リポート

【関東学童茨城予選/準決勝評】全国区の東海...
茨城県下の32支部代表によるトーナメント戦。最終日はダブルヘッダーが組まれ、全国出場の実績もある2チームが準決勝を5回コールドでパスした。3位の2チームはいずれも大敗ながら、新時代の到来も予感させるものを垣間見せた。 ※記録は編集部 (写真&文=大久保克哉) ※決勝評は➡こちら ⇧3位/嘉田生野球スポーツ少年団(筑西支部) ⇩3位/美野里スラッガーズ(水戸支部) ■準決勝1 東 海 93102=15 嘉田生 00202=4 【東】湊、植野遥-津田 【嘉】長谷川、大久保、田中-西宮 1回表、東海は黒川主将の三塁打(上)に大木の中前打(中央)で先制。なおも中里の左中間三塁打(下)などで一挙に9点 開始早々に大勢が決した。1回表、嘉田生(かたお)の好投手・長谷川新に東海打線が猛然と襲い掛かった。 二番・黒川歩輝主将の右中間三塁打と、続く大木颯真の中前打で先制。さらに九番・中里衣吹が満塁走者一掃の二塁打、二巡目に入って四番・津田恵太朗の2点二塁打など、打者15人で9点を挙げた。 嘉田生は3回裏、田中の中前打(上)から長谷川の二塁打(下)でまず1点を返す 勢いに乗る東海打線は、2回以降も着々と加点。4回には六番・湊陽翔の右越え三塁打で先発全員安打に。その湊が一、三塁からの重盗で生還するなど足技も光り、終わってみれば15安打15得点の大勝となった。 東海は4年生コンビも活躍。遊撃手の横須賀大叶(上)は4回裏に美技、八番・秋野銀介は5回に右越え二塁打(下) 対する嘉田生は3回裏、九番・田中颯介の中前打と一番・長谷川の左翼線二塁打などで2点。5回裏も途中出場の大木綾真の二塁打と、二番・八巻佳生の左前打などで2点を返したが、大勢は揺るがなかった。 嘉田生は途中出場の大木が5回裏に二塁打(上)、本原が左へタイムリー(下) ■準決勝2 美野里 00000=0 茎 崎 13201x=7 【美】菅野、上野、植田-西川 【茎】藤田、石塚-藤城...
【関東学童茨城予選/準決勝評】全国区の東海...

【関東学童千葉予選/決勝評】先発全員H、習...
5年生以下の新チームの試金石。ノーブルホームカップ第25回関東学童軟式野球秋季大会の千葉予選会は10月8日、玉前野球場で決勝を行い閉幕。習志野台ワンパクズ(船橋市)が、大会3連覇中の豊上ジュニアーズ(柏市)を17対3で破り、初優勝した。夏の全国3位の実績もある習志野台は、先発全員安打に3本塁打の猛打で大勝。11月25・26日に茨城県開催の関東大会も優勝を目指すという。 ※記録は編集部 (写真&文=大久保克哉) ⇧初優勝/習志野台ワンパクズ(船橋市) ⇩準優勝/豊上ジュニアーズ(柏市) ■決勝 習志野台 07208=17 豊 上 20100=3 【習】村越、吉野-池邉 【豊】加藤、桐原、早川、遠藤-岡田 本塁打/池邉(習)、村越(習)、佐藤遼(習) 1回表、鋭い打球に飛びついて一死を奪った豊上の二塁手・坪倉 近年の「千葉の顔」といえば、豊上ジュニアーズだ。2016年に全日本学童大会に初出場すると、19年からは3年連続出場ですべて8強以上へ進出。秋の新人戦も、2020年から千葉の天下を獲り続けてきた(21年はコロナ禍で中止)。今大会も決勝まで順調に駒を進め、V4に王手をかけていた。 一方の習志野台ワンパクズは、全国デビューは2001年と、豊上より早くからに全国区に。2014年の3度目の全日本学童大会は3位へ躍進。バットを短く持った打者たちの、つるべ打ちが印象的だった。 習志野台の岡田監督は、全国3位の2014年当時はコーチ。必要に応じて打ち方と投げ方の指導も細やかにするという 当時の野田昌克監督は2020年度限りで総監督へ。コーチから新指揮官となった岡田徹監督は、21年度のポップアスリートカップで全国優勝を果たしてみせた。そしてこの秋は、チームを初の県決勝まで導いてきた。 新旧の全国区対決 いわば、新旧の全国区対決となった県決勝は、70mの特設フェンスなし。左翼93m右翼86mの球場規格のまま、外野の打球もフリーで行われた。 先にペースを奪ったのは豊上だった。1回表、二塁手・坪倉凛之丞の好守にも助けられた先発右腕・加藤朝陽主将は、二死満塁のピンチで三振を奪う粘りの投球。 するとその裏、一番・岡田悠充の目の覚めるようなレフト線三塁打から、二番・桐原慶のスクイズであっさりと先取点を奪う。さらに四番・加藤主将のテキサス安打に、五番・中尾栄道(4年)の中越え三塁打でリードを2点に。いかにも試合巧者らしい先制攻撃だった。 豊上は1回裏、先頭・岡田の三塁打(上)と坪倉のスクイズ(中央)で先制。さらに4年生の五番・中尾も適時三塁打(下) 2回表も、一死一、二塁のピンチで右翼手・桐原が前方の飛球をスライディングキャッチなど、豊上に風が吹いているようだった。しかし、習志野台の二番のバットが風向きを一変させる。 池邉周吾が左中間を破る逆転3ラン。すると、この一撃が合図であったかのように、習志野台打線が一気につながった。三番・佐藤大心主将から五番・吉野結仁までの3連続三塁打で5対3に。 2回表、習志野台の二番・池邉が逆転3ラン。「この大会は初戦とかぜんぜん打てなかったので、関東では1回戦からホームランも打ちたいです」 ここから投手交代を繰り返していくことになる豊上だが、どの投手もボール球が先行し、甘くいった球を痛打されるという苦しいマウンドが続いた。...
【関東学童千葉予選/決勝評】先発全員H、習...

【関東学童埼玉予選/決勝評】乱戦制した西埼...
5年生以下の新チームのバトル。ノーブルホームカップ第25回関東学童軟式野球秋季大会埼玉予選会は9月17日、東松山市営球場で準決勝と決勝を行い閉幕。西埼玉少年野球が4年ぶり2回目の優勝を飾り、11月25・26日に茨城県で開催される関東大会の出場を決めた。県王者を決める一戦は両軍で計19四死球、考えさせられる内容だった。 ※記録は編集部 (写真&文=大久保克哉) ※準決勝評は→こちら 優勝=4年ぶり2回目/西埼玉少年野球(飯能支部) ■決勝 西埼玉 532=10 山 野 240=6 【西】金子、歩浜、杉山-村井 【山】伊藤、高松、三浦、樋口-樋口、高松 西埼玉少年野球からは、4年連続でNPB12球団ジュニア(年末にトーナメント大会)が生まれている。この秋の県新人戦は4年前に初優勝。昨年12月にはポップアスリートカップの全国ファイナルトーナメントに出場(関東第二代表)して初戦突破と、近年の躍進が目覚ましい。 「死ぬんじゃないかと(笑)」。1年前は病気を患い入院中だった西埼玉・綿貫監督が、復活しての4年ぶりVに「感無量です!」 一方の山野(さんや)ガッツも、昨年末は関東第一代表としてポップ全国ファイナルに出場(初戦敗退)。国内最大のショッピングモール、レイクタウンの近郊にあり、20人規模の学年単位で活動するマンモスチームだ。率いる瀬端哲也監督は、昨年末のポップ全国ファイナル後に、現5年生たちの代を引き継いだ。 大激戦区・越谷予選から打ち勝ってきた山野。瀬端監督は4年前の夏の全国予選準決勝で抽選負けの不運も経験 西埼玉は選手24人でうち12人が最上級生の5年生。山野は19人でオール5年生。準決勝はともに申し分のない勝ち方をしており、関東切符をかけた決戦は好勝負が予想されたが…。 両軍で3回19四死球 賛否が分かれるはず。万人が納得する結論が出ることもないだろうし、当事者の両指揮官は踏み込んだ発言は避け、大人の対応に終始した。それでも、ジャッジのあり方について一考させられる大一番だった。 1回表、山野は4連続四球などで5失点。瀬端監督がタイムもとったが… わずか3イニングでタイムアップ。地域予選の序盤ならまだしも、県の王者を決める一戦で両軍合わせて19四死球(申告敬遠1)、つぎ込んだ投手は7人(同一選手含む)を数えた。 1回表は無安打ながら、6四死球を選んだ西埼玉少年野球が5点を先取。そしてその裏は、山野ガッツがやはり無安打ながら、4四死球で2点を返した。 準決勝は4回を無四球投球の西埼玉・金子主将が1回裏に4四死球。たまらず内野陣が集まる 双方の初回の守りには失点につながる失策もあり、ミスがより少なかった西埼玉に分があったのは間違いない。一方で、捕手の構えたミットにそのままボールが収まっても、球審の手が上がらないシーンも少なくなかった。同日の準決勝では、両軍ともに打力を存分に発揮していただけに、拍子抜けした感も否めないスタートだった。 人間のやることに完璧はないとはいえ、審判によるジャッジの差(甘い・辛い)は本来、歓迎されるべきことではない。だが、決勝(担当の球審)はストライクゾーンが狭いということを、西埼玉の綿貫康監督は過去の経験などから察知していたという。 「学童野球の試合は、球審の影響というのはものすごくありますよ。決勝は5年生には厳しいだろうなというのは事前に分かっていましたので、選手たちには『高めのボールは絶対に捨てろ!』と徹底。あのへんはみんな好きな球なんだけど、よく見て選んで、つないでくれましたね」 「高めに手を出すな!」(綿貫監督)。西埼玉は徹底して選んでつないだ。打者は2四死球の三番・金子主将...
【関東学童埼玉予選/決勝評】乱戦制した西埼...

