を決めることもままある。それが激減するなかで、1回戦からノーアーチのまま、長曽根ストロングス(大阪)が優勝したのは偶然ではないだろう。 もっとパワフルな打線は、他に複数あった。けれども、個々の選球眼を含む打撃スキルと勝負強さ、1点を奪う戦術の幅と精度において、この王者の右に出るチームはなかったように思われる。 Vチームの成績でも驚異的なのは、3つの三盗を含む「23盗塁」だ。その数と成功率10割は、昨年まで連覇を遂げた新家スターズ(大阪)を上回る。対戦相手に隙や盲点があれば、走って進塁するのは当然として、犠打も使いながら一死までに走者を三塁に進め、確実に得点する。 四球、二盗、捕逸(三進)、二ゴロと、開始から12球で先制した決勝戦が象徴的だった。敗れた伊勢田ファイターズ(京都)の正捕手で主将の夏山淳は、試合後にこう話している。 「やっぱり長曽根さんはとても強かったです。初回の入りから勢いがあって、確実に1点を取ってくる」 同じく敗退後に脱帽したのは、準決勝でサヨナラ打を浴びた旭スポーツ少年団(新潟)の小柳有生だ。この選手は大会屈指の大型右腕で、最速は110㎞を超えるが、3点リードの最終6回裏に、3本の長短打を浴びて涙した。 「途中でスローボールも合わされたので、驚きしました。でも、ボールを置きにいったらフォアボールになってしまうので、全力で全部いったらまた合わされて。最後はスローボールでいったら打たれました」 筆者もそのラストイニングを、バックネット裏のほぼ正面から撮影していて、ほとほと感心した。マウンドの大型右腕は、各打者のアウトローへきっちりとボールを集めていた。しかし、少しでもコースを外れると見逃され、タイミングを外してもファウルに。長曽根の打者は、タイムリー二塁打やサヨナラ打を放った上位陣だけではなく、八番の5年生・山田蒼や九番の畑中零生も同じことができていた。 パワーは劣るとされていたが、二塁打16本もやはり、前年までのV2王者を超える値。一定以上のスキルと対応術を有する9人が並ぶ打線は、文字どおり「線」となっていた。それゆえ、いつどこからでも得点できる。6試合をしぶとく勝ち抜いた一番の要因は、そこではなかっただろうか。 大会常連チームや過去の日本一チームを前にすると、蛇に睨まれた蛙のようになりやすいのが、小学生かもしれない。あるいは、走者一、二塁から一走が意図的に飛び出して送球を誘い、三塁を陥れるなど、全国大会では15年以上前から見られる罠にまんまとハマり、より萎縮してしまうきらいも。 初出場ながら、地元の新潟で銅メダルに輝いた旭スポ少ナイン。大型右腕は対戦相手の脅威だったが、総体的に能力が高く、野球をよく知っているチームだった 長曽根に対して、6チームが戦って盗塁企図が合計「2」というのは、いかにも寂しい。だが決勝では旭スポ少の塚田晄人主将が、5回に二盗を決めた。また準決勝では伊勢田のエース左腕・藤本理暉が、長曽根打線につかまって2回途中7失点で降板も、各打者の内角も果敢に攻める投球をしていた。メダリストにはやはり、それだけの理由があった。 過去2回優勝の多賀少年野球クラブ(滋賀)は、戦力の層の厚さと試合運びで抜けていた。2回戦で前年王者の新家を、3回戦では2019年王者の東16丁目フリッパーズ(北海道南)を下すなど、至難の山を勝ち上がって3個目の銅メダルに輝いている。 子どもの夢を守らねば...
【最終報】2025夢舞台を総括&2026主...
【俊英カタログ《後編》】一芸に秀でた“金の...
正真正銘の全国大会。難関の全日本学童マクドナルド・トーナメントに出場した小学生は、全員が“金の卵”に違いない。第45回大会の今夏はその数、1052人。そのうち、特に一芸で秀でた9戦士を『俊英カタログ』の後編でお届けしよう。投球、打撃、守備、走塁など、飛び抜けた長所が複数にまたがる逸材も中にはいた。そうした個々のストロングポイントは「投(=投球)」「打(=打撃)」「走(=走塁)」と、略語を見出しに入れた。守備の場合は、ポジションを示す漢字一文字となっている。 (選考=現地取材班) (写真=福地和男、大久保克哉、鈴木秀樹) ―金の卵➊「投」― No.1の制球力。あわや完全の快投も たぶち・るい 田淵琉生 [鹿児島・大龍ビッグドラゴンズ] 6年/右投右打 準々決勝まで全4試合に先発。17回2/3を投げて、四死球は申告敬遠の1つのみ。断トツのコントロールに、110㎞は超えているだろうという速球が冴えまくったのは3回戦だった。4回まで打者12人をパーフェクトに封じた。 その快投の内容や、要因となった田淵琉生の道程や特異なパーソナリティについては、『2025注目戦士㉑』でたっぷりとお伝えしている。ぜひ、ご参照いただきたい(➡こちら)。 コントロールとは、狙ったところへ投げる能力とその指標。身体機能と投げ方がカギになるが、ガチンコの公式戦ではメンタルが深く関与してくる。田淵は「完全試合」の夢が消えた直後でさえ、寸分も制球を乱さなかった、そのスキルとハートは世代でもトップクラスと言えるだろう。 なお、上記『注目戦士』で動画に収めているのは、4連投目の準々決勝。球の速さも精度も目減りしており、2回途中で降板した。前日のベストパフォーマンスではないことを付記しておきたい。 (大久保克哉) ―金の卵❷「打」「遊」― 好投手から先頭弾、強肩もキラリ さとみ・あおい 里見葵生 [滋賀・多賀少年野球クラブ] 6年/右投右打 大会連続出場記録を「8」に更新している多賀少年野球クラブの“秘蔵っ子”。中学や高校には「スーパー2年生」がわんさといるが、6年間を過ごす小学生に対して、このフレーズはほとんど使われないし、聞かれない。 でも里見葵生は、2年生の冬から6年生主体のチームでプレーし、そのように言われてきた。そして3年生から全国大会の登録メンバーにも入り、4年生で全国デビュー。5年生の昨年は、正遊撃手となって3回戦まで進出した。迎えた学童最後の夏は、主に一番・遊撃でチームの準優勝に貢献した。 準決勝まで5試合で、11打数8安打の打率.727。サク越えは1本に終わるも、チームにはスペシャルな本塁打だった。準々決勝で先頭打者アーチ。マウンドにいたのは3回戦で完全試合ペースの快投を演じた田淵琉生(※金の卵➊参照)で、打った瞬間にそれとわかるセンター方向への大飛球だった。この一発で打線に火がつき、11安打9得点で準決勝進出を決めている。 守るショートでは、投げミスも散見されたが、要所では堅実で強肩もキラリ。雨にたたられた2回戦が象徴的だった。序盤で相手にミスも出たなかで、里見はどうだ!と言わんばかりの強くて正確な一塁送球を連発。あらゆる打球の処理が、すっかり板についている様子もうかがえた。 身体が成長する時期と度合いにバラつきが激しく、体格とパフォーマンスが比例しやすいのも小学生。まだ成長期が訪れていないだろう里見は、底上げされたチームの中で埋もれがちなこともあり、最後の全国舞台で「スーパー」や「怪物」と言えるまでの圧倒的なものは見せられなかった。...