【関東学童埼玉予選/準決勝評】ファイナルへ...
埼玉県下の36支部代表によるトーナメント戦。勝ち上がってきた4強のうち、上尾少年野球だけは地域選抜チームで、あとは単独チームだった。ファイナル進出を決めた2チームは、それぞれ持ち前の打力をいかんなく発揮。また敗れた単独チームにも、特筆するべきものがあった。 ※記録は編集部 (写真&文=大久保克哉) ⇧3位/宮原ドラゴンズ(大宮支部) ⇩3位/上尾少年野球(上尾支部) ■準決勝1 宮 原 00102=3 山 野 5311 X=10 【宮】染川、澤村、小林-高橋 【山】高松、中井、高松-樋口 本塁打/遠山(山) 1回裏、山野は七番・遠山の2ラン(写真)など4長短打で一気に5得点 宮原の一番・髙橋漣の中前打で始まった一戦は、山野の5-2-3併殺プレーで終わった。 猛暑日が予報されていた中、序盤はスコールのような雨で一時中断。最終スコアは大きく差がついたものの、活発な打ち合いが展開されて90分があっという間だった。 山野の四番・増田(上)と五番・高松(下)は2打席連続タイムリー 1回表、二死二、三塁のピンチを無失点で切り抜けた山野がその裏、4本の長短打で一気に5点を奪った。二番・樋口芳輝のエンタイトル二塁打を皮切りに、四番・増田慎太朗、五番・高松咲太朗が連続タイムリー。そして遠山景太が左翼70mの特設フェンスの向こうへ2ランアーチを放った。増田と高松は2回にも連続タイムリーで8対0と、ワンサイドになりかけた。 3回表、宮原は澤村の右越え三塁打から1点を返す しかし、3回表、宮原が二番・澤村永真の右越え三塁打と三番・染川僚大の中前打で1点を返す。1対10で迎えた5回表には、一番・高橋からの3連打と五番・岩﨑僚之介の右前打で2点を奪い、なお一死満塁としたが併殺で反撃もそれまで。5回8点差のコールドで試合は決着した。 宮原の三番・染川は5回表に2打席連続のタイムリー(上)、五番・岩﨑(下)も右前に弾き返して1点 山野は毎回を含む計12安打10得点、宮原も8安打を放ったが、山野は2併殺など要所での好守も光った。 ■準決勝2 西埼玉 101022=6 上 尾 000010=1 【西】金子、歩浜、杉山-村井...
【関東学童埼玉予選/準決勝評】ファイナルへ...

【神奈川県選手権/決勝評】万能野球で吉沢が...
2023フィールドフォース・トーナメント神奈川県学童軟式野球選手権大会は8月21日、吉沢少年野球部の初優勝で閉幕した。天神町少年野球部との決勝は、双方がスタイルを貫いた好勝負となり、3対1で制した吉沢が7月30日閉幕の会長杯に続いて県2冠に輝いた。同日の準決勝2試合と合わせてリポートする。 ※記録は編集部 (写真&文=大久保克哉) ※準決勝評は→こちら 優勝(初)/吉沢少年野球部(平塚市) 準優勝/天神町少年野球部(中原区) ■決勝 天神町 000001=1 吉 沢 00201 X=3 【天】末次、森島、横山-横山、森島 【吉】吉岡、宮原、吉岡-芭蕉 本塁打/宮原(吉) 各市区代表の54チームによるトーナメント戦は、8月9日の横浜スタジアムでの開会式を経てスタート。最終日の会場となった茅ヶ崎公園野球場は、両翼92mの軟式専用球場で、今大会は学童用70mの特設フェンスやカラーコーンなどは設けず。外野への打球もフリーとなり、準決勝以上の3試合でそれぞれ価値あるランニングホームランが生まれている。 「打て!」vs.「待て!」 どちらが良い悪いではない。各打者の対応が好対照だった両チームが、大一番で僅差の好勝負を演じた。 1回の表裏は、それぞれ相手の二盗を阻む。写真上は吉沢の芭蕉主将。天神町の横山は小飛球もダイブで好捕(下) まずは双方の好守備から幕を開けた。1回表は、守る吉沢(きざわ)少年野球部の正捕手・芭蕉隼人主将が、二死一、三塁から二盗を阻んでピンチを脱する。そしてその裏、一番打者の芭蕉主将がテキサス安打で出塁。しかし、その後に仕掛けた二盗は、天神町少年野球部のスタメン捕手・横山祐介によって阻まれる。横山はさらに二死後、四番打者の小飛球をダイビングで好捕(捕邪飛)。 これで両先発は波に乗り、2回はともに3者凡退で切り抜ける。 「いつも通りにバットを強く振れ!」。天神町・加賀田監督もいつも通りに各打者の背中を押した 「オマエら、6年生になったんだからホームランを打ってこい!」 準決勝と同じく、ベンチでそう声を挙げていたのは天神町のベテラン、加賀田甲次監督だった。「打て打て! でウチはやってきたチームですからね。『とにかく、バットを強く振れ!』と、いつもそれしか言ってないので『待て!』のサインなんか出したって仕方ない。それでもバントしたいという子がいれば、『自分で考えてやりなさい』と伝えています」(同監督) シンプルかつブレないその方針が、準決勝での3回、打者13人で10得点という超ビッグイニングもつながったのだろう。決勝は満振りの後の見逃し三振や早打ちの凡退もあったが、指揮官が非を唱えることはなかった。 ピンチでは選手たちでタイムを取る場面もあった吉沢(写真は準決勝の4回) 一方の吉沢は準決勝で2ランスクイズがあり、重盗を含む7盗塁にランニングホームランも。多彩な攻め手が際立っていたが、決勝では2ストライクまで見ていく打者が明らかに多かった。...
【神奈川県選手権/決勝評】万能野球で吉沢が...

【神奈川県選手権/準決勝評】天神町がイニン...
最終日の準決勝2試合の勝者は、8月26日開幕の横浜銀行カップ(県大会)出場権も得る。第1試合は5回を終えて3対3と競った内容となり、第2試合は打者13人で10得点という超ビッグイニングが生まれた。 ※記録は編集部 (写真&文=大久保克哉) 3位/戸塚ACFホークス(戸塚区) ■準決勝1 吉 沢 001204=7 戸 塚 00030 X=3 【吉】大村、吉岡、宮原-芭蕉 【戸】鈴木、齋藤、穂満-濱田 本塁打/伊藤(吉) 3回に先制した吉沢は4回に宮原が2ランスクイズバントを決めて3対0に 2回までは両先発が、走者を追いながらも粘投で互いに無失点。試合は中盤から大きく動いた。 3回表、吉沢は四番・猪俣伊吹が左前打に二盗と敵失で三進すると、続く平川圭が中前にゴロを転がして先制する。さらに4回表には、一死二、三塁から二番・宮原瑞樹が2ランスクイズを決めて3対0とリードする。 対する戸塚は4回裏、四番・齋藤壮馬から七番・小川一輝(5年)まで4連続長短打で試合を振り出しに戻す。 4回裏、戸塚の4連打で3対3に。写真上から齋藤の中前打、鈴木の適時二塁打、河内(5年)の左適時打、小川(5年)の中前適時打 イーブンペースを打ち破ったのは吉沢の5年生、九番・右翼の伊藤新だった。まずは5回裏の守りだ。一死二、三塁のピンチで、戸塚の五番・鈴木蒼真主将が打ち上げた飛球を捕球すると、本塁へダイレクトの好返球。間一髪で三走を憤死させる併殺で相手の勝ち越しを阻むと、直後の6回表に先頭打者として大仕事。「打ったボールは真ん中。快心の当たりでした」と振り返る、左越えのランニングホームランを放った。 5回裏、一死二、三塁からの右飛を捕った伊藤(5年)が本塁へダイレクト送球(上)。タッチアップしていた三走・杉浦晃斗が憤死(下) これで勢いに乗った吉沢は、宮原と三番の5年生・小谷心優の連打や敵失などで7対3と突き放す。そしてケガから復帰してきたという宮原が6回裏二死から久々に登板し、三塁ゴロで締めて決勝進出を決めた。 6回表、吉沢は5年生の小谷(上)が右へタイムリー。五番・平川(下)は3回の先制打に続くダメ押し打 ●戸塚ACFホークス・鈴木蒼真主将「負けていてもみんなで声を出して盛り上げたり、士気が上がるのがチームの良さです。決勝も同点までは追いつくことができたし、この大会は逆転勝ちも多くて、みんなで笑ってできたのが一番良かったなと思います」 3位/明神台リトルグランパース(保土ヶ谷区) ■準決勝2 天神町 1010=11 明神台 000=0...
【神奈川県選手権/準決勝評】天神町がイニン...

【都知事杯/決勝評】四つの好勝負。レッドが...
第46回都知事杯フィールドフォース・トーナメントは7月17日、レッドサンズの初優勝で幕を閉じた。同じく全日本学童大会出場を決めている、不動パイレーツとの"全国前哨戦”ともなった決勝は、最後まで目が離せない好勝負だった。 ※記録は編集部 (写真&文=大久保克哉) ⇧【初優勝/レッドサンズ】全日本学童大会には3年連続4回目の出場となる ⇩【準優勝/不動パイレーツ】全日本学童大会には2年ぶり4回目の出場となる ■決勝 不 動 000400=4 レッド 10004 ×=5 【不】阿部、永井-小原 【レ】北川、増田、藤森一-増田、竹森、増田 本塁打/藤森一(レ)、小原(不)、難波(不) 出場63チームのファイナル ちょうど1カ月前の6月17日。両チームは全日本学童東京予選(上位3チームが全国出場)の決勝で相対し、6対4で勝利したレッドサンズが大会2連覇を達成している(※レポートは→こちら)。 都知事杯の、またも決勝で対峙した両チームは、前回を大きく上回る熱戦を展開した。戦力も手の内も知る者同士の、さながら“全国前哨戦”。序盤は双方に併殺プレーが1つずつ。後半に逆転、また逆転と、最後までともに譲らなかった戦いは、勝者にも敗者にも多くの収穫をもたらしたことだろう。 1回表にレッドがスクイズを阻んで併殺を奪えば(上)、2回裏は不動が無死一塁からの内野安打に5-3-5-4の転送で併殺を奪い返す(下) 1回表、守るレッドサンズが一死満塁からのスクイズを阻んで併殺(投直から三塁転送)を奪えば、不動も2回裏の守りでやり返す。無死一塁からの三塁内野安打で、三進を狙った一走を5-3-5の転送で刺し、その間に二進を狙った打者走者も5-4の転送でアウトに。 どちらの併殺プレーも、両監督は攻めを振り返って「ミス」と口にしたが、守る野手陣が次の次の展開までを描けていたからこその重殺でもあった。投直とさせたスクイズバントも、ウエストに近い高めのボールを投じたレッドの先発・北川瑞季のファインプレーではなかったか。不動の先発・阿部成真も、ダイナミックなフォームから緩急を使った投球で決定打を許さなかった。 1回裏にレッドの二番・藤森一が、2試合連発となる先制ソロを逆方向へ(上)。5回表には不動の三番・小原がやはり2試合連発となる中越えの同点ソロ(下) 攻めてはともに、まずは打つべき人が打った。レッドは二番の藤森一生が1回に、不動は三番の小原快斗が4回に、それぞれ2試合連続となるランニング本塁打で1点ずつ。そして試合が大きく動いたのは、その小原の同点弾からだった。「みんなで心を一つにして、良い雰囲気で得点できたと思います」と、永井大貴主将が振り返った4回表。1対1とした不動はなお、五番・阿部から西槙越、難波壱(5年)の3連続長短打で一気に4対1と、勝ち越してみせた。 「藤森(一生)クンを想定して速いストレートに強い子を並べました」と、不動の永井丈史監督。相手の絶対的エースの登板は5回からで、得点こそ奪えなかったが村上陽音が最初にクリーンヒットし、6回には難波が三塁打を放った。 4回表、1対1に追いついた不動はなお、阿部の三塁打(上)に西槙の中前打(下)で勝ち越しに成功(下) 「以前はミスして沈んだまま、ゲームを壊しちゃうようなこともありましたけど、今は落ち着いて次のチャンスを狙って、しっかりと待てるようになりました」 レッドは門田憲治監督がこう評したように、一気に逆転されてもドタバタしなかった。5回表のピンチをエースが力でねじ伏せるとその裏、一番・藤森輝の右前打から反攻に転じる。そして四番の大熊一煕(5年)から宮野歩大、竹森康喜の3連打に敵失も誘って5対4とひっくり返し、そのまま逃げ切ってみせた。 レッドは5回裏二死一、二塁から宮野の中前打(上)で1点、続く竹森は痛烈な左前打(下)で敵失も誘って生還し、5対4と大逆転 「次のカズキ(藤森一)に回すことを考えました」(藤森輝)、「次にコウキ(竹森)がいるので、何でもいいから塁に出てつなごうと」(宮野)、「ここで打たないと負けると思いましたし、気持ちで打ちましたね。オレが決めたかった!」(竹森)...
【都知事杯/決勝評】四つの好勝負。レッドが...

【都知事杯/準決勝評】全国を見据えた2チー...
第46回都知事杯フィールドフォース・トーナメントは7月16日、準決勝2試合を上柚木公園野球場で行った。1カ月前に閉幕した全日本学童東京予選で優勝したレッドサンズと、準優勝の不動パイレーツが、この日はそろって完勝。8月5日開幕の全日本学童大会を見据えた、新たな布陣や選手起用がズバリと当たる形となった。 ※記録は編集部 (写真&文=大久保克哉) 【3位/高島エイト】徳島県で開催の阿波おどりカップに出場する ■準決勝1 高 島 10100=2 レッド 10602x=9 【高】重安、鈴木真、吉永-甲斐 【レ】北川、藤森一-増田 本塁打/藤森一(レ)、大熊(レ) 起用にこたえた5年生 レッドサンズは1カ月前に全日本学童東京予選で2連覇。その決勝戦は不出場だった5年生が、この日はスタメンの四番・二塁に。「全国に向けて、6年生に気合いを入れ直してもらおうかな、ということで」と門田憲治監督は試合後に意図を明かした。 大抜擢された中田静は、右打席から実力の高さを証明してみせた。第1打席は痛烈な遊直、5回の第3打席は中前へクリーンヒットを放った。そしてさらなる存在感を示したのが、同じく5年生の大熊一煕(いちき)だった。 3回表から中堅の守備に入ると、その裏の打席で左越え2ラン。さらに5回には右翼手の頭上へ、コールド勝ちを決めるタイムリーを放ってみせた。「絶対にランナーを返してやろうという気持ちでバッターボックスに入ったのが良かったと思います」 1回表、高島は(写真上から)石井、甲斐、吉永の3連打に鈴木真の二ゴロで先制する 結果は5回、7点差コールド。確かに3回裏からはレッドのワンサイドに近かった。しかし、鮮やかな先制パンチを披露し、3回表まで主導権を握っていたのは前年度優勝の高島エイトのほうだった。 1回表、先頭の石井晴仁から甲斐雄大主将、そして三番・吉永章洋までの3連打から、鈴木真夏の二ゴロで先制。その裏にすぐに追いつかれたが、3回表には救援したレッドのエース左腕から勝ち越し点をもぎ取る。最速121㎞/hを誇るレッドの藤森一生は簡単に二死を奪うも、高島は五番・田中駿一郎の右前打と続く仲里皇紀の左越え二塁打で2対1と再びリード。 しかし、その裏にレッド打線が倍以上にやり返した。まずは藤森一が右翼線への逆転2ランで自らの失点を帳消しに。バッテリーミスなどでイニング3点目を失った高島は、投手を含む4人の守備変更も流れを変えられず、与四球や適時失策、被弾も絡んで一気に6点を失ってしまった。 3回裏、レッドは二番・藤森一が右翼線へ糸を引くような打球の逆転2ラン(上)。途中出場の5年生・大熊も左越え2ラン(下)など一気に7対2とした 5回表は内野安打2本と野選で高島が再び、無死満塁の好機をつくるも、ギアを上げたレッドのエース左腕が後続を断つ。6回表には4-6-3の併殺も決めたレッドがその裏、2点を加えて7点差となって勝負は決した。 ●高島エイト・甲斐大樹監督代行「3回の守りで続けてミスが出てしまいました。それまではガマンできていただけに…」 ―Pickup Hero― 独自打法で好左腕から2本...
【都知事杯/準決勝評】全国を見据えた2チー...

【全日本学童茨城大会/決勝戦評】手堅く、執...
第43回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント茨城県予選兼令和5年度全国・関東ブロックスポーツ少年団軟式野球交流大会茨城県大会は6月24日、ノーブルホームスタジアム水戸の軟式球場で決勝と3位決定戦を行い閉幕。2年ぶり10回目優勝の茎崎ファイターズ(土浦市)が全日本学童出場を決めたほか、準優勝の上辺見ファイターズ(古河市)はスポ少の関東予選へ、3位の水戸市野球スポーツ少年団は関東学童への出場がそれぞれ決まった。思わぬ大差となった決勝から、チームの横顔にも迫った。 ※記録は編集部 (写真&文=大久保克哉) ⇧優勝・茎崎ファイターズ=2年ぶり10回目の全日本学童へ ⇩準優勝・上辺見ファイターズ=全国スポ少交流関東予選へ ■決勝 茎 崎 15057=18 上辺見 00060=6 【茎】佐藤映、石塚、中根-藤城 【上】鹿倉、小岩、大曾根、中澤、大曾根-櫻井 本塁打/中澤(上) 「力がなくても」 2017年には吉田慶剛主将(千葉・専大松戸高3年)を擁して全日本学童4強入り。そして19年には同大会準Vと、日本一に肉薄した年の「関東の雄」茎崎には、絶対的な大黒柱がいた。 今年の6年生6人は粒ぞろいの中で、エースで四番の中根裕貴が頭ひとつ抜けている。昨秋の新人戦で関東準V、年が明けてローカル大会も制してきた。それでも吉田祐司監督は「決して力のあるチームじゃない。でもそれを言い訳にしない」と繰り返してきた。そんな指揮官が、夏の全国出場を掛けた大一番ではエースではなく、5年生の佐藤映斗を先発のマウンドに送った。 茎崎は5年生・佐藤映(上)が先発して相手の強打を巧みにかわし、4回途中から救援のエース・中根(下)が冷静な投球で胴上げ投手に 「(対戦相手の)上辺見は打撃が良いチームなので、やられるとしたら一方的に打ち込まれる展開。のらりくらりとした佐藤映のピッチングのほうが、うまくかわせるんじゃないかな、と」 吉田監督の読みはズバリと当たった。2回戦から準決勝まで2ケタ得点中の上辺見打線を、5年生左腕が3回まで無得点に。いずれも三塁に走者を置いたものの、あと1本を許さない。また、重圧のかかる場面でこそ堅くなる守備は、いかにも茎崎だった。 「監督から『ストライクだけ入れて、あとは何も考えずに後ろの守りに任せろ』と言われていて、だんだん調子も上がってきて楽しく投げられました」(佐藤映) 1回表、三番・藤城の左越え三塁打(写真)に五番・藤塚の左前打で茎崎が先制 全国初出場に王手をかけていた上辺見は、機先を制されて波に乗れなかったのかもしれない。1回表に二死無走者から2安打されて先制点を献上。2回表には無死満塁から3-2の本塁封殺で一死は奪ったものの、以降は不運な当たりや茎崎の徹底したバント攻撃に崩されて5失点、早くも0対6に。 このワンサイドになっても、茎崎の攻撃は手堅くて執拗だった。3四球3得点の八番・渋澤律斗が「後ろにつなぐこととムダにアウトにならないことを心掛けています」と語ったように、どの打者もボール球には決して手を出さなかった。 一塁に出れば、ほぼ確実に二盗とバントで好機を広げる。そして4回には藤塚凌大の2ランスクイズと新岡蓮の3点三塁打で5得点。11対6と5点差に詰められた直後の5回表は、2安打ながら敵失に乗じた足技と小技で大量7点を奪って再び大きく突き放した。 2回には三走・渋澤が暴投で生還(上)、4回には2ランスクイズ(下=打者・藤塚、三走・佐藤遥主将)など、茎崎は機動力と小技も駆使してリードを広げていった 「個性を大事に」 「ウチとすれば打って点差を広げないと勝てないと思っていたけど、あれだけ守りがバタバタしちゃうとね…。茎崎の足とバント攻めは想定内。でも、取れるアウトを取れなかったのはベンチの声掛けを含めて指導者の責任です」...
【全日本学童茨城大会/決勝戦評】手堅く、執...

【全日本学童東京大会/3位決定戦評】秋の関...
高円宮賜杯第43回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント東京都予選大会の3位決定戦は6月17日、府中市民球場で決勝に先駆けて行われた。一進一退の前半戦を経て、後半に大きく突き放した船橋フェニックス(世田谷区)が、花小金井サイドワインダーズ(小平市)に13対6で勝利。開催地・東京の3枠目での全国大会初出場を決めた。 ※記録は編集部、決勝戦リポートは→こちら (写真&文=大久保克哉) ⇧全日本学童初出場を決めた3位・船橋フェニックス ⇩4位・花小金井サイドワインダーズ ■3位決定戦 船 橋 31234=13 花小金 01203=6 【船】原、皆見、原-齋藤 【花】佐野、西村、吾郷-吾郷、山中 本塁打/原(船) 4/1051のプライド 1週間前のダブルヘッダー。準々決勝に続く準決勝で敗れた同士が、残り一枚の全国切符をかけて対峙した。 終わってみれば、3者凡退は1回裏のみ。ほとんど塁上を賑わし続けた戦いは、既定の90分を5イニングで消化。昨秋の関東王者・船橋が毎回得点で貫録を示した形となったが、前半戦は一進一退の好勝負が展開された。 ⇧5回表、船橋の三番・原が中越え3ラン。左手を突き上げての生還で12点目が入る 3回表、船橋の五番・齋藤蒼太が左前へ(上)、七番・楠健伸が右前へ(下)それぞれタイムリー 「自分たちは良い球を投げられていたけど、相手が強くて打たれてしまいました」と、花小金井の吾郷裕真主将。正捕手として投手陣を懸命にリードし、5回表には自ら救援も、船橋打線の勢いを止められず。それでも、東京1051チームのベスト4まで来たのだ。 「相手に先行されても、みんなで力を合わせて後半勝負の戦いも経験してますし、今日もまだぜんぜん、いけるぞと思いながら戦っていました」 花小金井は主将の言葉を裏付けるような、光るプレーや粘りも随所に見られた。10点差とされた直後の5回裏には、上位打線が3安打集中で3得点。2回表の守りでは5年生の右翼手・大嶋甲人がファウルフライをダイブで好捕。「ファウルは捕れなくてもファウル。打球が飛んだ瞬間に飛び込むと決めていました」(大嶋)。 2回表に美技を披露した花小金井の大嶋(中央)。「これから自分たち5年生の大会もあるので、今日の経験を活かしたいです」 直後の2回裏の攻撃では、先頭の四番・西村風輝が118㎞/hの速球をはじき返しての中越え三塁打。3回にも左翼線へ二塁打の西村は「打つほうは練習の成果が出せたのかなと思います。でも相手のレベルが1つ2つ上かなというくらい、ぜんぜん違いました」と唇をかんだ。 吾郷主将も実力差は認めつつ、「今日で自分たちも1個上のレベルに上がれたと思います。ガスワンカップ(関東大会)とか、まだ目指す大会があるので頑張ります」と殊勝に話した。 120km/hに迫る速球も打ち返して3打数3安打2打点。花小金井の四番・西村が気を吐いた さて、夏の全国大会へ滑り込みで出場を決めた船橋だ。相手も脱帽させる攻撃力はすさまじかった。 1回表、先頭・尾花緋肢(あかし)の技あり左前打を皮切りに、打つわ打つわでトータル13安打で13得点。三番・原悠翔(※「2023注目戦士」→こちら)の3ランなど派手な一打もありつつ、11盗塁(うち三盗3)に象徴される果敢で抜け目のない走塁が効いていた。3回に二盗を阻まれて以降も走者はトライを続け、相手のミスも誘発。また、走者の好スタートを見た打者は必ず見送るなど、約束事の浸透度もはっきりとうかがえた。...
【全日本学童東京大会/3位決定戦評】秋の関...

【全日本学童東京大会/決勝戦評】見えた!昨...
高円宮賜杯第43回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント東京都予選大会は6月17日、府中市民球場で決勝と3位決定戦を行い、レッドサンズ(文京区)の連覇で閉幕した。不動パイレーツ(目黒区)の猛追をかわしきった決勝戦をレポートする。 ※記録は編集部、3位決定戦レポートは近日公開予定 (写真&文=大久保克哉) ⇧優勝・レッドサンズ=3年連続4回目の全日本学童へ ⇩準優勝・不動パイレーツ=2年ぶり4回目の全日本学童へ ■決勝 不 動 000004=4 レッド 10203 X=6 【不】永井、阿部-阿部、永井 【レ】藤森一、増田、藤森一、増田-増田、竹森 本塁打/増田(レ) ワンサイドが一転 北海道に次ぐ全国2番目の登録数。1051チームの頂点にはやはり、一筋縄で輝けるものではなかった。 6対0と完勝ペースで迎えた最終6回表の守り。レッドはエース左腕の藤森一生を再びマウンドへ。先発して4回まで42球で3安打無失点のエースは、5回の守りから右翼に就いていた。既定の70球まで28球もある。最速120㎞/hもたびたびマークするなど、前半戦の力投ぶりからすれば、そのまま胴上げ投手になる絵も十分に浮かんだ。 「胴上げ投手」は3度目の全国にお預けとなったレッド・藤森一だが、初回から飛ばして最速120km。4回まで無失点、無四球の被安打3という快投だった 「やっぱり野球は最後まで何があるかわからないし、簡単に終わらせてくれないのが不動さん。全国大会に向けて良い経験になりました」(藤森一※「2023注目戦士」の記事は→こちら) 世代屈指とも言える左腕を脱帽させた不動打線は最終回、しぶとさを披露した。「今日はチームで速いボールを打つ練習をしてから会場に来たので、初球からどんどん振って合わせていこうと思っていました」。 三番・小原快斗は右越え三塁打を含む3打数3安打、狙い通り初球からスイングして右に左に打ち分けた。 6点を追う6回表に不動が猛反撃。四球と難波の左前打(上)で一死一、三塁から、三番・小原が3打席連続安打となる左前適時打(中央)。五番・岸も適時内野安打(下)など集中4安打で4点を返した 一番からの好打順で始まった6回表。不動は岩崎貴彦がまず四球を選ぶと、難波壱(5年)と小原快斗の連打で1点。四番・永井大貴主将の特大中飛で一死一、三塁となり、岸樹吹の内野安打で2点目が入る。続く西槙越の左前打で満塁として、相手エースを降板させると、阿部成真の押し出し四球で3対6に。さらに、八番・村上陽音のゴロを遊撃手がファンブルして4点目が入る。だが、ここで守るレッドサンズにビッグプレーが飛び出した。 ボールを拾い直した遊撃手の小笠原快が、一塁ではなく、三塁ベースに入った齊藤碧人へ送球。これでオーバーランしていた走者をタッチアウトにしたのだ。「一つ(一塁)はもう無理だなと感じて。いつもショートをやっている竹森君(康喜、このプレー時は捕手)が、そういうときによく三塁に投げているのでマネしてみました」(小笠原)。「ああいう場面でも諦めてプレーを止めずに、三塁ベースに入るというのは練習通りです」(齊藤) この2アウト目で、守るレッドの一塁側応援席も盛り上がった。そして2点差の二死一、二塁から、打球はまたも遊前に転がり、6-5の封殺でゲームセットとなった。 6回表、レッドは一死満塁のピンチに遊撃手の小笠原がゴロを捕り損ねる(4失点目)も、球を拾い直した小笠原は三塁送球で走者を憤死に。直後も遊ゴロから6-5封殺で試合終了(写真) 前年に続いてチームを東京王者に導いたレッド・門田憲治監督は、真っ先に最後のビッグプレーを称えた。「いつもあんなことができるわけではないんですけど、成長を感じましたね。エラーはプロ野球選手もするし、ミスとかエラーの後にどうするかがすごく大事だ、と教えてきましたので」。 5回までの盤石な試合運びは、全国8強入りした昨夏を超える予感をさせるものだった。1回に先制、3回に中押し、5回にダメ押しと効果的に加点。6得点のうち敵失絡みは1点のみで、あとは適時打と犠打で奪ったものだった。3回に2ラン、5回にスクイズを決めた四番・増田球太は「ホームランの打球は僕としては完璧。エースの一生(藤森)を助けるためにここで1本と思って」と笑顔で振りれば、エースの藤森一は「今年は自分がチームを引っ張って優勝まで導きたいです」と自身3度目の全国大会へ抱負を語った。...
【全日本学童東京大会/決勝戦評】見えた!昨...

【都知事杯開幕】46回の伝統大会に63チーム参加
第46回東京都学童軟式野球大会フィールドフォーストーナメントの開会式が6月17日、スリーボンドスタジアム八王子であった。翌18日に始まる巨大トーナメントに出場する地区代表63チームが入場行進。選手を代表して開催地・八王子市のみなみ野ファイターズの三宅隆輝主将が宣誓した。→こちら 前年度に5年ぶり2回目の優勝を果たした高島エイトを先頭に、参加全63チームが入場行進。スタンドは保護者や関係者らで埋まった 参加約1600人の選手には、特別協賛のフィールドフォース社から夜間でも練習可能な「LED付シャトル」を贈呈。大会MVPの副賞は同社グラブ工房の「オーダーグラブ券」となる。また、同社のボールパーク足立で野球教室を主宰する千葉スカイセラーズの秋吉亮投手(元日本ハムほか)も特別参加して「お父さんお母さんに感謝の気持ちを大切にしてください」とメッセージを発信し、始球式も行った。 東京・足立区出身の千葉スカイセラーズの秋吉亮投手(元日本ハムほか)も登壇し、学童球児たちを激励した 決勝は7月17日を予定、上位4チームは上部大会の関東学童(8月5日開幕)に進む。今大会は全日本学童都大会の上位3チーム、レッドサンズ(文京区)、不動パイレーツ(目黒区)、船橋フェニックス(世田谷区)も参加。前年度優勝の高島エイト(板橋区)の甲斐雄大主将は、事前の監督主将会議において「自分を含めて去年の経験者も何人かいます。今年も優勝したいです」と抱負を語っている。 開会式を裏方でサポートした地元・八王子の中学軟式野球部員たちにも「LED付シャトル」が贈られた。右はフィールドフォース・吉村尚記社長
【都知事杯開幕】46回の伝統大会に63チーム参加

【全日本学童千葉大会決勝】流れ行き来の熱い...
高円宮賜杯第43回全日本学童軟式野球千葉県予選大会マクドナルド・トーナメントは6月10日、千葉市の中田スポーツセンター野球場で決勝を行い閉幕。八日市場中央スポーツ少年団(匝瑳市)が、10年ぶり2回目の全国出場を期す磯辺シャークス(千葉市)に1対0で勝利し、初めての優勝と全国出場を決めた。昨今の軟式野球の流れと一線を画すような、ロースコアの熱い接戦を特報しよう。 (写真&文/大久保克哉 ※記録は編集部) 【初優勝/八日市場中央スポーツ少年団】全国スポ少交流の県予選も8強まで勝ち進んでいる 【準優勝/磯辺シャークス】2013年以来の全国出場はならずも、6年生は12月の卒団までに関東学童など大きな大会がまだ複数残っている ■決勝 磯 辺 000000=0 八日市 10000 X=1 【磯】二田、江川、上村、八田-横山 【八】富永、石井-伊藤 百戦錬磨も想定外の快投 『ピンチの後にチャンスあり』との格言も、驚異的な反発力のバット『レガシー』も、千葉のファイナルにおいては存在感をとんと失った。 1回裏、八日市場が宇井貴浩の内野安打と富永孝太郎主将の左前打でたちまち無死一、三塁とし、三番・石井陽向の左犠飛で1点を先取する。このときに内野に中間守備を指示していた磯辺の小池貴昭監督も、そのままスミイチでの決着は想像できなかったようだ。 「準決勝でかなり打ちましたので、今日は逆に振りが大きく粗くなるかなという心配はありましたけど、三塁も踏ませてもらえないとは…」 1回裏無死一、三塁から八日市場の三番・石井が左へ犠飛。ベンチも茫然と見上げる特大のフライだった 双方、無失策で先攻の磯辺が散発の2安打、後攻めの八日市場が3安打。終始、息をのむような「守備戦」が展開され、試合の流れだけが激しく行き来した。 その一因は、1月に練習試合(磯辺が2連勝)をしていたことと、1週間前の準決勝を同じ会場で続けて戦っていたこと。つまり、互いの戦力や手の内をある程度は知った上での決戦だった。 「磯辺さんはバッティングもいいし、小池監督は百戦錬磨。いろんな揺さぶるようなこともされてくるのは想定していました」 八日市場の宇野貴雄監督が警戒したように、磯辺打線は好投手対策を忠実に実行していった。1回表、先頭の横山輔主将が一度もバットを振らず、3球で見逃し三振したのが象徴的だった。後続の打者も、ファーストストライクに決して手を出さない。 70球で6回二死まで被安打2の4奪三振で、無失点に無四球。八日市場のエース・富永孝太郎主将が圧巻の投球でVに貢献 「球数(1人1試合70球まで)を稼いで、2人目のピッチャー勝負と。まあ、その中でも先発ピッチャーも攻略できればなと思っていたんですけど、初球からバンバン、ストライクを取られてしまって粘らせてももらえず…」 小池監督を脱帽させたのは、八日市場の大型右腕・富永主将だった。角度のある速球を主体に淡々とストライクを投げて、粛々とアウトを重ねていく。「緊張しましたけど、練習でしてきたことを発揮するだけ。絶対に勝ってやると思って、球数も気にせず投げました」。60球を過ぎて迎えた6回も投球に変化はなく、8球で二死を奪ってお役ご免に。準決勝では3回で9安打9得点の磯辺打線に、許したクリーンヒットは1本のみで四死球も失点もゼロという、ほぼ完璧な内容だった。 磯辺は四番・植草大地が唯一クリーンヒットの右前打(2回表)。「内を狙っていたけど仕留めきれなくて(左へ痛烈ファウル)、追い込まれてから広く待って対応しました」...
【全日本学童千葉大会決勝】流れ行き来の熱い...

【全日本学童千葉大会/準決勝評/決勝展望】...
千葉県459チームの代表は、八日市場中央スポーツ少年団(匝瑳市)か、磯辺シャークス(千葉市)か!? 高円宮賜杯第43回全日本学童軟式野球千葉県予選大会マクドナルド・トーナメントは6月4日、千葉市の中田スポーツセンター野球場で準決勝2試合を行い、ファイナリストが決した。6月10日、同球場での決勝を制した王者が8月5日に東京・神宮球場で開幕の全国大会に出場する。準決勝のリポートと決勝の展望をお届けしよう。 ■準決勝1 向 山 01105=7 八日市 1223 X=8 【向】扇、田中-橋本、扇 【八】富永、石井、富永-伊藤 ⇧守り勝った八日市場中央スポーツ少年団は、2大大会を通じて初の全国出場をかけて決勝へ。⇩3位・向山ファイターズは「感謝の気持ちをもって元気よく。采配を含めてフェアプレーで戦うのが一番の特長です」(角野監督) 向山の一番・田中遥馬主将の左越え二塁打に始まった試合は、最後に流れが急変する好勝負となった。 先発した八日市場の本格派右腕・富永孝太郎主将は1回表、いきなり無死三塁という大ピンチから本領を発揮する。「どんどんストライクを取って、打たせたり三振を奪う」とセールスポイントを語るように、後続打者を早々に追い込むと声を発しながらの速球で2人を空振り三振に。また、右翼手の田中功明が前方の低いライナーを好捕して無失点で切り抜けた。 対する向山も、先発の右サイド・扇隼人が巧みな投球で打者に的を絞らせない。だが、バッテリーエラーやカバーリングの遅れなど手痛いミスが重なり、序盤2回までに被安打1で3失点。それでも打線が盛り返していく。2回には橋本一真と金井颯大の連打で1対1とすると、八番・八朔良幸が5球連続ファウルなど速球に食らいつく。3回には二番・浅野高輝が適時二塁打。さらに6点を追う5回表には、八朔の右三塁打を皮切りに四球や四番・渡邊征吾の三塁打などで1点差まで詰め寄る驚異の粘りをみせた。 上げる足の高さや動作テンポを変えたり、上下左右にボールを散らすなどクレバーな投球が光った向山・扇隼人 「ウチはとかく10番(富永)が注目されがちですけど、捕手や三遊間を中心にバックの守りで引き立っている。6年生はもちろん、スタメンの4年生5年生4人がよく頑張りました」 八日市場は宇野貴雄監督がそう振り返ったように、試合を通じて堅守が効いていた。2回にはディレードスチールを捕手・伊藤瑠生が冷静に阻止。3回には一死二塁から強烈な三ゴロを捕った石井陽向が、飛び出している二走を見て挟殺に。そしてハイライトは5回表だ。 抜け目のない走塁と三番・石井の適時三塁打などで6点にまで広げていたリードが、みるみる1点に。だが、ここからビッグブレーが飛び出す。一死一塁から、ゆるく舞い上がった打球は左翼・中堅・遊撃の中間あたりへ落ちていく。これを背走してきた遊撃手の宇井貴浩がギリギリでグラブに収めてみせた。そして最後のアウトは、ヒヤリとするライナーを右翼手の田中がキャッチ。試合は規定の90分を超えており、ここで決着した。 ●向山ファイターズ・角野雅丈監督「最後まであきらめずによく頑張ってくれた選手たちに成長を感じました。序盤のミスによる失点が最後に響いてしまいました。まだスポ少の県大会も、夏の大会もあるので鍛え直してきたいと思います」 ■準決勝2 大和田 044=8 磯 辺 234=9 【大】杉山璃、保坂、糸山-山澤 【磯】二田、上村、八田-横山 本塁打/杉山璃 ⇧磯辺シャークスは「旋風」を起こした2013年以来の全日本学童出場を期して決勝へ。⇩3位・大和田タイガースは昨夏の全国経験者を軸とする全員野球で、2回戦では大会3連覇中の豊上ジュニアーズ(柏市)に3対2で勝利 「お互いにストライクをなかなか取ってもらえない中で、真ん中の甘いボールを良いスイングでとらえた、ということで打ち合いになりましたね」 2013年に全日本学童8強までチームを導いている磯辺・小池貴昭監督が振り返った準決勝の第2試合。両軍で計10四球、双方9安打(編集部記録)に3投手ずつ登板という大乱打戦となり、既定の90分間を3イニングで消化することになった。...
【全日本学童千葉大会/準決勝評/決勝展望】...

【東京グリーンカップ開幕】3年生に光、3年...
第2回東京グリーンカップ争奪学童軟式野球3年生大会が5月21日、目黒砧グラウンドで開幕。オープニングゲームの2チーム参加による開会式と、1回戦2試合が行われた。大会はトーナメントで、共催する目黒区少年軟式野球連盟の9チームのほか、8区1市から11チームが参加。決勝は6月25日を予定している。 ルールで禁じるまでもなく 新型コロナウイルスが、季節性のインフルエンザウイルスなどと同じ扱いの5類感染症に移行されて2週間弱。多くがまだ10歳に満たない少年・少女たちの本気のプレーや笑顔が、東京のグラウンドにも戻ってきた。 「グリーンカップ」の始まりは滋賀県。多賀少年野球クラブの辻正人監督が「なかなか日の当たらない3年生にスポットを充ててあげたい」と、2005年から毎年主催。数年前から大人の罵声・怒声を禁じると、スマイルの花が咲くようになって人気も飛び火。大会趣旨に則った「グリーンカップ」が県外の各地に広がりを見せている。 開幕ゲームに挑む2チームが開会式に参加 東京では2020年の2月に初開催も、以降はコロナ禍もあって延期が相次いだ。第2回大会の実現にあたった事務局の深井利彦さん(目黒区少年野球連盟理事長)は、都内でも選手が激減していることを実感したという。 「野球をする子供が本当に減っちゃってますね。われわれの目黒区でも14チームのうち、3年生以下で試合ができるチームが9。区外の友好チームなどにも声を掛けても、『(人数不足で)単独では出られない』という返事がたくさんありました」 ただし、4年生以下の大会は都下でも複数ある中で、3年生以下の大会は希少であり、東京グリーンカップが目標や希望となるケースもあるだろう。また、怒声のない大会は見守る保護者や指導者までも笑顔にしてくれることは、近年のグリーンカップで裏付けられている。 「今の時代に怒声や罵声をなくそうっていうルール自体が、ちょっとおかしいのかなという感じもしますよね。そういうのはないのが当たり前ですから。もちろん、野球のルールやマナーはきちっとした上ですけど、試合を見ている親御さん(保護者)が楽しくなる感じでないと。少年野球は親御さんがいないと成り立たないですからね」(深井さん) ■北原15ー1ジュニア ジュニアファイターズは1回表、一番・下津成大(上)の内野安打から1点を先取。その裏には右翼手の二村隆介(下)が前進守備からライトゴロを決めてみせた オープニングゲームは、地元・目黒区のジュニアファイターズが先制し、ベンチも保護者らも大いに盛り上がった。以降は北原少年野球クラブ(練馬区)が攻守で圧倒し、毎回5得点(※5得点で攻守交替)の3回コールドで決着した。 北原少年野球クラブは、監督と選手が4年生から繰り上がる。昨年は6年生を率いた細田健一監督が今年は4年生チームに 3年生以下は基礎練習が8割で、「捕る・投げる」は大人がほぼマンツーマンで教えているという北原の選手たちは、どんなにリードを広げてもストライクは積極的に振り、走者は抜かりなく進塁した。手を抜いたり、相手を侮辱するような言動がまるでなかったのも印象的で、指導歴14年で新年度から4年生以下を受け持つ細田健一監督は、そうした心の育成にも力を注いでいるという。 「たとえ50対0で勝とうが、『北原とまた試合をしたい!試合をしてほしい!』と言われるようなチームになりたいんですね。それを私は言い続けてますし、コーチも保護者も、マナーを含めて大切にやってきています」 北原は先発・堀川怜志(上)が安定した制球でゲームをつくった。3回裏、佐藤滉がイニング5得目となる本塁打(下)を放って試合は終了 ■有馬・トゥ13ー8東山 有馬スワローズ(中央区)・トゥールスジュニア(荒川区)と、東山エイターズ(目黒区)の第2試合は、初回に3点ずつを奪い、2回はともに0点という好ゲームに。4回表に有馬が8点差として勝負を決めたが、その裏、東山も粘り強い攻撃で5点を奪い、13対8で決着した。 友好関係にある、中央区の有馬スワローズ(選手5人)と荒川区のトゥールスジュニア(選手9人)が唯一の合同チームとして参戦(上)。先発の吉井海翔(下)は、真上から投げ下ろすボールに力があった 「バットの芯にボールを当てるだけだから、何も難しくない!」「ベルトのところに来たら振ればいい!」など、具体的な声掛けで緊張気味の選手たちの背中を押していたのは、トゥールスジュニアの大串善則監督だった。 「昔は高学年の監督もやっていたんですけど、シンプルに言ってあげるのが良いと思うんですよね。あとはそれをどう変換していくか、というのが子供たちは楽しいところだと思うので」 振り逃げを知らずに走らなかったり、チーム内の走塁ルールを覚えていなかっいたり。そういう場面でも声を荒げるのではなく、あとから確認したり、コーチ陣で教える姿も印象的だった。ただし、グリーンカップだから、そういうリアクションをしたわけではないという。 「5年前に中学チームの指導から戻ってきてからですね。世代が変わって自分の息子もいなくなった中で、他人様からお子さんを預かる場合に、どうやって言葉で伝えるかということを改めて考え直しまして。言葉遣いもちょっと気をつけているつもりです」(大串監督) 大会は今後も日曜日を中心に試合を消化し、遅くても7月には優勝チームが決まる運び。第1回大会は文京区のレッドサンズが優勝している。...
【東京グリーンカップ開幕】3年生に光、3年...

【千葉県スポ少交流大会】今夏の全国舞台の地...
第45回千葉県スポーツ少年団軟式野球交流大会が、5月14日に開幕した。成田市のナスパスタジアムでの開会式には、各地域代表の63チームが参加(3チームは学校行事で公欠)。その後は県内8会場で、巨大トーナメントの1回戦が行われた。決勝は6月10日を予定、優勝チームは全国切符をかけて7月16日、東京で開催される関東大会へ進む。 雨天の場合は中止が決まっていた開会式だが、5月14日の9時から予定通りに行われた(成田市・ナスパスタジアム) 今夏の夢舞台になるからだろうか。どれも予定調和でなく、主催者の真心や熱意も感じられる、印象深い開会式だった。 お決まりのような長時間の入場行進がなく、参加60チームの選手たちは予めフィールドに整列。そして順番に地域とチーム名をアナウンスされると、先頭の選手がプラカードを高く掲げていく。空はぶ厚い雲に覆われ、直射日光と高い気温を免れたこともあるが、式中に卒倒や体調不良者が出なかったのは、こんな第一声による集中が働いたせいもあるだろう。 「みなさん、元気ですか?!」 千葉県スポーツ少年団の大平仁部長が開式通告で問い掛けると、フィールドの選手たちが口々に「はい!」と答えた。以降も、地元・成田市の小泉一成市長の挨拶や露木循審判委員長の諸注意に対して、選手たちは声に出しての返事で応じる。そのたびに、保護者らで埋まった内野スタンドがにわかに沸いた。 内野は土、外野は天然芝で内野席があるナスパスタジアムは、高校野球の千葉大会やプロ野球の二軍戦も開催される。今夏の全国スポ少交流大会の会場にもなる予定 「今年の夏の全国交流大会は初めて、ここ千葉県で開催されます。この県大会の優勝チームは8チームが参加する東京での関東大会に進み、最後の2チームまで勝ち残ると全国大会に出場です。ぜひ、そこを目指してください」と、大平部長。 また、露木審判委員長は「この大会は交流大会であり、覇権大会ではありません。勝ち負けはありますが、相手への思いやりや野球ができることの感謝も忘れずに、お願いします」と念を押した。 昨年の全国スポ少交流(奈良県開催)に出場した大和田タイガース(八千代市)。昨年からメンバーの6年生、杉山璃空(左)と杉山燎(右)は2年連続出場を期している 学童軟式野球の夢舞台、夏の全国大会は2つある。全国スポーツ少年団軟式野球交流大会(日本スポーツ協会主催)は、全日本学童大会マクドナルド・トーナメント(全軟連主催)より2年早い1979年に始まり、コロナ禍で中止の2020年と21年を含めて第45回を迎える。現在は全国9ブロックの持ち回りで開催されており、関東ブロックが開催地となるのは2005年の栃木県以来18年ぶりで、千葉県は初。 「交流大会」とあるように参加16チームで優勝を決するトーナメント戦以外に、開催地のチームとの交流試合や野球教室などもある。また、4日間の大会期間中は全チームが同宿で、オリエンテーションなどでも親睦を深める。昨年は新型コロナウイルスの感染疑い(発熱)が出るなどして交流戦はすべて中止となり、1チームは準々決勝を前に棄権。団員14人(登録選手)と監督、引率責任者らの交通費と宿泊代が免除されるのも大きな特徴だ。 今夏の開催期間は8月3日から6日で、成田市営大谷津球場がメイン会場になる予定。なお、従来は2枠ある「開催地代表チーム」の決し方は検討中だという。 ナスパスタジアムでのオープニングゲーム、長生ファイターズ対向山ファイターズに先駆けて、県スポーツ少年団の平良清忠副本部長による始球式
【千葉県スポ少交流大会】今夏の全国舞台の地...

【ピックアップ/柏市春季大会より】4大会連...
豊上ジュニアーズと言えば、今や千葉県や関東の枠も超えた全国区の強豪だ。夏の全日本学童大会は3大会連続出場中で銅メダルが2個。今年も目指すは日本一だが、従来と様相がやや異なる。昨年までの髙野範哉監督は3年生チームを指揮(インタビューを後日UP予定)。前年度の5年生チームから繰り上がった原口守監督の下、大目標へまずは最初の予選をクリアしたチームの横顔に迫った。 ※市決勝戦の内容は→こちら 紅一点の杉浦茜音も五番・一塁で頼れる戦力。6年生12人で全国の頂へ進軍する 近年の豊上ジュニアーズは、学年ごとにチーム編成ができるほどの大所帯となってきている。今年のトップチーム(A)は6年生12人だけで、5年生以下は帯同していない。原口監督は12人を前年度も率いており、豊上のBチームとして大会にも参加してきたとあって、目に見えない貯金がある。 昨秋は関東4強 昨年秋の新人戦は千葉大会を制して関東4強まで進出した。これが自信にもなったが、それ以上に悔しさが募ったという。関東大会では優勝することになる東京の船橋フェニックスと準決勝で対戦し、3対6で敗れている。 「あの負けを子供たちも僕自身も忘れていませんし、悔しさを忘れない、ということを合言葉にして、もう一度チーム一丸となって底上げしてきているような感じです」(原口監督) 秋の県王者とはいえ、今夏の全国大会の予選に優遇措置はない。柏市大会に続いて千葉大会で優勝して初めて、全国の扉が開かれる。まずは柏市22チームの頂点に立ち、5月末からの県大会出場を決めた時点で、指揮官は手ごたえや今後の見通しについて「五分五分ですね」と繰り返した。 春の柏市大会全4試合に先発した左腕・金田一毅(上)は打たせて取る。丸山凌生(下)はダイナミックなフォームからの速球が持ち味。ともに制球力に長ける 昨年は強打で鳴るチームだった。全国大会でも3試合連続の2ケタ安打で8強入り。今年は趣が大きく異なるという。「バッテリーを中心に粘り強く守るというのが、チームの強みかなと思っています。そこを活かしながら、ココというときの打の1本と集中力ですね」(同監督)。 市の大会では4試合のうち3試合が2ケタ得点の大勝。決勝も終わってみれば2ケタ安打の10得点で4回コールドと、圧勝だった。それでいて、慢心の欠片も見えないのは志の高さゆえだろう。 決勝も守っては無失策、2イニングずつ投げた2投手はそろって無四球だった。大会を通じて先発を任されてきた左腕・金田一毅は立ち上がりで一死三塁のピンチを招くも、後続を打ち取って無失点。救援した丸山凌生は3安打で1点を失ったが、内野陣が落ち着いた転送で2失点目を食い止めてみせた。 青柳翔大(上)は右へ左へ長打を放つ。前野魁(下)はパンチ力に加え、三塁守備でも魅せる 信頼と絆の深さ 「今年はスーパーな子はいませんけど、全員が中の上という感じですかね」 こう評する指揮官は昨秋の関東大会以降、できるだけメンバーの12人全員を使いながら戦ってきたという。この柏市大会では、主将で正捕手の髙根史葉の故障(軽度)など予期せぬアクシデントもあったが、代わりにマスクを被った滑川彩太が穴を埋めてお釣りがくるほどの安定したプレーを披露した。 「僕は本当はレフトで、キャッチャーの経験はちょっとだけですけど、思い切りやりたいタイプなので、緊張とかしないでやれました」 そんな滑川が打線では四番。決勝の3打席は今年のチームを象徴するような内容だった。まずは初回にセンターの頭上を越える先制の2点三塁打。そしてリードを広げる中で迎えた以降の2打席も、ボール球を強引に打つような私欲に走らず四球を選んだ。「甘い球は捕らえて、ボール球はいかない。次につなぐ、チームのために、という感じで打席に入っています」。 身体能力も光る三番・遊撃の坂本康太はマウンドにも立つ。攻守のカギを握る一人だ 一方、ブルペン捕手など、献身的に動いていた髙根主将も欠場は良薬にもなったようだ。「誰にも負けたくないし、負けてないと思いますけど、試合に出られない人の気持ちも分かりましたし、ベンチにいる間は仲間をサポートすることだけを考えていました。チームは全員野球で1点でも多く取れるように練習しているので、これからの大会でも成果を出していきたいと思います」。 投手は計算が立つのが4枚。攻めては今や豊上の代名詞とも言える、無死または一死三塁からのゴロ・ゴーという戦術も磨いている。市の大会では失敗もあり、成功もあり。原口監督は精度にまだまだ満足していない様子だ。 「県大会では相手も当然、対策をしてくるでしょうし、その中でどう確率を上げていくか。もちろん、戦術はゴロ・ゴーだけではありませんし、今までは練習という意味も含めてサインを出していた面もありましたけど、県大会からは違います」 全国最終予選を前に「自分もプレッシャーがないと言ったらウソになる」と原口守監督。選手12人との前年度からの蓄積と堅固な信頼関係が拠り所だろう 一律の「中の上」の12人が、「上」への階段を上がっている。その足音は指揮官にも響いているのだろうか。そこは定かでないが、12人の思いは確実に届いているようだった。市の大会4連覇の表彰式に続く記念撮影時、遠目に立って集団に加わろうとしない指揮官を、12人は声をやさしく合わせて招き入れた。 「ハ~ラグチさん、ハ~ラグチさん!」 (大久保克哉)
【ピックアップ/柏市春季大会より】4大会連...

【柏市春季大会】 豊上が4連覇で県大会へ
全日本学童の予選も兼ねた、オークスベストフィットネス旗争奪第47回柏市春季大会(千葉県)は4月23日、柏ビレッジで3位決定戦と決勝を行い閉幕した。決勝は全国4大会連続出場を期す豊上ジュニアーズが、増尾レッドスターズを10対1で下して4連覇を達成。準優勝の増尾と3位決定戦を制したビクトリージャガーズは千葉日報杯、4位の松葉ニューセラミックスは近隣3市の東葛大会にそれぞれ出場する。 ■決勝 増 尾 0010=1 豊 上 325×=10 【増】飯塚、小暮、飯塚-幸村 【豊】金田、丸山-滑川 2回裏、リードを4点に広げた豊上はなお、一死三塁からゴロ・ゴー。結果は空振り三振に三走が挟殺されてチェンジに 1回表、増尾は一番・小暮の右中間二塁打に、石黒の犠打で一死三塁と先制のチャンス。豊上は先発の金田が踏ん張り、三振と右飛で切り抜けるとその裏、二番・青柳からの4連続長短打などで2点を先取する。2回裏には青柳の左越え2点二塁打で4対0に。増尾は3回表、豊上の二番手・丸山を攻め立てて二死二、三塁から古市の三塁内野安打で1点を返すも、5-3-2の転送で二走が憤死。その裏、豊上は六番・前野の中越え適時三塁打に続き、七番・坂本歩と一番・矢島にもタイムリーが生まれるなど計10点目。4回表は丸山が3人で斬ってコールドが成立した。 ●増尾レッドスターズ・三浦哲男監督「結果はコールド負けですが、全体的に大きなミスもなく、いつも通りにプレーできたのではないかと思います」 豊上は1回裏、四番・滑川彩太が中越えの三塁打で2点を先取(上)、二番・青柳翔大は2回に2打席連続となる二塁打(下) 増尾は大敗も、捕手・幸村真澄を中心に堅守を披露(上)。2打数2安打と気を吐いた小暮拓真(下)は、救援のマウンドで力強い球を投げていた ■3位決定戦 ビクト 101013=6 松 葉 010102=5 【ビ】式守、宍倉、竹内、式守-三木 【松】諸星、岡井、諸星-小川原 6回裏、1点差に詰められたビクトリーは二死満塁からの飛球を中堅手・澤田海翔(左)がキャッチして試合終了。「よく捕りました。澤田は確実に守れる子」(曽我監督)...
【柏市春季大会】 豊上が4連覇で県大会へ

【特別リポート/多賀グリーンカップ】ストレ...
導くコーチ陣も、プレーする選手も、見ている保護者も、部外者すらも笑顔にしてしまう。真剣勝負でありながら、ストレスフリーの幸福度100。“野球の幸せ”をとことん享受、共有する。学童野球のあるべき姿を映し絵しにしたような大会が毎年3月末、滋賀県で開催されていることをご存知だろうか。第19回多賀グリーンカップ争奪学童軟式野球3年生大会の横顔をリポートする。 3年生の大会でも二盗阻止が珍しくはない。育成を放棄しなければ、ここまでできるのだ 野球とはスポーツであり、遊びやレクリエーションではない。学童野球もそこは何ら違わないし、多賀グリーンカップも根本をはき違えてはいない。 32チームによるトーナメント戦を3日間(予備日含む)で消化するという強行軍。主役はまだ10歳にならない3年生たちだが、どの顔も真剣そのもの。おふざけや手を抜いてプレーしている風はないし、二盗阻止(タッチアウト)だって見られるレベルだ。岡山からは予選を経た最強チームがやってきてるし、北の大地からは選抜された選手たちが2チームで参戦。本気ゆえ、負ければ涙もあるが、それ以上に圧倒的に多いのが笑顔。言うなれば「スマイルの花」が、フィールドやベンチの内外で咲き誇っていた。 本塁打も多数。写真上は大会MVP、多賀少年野球クラブ(滋賀)・高井一輝のランニング本塁打。下は志比グランツスター(福井)・阿部朝陽の2回戦での先頭打者アーチ 「衝撃」と言えば大げさかもしれない。だが、初めてこの大会に足を運んだ人の少なからずは、「夢の国」ディズニーランドを初めて訪れたときにも似た、驚きや幸福感を覚えるのだろう。 そしてその非日常的な世界観は、特に大人を虜にするのかもしれない。その証拠に、このグリーンカップに出たい、というチーム同士の連合軍が複数(9チーム)。それも今大会に限ったことではないという。 非日常を求めて 例えば、福井県の松岡少年野球クラブ(2014年全日本学童出場)と、志比グランツスターは吉田郡永平寺町でしのぎを削るライバルだが、「低学年のときくらいは一緒に伸び伸びと楽しくやれれば」(辻岡憲三監督代行)と毎年、合同で参戦。今年は2回戦で志比の阿部朝陽が逆方向へ先頭打者アーチなど、初球ストライクから打ちにいく姿勢が所属チームに関係なく見られた。「バッターボックスは見に行くところじゃなく、打ちにいくところですから」(辻岡代行) 同じく福井県の福井市からやってきた和田レッズと社北ブルーファイヤーズは、毎年1月からこの大会に向けた合同練習を実施。フィールドの選手は雨天下でも攻守にアグレッシブで、それをまた懸命に声で励ますベンチの選手たちも印象的だった。指揮を執った社北の齊藤実コーチは、3回戦で惜敗しても満足そうな笑みでこう振り返った。 「元々は和田さんがウチ(社北)に声を掛けてくれたのが、参加の始まりです。今年も2カ月でチームがまとまってきたところ。打つのが一番なんですけど、子供がどうやって楽しめるか、というのを僕は最優先に考えています」 福井の和田レッズと社北ブルーファイヤーズの連合軍は、大会参加へ合同練習もしてきたとあって指導者、選手、保護者の一体感が際立った 滋賀県の草津市からやってきた笠縫東ベースボールクラブと矢倉ブルースターの連合軍は、1回戦敗退も、今後の4年生大会も連合で参加する可能性があるという。率いた笠縫東の中原亮一監督は、大会主催チームの多賀少年野球クラブ(滋賀)の育成方針に深い感銘を受けている一人だった。 「多賀との交流は一昨年からです。子供に気持ちよく野球をさせる、というのが僕に足りんかったところやと気付かせてくれて、どうやって子供を夢中にさせるのか、多賀の谷(貞郎)コーチから具体的にいろんなことを学びました。草津市は選手がまだ増えてきてないですけど、今は滋賀県のチームはみんな明るいですよ」 指導者の笑顔の理由 4位入賞した山田西リトルウルフ(大阪)の中濱賢明監督は、指導歴14年。全国出場経験もある国内屈指のマンモスチームの中で、4・5年生専任の監督を務めており、グリーンカップでの指揮は2年ぶりだった。 「野球はミスがつきもののスポーツ。エラーもあるし、緊張はしていると思いますけど、公式戦はとにかく子供たちが120%の力を出せるように、ということを一番に心掛けています」 目の前の3年生たちを担当して1カ月弱だが、グリーンカップを経てすっかり打ち解けたことだろう。殊勲打の選手は、WBC王者・侍ジャパンのように塁上で“ペッパーミル”パフォーマンス。ファインプレーの選手らと決まってグー・タッチを交わす指揮官は、2回戦で好救援した主将を真っ向から抱きしめた。試合中の不運なジャッジには一切の反応をせず、エラーした内野手には「何か問題あるか?」とベンチからメガホンで。「ないです!」と答えた選手が直後の3アウト目を奪って戻ってくると、こう言って出迎えた。 「ええか、これが野球なんや!」 言われたほうも言ったほうも、目を見合わせて淀みなく笑い、周囲にも一斉に白い歯がこぼれた。 遠く北海道から参戦した選抜の2チームは、存分に力を発揮して何度も盛り上がった。惜敗後の涙は、本気と思いの強さを物語る 準優勝の一宮ウイングス軟式野球スポーツ少年団は、岡山予選を経てきたとあって、選手の層と個々の能力で抜けていた。でも何より際立ったのは、選手たちのパフォーマンスを引き出す指揮官の破顔一笑と適切な声掛け。それと保護者たちが奏でる応援の歌と声だった。 「決勝戦はウチの応援席の曲や歌に、相手チーム(多賀少年野球クラブ)の選手も応援席も一緒に盛り上がってくれたりして、コロナ禍も落ち着いてきて良かったなと、しみじみ思いました」 こう振り返った久成康博監督は指導歴14年。この年代専任の指揮官で、今大会は2年連続2回目の出場だった。...
【特別リポート/多賀グリーンカップ】ストレ...

【特別リポート】王者・中条ブルーインパルス...
予選参加規模は球界随一。全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントは「夢のまた夢の舞台」とも言われる。高校野球の夏の甲子園と同じく、47都道府県の王者が本大会に出場するが、昨夏Vの中条ブルーインパルス(石川)は「前年度優勝枠」で2年連続4回目の出場が決まっている。予選免除は王者の特権だが、必ずしもプラスに作用しないことは過去の歴史が物語る。昨年のVメンバーのうち7人(5、6年生)が残る、中条の近況をお伝えしよう。 中条ブルーインパルス ちゅうじょう 【創立】1984(昭和59)年※1993(平成5)年に改称 【活動拠点】石川県河北郡津幡町 【全日本学童大会出場(成績)】3回=2016年(2回戦)、17年(1回戦)、23年(優勝) 【全国スポ少交流大会出場(成績)】1回=2007年(準優勝) ※大注目の主将の情報は→こちら ユニフォームの鮮やかなライトブルーが、芝の上でより映える季節を迎えている。昨夏の全国制覇以来、中条ブルーインパルスを取り巻く環境は大きく変わったというが、当人たちの取り組みは何ら変わっていないようである。 試合中のベンチに、大人の怒声や気負ったムードはない。指揮官は選手に確認と助言はするが、いつでも穏やか。守る野手へ「右だ!左だ!もっと下がれよ!」だのと、がなり続けるコーチもいない。バッテリーもいちいちベンチを見ないし、攻撃でも選手は自分たちでサインを出し合いながら、どこまでも勝負強く、またどこまでも楽しそうにプレーをして日本一に輝いた。 昨夏の中条が全国舞台で展開した「選手主体の野球」は、球界に土着した旧態依然へのアンチテーゼ。そしてその成功体験は、これからの学童野球界のひとつの道しるべとなった、と言えるのかもしれない。 5枚いる投手陣の中でも寺岡と2本柱を形成しそうな庭田(写真)。三番打者としての働きも見逃せない 「僕たちはいつも通りの野球をして日本一になったので、これからもいつも通り。何も変わりません」 昨夏のエース兼主将の服部成(星稜中1年)は、石川への凱旋から約1カ月後にそう話していた。秋の公式戦では敗北と涙もあり、12月のポップアスリートカップ全国ファイナルの準決勝(大阪・長曽根ストロングスに敗北)を最後に6年生は引退したが、そのイズムは新チームに引き継がれている。 今年も無欲の勝利を 昨夏もベンチ入りしていた6人の6年生を中心に、選手たちで決めたテーマは『一戦必勝』。前年を踏襲する結果となったが、指導陣が介入したり、保護者やOBらが「日本一!」だの「全国連覇!」だのと、けしかけていないのも中条らしい。昨夏の「胴上げ捕手」で新主将の向井慶士郎が、テーマの意図をこう語る。 「自分たちは上を見過ぎても、あまり力が出ないので。目の前の1試合ずつに集中したほうがいい、ということで」 昨夏の全国決勝のスタメン9人のうち、向ら4人が6年生となって屋台骨を支えている。日常的に大人から過度なストレスを与えられることなく、野球を存分に学んで楽しめているせいもあるのだろう、冬を越した面々は見るからにサイズアップしている。 「基本的に、みんなスイングスピードも去年から10km/hはアップしていますね」と、倉知幸生監督。メディアに登場する機会が増え、訪ねてくるチームも指導者も絶えないが、対外も対内も何ら変わらずに謙虚で奥ゆかしい。選手には最も身近な、人としての模範だろう。 昨年から不動の四番・寺岡。威圧感も増している元気印のポイントゲッターだ 攻守の要は、一番・捕手の向主将だ(※「2023注目戦士」参照)。70mのフェンスオーバーも楽々、爆発的なスピードは走塁でも守備でも際立つ。昨年から不動の四番・寺岡倫太朗は、サイズもパワーも増して右打席から長打を量産する。 「プレッシャーは少しあります。去年の服部先輩のように何でもできて、味方がミスしてもやさしくて頼れる選手になりたいです。個人的には今年も全国優勝して、支えてもらっている人たちに恩返ししたいと思っています」...